【東武】30000系が何度も転用となった原因は?東上線転用の理由

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東武鉄道の電車の中でも凛々しい顔立ち・標準化前最後の自社設計の車両として、登場から久しいながらも絶大な人気を誇る東武30000系。

登場からの不幸な生い立ちとともに、東上線転用となった経緯を懐かしい写真とともに振り返ります(写真準備中)。

半蔵門線直通を視野に製造

この東武30000系は、半蔵門線直通運転開始に際して10000系10030型を乗り入れ対応改造するという当初案から変更されて新形式として製造されています。

その一方で、直通運転開始までに数年あったことと、当時の定期検査を行なっていた西新井では10両固定編成の入場が困難であったことなどを理由に、10000系列と混用をすることが可能な6+4両各15編成の製造となっています。

本形式ではIGBT素子のVVVFインバーター制御装置を採用したほか、この形式の最大の特徴である側面行き先表示器では【区間急行 中央林間 半蔵門線直通】などの表示を考慮した横長な表示器が採用されています。

登場からの数年間は地上運用で10000系列とともに活躍しつつ増備を続け、製造年次ごとに細かい変更も加えられています。

分割構造を生かした臨時列車も運転

東急田園都市線を走行する31609F+31409F。種別表示器横の急行灯は使われることなく終わりました。

念願の地下鉄直通運転開始後は、運用が分けられて直通運用のみに充てられていきました。

そのため、南栗橋・久喜駅以北ではしばらく見かけることがなくなっています(試運転と臨時列車を除く)。

地下鉄乗り入れ形式としては珍しい分割編成の30000系の特性を生かして、日光・鬼怒川方面や足利方面などに臨時列車を運行した実績もあります。

これは東武鉄道の広大なネットワークと、30000系の生い立ちがあってこそ達成した偉業でしょう。

トイレがない電車での長距離運転となったため、トイレ休憩という面白いダイヤ設定がされています。

わずか数年で後継車両が登場

登場当初の目的である直通運転をはじめて順風満帆と思われていた30000系電車ですが、その活躍は薄命なものでした。

原因となったのは、30000系最大の特徴であった分割構造です。

中央林間駅側から6両目・7両目は、田園都市線5000系で6扉車が連結されている、混雑しやすい車両でした。

6+4の組成を逆に繋げば解決しそうですが、組み替えても中央林間駅側から5両目も混雑しやすい車両。そもそも直通機器を6両編成浅草寄り・4両編成南栗橋寄りにしか設置していませんので、容易なものではありません。

東武鉄道が下した結論は、東上線向けに開発した新型車両である50000系を、半蔵門線直通規格の狭幅にした50050型の投入でした。

これにより、2編成を残してほとんどの車両が地上運用に追い出され、玉突きで本線地上運用の8000系を置き換えることとなりました。

残された2編成も徐々に運行頻度を減らしており、現在は予備車的な存在となっています。

東上線ATC導入と大規模転配

森林公園駅に入線する31604F+31404F。電気連結器付きの姿での走行は転用改装ならではです。

しばらく本線地上運用に里帰りして10000系列との混用が再開されたほか、当時はツーマンだった東武宇都宮線運用でも活躍していた30000系。

東武鉄道では、東上線へのATC導入のため、運用車両に統合型保安装置(ATC)を設置する改造を行うこととなりました。

これに合わせて8000系のワンマン車以外を引退させており、電気指令式ブレーキの方がATC対応に優れているために8000系を一層したいという推測もありますが、そもそも経年車でしたのでこれを機に……という色合いも大きいでしょう(ワンマン車で行なっているように、不可能ではないです)。

この改造に合わせて、10000系列と30000系の互換の問題、30000系の高加減速性能を本線では活かせない、種類こそ違えどATC搭載歴があるために改造が比較的容易などの諸々の要素を考慮した結果、30000系列を東上線に転用、近い数の10000系列を本線に転用という大規模な転用が実施されることとなりました。

東武鉄道では伊勢崎線系統・東上線系統でも特殊用途車両以外は同一形式を投入するのが基本でしたので、こういった大規模な入れ替えは非常に異例なものとなりました。

この転用では10000系列のうち、比較的経年が若い10050番台が優先的に転属していますが、なぜか6両・4両編成ともに1編成ずつ残されて東上線で現在も活躍中です。

更に6両編成の一部は野田線=アーバンパークラインへの転用となったほか、東上線地上車10両化に合わせて転入した11201F,11202Fも本線に再転出・11801F,11802Fについては本線系統で初となる8両固定編成の10000系登場となっています。

地上車50000系再増備と同時進行となったこともあり、かなり複雑な動きですので、別記事でまとめていければと思います。

東上線転用での改造

東上線への転用に合わせて、使用しない運転台の撤去・使用する側の運転台については統合型保安装置の設置と、それに合わせて流行りのグラスコックピット(計器類のディスプレイ化)を採用しています。

ワンハンドル型マスコンについては50000系投入前に習熟していたものの、加速特性や運転台配置が全く異なる30000系の投入となったため、乗務員訓練が熱心に行われています。

最初の転用となった31601F+31401Fでは改造前に他の10000系列のように分割留置なども見かけられたほか、2編成目となった31611F+31411Fでは別々に輸送され、東上線内を6両・4両で走った実績があります。

それ以降は10両編成で甲種輸送、その後日中自走回送ののちに森林公園での改造というスタイルが安定していましたが、転用8編成目の31615F+31415F以降は南栗橋での改造となっています。

転用途中での変化により、本線仕様の状態で東上線を走った編成と、東上線仕様の状態で本線を走った編成の両方があることはあまり知られていませんね。

東上線での運用開始後

東上線での営業運転開始直後にも車両故障を頻発してしまった30000系。

デビュー直後のマイナートラブルを克服してからは、安定した走りで今日も東上線で活躍をしています。

東上線冷遇時代の象徴的形式だった30000系が東上線にやってきた転用劇は、現実は小説より奇なり……ですね。

転用開始前後の東上線ユーザーだった私にとっても、おらが路線に東武の最高傑作が東上線にやってくるとあり、転用の動きはかなり追いかけ回していました。

そして、置き換えサイクルが同業他社に比べて遅めの東武鉄道、先輩格の10000系列・20000系列のリニューアル途上ですので当分は大きな動きもなく安泰でしょう。

自慢の長すぎる行き先表示器の劣化が見られますが、50000系列でも場しのぎ的な対応が多い東武鉄道ですので、フルカラーLED化などはリニューアル時期まで持ち越しでしょうか。

現在のHID灯維持+電気連結器設置+フルカラーLED(側面サイズ維持)辺りが東武ファンの理想ですが、10000系の地方転用が先でしょう。

カッコいい電気連結器こそ撤去されているものの、特徴的な磁励音を響かせながら、今日も高スペックの足回りをフル活用して駆け抜けています。

一方で、半蔵門線直通用に残された31606F+31406Fと31609F+31409Fの今後は少々心配です。

頻繁に休車措置がされており、東武持ちの運用本数変化次第では地上転用or東上線転用の可能性も捨て切れません。

今更50000系列をリピートオーダーするとは考えにくいので、東上線用であるにも関わらず50050系と同一寸法で製造された51003F〜51009Fと2編成ずつトレードをするのが最もシンプルな対処法でしょうか。

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コメント

  1. 口車の弥七 より:

    >10000系列と30000系の互換の問題、電気指令式ブレーキの方がATC対応に優れている
    本線時代は、両方とも電気指令式ブレーキで互換性があったので、日常的に併結運転してましたね。

    • ときぱて より:

      口車の弥七さま
      閲覧・コメントありがとうございます。

      併結運転、懐かしいですね。いろんな組成で楽しませてくれました。
      そして、この記事のメインディッシュの部分なのに紛らわしい表現が多かったので加筆させていただきました。