【681系試作車】プロトタイプW01編成が吹田工場へ・廃車濃厚?

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681系の試作車として登場し、以後のJR西日本の特急型設計に多大な影響を与えた京キトW01編成。

27年目を迎える「プロトタイプ」こと京キトW01編成ですが、9月12日に吹田工場へ入場回送が行われました。

付属3両編成が既に除籍済であることや、最近の運用状況から廃車の可能性が高くなっています。

特急「雷鳥」「スーパー雷鳥」後継車として開発

1987年に実施された国鉄分割民営化以降、JR各社では新会社の看板特急を各地に投入していきました。

JR6社のなかでは最後発の1992年に登場した自社初の新形式がこの681系でした。

現在の681系は全て6+3両編成ですが、この先行試作車では雷鳥・スーパー雷鳥で活躍していた485系を踏襲する形で9両固定編成として登場しています。

485系で既に実施されていた湖西線内130km/hの運用はもちろんですが、同区間での160km/h運転を想定した走行性能で設計されているほか、ブレーキ性能についても向上することで、「特例区間」以外の踏切などが存在する全区間での130km/h運転を実現しています。

160km/hでの運転は雷鳥〜サンダーバード系統では行われなかったものの、上越新幹線連絡特急「はくたか」でその性能を発揮したのはご存知の通りです。

湖西線内で実施された走行試験では170km/hを達成。在来線の走行試験では日本国内第2位の驚異的なスピードです。

運転台のスピードメーターが200km/hまで刻まれていることから、この車両への高速化に掛けられた思いの強さを感じますね。

2度の量産化改造で大改造! 途上では阪神・淡路大震災も経験

681系の歴史をややこしくしている点としては、幾度となく行われてきた改番や組み替え、編成番号の付番法則など、両数の割に複雑な形態差が挙げられるでしょうか。

最も個性的なプロトタイプ編成については2度の大改造が施されていますが、登場当初の付番は比較的シンプルでした。

 0番台:出入り口と客室がある車両

100番台:トイレ・洗面所設備がある車両

200番台:上記以外の設備を有する車両

200番台に該当する設備は多目的室や中間車掌室などが該当します。

塗装も量産車とは大きく異なり、白1色のボディにグレーと青の帯が配された独自のものでした。

1度目の改造は方向転換など

1995年の量産車営業運転開始にあたり、先行試作編成についても681系量産車に準じた組成への変更が行われました。

主なメニューは方向転換であるものの、両先頭車にトイレ等の設備を追加する改造も施されていますが、番号は原番号+1000されたのみとなっています。

そのため、両先頭車では既に付番法則が崩れてしまっています。

2度目の改造は量産車になるべく近づける大改造

1度目の改造後も限定運用での運用が続いていたプロトタイプですが、683系の登場にあわせて2001年にさらなる共通化改造が施されることとなります。

ドア増設・撤去、車内設備増設・撤去とあらゆる改造を施し、さらに9両固定編成から運転台設置により6両編成+3両編成への分割構造となりました。

編成番号も登場当初からのU01編成から、量産車の続番となるT07+T18編成となっています。

翌年から一部編成の「はくたか」転用・量産車にも大規模改造など大きな動きが出ていますね。

683系の増備進展とともに京都へ

登場以来、金沢をベースとしていたプロトタイプですが、2009年に683系の改良型である683系4000番台が登場・9両12編成の大規模な増備が進み、量産車の基本・付属各3編成と共に京都へ転属しています。

プロトタイプとしては自身が改造を受けてからわずか8年で9両固定編成の後輩が生まれ、彼らにより古巣を追い出されるという格好にはなりましたが、所属こそ変われど引き続きサンダーバード運用に充てられています。

北陸新幹線開業の大規模転配とリニューアル改造

2015年に金沢延伸を遂げた北陸新幹線。

これにより、はくたか号は在来線特急としての大きな使命を終えたほか、サンダーバード号についても富山駅方面への乗り入れが終了となりました。

多くの余剰車を生むこととなりますが、元北越急行車を含む681系を金沢に再度集結させることでほとんどをしらさぎ号に転用、従来活躍していた683系2000番台を直流化して183系・381系の置き換えを進めるという玉突き転用が行われる形となりました。

この一連の動きが始まる直前の2015年1月に車両リニューアルが発表されており、サンダーバード号で運用されている683系とごく一部の681系がこの対象とされました。

当初は177両という数字の記載があったため、京都に残存いた付属編成V11編成3両と683系の当時のしらさぎ号用2000番台を除いた174両が対象と思われる発表内容でした。

このことから、この時点ではそれ以外の681系は全てしらさぎ号での運用に専念する計画だったと見られており、このプロトタイプ編成についても基本編成・付属編成共に青と黄色のしらさぎ色に塗色変更が行われました。

681系としては3両をのぞいて久々の金沢集中配置となりましたが、その計画は大規模転配の最中で細かい変更がされており、金沢の681系の付属編成の一部がサンダーバード増結用に残存・リニューアルの対象となりました(プレスリリースの表記がサンダーバード681系・683系全車両という表記に変更となっています)。

後輩たちのリニューアル工事を見届けて廃車の計画

様々な改造が施されて今日まで元気に活躍していた先行試作編成ですが、引退が報じられたのは随分と前のことで、大規模転配とリニューアルが開始された2015年まで遡ります

先述のように、681系・683系に北陸新幹線開業に伴う大規模な転用と、その後のリニューアル工事など改造工事が頻発していましたが、この681系先行試作編成については改造対象外となって予備確保・運用が安定したら余剰廃車となる旨が商業誌などから明らかになっています。

新幹線開業とともにしらさぎ号カラーになって金沢に貸し出されたのち、付属編成側の3両は2015年6月ごろに転用の動きがひと段落してそのままの姿で運用離脱したものの、基本編成側は再度サンダーバードカラー復元・京都で復活というややこしい動きとなりました。

その後、以前同様の姿となった基本編成・W01編成は、京都の683系運用や臨時列車に時折顔を出す形で運用入りしています。

そんなニュースからしばらく、活躍の機会は徐々に減少していたものの、最近になって京都の定期運用を2巡する形で突然の大活躍をして話題となりました。

本日の入場回送を考えると、検査切れ直前の走行距離稼ぎだった可能性が高いですが、沿線のファンにとっては久々に活躍の場を作ってくれる嬉しいイベントとなりました。

JR西日本が開発した在来線特急第一号・その活躍幅の大きさを考えると京都鉄博入りの可能性も期待できる681系プロトタイプ編成。

定期検査施工で運用復帰が大本命ですが、新幹線開業前後の大規模転属・その後のリニューアルも終了、ここ最近はほとんど車庫で寝ていましたので、運用復帰の可能性はかなり低いと言わざるを得ません。

叶わぬとしてもどこかでその勇姿が見られることに期待ですね。

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元ツイート紹介

今回のお写真はフォロワーのアクセサリー様(@train_tm51)から、最後の力走で入場回送するシーンをお借りしました。この場を借りてお礼申し上げます。

コメント

  1. こうじ より:

    廃車になれば予備編成が減るので2020年のダイヤ改正で能登かがり火、2往復を6両➡️3両にして弾かれた金沢のW1~8の1編成を代替転属の可能性あり