JR大阪駅に隣接する阪急と阪神の駅と言えば、「梅田駅」。
関西圏以外の利用者からは分かりにくいという意見があったものの、今日までそのままの名称で玄関口を担っていました。
しかしながら、ここで2019年10月1日から「大阪梅田駅」へ改称する旨を発表し、ファンだけではなく利用者にも驚きの声が広がっています。
阪急阪神ホールディングスの思惑を考えます。
開業以来の長い歴史
駅名の梅田駅は開業以来のものですが、大阪梅田、という呼称自体はかなり古くから存在しており、市営モンロー主義を唱えた大阪市の意向によって中心から少し離れたところに駅を置いた私鉄事業者の涙ぐましい努力がありました。
大阪市電が市内を駆け巡っていた頃の名残で、競合他社となる私鉄路線がど真ん中まで乗り入れないという構図は現在まで尾を引くものとなっています。
阪急電鉄の切符券面の「梅田」の田の字が囗(くにがまえ)に×という独特の字体が充てがわれており、この拘りは現在にも続いていました。
阪急・阪神の他駅や、他事業者でも
今回はターミナルの名称変更ということで、阪急阪神ホールディングスが話題を独占していますが、このほかにも様々な駅が名称変更となります。
4社のべ10駅での駅名変更となり、関西圏のさまざまなサイン類のリニューアルが進みそうです。
駅のサイン類以上に大変なのが、ICカードや券売機類のデータ変更と言われています。
これらを一気に進めるべく、同時に変更できるよう各事業社で日程を擦り合わせていたものと推測出来ます。
同時に多くの事業者が動くなか、大阪メトロについては梅田駅の呼称をそのままとしています。
2019年(令和元年)10月からの名称
・阪急
梅田駅→大阪梅田駅
河原町駅→京都河原町駅
石橋駅→石橋阪大前
・阪神
梅田駅→大阪梅田駅
鳴尾駅→鳴尾・武庫川女子大前
・京阪
深草駅→龍谷大前深草駅
八幡市駅→石清水八幡宮前駅
・京阪(ケーブルカー)
ケーブル八幡市駅→ケーブル八幡宮口駅
ケーブル男山山上駅→ケーブル八幡山上駅
・大阪モノレール
柴原駅→柴原阪大前駅
歴史を押し切って「大阪」を付加した理由は?
阪急電鉄では最新車両までマルーンの塗装を維持しているほか、阪神電車も高加減速に優れた独自車両を投入するなど、個性と独自色が強い、保守的とも捉えられる両社。
主なきっかけはやはり近年急増しているインバウンド需要への対応でしょう。
京都・奈良からもほど近い大阪駅周辺では、頻繁に訪日観光客の姿を見かけます。
日本人でも関西圏の人以外には位置関係が分かりにくい状態でしたが、やはりオリンピック・大阪万博で更なる増加が見込まれることから対応に迫られたという考え方が自然でしょう。
阪急の河原町駅についても京都河原町駅に名称変更が予定されており、こちらについてのても同日に実施されます。
それぞれ「大阪」「京都」のメインターミナルであることを前面に出すことで、遠方・海外からの利用者に分かりやすいアピールとなります。
阪急阪神ホールディングスとしては、むしろこの駅名変更のチャンスを狙っていたとさえ言えるのではないでしょうか。
ただし、どちらの駅についても車内アナウンスでは以前から使用されていた呼称ですので、正式名称や駅・車両の案内サイン類の変更が主な動きでしょう。
大阪万博決定を受けてさまざまな動きが出始めましたが、今回はその中で最初の大きな変化と言えますね。
鉄道趣味としては、現在の行き先表示が変化となる可能性が高いですので、阪急阪神が好きな撮り鉄さんには忙しい夏となりそうです。
コメント
むしろ梅田にあるのに「大阪駅」と名乗っているJRの方が、地方の人にとってはわかりにくい。
阪急大阪駅 阪神大阪駅の方が地方の人や外国人にはわかりやすいのでは?