【ダイヤ改正2023】東武東上線は白紙改正!F快急新設,各種別停車駅変更

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東武鉄道は2022年12月16日、2023年3月18日のダイヤ改正の概要を発表しています。

このうち東上線では、同日に開業する東急新横浜線への直通運転開始のほか、既存種別の停車駅変更、従来のFライナー急行をFライナー快速急行へ格上げ、急行朝霞停車・準急上板橋停車など、多くの利用者に影響がある大きな変更がある、いわゆる白紙改正となっています。

発表内容を見る

発表内容は大量かつ複雑ですが、なぜそうなったのかの考察も交えつつ、東武鉄道のリリース順に見ていきます。当サイトでは黒太文字黄色下線は公表内容や現行内容などから断定できる内容・赤太文字については状況や過去事例から推測される内容です。

東急・相鉄新横浜線関連

東武鉄道側からは、東上線から新横浜駅へ直通する全列車の時刻表が東上線内の種別・東上線内に発着駅を含めて公開されています。

東武鉄道リリースより抜粋

終日に渡って新横浜駅まで直通する点は鉄道趣味者のなかでも朝晩中心と予想する声が多く、期待を上回るものとなっています。日中時間帯は平日・土休日ともに川越市駅発着の普通列車とされており、朝夕に志木駅発着・入出庫で森林公園駅発着・土休日朝下りの小川町駅直通と既存ダイヤ構成からしても納得の内容です。車両によって直通先の制約がある(東武車とメトロ車は相鉄に・相鉄車は東武に入線不可)なかで、各社かなり苦心して調整されたダイヤであることは間違いありません。

利用者目線では平日朝ラッシュ終わり・夕ラッシュ前に上下とも数時間開く点が気になりますが、これ以上の拡充は相鉄車の東上線直通・東武車とメトロ車の相鉄直通の改造をしない限り困難とみられます。

直通列車の内訳は下記の通りです。

運転区間平日土休日
小川町〜新横浜下り1本快速急行
森林公園〜新横浜下り4本(うち快速急行1本)
上り3本(うち急行1本)

上り2本(うち急行1本)
川越市〜新横浜下り7本
上り6本
下り9本
上り7本
志木〜新横浜下り3本
上り3本
下り4本
上り4本
総数下り14本
上り12本
下り14本
上り13本

なお、これに加えて相模鉄道が東上線への直通本数を片方向のみ(東上線下り列車)公表しており、両社のリリースを総合すると、少なくとも下り列車は全て相鉄線内のいずれかの駅=最短でも西谷駅を始発としていて新横浜駅始発の設定はないことが読み取れます。

東武から相鉄の4社跨ぎは東急車のみ可能という車両運用の厳しい制約から、東上線上り列車も同様に全数または大半が相鉄線内始終着となっていることが予想できます。

東武所属車両は現在、新横浜駅までの乗り入れ試運転が連日実施されています。残念ながら開業後に東武電車を東急新横浜線内で見かける機会はほとんどなさそうです。

リリース文として「東上線から日吉駅・新横浜駅を経由して海老名駅・湘南台駅までの直通運転を開始」と記載されていること、相鉄側のリリースで土休日の1本目が海老名駅始発であることが読み取れます。東上線からも相鉄本線・いずみ野線の双方へ運転されるようで、東上線の各駅で海老名や湘南台などの行き先が見られそうです。

このほか、平日下りの1列車目は西谷駅始発川越市行き・土休日下りの1列車目は海老名駅始発小川町駅行きであることまでは相鉄側の公表内容から明らかになっています。

東上線のダイヤとしては、相鉄直通の列車が現行の池袋駅〜川越市駅間で日中2本/時ある普通列車の半数代替なのか、同じく日中2本/時ある有楽町線直通の半数代替なのかが記載されておらず、気になるところです。

TJライナー・川越特急増発

今回のダイヤ改正でもTJライナーは更なる増発となっています。

平日朝上りはピーク後の時間に増発して4本から5本へ、平日夕夜間の下りは池袋駅17:00発が加わって14本から15本へ増強。そして従来は設定がなかった土休日朝にも3本が新設されています。

川越特急についても大幅な増発となっており、平日朝の下りに7時台発・10時台発が1本ずつ追加され4本へ、夕夜間の上りは3本から14本へ大幅な増発です。土休日は10時台に1本が追加され3本へ、土休日は4本から10本へ増加しています。

川越特急は運転開始以来「TJライナー」用の50090型の専属とされており、今回でもTJライナーとの運用上の繋がりが強く出ています。

平日の方が運転本数が多いダイヤと既存の運用体制からも、リリースの目的通りの川越方面への誘客や速達性向上……といった趣旨でないことは明らかです。

これまではライナーの折り返しを川越特急か快速急行としていましたが、後述の通り快速急行が別用途の速達性が落ちた種別となったため、最速達種別の川越特急で運行する必要が生じたと解釈できます。

TJライナーで使用されている50090型は6編成配置5運用で、速達種別で池袋へ戻す最大効率で運転することで夕夜間帯の30分刻みを実現していますので必須の対応と言えるでしょう。

今回の発表では16時台の川越特急も増加しており、これも17:00発で新設されたTJライナーの送り込みに相当する、森林公園駅16:00頃発の列車が新設されているものとみられます。出庫分は森林公園駅始発・ライナー折り返し便は小川町駅始発という体系も同様に維持されるものとみられ、現在の上り3本目のダイヤ(森林公園駅18:30頃)が新たに小川町駅からの運行となりそうです。

50090型の優等列車は最終の23時58分発のみ少し遅めの種別(現行では快速)で送り込むのも同様とみられます。運転本数が少ない時間帯なので後述の通り停車駅が大幅に増えた快速急行でも戻せるのか、それとも利用が少ない時間帯だから回送としているのかが気になるところです。

今回のダイヤ改正では土休日朝にもTJライナー3本が運行されます。

こちらも川越特急の増発とリンクしており、池袋駅の到着時刻は9:22・9:49・10:19とされていることから、TJライナー2号の車両はいったん下板橋電留線に入れて11:00発の川越特急へ、それ以外はそのまま池袋駅で折り返して10:00発・10:30発の川越特急へ運転する体系が想像されます。

一方で、現行ダイヤでは土休日朝に池袋と副都心線方面から、平日朝に池袋発着の快速急行も運転されていますが、これらは川越特急への変更対象とはされませんでした。従来からこれらの運用は一般車両であり、今回も同様の体制とみられます。現行でも1往復で同一編成を使用する運用や、50090型のロングシートの快速急行運用自体はあったので、少し消極的な動きです。

また、土休日夕方以降も平日と同様に概ね既存の快速急行の格上げとなっていますが、TJライナーの運行本数11本に対して10本のみとされています。平日の最終便と同様に異なる種別で送り込みが可能なのか、利用が少ない時間帯だから回送としたのかのいずれかとみられます。

このほか、平日7時台に登場する川越特急も注目ポイントです。

これまでTJライナー2号の使用車両は回送してTJライナー8号に使用して、平日朝はクロスシート3運用・ロングシート2運用で回す構成となっていました。

7:00発の場合はTJライナー2号の使用編成・7:30発の場合はTJライナー4号の使用編成が充てられることとなります。行き先が公表されていませんが、車両運用を現行通りで済ませるとするのであれば、川越特急として初の森林公園駅行きとなりそうです。また川越特急の他にもう1本、現在と同様に普通や準急を追い越す回送列車が登場しそうです。

朝ラッシュの減便分を活用した余裕をもった車両運用をするならばこれらの対応は不要ですが、朝ラッシュの本数減は老朽車の代替分に回したい状況が容易に想像されます。

列車種別・停車駅刷新

東武鉄道リリースより抜粋

今回の停車駅の変更では、急行の停車駅に朝霞駅が、準急の停車駅に上板橋駅が追加されています。

また、快速急行の途中停車駅だった志木駅を通過とし、お隣の朝霞台駅停車に変更川越駅以西は各駅停車と趣旨が大きく変わる種別となっています。

このほか、Fライナーの種別を急行から快速急行に変更・日中を中心に運転されていた快速列車は運転取りやめとされています。

なぜこのような改変となったのかは、列車本数の見直しと密接に関わってきますので後述します。

初電繰り上げ・終電繰り下げ

平日初電志木駅森林公園駅小川町駅寄居駅
現行4:53発直通→5:48着→5:51発6:07着
改正後4:47発直通→5:42着5:44発6:00着
平日終電川越市駅森林公園駅小川町駅寄居駅
現行0:12着←直通23:32発←23:27着23:11発
改正後1:02着0:39発←0:38着←直通24:08発

今回のダイヤ改正では、志木駅から小川町駅接続で寄居駅までの初電が6〜7分繰り上げとなるほか、寄居駅から森林公園駅接続で川越市駅までの終電が50分〜57分の大幅な繰り下げが実施されます。

全国的に都心部でも終電の時間が繰り上げられるこの時代に終電が1時間近く繰り下がる、しかも早朝の下り・深夜の上り列車と、他ではあまり聞きなれない変更が実施されています。

利用増要素としては本田技研工業(自動車メーカーのホンダ)埼玉製作所勤務の利用者の存在とみて間違いなさそうです。同社は生産拠点を狭山から寄居に移す際、マイカー通勤による周辺地域の渋滞悪化を懸念して東武鉄道と交渉。同社の請願駅として2020年10月にみなみ寄居駅が開業しています。

同社の工場移転が完了し本格的に稼働するのを前に、いわゆる二交代制の早番・遅番勤務で利用しやすいダイヤ作成が目的とみられます。

運転本数見直し

①平日朝ラッシュ時間帯の見直し

池袋駅ピーク時間帯(7:30〜8:30)の列車本数が2本削減されて22本となります。

JR東日本の事例では朝ラッシュの減便は有料特急運転拡大に充てていますが、今回の東上線では朝のピーク時間帯でのTJライナー運行には充てられていません。また停車駅が増えたことで、素人目線では準急・急行とも利用者が増える方向の偏りが生じそうです。

それ以上の記載はないので想像の範疇に過ぎませんが、単純に運転間隔拡大だけをしているのではなく、全体的な速達性向上目的の変化が加わっているのではないかと期待できます。急行1・準急2・普通3の比率の約15分サイクルで運転されているところも変化がありそうです。

仮に平日の朝も現行の土休日朝のような急行1・準急1・普通2で通過待ちは中板橋駅で行う11分サイクルであれば、朝ラッシュ帯に上板橋駅で普通と準急が対面接続することによる偏りも抑えつつ、従来は上板橋駅と中板橋駅で2回通過待ちをしていた普通列車利用者・準急ばかりで所要時間がかかっていた急行停車駅の遠方利用者双方の所要時間短縮が実現することが想像できます。

時刻表を見ない限りは断言できず、どのような采配となっているのか注目したいです。

後述のように日中パターンは種別変更をする割には都心部のパターンは変わっていませんので、急行・準急の停車駅変更の真価はラッシュ帯の改善にあるのかもしれません。

②日中時間帯の見直し

川越市駅〜森林公園駅間については、1時間あたり快速2本・急行(各駅に停車)4本・準急(各駅に停車)2本の構成から、快速急行2本・急行4本(両方とも各駅に停車)の構成に変更となります。

東武鉄道リリースより抜粋

快速停車駅では列車本数が減る一方で、快速通過駅では等間隔となり利便性が向上します。

この区間の歴史を振り返ると、副都心線開業・TJライナー運行開始の大規模な2008年6月改正まで4本/時の急行が運転されるのみとなっており、同改正で急行が5本/時となったのとともに増発されました。当初は不揃いだった運転間隔も、2011年3月改正で急行12分間隔・準急20分間隔の個性的なダイヤによりこの区間とその先の接続が改善しました。

東急東横線への直通開始となった2013年3月改正では更なる長距離利用改善策として「快速」が登場して同区間の本数は快速2本/時+急行4本/時の合計6本/時に増強。

この時点では川越市駅で接続する同駅以西各駅に止まる列車がなく不便であり、これを改善するために2016年改正で準急2本を森林公園駅まで延長した快速2本/時+急行4本/時+準急2本/時の合計8本/時体制と、利用者数は右肩下りの区間ながらわずか8年で列車本数が倍増していました。

今回のダイヤ改正では快速が純減となる一方で、この区間の各駅に止まる急行または快速急行がほぼ等間隔で運転されることとなります。

この区間は快速通過駅の方が乗降が多かったり、追い越し設備がないためそこまで速くなかったり、快速との接続を重視して17分も間隔が空いている時間帯があったりと、「快速の時刻を狙って乗れたら便利・外れると不便」といった状態でした。

③平日夕ラッシュ以降の時間帯の見直し

詳細は明かされていませんが、一部列車種別・行き先・列車本数等の見直しとされています。この項のみ越生線の名称が記載されていますので、少なくとも越生線は間隔を空ける調整があるものとみられます。

これについても朝と同様に、停車駅が変更されることでパターン自体の見直しが入っているかもしれません。従来はTJライナー2本/時・急行5本/時・準急4本/時・普通8本/時といった1時間サイクルで接続駅がバラバラの難解な構成でした。

こちらも減らすなら現行の土休日夕方パターンが接続面で利便性が優れたダイヤとなっていますので、それと同様にTJライナー2本/時・急行4本/時・準急4本/時・普通8本/時となることなどが予想できますが、こちらも時刻表発売までのお楽しみです。

ワンマン運転拡大

現在は東上線の小川町駅〜寄居駅間と越生線で実施している8000系4両編成を使用したワンマン運転について、一部列車が森林公園駅〜寄居駅へ拡大されます。

「一部列車」が指す範囲が不明瞭ですが、リリース上部に記載の日中パターンダイヤ例では全て森林公園行きとされており、日中時間帯や早朝深夜帯などはワンマン4両編成が大勢・朝晩は10両編成となりそうです。

東武鉄道が公開している最新の乗降人員(外部リンク)を眺めてみると、確かに森林公園駅を境に利用者数が大きく落ち込んでいます。

この区間は長年に渡り30分間隔2本+1本に近い1時間サイクルダイヤとなっています。小川町駅から先の普通列車が30分に1本となっていること・最速達種別が30分サイクルとなっていることなどが背景です。

今回の川越市〜森林公園駅間の等間隔化にあわせてこの区間も20分サイクルの近距離の利便性を重視するのか、それとも地下鉄方面や寄居駅方面への乗り通しに配慮した30分-10分-20分に近いダイヤとなるのかが注目ポイントとなりそうです。

運転系統分割箇所の変更は、森林公園駅〜武蔵嵐山駅から東武竹沢駅〜寄居駅相互で利用する利用者にはメリット・武蔵嵐山,つきのわ駅から川越や都内方面へ利用する利用者にはデメリットとなる変更ですが、みなみ寄居駅開業でこの区間の流動にも変化はみられます。

最終的には8000系代替時に4両編成を増強、TJライナーや川越特急、地下鉄からの快速急行とそれらの折り返しのみ10両・ほかは4両編成ワンマン列車……といった構成となっても不思議ではありません。

未記載の日中ダイヤから種別改変の意図を探る

登場から14年目で役割が変わる快速急行・写真は快速登場前の旧表示

快速廃止と川越市駅以西等間隔化については上記の発表内容とともに記しましたが、それ以外にも停車駅増加による速達性低下・快速急行の志木駅通過の疑問は解消されません。川越駅以東ではどのような経緯で停車駅の変更がされたのかを考えます。

停車駅変更と優等列車種別の一新は利用者に大きな影響を与えますが、残念ながら具体的な時刻について触れられているのは減便の影響がある川越市〜森林公園駅間のみとなっています。

まずはやはり気になる複々線区間の朝霞駅停車ですが、単純に利用者が多いからという理由が想像されます。

利用者数の傾向として、最新の乗降人員(外部リンク)では、和光市13.8万人・朝霞駅5.8万人・朝霞台13.1万人・志木駅8.3万人となっています。また路線全体では、武蔵野線の乗り換え駅である朝霞台駅を境に、都心側は増加傾向・寄居側は減少傾向(いずれもコロナ禍前)と、世間で昨今言われている都心回帰の動き通りに推移しています。

複々線区間を活かして普通列車を拡充、和光市駅または成増駅で優等列車に接続……とすることがこれまでのセオリーでしたが、昨今の利用が減少している状況では困難。それならば、遠方利用者の所要時間増としてでも朝霞駅の停車本数を増やすことは全く不思議ではありません。

準急の上板橋駅停車についても同様の経緯が推察できます。上板橋駅単独では4.2万人ですが、隣の東武練馬駅は4.8万人。これまで通過待ちがほぼ必ず生じ、平日朝ラッシュには上板橋駅と中板橋駅で2回待避……これらの合計9万人の利便性向上をすることは妥当な流れと言えそうです。

志木駅の快速急行通過についても、利用客数が隣の朝霞台駅に劣るゆえ、速達性の高い列車の停車駅から外された……利用実態通りの変更とみられます。

かつての全列車停車駅の栄光があり、現在も東上線単独駅では最多の利用を誇る志木駅ユーザーには酷ですが、遠近分離の意義と乗り換え駅の重要性という路線全体のバランスを考えれば、日中の最速達種別として用意された快速急行の停車駅から外されたのも不思議ではありません。

この辺りは後述の日中パターンダイヤの検証で更に詳しく掘り下げますが、志木駅利用者へは複々線を活かしたフォローが加わっていることが確実視できるダイヤとなっています。

リリースには明記されていませんが、日中の川越市駅以東の本数の見直しには触れられていませんので、概ね維持されるものとみられます。

これまでの本数を現行ダイヤに当て嵌めれば、和光市駅から川越市駅間ではF快急-急行-急行の30分サイクルに準急が2本・地下鉄直通の普通が1本(有楽町または相鉄直通)・普通が1本、または準急2本・地下鉄直通の普通が1.5本・普通が0.5本(端数は相鉄直通または池袋発)のサイクルとなりそうです。

前者は接続パターンが30分サイクルで同一に出来る一方で、後者は有楽町線直通の利便性が維持とそれぞれメリットがあります。リリースからは川越市発着普通列車4本の和光市から先の方面までは読み取れません

また池袋駅基準で見ると、急行が10分-20分間隔が繰り返されるまばらな構成となっており、この20分の間に連続して準急2本が走る、つまり池袋駅基準では現行ダイヤの快速が急行に変わっただけと考えるのが自然です。

東上線では長年に渡り毎時00分はその時間帯の最速達種別とした覚えやすさを重視する傾向があり、今回も川越市駅発の時刻から逆算すると、やはり池袋駅毎時00分,10分,30分,40分の現行と同様のパターンとなっていることが想像されます。

先述の2008年改正以前の普通列車は日中は全て中板橋駅で追い越しとなっていましたが、ダイヤ改正の度に上板橋駅で待避となる列車が増えてきました。

現行ダイヤでも下り列車については、準急を上板橋駅で待避する普通が2本・急行を上板橋駅で待避する列車が1本・快速を中板橋駅で待避する列車が1本の30分サイクルとなっています。

上板橋駅での通過待ちは、池袋駅からときわ台駅・上板橋駅のユーザーにとっては所要時間が短縮されるメリットがある一方で、北池袋駅〜下赤塚駅から和光市方面へ向かう場合、成増駅での待ち時間が増大するデメリットがあります。

今回の準急上板橋駅停車も現行通りの待ち合わせパターンとみられ、日中については池袋駅から上板橋駅〜下赤塚駅への利用・上板橋駅〜北池袋駅から成増駅以遠への利用で大幅な時短が期待されます。

これにより従来であれば選択肢から外れていた下板橋駅〜三田線新板橋駅での乗り換えが最短経路となる最終目的地も出てくるかと思うので、今後も上板橋駅での待避がベースでダイヤを構成する前提であれば良い変更となりそうです。

急行の朝霞駅停車については、2013年改正で志木駅発着列車が削減されて毎時12本から毎時8本へ減便されて以来の毎時12本体制への復帰となっています。

周囲の和光市駅・朝霞台駅・志木駅の利用者が非常に多いゆえに見逃されがちですが、10年間も不便を強いられていたわけで、ようやく……といった印象です。

現行のダイヤパターンを眺めてみると、急行と比較すると快速は停車駅が同じはずなのに所要時間が若干多い……というダイヤ構成となっていました。先行列車につっかえてしまうことが背景です。

今回の準急の上板橋駅・急行の朝霞駅停車についても、現行ののんびり走っている分の余力を活用するだけで十分対処可能という事情も今回のダイヤ改正の背景にあるのかもしれません。

余談ですが、和光市〜志木駅間の複々線区間については、日中時間帯は従来同様の方法だと内側線のみ通過列車が走ることが予想できます。全国初であろう、複々線の使用用途が建設意図と完全に逆転する路線が登場することとなりそうです。

上記推定から想像される日中の池袋〜川越市

上記の推定を基に、どのようなダイヤが構成されているのかを書き起こしてみました。

ダイヤグラム(下り)

1メモリ1分 縦太線は30分です。 成増〜和光市駅間の普通列車本数・時刻は根拠なしです。

従来と同様の待避・接続待ちパターンが想像されます。下りは停車駅増加の影響がそのまま所要時間増加につながっている印象です。

池袋駅発下り(推定)

時刻(分)00041011171925263034404147495556
種別急行普通急行普通準急普通準急普通急行普通急行普通準急普通準急普通
行先森林成増森林成増川越成増川越川越森林成増森林成増川越成増川越川越
待避駅上板上板ふじ上板中板
ふじ
上板上板ふじ上板中板
ふじ
接続駅和光
ふじ
和光
ふじ
上板上板
和光
ふじ
和光
ふじ
上板
:和光市でFライナー快速急行森林公園行きに接続 急行の和光市駅接続は和光市〜志木駅間で乗り換え  成増〜和光市駅間の普通列車本数・時刻は根拠なしです。

ダイヤグラム上り(推定)

1メモリ1分 縦太線は30分です。 成増〜和光市駅間の普通列車本数・時刻は根拠なしです。

東上線のダイヤは長年に渡り池袋駅での平面交差支障の影響で完全な上下対称ダイヤとはならず、数分単位の微妙な違いがあります。現行のダイヤでは下りは上板橋駅で追い越しが基本の一方で、上りの追い越しを全て中板橋駅で行う形でその調整となっていました。

従来、上りは中板橋駅で追い越しとなっていましたが、これを下りと同様に急行半数の待避を除いて上板橋へ変更・準急との乗り継ぎが可能なダイヤへ変更されていることが推定出来ます。

川越市駅発上り列車(推定)

時刻(分)0506101522262934364045525659
種別F快急普通普通急行準急急行準急F快急普通普通急行準急急行準急
行先元町池袋相鉄池袋池袋池袋池袋元町池袋木場池袋池袋池袋池袋
待避駅成増
中板
ふじふじふじ成増
中板
ふじふじふじ
接続駅和光ふじ
成増
上板ふじ
成増
上板和光ふじ
成増
上板ふじ
成増
上板
相鉄直通が有楽町線直通の代替と仮定しています。

ダイヤグラム往復(推定)

1メモリ1分 縦太線は30分です。

先述の通り通過待ちのパターンが変更となっていることが想像され、この場合は準急の半数が池袋駅の入線都合で遅くなることが想像されます。

一方で、公開された相鉄直通の時刻などから、快速急行・急行は川越市駅以西で速度向上となっていることも想像できます。急行で池袋駅〜森林公園駅間の全区間を乗り通すのであれば、所要時間の変化は1駅停車する割には軽微に収まっているものとみられます。

池袋発着の有効列車本数変化(推定)と概況

改正後現行変化
北池袋〜ときわ台8本/時 普通8本/時 普通なし
上板橋4本/時 準急
8本/時 普通
8本/時 普通◎本数増
◎速達化
東武練馬,下赤塚4本/時 準急(上板橋乗換)
4本/時 普通
8本/時 普通◎速達化
成増,和光市4本/時 急行
4本/時 準急
2本/時 快速
2本/時 急行
4本/時 準急
▲準急 所要時間増
朝霞4本/時 急行
4本/時 準急
2本/時 快速-普通(和光市乗換)
2本/時 急行-普通(和光市乗換)
4本/時 準急
◎乗換滅で速達化
▲準急 所要時間増
朝霞台2本/時 準急-F快急(和光市乗換)
4本/時 急行
2本/時 準急
2本/時 快速
2本/時 急行
2本/時 準急-F急行(和光市乗換)
2本/時 準急
▲急行 所要時間増
▲準急 所要時間増
志木4本/時 急行
4本/時 準急
2本/時 快速
2本/時 急行
2本/時 準急-F急行(和光市乗換)
2本/時 準急
▲急行 所要時間増
▲準急 所要時間増
◎乗換滅
柳瀬川〜鶴瀬4本/時 急行-普通(和光市等乗換)
4本/時 準急
2本/時 快速-普通(和光市等乗換)
2本/時 急行-普通(和光市等乗換)
4本/時 準急
▲急行 所要時間増
▲準急 所要時間増
ふじみ野4本/時 急行
4本/時 準急
2本/時 快速
2本/時 急行
2本/時 準急-F急行(和光市乗換)
2本/時 準急
▲急行 所要時間増
▲準急 所要時間増
▲パターン変更 所要時間大幅増
上福岡,新河岸2本/時 急行-準急(ふじみ野乗換)
2本/時 急行-普通(ふじみ野乗換)
2本/時 準急
2本/時 快速-準急(ふじみ野乗換)
2本/時 急行-普通(ふじみ野乗換)
2本/時 準急-F急行-準急(和光市,ふじみ野)
▲急行 所要時間増
▲準急 所要時間増
▲通過待ち 所要時間増(2本/時)
川越,川越市2本/時 準急-F快急
4本/時 急行
2本/時 快速
2本/時 急行
2本/時 準急-F急行
◎快急-準急 速達化
▲急行 所要時間増
▲準急 所要時間増
若葉,坂戸,
東松山,森林公園
2本/時 準急-F快急
4本/時 急行
2本/時 快速
2本/時 急行
2本/時 F急行
◎間隔均等化
?快速 廃止→快急接続
▲急行 所要時間増
▲準急 所要時間増
霞ケ関,鶴ケ島
北坂戸,高坂
2本/時 準急-F快急(和光市乗換)
4本/時 急行
2本/時 快速-準急(川越市乗換)
2本/時 急行
2本/時 準急-F急行(和光市乗換)
◎間隔均等化
▲急行 所要時間増
つきのわ〜小川町3本/時? 快急又は急行-普通
(森林公園乗換)
2本/時 快速
1本/時 急行
間隔均等化?
▲森林公園駅 乗継
▲急行 所要時間増

北池袋〜ときわ台

この区間では池袋駅方面への利用では特段変化がありません。下り列車は従来と同様に上板橋駅での待避が基本(8本中2本が中板橋駅待避)・上り列車は下りと同様パターンへ変更とみられます

一方で、埼玉方面への利用では、上板橋駅で半数が準急に乗り換えられるようになりそうです。成増駅での接続が現行ダイヤではあまり良くなかったので、こちらの時短効果はかなり大きなものとなりそうです。

上板橋

今回のダイヤ改正の恩恵を最も享受出来る駅は上板橋駅ユーザーでしょう。池袋方面・埼玉方面双方で利用出来る電車の本数が増え、利便性が大きく向上します。

当サイトTwitterにも上板橋駅沿線の学校に通う学生さんから喜びの声が多数届いていました。

東武練馬,下赤塚

東武練馬駅は北池袋〜下赤塚駅間の普通列車のみが停車する駅で最も利用者数が多い約4.8万人が1日に利用する駅ですが、準急の新規停車はお隣の上板橋駅に譲る格好となっています。

対埼玉方面では活用できないとはいえ、隣の上板橋駅も4.2万人と利用が多い駅であり、この両駅の池袋方面への利便性改善がされたことは、都心回帰が進む現代に合わせた的確な変更と言えそうです。

利用者数が1.4万人弱/日と都内停車駅では少ない下赤塚駅ユーザーもこの恩恵を享受出来るため、両駅にとっても利便性が大きく向上します。

成増,和光市

対池袋方面では、従来と同様に8本の優等列車が有効列車ですが、半数が上板橋駅停車となるため、所要時間が若干延びそうです。

両駅から北池袋〜上板橋駅の各駅を利用する場合は、成増駅での接続の悪さもありましたので、大きな時間短縮となっているものとみられます。

なお、発表内容から毎時4本ある川越市発着のうち、地下鉄直通が3本・池袋発着が1本なのか、各2本ずつなのかは読み取れません。

前者の場合は成増駅と和光市駅の1区間のみの利用に限り若干不便となりますが、影響はごく軽微でしょうか。

朝霞

「急行の朝霞駅停車」は利用者としての響きはとても良いものですが、日中の利便性で考えれば2008年6月改正以前に戻った……といった程度です。当時と比較すると乗換なく池袋駅へ行ける列車が増える反面で、依然として10分程度間隔がある時間帯も残りそうです。

詳細が未公表ゆえに想像の範疇に過ぎませんが、朝夕ラッシュ時間帯が最もその恩恵を受けられそうです。

朝霞台

池袋への利用で見ると、毎時4本の急行に乗る場合は従来の準急程度の所要時間、毎時2本のFライナー快速急行に乗る場合は和光市駅で(おそらくすぐの接続で)乗り継ぐものの従来の急行程度の所要時間、毎時4本のうちFライナー快速急行の接続がない準急に乗ると従来より少し時間がかかることとなりそうです。

北池袋駅から上板橋駅までの各駅の利用では、準急による速達化が実現するものとみられます。

副都心線の利用ではFライナーの快速急行化の恩恵は特段ありません。先述の通り、新横浜線直通の設定が有楽町線直通からの振替なのか池袋行き普通列車からの振替なのか公表されていませんが、後者の場合は恩恵がありそうです。

志木

今回の概要発表では志木駅ユーザーの嘆きの声が上がっている通り、停車駅変更でメリットが皆無な駅となっています。

池袋駅発着では準急の上板橋駅停車・急行の朝霞駅停車が中心で、所要時間微増とみられます。

地下鉄直通列車のうち、Fライナー急行は快速急行化により志木駅が通過となるため、副都心線急行停車駅間への利用は、朝霞台駅または和光市駅からの移動した乗り継ぎとなります。

乗換なしで副都心線内へ向かう場合は、朝晩は従来同様に志木駅始終着列車、日中時間帯は新横浜線直通列車と本数が少なくなってしまいます。

通過することで完全に不便になるかと言われれば、準急が和光市駅で快速急行と対面接続となって池袋・地下鉄双方の速達性が従来に近い水準で維持されているダイヤ構成とみられ、少なくとも日中については乗り換えが生じる不便さはあっても所要時間への影響は軽微に収まっていそうです。

柳瀬川〜みずほ台

対池袋駅では準急の所要時間が微増することが予想されるほか、急行と地下鉄からの普通列車を乗り継ぐダイヤでの待ち時間の長さも改善が期待出来ず……と変化が少ない区間です。

単純に上板橋駅・朝霞駅に向かう利用の場合のみ恩恵が生じます。

ふじみ野〜新河岸

志木駅ユーザーからはあらゆる点で不評の概要発表でしたが、ダイヤ改正後の利便性が大きく低下するのはふじみ野駅・上福岡駅・新河岸駅の利用者となりそうです。

ふじみ野駅の池袋駅への有効列車は毎時8本・上福岡・新河岸駅の有効列車は毎時6本と変わりませんが、その全ての列車パターンで所要時間が増大します。

現行のダイヤでは、ふじみ野駅〜和光市駅をFライナー急行に乗車することで上りは和光市駅・下りはふじみ野駅でそれぞれ先行する準急列車に追いつけるダイヤ構成でしたが、この恩恵がなくなります。

地下鉄直通についても同様で、今回のFライナー急行の快速急行化により、従来はふじみ野駅発着(上福岡駅・新河岸駅ユーザーもふじみ野駅乗り継ぎ)でFライナー急行=副都心線急行へ乗車が出来ていたところ、ダイヤ改正後にFライナーを利用するためには上りは先行・下りは後続の準急で各駅に停車しながら移動する必要があり、所要時間は現行より5分以上の大幅な所要時間増加となっているものとみられます。

快速急行設定の割を一番食わされるのはふじみ野駅〜新河岸駅の12.1万人計算の利用者と言わざるを得ません。

この区間で今回改正のメリットがあるのは、日中は上板橋駅・朝霞駅が目的地の場合のみと極めて限定的なものとなっています。朝ラッシュのダイヤが公表されていませんが、従来より準急削減・急行増加の内容であれば、朝ラッシュについては所要時間の改善がされているかもしれません。

川越・川越市

両駅全列車停車の体制は維持されており、対池袋駅・対地下鉄線方面とも所要時間の変化は増加も減少も数分程度と、劇的な変化はありません。朝晩についてはTJライナー・川越特急の運転本数が増加しており、これらを利用する場合は利便性向上となります。

日中は停車駅増加の影響で上板橋駅・朝霞駅の利便性が向上する一方で、Fライナー急行が快速急行化されることでふじみ野駅接続で柳瀬川駅〜みずほ台駅と乗り継ぐことが不可能となっています。

若葉,坂戸,東松山,森林公園

今回のダイヤは、川越市以西に中途半端で使い勝手の悪い快速を走らせるのではなく、川越以東で飛ばして走る体制自体は、かつての遠近分離の教科書のようだった東上線のダイヤ設計に戻った……という印象です。

対池袋駅の利用では、従来の日中は毎時8本が不等間隔で運転されており、最大17分も間隔が空く時間帯がありましたが、これが解消されています。

急行の所要時間こそ1駅停車追加で微増していることが推定されますが、駅で10分以上待つ機会が無くなった方が利便性が高いと言えそうです。

一方で、快速列車廃止により日中の最速達が準急〜和光市〜快速急行の乗り継ぎとなりますが、乗り継ぎの手間こそあれど所要時間の変化は数分程度で収まっていそうです。

霞ケ関,鶴ケ島,北坂戸,高坂

快速通過4駅の有効列車本数は年々増加していますが、ダイヤとしては急行の間隔が不均等で使い勝手がなかなか向上しない状態が続いていました。

かつての急行4本時代は学生さんで夕ラッシュ前から混雑、急行5本化で解消傾向でしたが快速設定で再びアンバランスなダイヤとなっており、快速通過駅の方が利用者数が多いというアンマッチもありましたので、これら4駅の利用者にとっては今回の10分ほぼ均等に池袋への速達列車が運行・このうち30分間隔で副都心線直通となるダイヤは理想形と言えるでしょう。

遠距離有利は残るが、やっぱり惜しい速達性

毎時2本の準急〜Fライナー快速急行が急行の合間に入って実質10分間隔という設定は西武池袋線を彷彿とさせ、長年両路線のダイヤ構成は比較されがちですが、等間隔運行で利便性が高いことから遠距離の利便性は東上線に軍配が上がる……という図式は従来同様と言えそうです。

東上線の遠距離に重きを置いた輸送体系は、不動産価格にも影響を及ぼしていていると言われています。

池袋駅からの距離では同等な所沢駅・川越駅を境とし、都心側は西武池袋線の優等停車駅の方が高く、遠距離では東武東上線の駅の方が高い傾向が続いていました。

価値は高くとも遠距離の利用者が減少していた情勢下で川越以西の速達化に重きをおき、2013年改正から現在までの流れが利用実態から年々遠ざかっていたと言っても過言ではありません。

本来、車両や乗務員といったリソースは当時の時点で需要が増加の一途であった都心部に使うべきで、和光市駅〜志木駅の4往復/時・朝霞駅の停車列車で見ると1/3を削ってまで実施した快速の日中運行はその列車の強みを見出すことができないまま運行を終了することとなりました。

お住まいの最寄駅により是非は分かれるのは言うまでもないですが、複々線区間は和光市駅と朝霞台駅が接続駅ゆえに需要が頭ひとつ抜けており、志木駅も接続路線がない単独駅では利用者数が一番多くなっています。

仮に今後、急行の5駅続行区間を一部通過として速達性を上げる方向に戻すとするならば、成増駅または和光市駅止まりの列車を毎時2本または4本、志木駅まで延長することが前提となりそうです。

これさえ実現すれば急行は従来同様に速達性を確保出来ますし、朝霞駅をはじめとする複々線区間の利用者の利便性も損ないません。

総評としては、これまで利用客数が増加傾向だった志木駅以東を手薄にしてまで実施した、2008年から試行錯誤しつつ続けてきた川越市以西へのテコ入れから、利用者数・乗客の利用に基づいた全体的なバランスの良さへ舵を取った点が高く評価できます。

需要が低減していて本数増は出来ない現状では最適解に思え、鉄道需要自体が戻って毎時4本の志木駅始発の復活さえ叶えばより利便性が高いダイヤが出来るのに……という点がつくづく惜しいところです。

乗ってみたら前評判よりは便利、そんなダイヤとなっていると言えるのではないでしょうか。

新種別登場!趣味的な見どころ

東上線ユーザーへ衝撃を与えるも短命に終わるFライナー急行

最後にオマケとして、改めて趣味的な楽しみポイントをおさらいします。今回のダイヤ改正は既存の停車駅パターンを変更する大規模なものとなっており、乗車・撮影双方の観点で注目されます。

乗り納めしておきたい列車は「快速」と「快速急行」の川越市以西です。

川越特急に50090型以外が充当される可能性も全くないとは言い切れませんが、TJライナーと川越特急の設定時刻を見る限り、従来同様に全て50090型と考えて間違いない構成です。

ロングシートの一般車両による朝時間帯の快速急行運用こそ残っていそうですが、その場合も川越市以西は各駅停車ですので、10000系列・30000系が川越市駅以西で駅通過する列車には乗車できなくなることとなります。のどかな景色で奏でる走行音は耳に焼き付けておきたいところです。

乗車目線では、土休日に海老名駅始発小川町駅行きが新設されている点が目を惹きます。

東急新横浜線が菊名駅始終着の振り替えの色合いが強く、既存の菊名駅発小川町駅行きが化けた格好です。相鉄線内特急・東急線内急行・メトロ線内未公表・東上線内快速急行となかなか乗り通し甲斐のある列車で、車両は消去法で東急電鉄5050系4000番台となります。

海老名駅5:14発と全区間乗車の難易度はかなり高いですが、東急・相鉄新横浜線開業を象徴する列車と言えそうです。

また、東上線のATC区間で8000系に乗車出来る区間が新設されることとなります。坂戸駅〜森林公園駅〜小川町駅間は8000系の定期運用がありますが、全て回送扱いでした。イベント列車でATC化直後に運転実績はありますが、定期の客扱い列車は初設定で、東武線沿線以外の乗り鉄さんにもぜひ訪れてみて欲しい区間です。

撮影目線では改正前は「Fライナー急行」と「快速」を中心に記録しておきたいのは言うまでもありません。時に直近で増えている30000系フルカラーLEDによる快速表示は過渡期ならではの記録となりそうです。

一方で、副都心線直通列車が全て「快速急行」となるわけではなく、少なくとも一部には「急行」が残ることも読み取れます。

他社線区間では、東武車の直通先での運用体系にも注目が集まります。東急車の森林公園停泊が増加しており、反対に元住吉での停泊数増加なども想像されます。地下鉄直通運用数自体が増えた場合、地上運用が見られる頻度が下がりそうです。

改正後は「新横浜行き」としての設定・東急車以外の運用がほとんどないことがうかがえる内容です。車両としても相鉄車が乗り入れてくるわけではないので、一番の新たな被写体はFライナー快速急行でしょうか。

新横浜行き→渋谷行きや和光市行き→他路線運用……といったダイヤが組まれていることもあり得ますが、多くないであろう東武車の運用設定に期待を寄せたいところです。前後に相鉄直通列車脈絡がない、平日の川越21:34発などは新横浜折り返し〜武蔵小杉〜元住吉へ入庫、などがありえそうなダイヤで気になります。

“7直”各事業者プレスリリースリンク

東京都交通局を除いてPDF形式です。

・東武鉄道

東上線・越生線・東武スカイツリーライン・伊勢崎線・日光線・鬼怒川線において2023年3月18日(土)ダイヤ改正を実施します~東上線から、東海道新幹線 新横浜駅へダイレクトアクセスが可能に~

・西武鉄道

2023年3月18日(土) ダイヤ改正を実施します~より“快適な「通勤」・「お出かけ」”をご提案します~

・東京メトロ

2023 年 3 月ダイヤ改正 のお知らせ 東西線、千代田線、有楽町線、半蔵門線、南北線、副都心線でダイヤ改正を行います

・東京都交通局

都営地下鉄三田線のダイヤ改正について

・東急電鉄

2023年3月18日(土)東横線・目黒線・田園都市線など東急線6路線でダイヤ改正を実施~同日に東急新横浜線が開業します~

・相模鉄道

2023年3月18日(土)開業 相鉄・東急直通線 運行計画(運行区間・列車本数)のお知らせ

・横浜高速鉄道

みなとみらい線のダイヤを改正します

東上線過去記事

コメント

  1. 東横線の日比直急行 より:

    私は湘南台~川越市間の普通の代替で減便されるのは、池袋~川越市間運転の普通だと思っています。湘南台発着列車は、副都心線内和光市まで30分ヘッドでの運転が見込まれます。一方、新木場~川越市運転の列車が毎時1本だとすると、その30分後で対になる列車も新木場~和光市での運転が予想され、小竹向原~和光市間でスジが重複してしまいます。

    その点、新木場~川越市間が毎時2本運転であれば、池袋~成増+湘南台~川越市と池袋~川越市を対にすることで、疑似的に30分サイクルのダイヤにすることができると考えられます。