【宇都宮線・日光線向け】E131系600番台TN2編成が落成!新潟エリアで試運転

スポンサーリンク

2021年7月に落成した相模線用の500番台に続き、宇都宮エリア(宇都宮線・日光線)向けの600番台が8月5日に総合車両製作所(J-TREC)新津事業所を出場しました。

最初の出場となったのは車号上“第二編成”のTN2編成の3両で、新潟エリアで試運転を実施しています。

E131系投入と宇都宮エリアの世代交代

宇都宮エリアではこれまで、E233系投入により京葉線・埼京線から置き換えられた205系を4両12編成体制で運用していました。この転用により、107系の置き換えと宇都宮線宇都宮〜黒磯間の211系などの運用を代替しています。

2021年6月17日、相模線向けのE131系500番台4両12編成とともに、宇都宮エリア(宇都宮線の小山〜黒磯間・日光線全線)E131系600番台3両15編成を投入することを発表しています(外部PDF)。

新たに発表されたE131系600番台は「宇都宮市で復元された火焔太鼓の山車をイメージした黄色と茶色の2色配置として世界遺産日光の社寺に施される文様にも通じる、賑やかで高級感のあるデザイン」とされています。

現行の205系では日光色4編成(うち1編成は観光列車“いろは”に再改造)・湘南色8編成となっており、明言こそされていないものの、107系新塗装から続く日光線カラーが宇都宮線へ勢力を拡大する格好です。

出場したE131系600番台を見る

今回落成した車両は、JR東日本大宮支社 小山車両センター所属となるE131系600番台 TN2編成の3両です。

車号はクモハE131 602+モハE131 602+クハE130 602となっており、製造・新潟での公式試運転・輸送時点では、500番台と逆向きで行われている状態です。

ファン目線では3両に3基のパンタグラフ・屋根上機器が多数設けられている構成で撮影や模型などで映えそうな車両です。随所に従来車両と異なる興味深い点が見受けられます。

クモハE131 602

黒磯側(3号車)となると見られる先頭電動車です。

ファン層からは先頭車の前側(運転台側)にパンタグラフがある車両は“前パン”と通称され、特に撮影を主にする撮り鉄層から人気の高い形態です。

同様に霜取り用のパンタグラフを設けた新潟エリアのE129系と同じ向きとなっています(>>)。

従来のE131系0番台・先に登場した500番台では無かった場所で、運転台側が霜取り用と想像出来る車両ですが、今回の試運転時には運転台側のパンタグラフ上昇・反対側を降下した状態となっていた点も特徴的です。

JR東日本ではE233系以降に導入した車両で、機器二重化を目的とした予備パンタグラフの設置が基本となっていますが、輸送密度が低い線区向けであるE129系・E131系ではこの設置は見送られていました。

予備パンタグラフは使用事例が非常に少ない(中央本線笹子トンネルの摺板破損など)一方で、E131系では冬期には日常的に見ることが出来るもので、用途が異なります。

摩耗の偏りを無くすために時期・運用・列車によって反対側を使用する……といった意図がありそうですが、あまり見られない思想で興味深い構成です。

モハE131 602

中間に連結されている中間電動車です。片側のみがモーター付き台車となっている、いわゆる0.5M0.5Tの車両となっており、一連のE131系の区分では初登場となっています。

なお、先に登場した相模線向け500番台では、中間電動車はE130形とされています。

一般的な車両では、電動車ユニット構成形式の1M電動車・1M構成形式の電動台車片側のみ(0.5M)など、基本設計と異なる車両側が“枝番”側で割り振られる事例が一般的です。

E131系の次の投入先としては南武支線・鶴見線が想像出来る状態で、形式全体で見ると2両・3両の短編成が主力となることを前提としているのでしょうか。

外観上の特徴としては、発電ブレーキ用の抵抗器と見られる屋根上機器が目立ちます。発電ブレーキは勾配線区向けの装備で、E131系では初の仕様です。

クハE130 602

小山・日光側(1号車)と見られる先頭車です。0番台・500番台でも先頭付随車側はクハE130形とされており、基本的にはこれに準じた車両となっています。

相模線向け500番台はトイレなしで製造されていますが、600番台では0番台同様にこの車両にトイレを設けています。トイレ設備は重量がある設備のため、付随車に設置される事例が一般的です。

205系とは逆ですが、E231系・E233系と設置位置が揃い、何かと合理的な印象です。

この車両にもブレーキ抵抗器と見られる屋根上機器がありますが、中間車のものと比べて大きなものとなっています。

クモハE131形の分をクハE130形に搭載・モハE131形は自車に搭載されていると考えるのが自然です。

中間車を除いた2両編成でも山岳線区に投入できそうな構成で、地方線区向け標準車としての設計思想を感じさせられます。

第2編成3両が試運転をする動き

さて、今回の動きで注目される点として、最初に出場した編成がTN2編成であることが挙げられます。

これまでも車両の仕様の違いで意図的に異なる付番で投入された事例(E231系山手線の4扉中間車・E233系0番台など)や、最近では新幹線で見られる複数メーカーで並行製造していて発注時の付番と落成時期の違いで若干前後した事例などは見られました。

しかし、今回のE131系は既にかなり前から完成形に近い状態となっており、トップナンバーのTN1編成も新津事業所で製造されていることが確認されています。

番号順に製造しているか、TN1+TN2編成・TN3+TN4編成……と6両ずつ製造を進めていることが想像出来る状態でした。

最近の新製車両の動きでは、房総エリア向けのE131系0番台は試運転・輸送ともに2編成ずつが基本となった一方で、横須賀線・総武線快速系統向けに新造されたE235系1000番台では単独での輸送となっています。

今回は何らかの理由で第二編成の単独出場となっていますが、0番台の事例を考えれば6両ずつ輸送されても不思議ではありません。

何らかの不具合があって出場順序を見直した・同時に出場する予定だったTN2編成を単独で予定通り出場させた・試運転のみ単独で行う計画で同時入籍(先にTN2編成の試運転をしただけ)……など色々な理由が思い浮かぶところですが、続報を待つほかなさそうです。

翌6日にTN1編成も出場しました。

近日中に小山入り!輸送体制・経路も注目

新津事業所で製造されたJR東日本の車両は、公式試運転(メーカーから事業者へ引き渡す際に本来の性能で動作するか確認する試運転)を済ませた後に新潟車両センターへ入庫。その後、1週間以内(平日の中2〜3日程度を開けて)に長岡車両センター所属の電気機関車(EF64形など)が牽引する配給輸送にて所属基地に回送される流れが通例です。

今回落成した600番台では、500番台と逆向きで製造されているところが興味深いところです。

同時に投入が進む相模線向け500番台の事例では、編成向きがE231系・E233系と揃えられており(前位が北向き)、小山車両センターについても同様の取り扱いとすることが自然です。

600番台では増解結を行う前提ゆえ、号車表記が車体に示されていませんが、小山車両センターへの輸送過程で向きが揃えられることが考えられます

JR東日本の配給輸送では、機回し(機関車を反対側へ付け換え)をして方向転換する経路をなるべく避けており、E257系機器更新の動きでは入場・出場ともに大宮→東北貨物線→田端→常磐線→南流山→武蔵野線→大宮と都心部を一周する動きがあります。古くは東北新幹線八戸延伸後の485系・E751系青森車の定期検査で見られました。

今回のE131系600番台についても同様の経路を選択した場合、小山車両センターに到着した時点で編成向きが500番台と逆転するため、逆向きで製造されたことが合理的にも思えます。

同時に製造が進められており、総合車両製作所側としては同じ向きの方が作業しやすそうにも思えますが、0番台でも途中から製造時点での向きが変えられる動きもありました。

このほかの輸送経路として、小山車両センターへの最短経路となる両毛線経由が考えられます。

房総向けE131系0番台の輸送・E257系500番台の機器更新入場の事例では、幕張車両センター発だと機回しが発生するため、輸送前後の整備を京葉車両センターで実施して幕張までは自走回送とされていました。同様の方法で高崎から小山まで両毛線経由で回送された場合も、小山駅の配線上、向きが逆転します。

お盆明けには報道公開も予定されており、より詳細な仕様が明らかになりそうです。

相模線の置き換えと異なり、デビューまでの期間が長めとなっています。試運転や疎開回送など、今後の動きが楽しみです。

画像元ツイート紹介

記事内掲載写真は、フォロワーのGO-OND様(Twitter:@Go_ond)より掲載許諾を頂いています。

関連記事:E131系の動き

過去記事:E131系600番台について・関連する動き

コメント