【1890番台】京急電鉄モーニングwing3号が12両運行開始!+運用表

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京急電鉄では、2020年度に増備した新1000形4両2編成(20次車)について、従来車と外観・内装が大きく異なる“1890番台”として登場させています。

製造以来試運転や報道公開・試乗会などが続けられてきましたが、2021年5月6日の「モーニングウィング3号」より定期運用を開始しました。

1890番台の登場と営業運転

京急電鉄では、2020年度に増備した新1000形4両2編成について、前面や車体形状を改めるとともにクロスシート・ロングシート可変座席(L/C)やトイレ設置など従来車と大きく異なる仕様とした1890番台として落成しています。

座席重量の増加により機器構成も改められており、さながら別形式のような車両の登場にファンから注目を集めています。

当初はイベント・貸切列車での使用を色濃くアピールしたのち、朝夕時間帯の着席サービス“ウィング号”(wing)のうち、2021年5月6日以降のモーニングウィング3号について12両化を実施することを明らかにしていました。

デビューに先立ち試運転・報道公開などが実施されたのち、一般列車としてはこのモーニングウィング3号より定期運用が開始されています。

1番列車の運行を見る

本線上でしばらく停車したのちにやってきた“後4両”

1890番台が使用される列車は、平日に上り3列車・下り12列車が運行されるウィング号のうち、「モーニングウィング3号」(653A)の1〜4号車のみとなっています。

この1890番台は三浦海岸駅・横須賀中央駅の乗車枠として設定されているため、金沢文庫駅・上大岡駅の発売枠では乗車できません。1890番台自体は編成間の貫通を想定した設計ですが、併結相手が2100形となっている都合でこの運用では編成間の通り抜けも不可能です。

“乗り鉄”目線では自慢の前面展望席で景色を見られる区間・“撮り鉄”目線では個性的な顔立ちが特徴の1890番台が先頭に立つ勇姿は残念ながら金沢文庫駅以南のみとなります。

座席数ベースでは、2100形8両に比べて全体の座席数は128席の増加となっています。このうち1890番台が使用される三浦海岸駅・横須賀中央駅については従来から136席の割当から8席の減少となっていますが、利用者数が多い金沢文庫駅・上大岡駅の発売枠が増加したことや、トイレがある1890番台が乗車時間の長い区間に充当されることを考えると、従来ほとんどの号車を空車で走らせていた金沢文庫以南を分離し運用効率も高めつつサービス向上を図っている、非常に合理的な設定と言えそうです。

1890番台が本線で停車するなか入線する前8両

折り返しは特急増結車で京急川崎へ

品川駅に7:28に到着した1890番台は座席状態もそのままに、併結相手を変えて7:34発の品川駅始発三崎口駅行きの増結車として南下。京急電鉄ではお馴染みの京急川崎駅まで12両とし、そのまま回送として12両で神奈川新町駅に向かって同駅で解結されます。

それ以降は日中に金沢検車区へ向かい、深夜に久里浜検車区へそれぞれ回送列車として運行されています。

新町検車区には汚物処理装置(トイレの汲み取り設備)が設置されていないことからこのような流れは自然ですが、期待されていた日中運用などは設定されていない模様です。

久里浜検車区ベースで運用される4両編成が他にないことを考えると、当面は限定的な運行となりそうです。

L/C可変座席を巡っては慎重な運用をしている事例が多く、関東圏でも東武東上線「TJライナー」50090型・京王線「京王ライナー」5000系など、クロスシートのまま一般列車で折り返すダイヤ設定が増えてきました。京急電鉄でも転換作業時間や故障対策などの観点で同様の運用とされたものと推察出来ます。

ロングシートモードでの営業運転の余地は現ダイヤでは不可能……とは断言できず、2編成配置・1編成運用と余裕があることから、一般運用への登板で唐突に始まるかもしれません。

1890番台(4L)運用表

552A回送久里浜信三浦海岸
653Awing3三浦海岸6:09品川7:28文庫〜品川
後増結
702C特急品川7:34神奈川新町7:55後増結
(客扱い川崎まで)
回1150回送神奈川新町金沢文庫
回2248回送金沢文庫久里浜信

複雑怪奇な入換作業

品川駅2番線に到着したモーニングウィング3号653Aは、品川駅北側の引き上げ線(新品川・X線)へそのまま入線し、解放作業を実施します。

従来は品川駅到着順にY線へ557H(7:06着)増結車・659H(7:16着)増結車・661H(7:24着)増結車と到着順に連結をして7:34発の下り特急702Cを仕立てていましたが、5月6日からは一番奥に居る557Hは連結せず、659H増結車・661H増結車の8両で1番線へ据え付け。その後、X線で解結作業をしたばかりの1890番台をすぐに1番線へ入換をして12両編成を組成しています。

残された557H(7:06着)増結車はY線に後からやって来る663H(7:33着)増結車・665H(7:43着)と繋げ、7:49発の特急704Cとして12両編成で品川を後にします。

初日・2日目ともにこの7時半ごろの入換作業は数分の遅れが発生しており、車両の動きからもなかなか無理がある設定にも思えますが、前後のダイヤを紐解くと代替手段がなかなか思い浮かびません。

朝ラッシュ時間帯に上ってきた2100形はなるべく混雑する列車を避けるためか、折り返しは快特羽田空港行き→エアポート急行などで南下・もしくは定期回送という運転体系です。

モーニングウィング3号の折り返しとなる快特790Aは品川駅7:36発となるため、浦賀側に連結されている1890番台はそれより前に出発する列車に連結する必要があります。このため、今回新たに増結となった7:49発の特急704Cへ連結することが出来ません。

1890番台の解結を品川駅2番線で実施すればそれ以降の列車に充てられるようにも思えますが、すぐ後ろには都営線直通のエアポート急行(7:30着)が迫っています。また、1番線には7:28発のエアポート急行が居るため、先に702Cの据え付けを行うことも難しい状態です。

653A前8両入換&702C12両入換→653A後4両入換……とX線・Y線の平面交差を解消すれば不可能でもなさそうですが、前後列車のダイヤを分・秒単位で修正する必要がありそうです。

このほか、品川駅周辺の動きを単純化する場合は、モーニングウィング3号の時点で1890番台を前増結とすれば、折り返しの増結列車を702Cから704Cとすることが可能にも思えます。

しかし、この場合は金沢文庫駅での停車時間をより多く設定する(連結作業終了後に客扱い開始)必要があるため、停車時間増大でより大きな修正が必要です。

以上の前後関係を総合すると、今回の連結順序の選定は一定の合理性があるようにも思えます。もちろん、今後も遅延が恒常化するようであれば、次回改正で何らかの修正が加わることとなりそうです。

今後の活躍は当面限定的か

今回投入された1890番台ですが、付番規則が従来とは異なり“4桁ハイフン号車”(1891-1〜4・1892-1〜4)に変更されています。単純に2編成の増備に留まる場合はこの変更は不要ですので、今後の増備にも期待が持てるところです。

しかしながら、現在運行されているウィング号のうち、下り列車であるイブニングウィング号は有効長の短い品川駅3番線からの発車となる都合で12両化は運行体制に抜本的な変更をしない限り困難な状態です。

上り列車についても、モーニングウィング1号は元々横須賀中央駅始発となっているうえに3号ほど需要が高い時間帯ではないこと、5号は泉岳寺駅行きの利便性が悪化するデメリット(三浦海岸・横須賀中央から泉岳寺が乗り通せなくなる)があることなどを考えると一筋縄にはいかない印象です。

ただし、2029年度には連続立体化工事による品川駅の“地平化”により、京急品川駅は2面4線の一般的な構造に生まれ変わります。これが実現した暁には朝夕ともに需要が高い時間帯の増結が容易となることから、運転体系の刷新が期待出来そうです。

京急の未来へ期待が持てる新型車両の今後の展開が楽しみです。

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