【5編成体制に】都営6500形6505編成落成!依然として相鉄非対応仕様の理由

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東京都交通局では、三田線で使用してきた6300形の1,2次車の代替と8両化を目的として、新型の6500形の増備が進められています。

今回で5編成体制となりましたが、依然として相鉄直通に対応した設備は設けられていません。

相鉄に乗り入れないとも考えにくい運転体系ですが、今後の展開を考えます。

デビューは2022年度上半期・2021年度内に9編成

輸送障害により1日以上遅れて輸送

都営6500形は、三田線の第三世代の車両として2020年度より投入が進められている車両です。

都営三田線としては開業時から使用していた6000形・東急線直通などを前に投入された現行の6300形に次ぐ三世代目となる車両です。

車両製造は近畿車両が落札し、2021年度までに9編成・最終的に13編成の導入とされていますが、デビューは駅などの設備が8両編成に対応する2022年上半期とされています。

同時期に投入された東急電鉄3020系が6両編成に縮められて営業運転を開始している動きと対照的で興味深い動きです。

志村車両検修場以外の留置場所としては御成門駅・新板橋駅にある留置・折り返し線程度しかなく、改良工事が進む直通先の東急目黒線奥沢駅や元住吉検車区、試運転で乗り入れ実績がある東京メトロ新木場CR、更にはそれ以外の直通先に訓練を兼ねて疎開する動きなども考えられます。

相鉄に非対応の設備

今回の6505編成も未対応

都営6500形では、2022年度に予定されている相鉄新横浜線の直通運転で必須となる設備を設置せずに落成している点が注目されています。

現時点で不足している設備として、相鉄で採用されているATS-P形自動列車停止装置・三菱製の列車無線器が挙げられます。

相鉄では、以前よりJR線への将来的な直通運転を視野に入れており、保安装置更新時にJR東日本と同様のATS-Pを採用していました。これにより、実際にJR車両が直通運転をする際、E233系は保安装置の追設をせずに乗り入れをしています。

一方で、東急目黒線とその乗り入れ先では、直通運転開始時点でワンマン運転とATO/ATCによる自動運転とされたため、保安装置が大きく異なります。

そのため、今後相鉄へ直通運転を実施する場合は保安装置の改修が必要となります。ただし、最近の首都圏各社では「統合型保安装置」と呼ばれるプログラムの改修で対応できる車両も多く、改造をした場合も外観上の変化が生じるかどうかは不明です。

また、同様に、列車無線機についてもJR東日本と同様に三菱製のものが採用されました。

これらの事情から、JR東日本と限りなく仕様を揃えていたことで、E233系の改修はホームドア連携設備の追加と相鉄用防護無線の設置程度とされています。

そして、このJR東日本が採用している三菱製のデジタル列車無線機ですが、こちらは電波干渉対策について独自規格・特許取得のものを使用しており、他社製無線機の使用が出来ません(三菱製で共通規格の無線は使用可能な上位互換状態)。

相鉄側がJR東日本と同様の無線機としたため、東急線系統から相鉄に乗り入れる車両についても同様の設備が必要です。

しかしながら、東横線系統では5050系8両編成や東京メトロ17000系10両・8両、そして南北線9000系のうち6両編成のままとなりそうな初期製造車両、都営6300形などはこれらの無線機を有していません。

そして、新造車両で3020系同様に相鉄直通設備を有していても不思議ではない6500形についても、現時点で落成した車両は外観・報道内容から、この無線機を有していないものと見られます。

現時点でこの無線機を搭載し、相鉄直通が断定できる車両は東急電鉄所有車両のうちの目黒線系統車両となる3020系・5080系・3000系のみです。

このほか、都営6500形では6300形で設置されていた転落防止幌の設置が見送られていますが、これは相鉄線を走行する上での制約とはなりません

これは、相鉄では2022年度にホームドアを全駅へ設置することを計画していることが背景です。

同じ目黒線系統でも建設時からホームドアを設置している東京メトロ9000系で設置が見送られているように、運用路線全駅でホームドアがあれば転落防止幌は設置を省略できるものとなっています。

相鉄側が直通運転開始時点で全駅ホームドア設置の計画としているため、既に相鉄直通で使用されることが断定できる東急3020系についても、同様に設置が見送られています。

相鉄非対応の無線機を設置した理由

都営三田線と東京メトロ南北線では、北側から来た列車の半数が白金高輪駅で折り返し・残り半数が東急目黒線へ直通するダイヤ構成です。かつては東急目黒線内完結列車を日中に設けていた時代もありますが、現在は早朝・深夜の限られた列車のみとされています。

このことから、相鉄から目黒線に直通する列車はほぼ全列車が三田線・南北線に直通するものとみられ、相鉄車が充当されることを考えれば直通先の三田線・南北線の車両についても走行距離精算・輸送障害時の対応の観点から相鉄線に乗り入れるのが自然です。

ほとんどのファンが都営6500形は相鉄へ乗り入れると予想出来る状況ですので、依然として相鉄非対応の状態で製造が進められている点に違和感を覚えるのではないでしょうか。

公式にはそもそも直通列車の有無が明言されていないため、推測の域を出ませんが、東京都交通局を含めた公営鉄道事業者特有の背景が挙げられます。

国や地方公共団体が行う契約は、入札で行うことが原則としており、かつての国鉄や今回の東京都、国内各地の市営地下鉄なども会計法・地方自治法の制約を受けて車両を発注しています。

税金で賄われている公営交通は、民間事業者以上に事業者選定の自由が効きません。

車両新造時点で相鉄への乗り入れが確定していた場合、三菱製デジタル無線に対応した機器の搭載が必要となり、特許の関係で他のメーカーで製造不可能=契約の相手方が1つに限られるため、特定の事業者を指定して契約を締結する「特命随意契約」が成立できます。

一方で、相鉄への乗り入れが確定していない状態では、三菱製を採用する必要性が認められず、一般的な調達を行う必要が生じます。

つまり、都営三田線用の6500形の機器類を調達した時点では、相鉄線固有の設備=三菱製列車無線を随意契約するための条件が、車両発注時点で満たされていなかったことが考えられます

6500形の落札は2018年夏ごろですので、未だに明らかにされていないものが2018年の時点で決定していたとは考えにくいでしょう。

この背景が正しければ、路線事情を考えれば必要となる可能性が高い上に、一旦別のものを搭載したのちに設置する方が支出総額が多くなってしまう……といった不条理な格好となってしまいます。

路線の特性を考えると直通運転を実施しないダイヤは歪となり、相鉄車が目黒駅以北へ乗り入れないダイヤはあまり現実的ではありません。今後どこかのタイミングで乗り入れ対応の改修工事が施されることとなるか、相鉄車の片乗り入れといった限定的な対応とされるかのいずれかでしょうか。

ごく短期間または試運転のみで撤去される高価なデジタル無線機器が多数発生することを考えると、なんとも複雑な印象です。

目黒線からみなとみらい線にも直通?

急行 元町・中華街の表示を掲出した6503編成

志村検修場では「元町・中華街」の表示が掲出されている姿が複数回目撃されています。

単純に都営6300形に収録されていた行先を一通り網羅した可能性こそ否定できませんが、ナンバリング表記を含めて準備されています。ただし、みなとみらい線のナンバリングデザインは2020年ごろに修正されており、発注時点で採用されていた旧デザインのものとされています。

ファンから期待されている運転体系として、目黒線から東横線を経由してみなとみらい線へ直通する、かつての「みなとみらい号」の定期列車化があります。

既に相鉄の新造車両の動向から、東横線直通列車は10両編成の20000系とされることが確実視でき、これにより東横線系統の直通列車は渋谷駅始終着の特急または急行列車と考えて間違いない仕様です。

この設定分について、東横線の日吉駅を境に南北で優等列車の本数が異なることとなるため、同数の目黒線系統の列車を東横線に直通させて補うのではないか?という予想です。

なお、かつての「みなとみらい号」は転落防止幌が設置されている車両のみが充当可能とされていました。東横線ではホームドア設置時に6両編成に対応した乗務員扉が準備されているほか、そもそも8両化が進行すればこの点も解消します。

一方で、目黒線系統と東横線系統では直通の規格が微妙に異なり、運行系統も元住吉への入出庫を除いて分離されていました。線路配線上も田園調布駅での転線となるなど、実現への障壁はゼロではなさそうです。

ファン目線では少数・臨時列車だけでも期待したいところですが、具体的なダイヤが発表されるまではお楽しみ……となりそうです。

発注時点で使用されていたみなとみらい線旧デザインのナンバリング表記

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