【気合い◎】5050系が東武池袋に!? 東急,相鉄新横浜線1周年企画

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2023年3月に開業し、まもなく1周年を迎える東急・相鉄新横浜線。

2024年3月改正では東急新横浜線の日中時間帯運行本数増強が注目されますが、2024年2月27日に両社が公表した1周年記念企画がかなりの熱量を感じさせられる内容となっています。

利用数が悩みの新横浜線

神奈川東部方面線計画として建設が進められた東急電鉄・相模鉄道の新横浜線が2023年3月18日に開業し、まもなく1周年を迎えます。

JR線直通以上に高い期待を寄せられて開始された東急線直通運転ですが、特に日吉駅〜新横浜駅間の東急新横浜線区間の利用数が開業前の予測を下回る状態が続いています。

2024年3月改正では日中のこの区間に新横浜駅始終着の南北線直通列車が毎時2本加わるテコ入れも予定されており、利用動向が伸び悩む要因の1つとなっていた運転間隔も大きな改善が期待されています。

相鉄は会社ロゴを隠す大胆ラッピング

相模鉄道からは2024年2月27日、「相鉄・東急新横浜線 開業1周年プロモーションを展開【相模鉄道】」(外部リンク)として、相鉄・東急の両社で1周年記念ロゴマークを作成するとともにヘッドマーク車両を運行することが公表されています。

報道資料掲載のイメージ画像

開業時と同様に、東横線直通用の20000系と目黒線直通用の21000系各1編成が対象となり、相鉄のキャラクター「そうにゃん」東急のキャラクター「のるるん」、そして中央に今回作成されたロゴマークを貼り付けるデザインとされており、ファン層以外からも目を惹く存在となりそうです。

ダイヤ改正日である3月16日ではなく、開業1周年の日である3月18日から運行を開始し、ゴールデンウィークが終わる5月6日までの運行予定とされています。

前面の相鉄のブランドマークを隠す装飾となっている点は前年の開業記念ラッピングと同様ですが、今回は1周年記念ロゴマークやキャラクターの愛称に細かい文字が散りばめられており、ラッピング施工の手間がかかっている印象を受けます。

前年の開業記念ラッピングを撮影していたファンにとっては今回も撮影したい内容となっており、今後も周年行事は続きそうでコレクター心理を誘います。

東急は目黒新幹線(?)個性的なラッピング

東急電鉄側でもラッピングをした列車が登場しますが、こちらは変化球となっています。

東急電鉄も同日となる2月27日に「《東急電鉄:ニュースレターVol.1》新幹線デザインのラッピングトレインを2024年3月4日(月)から運行します」(外部リンク)として、JR東海協力のもと東海道新幹線で採用されている青帯2本を施したラッピングトレインが登場することを公表しています。

報道資料より

先端部の形状からN700系モチーフとみられる青帯があしらわれており、こちらも強烈なインパクトを放ちそうです。

ラッピングは3020系1編成が対象とされており、3121Fが使用された“東急グループ100周年トレイン”や3122Fが使用されている虹色の派手な外観から“ゲーミング東急電車”などと注目された“SDGsトレイン”などと同様に、車体の上半分を覆うラッピングとされています。

帯の高さが東海道新幹線に比べてかなり高い位置にある点が気になりますが、3020系の車体デザインやハーフハイト型のホームドア設置駅での視認性を考慮してのものと推測されます。

このラッピングトレインの運行期間は「3月4日(月)から当面の間」としている一方で、「相鉄・東急新横浜線開業1周年記念ロゴを使用したヘッドマークステッカー」は「4月下旬まで」とされていますので、狙いどきはこの期間となりそうです。

“Q SEAT”東上線池袋へ初入線

さらに同日発表された内容として、3月10日(日)に東武鉄道・東京メトロ・東急電鉄・相模鉄道の4社合同で「相鉄・東急新横浜線開業1周年 乗り入れ4社横断ツアー」の開催が発売開始の16分前に相鉄公式のTwitter(現X)にて告知されています。

こちらのツアーでは東武東上線の池袋駅から相鉄本線の星川駅へ向かう直通列車へ乗車する内容となっており、ツアーページ(クラブツーリズムから検索)では5050系4000番台を使用することや「行程は当日のお楽しみ」『定期列車では運転のない、「東急電鉄所属車両」の「東武東上線池袋~和光市間の走行」』といった記載が見られます。

また「Qシートプラン」が設定されていることから4112F〜4115Fの“Q SEAT”連結編成が使用されることも読み取れます。

このほかTwitterでは「昭和鉄道高校の生徒が作成したダイヤ」といった記載もありました。東京メトロが2023年にもう1つの鉄道高校である岩倉高校と「東京メトロ綾瀬工場&岩倉高校 探訪ツアー」を実施しているなど、鉄道高校と鉄道事業者のつながりの強さを感じさせられます。

突然の公表かつ開催日が近く、平日の昼間に告知という悪条件が揃うなか、公表直後から夕方ごろまでは両方とも余裕がある状態でしたが、記事公開時点で“Q SEAT”1名2席利用プランはキャンセル待ち状態となっています。

“Q SEAT”車両である4,5号車のロングシート部分は発売しないでクロスシート部分だけを発売していれば単純に36人で完売ですので、納得の注目度と言えそうです。

1〜3,6〜10号車が該当するロングシート車両は号車別の自由席とされています。

発売数は公表されていないものの価格差はそこまで大きくないことと車両数の多さから、これらもある程度の余裕をもって発売されていそうです。

東急車の東武池袋入線が極めて珍しい理由

相互直通運転では輸送障害時に“代走”が生じるほか、通常の直通運転区間以外に他社局の車両が入線する事例がありますが、東武東上線では見られません。

もう1つの直通先である西武池袋線では、輸送障害時の手段として地下鉄直通列車の練馬駅以東を西武池袋駅発着に変更する事例が時折発生する一方で、東武東上線では和光市駅以東の成増駅や上板橋駅、下板橋駅留置線や東武池袋駅での折り返しに変更する対応は実施しません

そのため和光市駅以東では東京メトロや東急電鉄が所有する各形式の姿を目にすることはありません。

地下鉄直通列車を運転する関東大手私鉄でイレギュラーな運用を避けているのは逆に珍しく、新横浜線関連では相鉄がJR東日本E233系7000番台を横浜駅へ、JR東日本も相鉄12000系を川越駅や品川駅へ、東急電鉄も相鉄20000系をみなとみらい線の元町・中華街駅へ、東京メトロも東急電鉄5050系4000番台を新木場駅へ……と各社とも柔軟に対応しています。

このほか東武池袋駅のような頭端式の始発駅で挙げると小田急電鉄新宿駅には東京メトロ16000系やJR東日本E233系2000番台が、地上駅時代の東急東横線渋谷駅には東京メトロ03系がそれぞれダイヤ乱れの対処法の1つとして乗り入れています。

東武鉄道と同様の拘りがあるように見えていた京王電鉄(新線でない)新宿駅1〜3番線についても、2016年10月に都営車の入線が初めて実施された事例を皮切りに、現在も時折その姿を見られるようになっています。こちらでは特急や(廃止前の)準特急といった普段は充当されない花形運用に登板する機会もあり、都営・京王ファンの新たな楽しみが生まれました。

東武東上線では複々線区間である和光市駅〜志木駅に地下鉄直通列車を滞留させたり、志木駅の留置線に入れたりといった対処方法が可能であることや、和光市駅に東京メトロの和光検車区があることなどが背景に考えられますが、東武スカイツリーラインでも日比谷線・半蔵門線のイレギュラーな入線は避けていますので東武鉄道の誤乗対策としての拘りといった色合いが強そうです。何かにカコつけて電車の色を変えるのがお好きな東武鉄道らしからぬ意向にも感じられますが……。

これらの事情から、これまで5050系4000番台は東武の池袋駅への入線事例は試運転のみとなっており、その数も限定的となっていました。

2011年8月に4102Fが直通運転開始前の入線確認として複数回(参考;2nd-trainさん)乗り入れたのち、2015年9月に4109FがデジタルATC関連と推定される試運転で入線(参考;東急九品仏会館さん)、2022年7月に4104Fがデジタル無線関係と推定される試運転で入線(参考;YouTube 最後な回送さん)……と片手で収まる範囲に留まっており、東武池袋駅への入線はいずれも深夜帯の試運転のみとなっています。

このほか、2018年に上板橋駅〜和光市駅間にはTASC関連と推定される試運転が実施され、同区間では5050系の8両編成・10両編成ともに日中走行が見られましたが、玄関口の池袋駅には訪れていません。

2013年3月に東京メトロ副都心線と東急東横線が相互直通運転をするにあたり、乗務員習熟・技量維持のため2012年9月から5050系4000番台を東武鉄道・西武鉄道に1編成ずつ貸し出して営業運転に充当されていましたが、これらの期間も有楽町線直通に日常的に使用する一方で東上線地上運用には一切使用されていませんでした。

5050系8両編成を転用した4112F〜4115Fは改番・“Q SEAT”連結後に和光市駅以東への入線は実現していませんでした。

今回は“Q SEAT”車両がクロスシート状態で初めて東京メトロ・東武線内を走行し、5050系として初めての東上線池袋駅日中時間帯発着や和光市駅以東での営業運転、東急電鉄車両が他社線団体臨時列車として運転……と耳を疑うような初めてずくしの設定です。

東急電鉄5050系4000番台は新造経緯と改造の過程で運行可能範囲が広く、特に田園都市線渋谷駅への入線を想定していたと言われている車体幅が狭い“Shibuya Hikarie号”4110Fも存在します。

またJR東日本に対応した保安装置ATS-P形やJR東日本規格の三菱製デジタル列車無線も備えており、東急電車のワンハンドルマスコンの操縦経験がある乗務員も横浜支社には一定数在籍しているなど、頑張ればJR線さえ走れそうな車両です。

実現可能性はともかく、国内各地に凱旋している“THE ROYAL EXPRESS”のようなファンの想像を遥かに超えるイベント列車が走る日が来るかもしれません。

近年はイベント列車の運行に極めて消極的となっていた東京メトロがその門扉を開いてくれたことだけでもファンにとっては嬉しいポイントで、今後への期待も膨らみます。

イベント好きな相鉄発信?それとも?

一連の発表では従来からファン層に刺さるイベントごとに積極的な東武・東急・相鉄が前向きなのはもちろんですが、JR東海や東京メトロも協力している点が注目されます。

鉄道事業者では車両譲渡先が譲受元の塗色をそのまま使用する・リバイバルで再現する……といった動きは珍しくないものの、JR東海は自社のブランドイメージに強い拘りがありそうでしたので、他社で自社の看板である東海道新幹線の青2本帯の使用を許諾した点は意外な印象を受けます。

三木鉄道譲受車をそのままの塗色で運用するひたちなか海浜鉄道が帯色を淡いオレンジにしてその雰囲気を残しているあたり、バス事業者の車両譲受では多く見られる「そのままの外観で使用されると自社のイメージが……」といった意向が垣間見られます。

長年の悩みであった東京・大阪のきっぷ利用者がJR東日本やJR西日本に持って行かれる発売額5%の発券手数料を回避出来る点でJR東海と東急・相鉄の利害が一致しており、新横浜線開業時にもかなり積極的な姿勢が見られました。

今回は『「西日本へのお楽しみは、新横浜から。」をキャッチコピーに』と東急電鉄側がなかなか強気な姿勢で、開業時にも手を組んだJR西日本・阪急電鉄も加えた5社のプロモーションが再び実施されます。

JR東海は近年、葛西名誉会長カラーが抜けて他社が実施していた施策を相次いで実施しています。この流れとJR東海が長年抱えていた悩みが重なったことで異例の車体ラッピング実現に至ったことが想像されます。

また、一般公開されたイベント列車の本線走行を避け続けた印象が強い東京メトロがツアーの実施に同意した点も近年の東京メトロでは考えにくかった内容です。

2018年に千代田線6000系が引退する際、ヘッドマークを掲出し特別運転を実施(外部PDF)した際にファンが殺到し、非常通報ボタンが押されたことで千代田線の一般列車にも影響を与えた事象が発生しました。

この千代田線の事象は、一般層には「鉄道ファンの悪行」の1つと受け止められがちでしたが、撮影に夢中になって転落した・線路に侵入して列車を止めた……などのようなファン層が悪いだけのものとは大きく異なります。

集客力があるイベントを雑踏警備体制が不十分な状態で実施してはいけないことはイベントを開催した法人が批判されて当然の内容であり、それまでは電気子チョッパ制御の8000系がなくなる……といったマニアックなヘッドマーク・車体装飾をするほどイベント熱心だった東京メトロが、この千代田線の一件以降はファン向けとなるイベント実施に対してとても消極的になってしまいました。

同様の事例は鉄道事業者各社に広がり“サイレントラストラン”が主流となってきましたが、東京メトロは「メトロファミリーパーク in AYASE 2019」を最後にコロナ禍を経て一般公開のイベントは実施せず、また一時期の流行りだった東京湾大花火祭にあわせた直通臨時列車(外部PDF)やみなとみらい号のような乗り鉄層に刺さるイベントは一切実施されていませんし、自社車両へのヘッドマークの取り付け自体も避けています。

今回の臨時列車運行も「行程は当日のお楽しみ」『定期列車では運転のない、「東急電鉄所属車両」の「東武東上線池袋~和光市間の走行」や、相鉄本線 西谷駅の「折り返し線入線」などをお楽しみいただきます。』など東京メトロ線でのイレギュラーな運転を避けているかのような文言で、極力穏便に通過させたい意向が垣間見られます。

一方で東京メトロは近年、有料の車両基地撮影会を複数回実施してきました。

2022年の「懐かしの6000系・7000系車両撮影会 in 東京メトロ新木場車両基地」(2回催行)や「有楽町線・副都心線17000系車両&半蔵門線18000系車両 ローレル賞受賞記念撮影会in東京メトロ新木場車両基地」、2023年の「半蔵門線周年記念見学撮影会 in 鷺沼車両基地」、2024年の「東西線全線開業55周年記念見学撮影会in深川車両基地」と好調ですが、撮影イベントを頻発しているJR東日本とは異なり自社単独ではなく、全てクラブツーリズムとの共同企画として実施されています。

東京メトロのこれまでの動向を踏まえると、今回のようなイベント列車が本線上を運行することに強い抵抗感があったことは明らかで、過去の撮影会イベントの催行で着実に信頼を得ていたクラブツーリズム鉄道部の働きかけが実現に至った理由として大きいことが想像されます

クラブツーリズム鉄道部は毎年3月に廃止・引退する特急のラストランを団体枠で押さえて高値で売る商法への批判が毎年飛び交いますが、通常期には珍しい列車を本線上に走らせるファン向けのツアーを頻繁に催行している鉄道ファン層にとっては切っても切れない存在であり、今後も鉄道事業者と連携して面白いツアー催行に期待したい存在です。

話題が多い1周年イベント、今回はどちらかと言えばお堅いイメージもあるJR東海や東京メトロが従来の姿勢から徐々に変化している点が印象に残ります。

今後もファンとしては応援したいところですし、一連の企画がトラブルなく成功して次に繋げることが出来るように期待したいところです。

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