【JR東日本】新幹線の駅放送のリニューアル進行中!次世代型は機械の合成音声?

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JR東日本では、新幹線と在来線で異なる運行管理システムとなっており、自動放送についてもこの運行管理システム“COSMOS”に連動した独自のものを使用していました。

関東・東北の方々なら、この列車接近放送を聞くと旅に出る高揚感、帰らなきゃいけない名残惜しさなど、思い出のどこかに残っている印象的な自動放送ではないでしょうか。

2020年に入り、主要駅を中心に“名放送”が急速に姿を消しています。

在来線に続く自動放送更新

JR東日本の首都圏近郊の自動放送では、男声は津田英治さん・女声は向山佳比子さんのペアがお馴染みでしたが、男声が5年ほど前の上野東京ライン開業前後から田中一永さんへの変更が進んで注目を集めました(朝日新聞が報じて担当声優さんが明らかになりましたが、現在該当記事は非公開となっています)。

現在も津田英治さんの放送を聴ける駅自体は残っているものの、何らかの変更(新駅・新種別など)が加われば丸ごと差し替えられることとなりますので、時間の問題となりそうです。

一方で、北海道・東北・上越・北陸・秋田・山形の各新幹線では、在来線区間を除いて長年同じ声優さんが担当してきました。

1995年に新幹線総合システムCOSMOSが導入され、その運行管理システムと紐付けされて明細な自動放送が連動して放送されるものですが、この導入以来20年以上もの長きに渡り使用されていました。途中で複数回の延伸・種別追加などがあり、その都度新たな放送パーツが追加されています。

公式には明らかにされていないものの、林千賀さんではないか?という推測が非常に有力なものとなっています。

在来線の場合は上野東京ラインという輸送体系の変化を契機に変更されたものの、今回の新幹線の放送は特段変更しなければならない要素は見当たりません。

北陸新幹線系統では敦賀駅延伸が近づいている一方で、東北新幹線系統では次の延伸となる北海道新幹線札幌駅延伸はだいぶ先となります。それまでに新駅・新種別が登場する動きはありません。

東北新幹線系統での目立つ動きは福島駅のアプローチ線増設ですが、こちらも従来の文節ごとに録音されたパーツで対応できる範囲かと思います。

また、駅ごとに少しずつ対応が行われているように、特定のダイヤ改正に向けた動きでもなさそうです。

言い回し=プログラムなどは変更なさそうですので、あくまで経年による設備更新の一環と考えるのが適切でしょうか。

COSMOS型自動放送(通称)の更新状況

長野駅:2018年11月中旬(試験採用)

上野駅:2020年1月21日〜

東京駅:2020年2月14日〜

大宮駅:2020年3月4日〜

福島駅:2020年3月19日〜

仙台駅:2020年4月18日〜

※筆者調べ 正確・新しい情報があればコメント欄からご連絡ください

新しい放送は合成音声?

新たな自動放送についても公式発表こそないものの、HOYA製の音声合成ソフトウェア「VoiceText」を使用しているのではないか?と推測する声が有力です。

現在は「Read Speaker」と名称変更しているこのソフト。公式サイトで試聴が可能なので興味がある方は試してみてはいかがでしょうか。筆者の耳にも同じものに聞こえます。

合成音声と聞くと、インターネットの世界では昔からお馴染みの“ゆっくりボイス”こと「SofTalk」が有名で、この棒読みのイントネーションの印象が強いですが、最近開発された合成音声は非常に進化しています。

話速だけでなく、抑揚なども自動演算で最適化されるほか、地名などの特異な単語のアクセントの個別調整、感情や語尾の微調整などが可能です。

AIによる案内などが急速に普及したことで需要が高まっているからか、各社が凌ぎを削って開発に取り組み、近年急成長している分野です。

駅の自動放送は滑らかに聴かせることが目的ではなく、利用者に聞き逃さないでもらうことが重要です。

文節単位で収録する駅の自動放送との相性は悪くないかと思いますが、従来のCOSMOS放送では駅名・両数など重要なところを強めにアナウンスする明瞭さがファン人気もあったので、こういった聞き取りやすさへの工夫が薄れてしまったことを残念がる声も大きいようです。

合成音声の強みを生かした詳細な案内に期待

ファンからは合成音声化に残念がる声も大きいですが、駅放送特有の音源問題が克服できるというメリットも考えられます

駅の放送は文章丸々を録音する方法ではなく、文節または単語ごとに収録したものを繋ぎ合わせる方式です。

「11番線に」「6時」「さんじゅう」「5分発」「はやぶさ」「ひゃく」「1号」「盛岡行きが」「10両編成で」「まいります」といった組み合わせで、ダイヤ改正ごとに収録し直すことを防いできました。

基本的にはこれらの組み合わせで対処可能ですが、「金沢行きが」・「新函館北斗行きが」など延伸で生まれた新駅、「かがやき」などの新種別登場があれば、再度収録を行わなければなりません。

従来の音源を流用して新規音声のみ収録する場合や、同じ声優さんで全て再収録する場合、更に他社では新規収録部分のみ別声優というぐちゃぐちゃな放送となる場合もありました。

変な自動放送として有名な例は、高崎線に登場した「スワローあかぎ」のスワロー部分が何らかの事情により聞き取りにくいパーツを暫定使用したり、JR東海管内では臨時列車「ぬくもり飛騨路号」にわざわざ自動放送を用意したものの、これまた違和感の強い早口音声になってしまったりなどがありました。

これらの背景として、年数が経つことで声優さんの声質が少しずつ変化すること、休業中は収録ができないこと、そして引退されることなど様々な事情が考えられます。

アニメ放送などでも声優さんの交代があるように、駅・車内放送についてもこの課題は避けられないでしょう。

一方で、合成音声であれば新たな放送パーツを追加する場合も声優さんのスケジュールなどの制約を受けることがなく、技術の進化で変化することはあっても基本的には同じ品質を保つことが可能です。

最近のJR東日本では、誤乗防止のために通過駅や経由しない駅を放送するなど、放送内容の詳細化に取り組んでいる印象です。

異常時や臨時列車のイレギュラーな行き先表示・運行体制に対応出来る運行管理システムがあっても、音源が無ければアナウンスを流すことは出来ません。

合成音声での自動放送がより普及すれば、先述のJR東海のように、四半期ごとに改廃される臨時列車についても音声を充てることが容易になりますので、ファンとしてはここに期待したいところです。

鉄道会社側としても、明細な放送を自動化出来れば駅員の業務負担軽減・効率化に寄与することでしょう。

音鉄・録り鉄の層からは嫌われがちな合成音声ですが、パーツの細やかな追加という新たな楽しみが増えるかもしれません。

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コメント

  1. 赤羽線ユーザー より:

    次の新幹線延伸は北海道新幹線の前に2022年度末(2023年春)予定の北陸新幹線金沢~敦賀間のはずですが…(ただ案外「つるぎ」の延長が中心で東京から敦賀までの直通列車ができるかどうかはわかりませんが)。

    • 赤羽線ユーザーさま

      閲覧・コメントありがとうございます。
      ご指摘の点につきまして、加筆修正させていただきました。
      東北新幹線が先に更新が進んでいるけれど……という意図で書いてしまいましたが、その旨を一切書いておりませんでした。

      東京駅〜大宮駅間の更新は敦賀駅延伸に向けた準備の意味もありそうですが、それにしてもだいぶ早い印象です。
      コメントで触れられている東京〜福井・敦賀方面への直通設定の有無も気になりますね。

      今後ともご愛顧のほどよろしくお願い申し上げます。

      鉄道ファンの待合室