【しなの鉄道入り】あいの風413系“とやま絵巻”甲種輸送で屋代へ

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2023年8月31日、あいの風とやま鉄道が所有する413系AM03編成“とやま絵巻”が富山貨物駅〜屋代駅間で甲種輸送されています。

521系の増備とともに数を減らす同社の413系。今後の動向に注目が集まります。

5編成が譲渡されるも順次置き換えに

2015年3月の北陸新幹線金沢駅延伸とともに第三セクターへ転換された北陸本線は、新潟県内がえちごトキめき鉄道・富山県内があいの風とやま鉄道・石川県内がIRいしかわ鉄道に継承されました。

このうち利用者が少ない区間のみを継承することとなったえちごトキめき鉄道では、JR西日本のキハ127系の単行形であるキハ122形をベースとしたET122形の新造、あいの風とやま鉄道とIRいしかわ鉄道は北陸本線で使用されていた521系電車を継承する体系とされました。

これに加え、あいの風とやま鉄道では朝夕の通勤通学輸送が多い時間帯の輸送力確保のため、413系5編成も譲受しています。

413系は急行型471系の車体更新をして登場した近郊型電車ですが、新造から50年以上、改造からも30年以上が経過しており、2017年からは早くも413系5編成の代替用として521系1000番台の新造が開始されています。

最初の1編成目は413系をベースとした観光列車を用意するための増備として、以後の編成は413系の代替用としてこれまで合計6編成が新造されました。

これらの車両の投入によりAM01編成が「一万三千尺物語」として観光列車用に転用、AM02編成とAM04編成は廃車となっています。

現在はAM03編成「とやま絵巻」が朝のみの定期1運用・青色のAM05編成がその予備車の状態となっており、これに加えてAM01編成は引き続き観光列車「一万三千尺物語」専属で運用されています。2025年度以降に521系3編成を3両化することでAM03編成を代替する方針が報道されています。

突如として長野入りとなった“とやま絵巻”

413系時代に幾度も通った直江津へ

2023年8月31日、あいの風とやま鉄道が所有する413系AM03編成“とやま絵巻”が富山貨物駅から黒井駅を経由してしなの鉄道 屋代駅まで甲種輸送されています。

久々の新潟県へ

富山貨物駅から黒井駅までの区間は富山機関区所属のEF510-505号機が、黒井駅からは高崎機関区所属のEH200-16号機が牽引しています。

旧“信越北線”区間であるえちごトキめき鉄道妙高はねうまラインへ

えちごトキめき鉄道線内では同社所有の413系が運用されているものの、あいの風とやま鉄道所有編成は直江津駅構内で使用されているATS-Psが非設置となっていること・しなの鉄道側の乗務員の運転実績がないことなどから今回は甲種輸送とされたものとみられます。

輸送道中ではE653系の特急「しらゆき」やET127系など北陸新幹線開業以後になって見られるようになった車両との交換や、しなの鉄道115系との国鉄近郊型同士の交換なども実現しています。

北しなの線では413系にとって懐かしい?初代長野色の115系がお出迎え

前回検査から約4年……定期検査か

JR西日本は北陸新幹線敦賀延伸にあわせ、金沢総合車両所松任本所について閉所とすることを公表しています。

あいの風とやま鉄道では、自社所有の電車の仕業検査・交番検査は自社で行なっていますが、重要部検査や全般検査は金沢総合車両所松任本所にて実施していました。

同社やIRいしかわ鉄道、新幹線敦賀駅延伸後のハピラインふくいで使用される521系については、吹田総合車両所本所で検査を実施されることなども報道されています。

あいの風とやま鉄道にとってはしばらく活用予定の「一万三千尺物語」413系AM01編成の検査委託先を将来に向けて探す必要があるほか、AM03編成「とやま絵巻」も定期検査施工時期に差し掛かっており、少なくとも先述の521系増備が実現する2025年度以降までは維持し続ける必要があります。

将来的な引退が報じられているAM03編成に新たな改造を施すとも考えにくく、今後の動向としては定期検査施工と考えて間違いなさそうです。

しなの鉄道屋代駅に併設されている長電テクニカルサービス屋代車両工場が定期検査施工を受託することとなったものとみられます

2012年まで須坂駅から屋代駅までを結ぶ長野電鉄屋代線が運行されており、長野電鉄の車両検査や他社からの車両搬入などは屋代を拠点に実施されていました。同線の廃止後もしなの鉄道の検査を受託する格好で存続されています。

この屋代車両工場では国鉄型115系のほか、かつては急行型の169系の検査やしなの鉄道「ろくもん」の車両改造工事なども実施した実績もあり、屋代車両工場が413系の検査の新たな委託先に選ばれても不思議ではありません。

近場かつえちごトキめき鉄道のET-122形気動車とET-127系電車の検査を実施しているほか、自社・他社の車両改造工事の実施事例も多く有するJR東日本 長野総合車両センターの存在があります。

しかし、同センターは2015年3月改正を以て自社所有の115系を淘汰しています。交直流電車も同センターでは解体以外で触れる機会も久しくなく、JR東日本にとっては受託することに消極的となるのも頷けます。

今後、2025年度以降に計画されている置き換えが問題なく行われた場合、今回の屋代での「とやま絵巻」定期検査施工は最初で最後となりそうです。

また2023年3月のダイヤ改正では413系定期運用が朝のみの1運用にまで削減されており、青色塗装のAM05編成についても検査時期が2020年6月と休車期間があって辛うじて生きながらえている状態です。

AM03編成「とやま絵巻」が出場するまでの間はAM05編成の活躍が見られることとなりますが、検査・引退が近いことが確実視できるAM05編成のその勇姿を記録する“アディショナルタイム”となりそうです。

今回の車両の動きは今後も「一万三千尺物語」として維持が決定的なAM01編成の将来に向けた動きとも言えますが、えちごトキめき鉄道の413系についても定期検査施工の可能性が辛うじて残されたという点においても注目したい動きとなりました。

閉所予定が公表されている金沢総合車両所松任本所

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