【御家芸】東急電鉄3000系増結中間車が登場!5000系列車体で凹凸・既存車も改番か

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東急電鉄では、2022年度上半期より目黒線所属車両を順次8両化することが発表しています。

このうち、車齢が大きく異なり仕様が注目されていた3000系の増結車が姿を現しました。

ファン目線では久々に「東急クオリティ」「美しい時代へーー」の時代を想起させる、掘り下げれば掘り下げるほど面白い車両となっています。

新横浜線建設と目黒線8両化

東急電鉄と相模鉄道では、日吉駅〜新横浜駅〜羽沢横浜国大駅間を結ぶ新路線「東急新横浜線」「相鉄新横浜線」の建設を進めています。長年に渡り進められていた相鉄の都心直通プロジェクトがこの開業により完成する格好です。

建設は様々な要因により幾度もの延期が続きましたが、2022年度下半期の開業に向けて様々な準備が進められています。相鉄にとっては悲願のはずですが、乗り入れ各社の方針もバラバラです。

車両面では、相鉄は東横線直通向けの10両編成の20000系・目黒線直通向けの8両編成の21000系投入を進めています。

東急電鉄のうち東横線所属車両では、8両の5173Fが4111Fとして10両化が実施されたのち、最近になって4101Fが相鉄直通対応とみられる改造を受けています。8両編成ではデジタル無線の更新に留まっており、相鉄側も10両編成を用意していること・東京メトロ副都心線と東武西武では一切対応改造の動きがないことから、東横線直通は渋谷駅発着の優等列車として運行されることが確実視出来るようになってきました。

目黒線所属車両では、新横浜線開業分の増備車として3020系8両3編成を投入したほか、在来の3000系13編成・5080系10編成についてもこれまで相鉄直通対応・8両化準備改造が進められていました。

三田線を運営する東京都交通局では、従来車の6300形6両を6500形8両で代替する動きが始まりました。6300形のうち初期に導入されていた1次車・2次車13編成と同数の導入が予定されていますが、相鉄直通の設備はなく準備工事止まりです。東急電鉄3020系が6両編成で暫定運用されている一方で、都営6500形は2022年上半期のデビューとされており、地上設備の8両編成対応を待つ格好となる見通しです。

南北線を運営する東京メトロでは、中間増備車を15編成分30両投入することが明らかになっています。既に川崎重工業兵庫工場で製造されている姿が目撃されており、目撃されている車号・これまでの修繕工事の動向などから、9109F以降へ連結するものと見られます。現在製造されている9109F向け増結車は修繕工事を受けた後の外観とされているものの、全編成への波及は残された期間を考えると困難な印象で今後が気になるところです。

埼玉高速鉄道はそもそも8両化に消極的で、地上設備のみの対応に留まっており、東京メトロ9000系の初期車同様に6両での運用が続く見通しです。

東急電鉄の車両が8両化準備とともに相鉄で使用されるATS-P形保安装置・デジタル無線装置などを搭載している一方で、依然として東京メトロ9000系や東京都交通局6500形では相鉄対応の設備がなく、新横浜線開業時点ではこれらの車両は新横浜駅以北での運用が濃厚な状態です。

相鉄の熱量に対して他社局はあまり乗り気でないことは既に明らかな状態ですが、以前から渋谷以北に行かないという見方も多かった東横線方面だけでなく、主な乗り入れ先となることが予想されていた目黒線方面についてもかなり限定的なものとなりそうです。

JRへの直通でも相鉄側の希望であった東京・品川方面への直通が叶わず、より効果が大きいと期待されていたであろう東急線直通も目黒・渋谷までの直通が現実的で、建設の恩恵を全然受けられない印象です。

製造された中間車を見る

今回最初に製造された車両は、3000系のうち3001F・3011F・3013F向けの3ユニット6両です。車体への号車番号表記から、新4号車・新5号車となることが読み取れます。

既存の3000系・5000系列・2020系列の仕様が混み入っており、なかなか不思議な外観です。

従来車と合わない車号・設計思想

付随車
電動車

付番はサハ3401-デハ3501・サハ3411-デハ3511・サハ3413-デハ3513となっており、号車番号と合致する5000系列以降の付番とされています。輸送上の都合で、金沢八景寄りのサハ3401-デハ3501のみ八王子で分割されることとなる模様です。

3000系はそれまでの東急車同様に車両形式により付番する方式でしたので、増結とともに既存車両にも5000系以降の号車番号をベースとした番号へ大規模な改番を行うこととなりそうです。

なお、既存車ではサハ3500(4号車)・デハ3400(5号車)が含まれており、彼らは製造時点で1M完結の単独電動車であるデハ3400をユニット化・付随車の電動車化をすることを見越した設計とされていました。本来であれば彼らが電動車ユニットとなり、増備される車両が中間付随車2両となる設計です。

その他の車両の仕様や連結号車などを総合的に判断すると、今回の増結では独立した単独電動車と付随車のペアを挿入する方法が採用されており、準備設計は使用しない方針が伺えます。経年差を考えれば、電装品の混在をせず将来的に流用が可能な構造としておく方が何かと合理的であることは納得できます。

そのまま連結されると8両で5基のパンタグラフがある格好ですが、既存のデハ3400側は8両化とともにパンタグラフ1基撤去とされるかもしれません。

このほか、増結車は号車・車号表記も5080系の仕様とされており、既存車も書き換えられる可能性があります。

5000系列の車体設計か

車体設計としては5080系5185F以降の後期車に近い設計となっています。車体全体がダルフィニッシュ仕上げ(梨地仕上げ)とされており、従来の5000系列〜6000系とも異なる仕上がりです。

一方で、いわゆる209系世代の3000系とは窓構造などの車体寸法も大きく異なります。妻面の窓も設置されていません。

5000系列の設計としつつ、車体外板を3000系に寄せただけ……というアンバランスな仕様と考えることが出来そうです。

5000系列では雨樋の太さ分の外幅を活用するため、台形の車体形状となりました。一方で、3000系では屋根の丸み部分に雨樋を設けることで外幅を確保している設計とされており、屋根肩の処理が大きく異なります。

具体的な寸法が明らかになっていないため、増結時の違和感がどのようなものとなるのかは不明です。台形の車体構造をそのまま使用しているため5000系列の設計そのままである可能性が高いものの、細部寸法は5080系と変えられている可能性は否定出来ません。

JR東日本の209系500番台とE231系0番台と同様に、両形式では台枠〜床面の設計の違いによる高さの違いもあり、連結時の違和感はより大きいものとなるかもしれません。

細かい点では、3000系同様に転落防止幌がないほか、車端部の黄色テープ貼り付けも行われていません。

帯色は3000系を踏襲

目黒線向けの車両としては3000系は東急伝統の赤に濃青を交えた独自デザイン・5080系は5000系の帯デザインのうち路線カラーを3000系の濃青に変えたもの・3020系では濃青ではなく水色の帯色とされました。

三形式でデザインが異なる状態で、特に新横浜線開業向け新形式の3020系で新たな水色が採用された反面、従来車の色合いは変更しない姿勢であることが読み取れます。

異なる行き先表示器

側面の行き先表示器は5000系列で途中から採用された、フルカラーの表示器と見られます。3000系では製造時からの3色LED(緑と赤のLED電球で緑・赤・橙色の表現)の表示器を使用し続けていました。

最近は5000系初期車で3色LED→白色LEDへ改修が続いており、最近では5080系のうち3000系に近い仕様で登場した5182Fが改造されています。

より経年品の3000系についても組み換えとともに交換がされるかもしれません。

クーラーは5000系奇数番号編成で採用された三菱製CU708とみられます。今回の3編成はいずれも奇数番号で、偶数番号でクーラーに変化があるかどうかも注目です。

一部台車は流用品

付随台車の銘板
電動台車の銘板

台車はいずれも5000系列と同一のものが採用されていますが、今回落成した車両のうち4号車(付随車)の台車は赤色の「東急車輛製造」・白色のTS-1020のプレートに「改造」の文字が入ったものとなっており、従来車の流用品であることが読み取れます。一方の電動台車TS-1019は新造品です。他の方の目撃情報ではサハ3401も新造品のようですが、筆者は確認できませんでした。

5000系列の廃車発生品としては、田園都市線所属の5000系6扉車を4扉車へ置き換えた事例・元住吉衝突事故で廃車となった5155FとY516Fの事例が挙げられますが、付随車のみ転用されている状況から前者と考えることが出来そうです。

6扉車の代替では、先に置き換えた車両の部品を後に置き換える車両で流用……といった動きでした。そのため、順繰りに流用していたとしても、数編成分の部品がストックされる格好です。

このうち、車内案内表示器周辺やクーラーなどを大井町線急行用の6000系7両化で製造された中間電動車へ流用しており、流用が出来ず残されていた付随車用の台車がやっと日の目を見る格好でしょうか。単純に考えればもう数両は流用ができそうです。

6000系電動車は使用されず

東急電鉄では過去に6000系2編成へ大井町線の着席サービス「Q SEAT」のため中間電動車を新造・デハ6300形の2両が2019年夏から総合車両製作所横浜事業所へ入場したままとなっています。今回の3000系用増結車とは車体や台車の仕様が異なり、別の編成で使用される車両となりそうです。

目黒線8両化で再活用されることは以前から確実視されている反面、どの形式・どの編成へ組み込むかは依然として明らかになっていません。

車両の仕様や車齢の近い5080系に組み込むことが自然でしょうか。6000系と車齢が近い編成としては5185F〜5190Fですが、経年車同士で連結するのであれば5181F・5182Fに組み込む動きも考えられます。

一方で、将来的な置き換えを想像すると、依然として3000系への組み込みという動きも否定できません。

出場時の外観で答え合わせが出来そうですので、引き続き増結車の仕様から目が離せません。

発送は当初より遅れ?前倒し?9月14日発送

甲種輸送(貨物列車としての輸送)では必須となる特殊貨物検査票が掲示されており、9月14日発送であることが読み取れます。

特筆される点としては、年・月・日が手書きで修正されており、当初は2020年内または2022年以降に発送する計画だったことがうかがえます。単純に考えれば、新横浜線自体の開業時期の遅れ・会計上の都合で受領年度変更など、東急電鉄側の都合でしょうか。

一方で、甲種輸送のスケジュールは商業誌にも掲載されていたように、9月14日発送というスケジュール自体に変更はなさそうです。

先に改造のために入場することとなった、5186Fの置き場所を確保するために入れ替わりで出されてきたもの=総合車両製作所側の都合と考えられます。総合車両製作所横浜事業所では、最近も2148Fが1か月近く前倒しで姿を見せており、同様の事情と考えることが最も自然です。

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