近鉄特急では2020年より新型名阪特急“ひのとり”を導入し、玉突き転用により12200系“スナックカー”の世代交代を進めてきました。
一部の12200系は15200系「あおぞらⅡ」へ転用改造されていますが、2月20日に意外な姿でNS49が走行して注目されています。
少しずつ車両入れ替えが進む“あおぞらⅡ”
近畿日本鉄道では、1962年から修学旅行・団体臨時列車用の専用形式20100系“あおぞら”を導入し、オール2階建てで好評の車両となっていました。
車齢と冷房能力の課題から代替することとなりますが、1989年に特急車である18200系2両5編成を4両2編成・2両1編成としての転用となりました。この18200系が“あおぞらⅡ”の始まりです。
1997年には18400系のうち18409編成がPK09として転用され、あおぞらⅡは4両2編成・2両2編成体制となりました。
その後はあおぞらⅡの名称こそそのままで、これらの車両を12200系改造の15200系により代替する動きが進んでいます。18200系・18400系は老朽化のほか、登場時の車体幅の制約から居住性が悪いといった課題がありました。
まずは18200系の代替としてPN01〜PN03が2005年に登場。18400系の代替にはPN04が2013年に登場しています。
そして、翌2014年にはPN01・PN02を同形式同士でPN05・PN06に代替されています。
更に、2021年に入ってPN07・PN08が新たに登場し、PN03・PN04・PN05の代替が進行しています。2021年2月現在では長年の4両2編成・2両2編成に対して4両編成が1本不足している状態となっていました。
なお、転用時期によって外観に違いがあり、初期に転用されたPN01〜PN03ではヘッドマーク撤去・車体にあおぞらⅡロゴが入る18200系・18400系譲りのデザインでしたが、PN04以降はヘッドマークにあおぞらⅡロゴマークを入れる代わりに側面方向幕残置・ロゴステッカーなしというシンプルな改造となりました。
PN04では初代あおぞらリバイバルカラーが登場したり、パンタグラフの形状違いなど編成によって形態が異なったりとファンを楽しませてきました。
ヘッドマークだけ交換?新形態で登場したNS49
2021年2月13日のひのとり投入完了にあわせて前日12日に定期列車での活躍を終えた12200系。
このうち、NS49については白塚車庫にしばらく留置されたのち、16日に五位堂検修車庫に回送されたばかりでした。
他編成のあおぞらⅡへの転用改造事例では、外板塗装と形式名変更などが実施されていました。
しかし、今回のNS49はヘッドマーク(前面行先表示器)のみをあおぞらⅡ仕様に変更したものの、外板塗装や形式などの変更は加えられていません。
このため、あくまで12200系なのに「あおぞらⅡ」というこれまでにない外観となりました。
先代の18400系PK09の引退前には近鉄の特急色へのリバイバルが実施されたほか、初代あおぞらカラーのリバイバル塗装とされていたPN04が代替されていることなどから、このままのカラーリングで活躍することに期待を寄せるファンも多いのではないでしょうか。
ただし、あくまでリバイバル運行目当てであれば形式は変更されるのが自然です。これらの動向から、あくまで入場までの一時的な形態に留まる見方が有力です。
毎月26日は天理臨の運転日だが……
かつては日本各地から「宗教臨」と通称される臨時列車が多数運行されていました。
宗教団体の式典などのために、全国各地から本拠地へ多数の臨時列車を運行する体制で、近鉄天理線・JR西日本桜井線は臨時列車を受け入れるために線路配線・線路容量を確保しています。
同様の事例は身延線富士宮駅(静岡県)・山陽本線金光(岡山県)が知られており、特に身延線については現在これらの臨時列車の運行はされていないものの、富士駅から富士宮駅間が複線化されたほどの影響を与えました。
近鉄では現在も「天理臨」が天理教の月次祭(つきなみさい)・大祭が行われる毎月26日を中心に定期的に運行されており、増発される列車も特急・急行・普通・団体臨時列車と多岐に渡ります。
このうち団体臨時列車については、先述の“あおぞらⅡ”が頻繁に使用されています。
直近の2月26日については昨今の社会情勢からか運行規模の縮小とされているようですが、団体臨時列車は運行予定とされています。
JR東海が最後に運行した客車列車は富士・はやぶさ号ラストランではなく、その翌月にEF65 1118号機牽引で運行された天理臨でした。近鉄12200系についても、最後は天理臨が活躍の場となるのかもしれません。
関連記事はこちら
画像元ツイート紹介
本記事掲載写真は暖房さま(@kawachi_6000)より掲載許諾をいただいております。
なお、特記なしは筆者撮影です。
コメント