【原形顔から】“廃車回送”開始〜205系600番台Y12編成が長野へ配給輸送

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2021年度にE131系が相模線・宇都宮線向けに新造され、205系500番台・600番台がダイヤ改正までに営業運転を終了しています。

その後は大きな動きがありませんでしたが、4月6日から7日にかけてY12編成が長野総合車両センターへ配給輸送されています。

集中代替された宇都宮エリア

2021年度には相模線向けにE131系500番台4両編成12本・宇都宮エリア向けにE131系600番台3両編成15本が投入され、これらの路線で運用されていた205系を直接代替しています。

500番台・600番台が並行製造されたものの、相模線では一般的な1編成ずつ運用入りを進める体系となった一方で、宇都宮エリアでは編成構成や運用が一新されることとなったため、3月11日まで205系・12日からE131系と集中的に代替されました。

JR東日本では特急列車を中心に実施される置き換え方法ですが、通勤・近郊路線では編成構成や運用が変わる場合でも数段階に分けて実施されており、1路線の使用車両がひと晩で入れ替わる代替はやや特異な印象です。

営業運転開始前のE131系・終了後の205系はいずれも小山車両センター内または宇都宮駅構内に留置されており、これまで遠方への疎開は行われていません。

廃車となることが確実視される車両ですが、1年前に引退した185系や11月より置き換えが進められた相模線の205系を差し置いて配給輸送が開始されました。

なお、2021年度にJR東日本が導入した旅客用の在来線車両は、移動等円滑化推進計画書に示されていた予定数から4両減少しています。

人気の“原形顔”から

甲府城と桜を背に長野へ

初回の配給輸送では、編成番号でラストナンバーとなるY12編成が対象となりました。

この編成は埼京線向けに新造されたカワ16編成(いわゆるハエ16編成)を転用した車両で、カワ17編成を転用したY11編成とともに2編成のみの“顔”が異なる先頭車で人気の車両でした。

甲府駅で小休止をするY12編成

205系600番台では12編成のうち4編成が日光線カラー(うち1編成は“いろは”に再改造)・8編成が湘南色とされて運用が分離されていました。この“原形顔”はいずれも湘南色を纏っており、宇都宮線での運用が基本となっていました。

埼京線在籍時代にLED式の行き先表示器へ改装されており、京葉線から転入した10編成のようなイラスト側面方向幕とはならなかった一方で、路線と行き先の交互表示が行われていたため代走でしか見られない「日光線」「日光線直通」「宇都宮線直通」の表示は地元の熱心なファン達に注目されていました。

久々となった中央本線とこの前面形状の組み合わせ

数奇な運命で生き延びた“原形顔”

近年インドネシアへ譲渡された武蔵野線の205系は全編成全車両が対象とされていましたが、埼京線と横浜線の205系は全車譲渡とはならず、解体された編成も少なくありませんでした。埼京線・山手線の譲渡の動きでは、山手線出身の経年車が譲渡された一方で両路線の生え抜き編成が解体されており、宇都宮エリアへ追加転用された2編成8両は運が良かった車両と言えそうです。

宇都宮エリアに転用された205系は4両編成12本ですが、同エリアへの転用計画は異なる体系となるはずでした。

京葉線向けに新製投入された205系12編成同数の転用とはならず、“メガループ”への大幅なテコ入れが同時進行したことなどが要因で、埼京線用の205系を転用する動きとなりました。

詳しい経緯は人気サイト「4号車の5号車寄り」を運営されている いちさと氏が記されていらっしゃいます。

205系600番台登場の頃(その2・メルヘン顔と一般顔が混ざった理由)
連載していく205系600番台登場前後の動きですが、今回はメイン?となる転用計画の推移です(前回記事)。205系600番台4連12本のうち、10本は元京葉線生え抜きの205系、2本は元埼京線の205系です。ところが、そもそも京葉線生え抜きの

この動きと同時期には、211系0番台・2000番台の付属編成が5両から4両に編成短縮・疎開配給をしたものの廃車となっています。新潟転用と言われていた車両たちでしたが、こちらは実現することなく長野の地に戻り散っていきました。

211系は設計や改造工程、小山車両センターや乗務員が乗り慣れた車両であることからも、もし時系列が僅かに前後していたら211系の投入に至っていたと考えられます。

同時期の211系ではVVVFインバータ制御への改造計画や1M1Tの2両編成への改造構想もあったとも言われており、これが実現していればまた異なる運命だったはずです。

小山車両センターは4両編成と2両編成での運用を想定していたのではないかと推測されますが、VVVFインバータ制御への改造はせずに211系を投入するとされた場合、現在のE131系と同様に3両編成を配置して朝夕は6両で運転される現在のE131系の運転体系になっていたかもしれません。

JR東日本ではこれまでも度々ファンの空想をも上回る予想外の動きが生じており、このY11・Y12編成もこうした車両の一つです。対となる格好で除籍されたケヨ11・12編成は不運だった印象も受ける一方で、このうちクハ204-118は「長野スキルアップセンター」の施設内で活用されており、最終的に国内で見られる“メルヘン顔”はこの車両となりそうです。

運命のいたずらで生まれた電気連結器付きの“原形顔”。今回の2022年3月改正でも管内各地で余剰車が発生しており、現状としては予備車増とされているものの、今後の計画次第では更なる“珍車”が生まれるかもしれません。

JR東日本管内では3路線に

205系についてはJR西日本管内か富士急行、渡航してインドネシアへ出向けばまだまだ第一線で活躍する勇姿を見ることが出来るものの、JR東日本管内では車齢が嵩んでいる山手線出身を中心とする先頭化改造編成が仙石線・南武支線・鶴見線に残るのみとなりました。

いずれの路線も遠くない未来に答えが公表されるであろう状態ですので、残された車両たちの勇姿をしっかりと焼きつけておきたいところです。

埼京線運用車両では、引退記念のヘッドマークまで掲げられたのに改造予備車として延命され、余生を終えたかと思えば更に富士急行へ譲渡されたカワ28編成(ハエ28編成)の存在も知られています。現在こそ派手な外観となっていますが、ファンを喜ばせるリバイバル運行が得意な会社ですので、今後のイベントにも期待したいところです。

そして、2022年4月1日に「富士山麓電気鉄道」として鉄道事業を分社した富士急行ですが、京王5000系を譲受した1000形・1200形が2編成4両残存しています。これまで205系を6000系として少しずつ譲受・整備しており、今後も“出物”がなくなる前に置き換える展開が想像しやすいところです。

編成構成こそ異なるものの運転台設置改造が不要な鶴見線車両を待つ・パンタグラフや半自動ドアボタン設置などの改造が不要なこのY11,Y12編成・車齢の若さでは“メルヘン”や“相模”顔……と一長一短な印象です。別形式投入に至ることも否定は出来ませんが、今後どのような動きが生じるのか引き続き注目したいです。

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コメント

  1. マサヒロ より:

    鶴見線の205系はクハ205-モハ205-クモハ204で
    富士山麓の205系はクモハ205-モハ204-クハ204の組成なので
    鶴見線の205系が富士山麓に譲渡される可能性は低いと思います。

  2. より:

    富士急…

    原型顔とメルヘン顔や相模顔なら
    原型顔の方
    鶴見3連は機器構成が異なるなら
    異ならない方

    保守や予備部品ストックなどの点で異端は少ないほど有利

    残る元京王5000は2連2本
    Y11 Y12 で2本……

    他線区からの廃車待ちを差し置いての長野配給…
    他に優先して急いでバラすためではなく
    顔の移植or床下の移植で来春あたりに富士急デビュー
    なんていうキナ臭い動きの予兆にも見える……