【スーパークモヤ】E493系の牽引試験が開始!被牽引は“機関車”EF81形

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JR東日本では、2021年初めに新型の事業用車両を相次いで導入しています。

このうち、電車の牽引を主目的としたE493系が常磐線を中心に単独走行の試運転が続けられていましたが、5月7日より実際に車両牽引をする試運転が始まりました。

常磐線を中心に試験が続けられるE493系

JR東日本では機関車牽引列車の削減を進めています。

2020年度にJR東海キヤ97形をベースとしたキヤE195系を投入し、2021年3月のダイヤ改正時点で東北エリアのロングレール輸送以外の代替を実施しています。

それ以外の機関車牽引列車として残されているバラスト(線路の砕石)輸送・新製車両や廃車車両などの配給輸送の置き換えについても2020年度に量産先行車両として2形式が開発されています(プレスリリース)。

砕石輸送・散布作業を主目的としつつ、非電化区間の車両入換作業や回送列車牽引用の電気式気動車GV-E197系が2021年1月に、車両の入換作業や回送列車の牽引用の交直流電車E493系が同年2月に姿を現しました。

201系によく似た前面形状としつつ、車体長が長く車体高が抑えられた独特の形状となっており、さきに登場したGV-E197系が新潟トランシスから姿を見せた時点ではプレスリリースが発表されていなかったこともあり、大きな話題となりました。

前者は高崎線・後者は常磐線を中心に走り込みをしており、性能評価・技術検証が進められています。

また、E493系については尾久車両センターを所属としつつ、甲種輸送(貨物列車としての輸送)では郡山総合車両センターへ搬入され、尾久車両センターへは2021年3月にやってきたばかりで首都圏のファンにとっては特に注目度の高い車両となっています。

列車番号も“M”の電車列車

これまでE493系の試運転では、尾久〜上野〜神立といった経路で実施されていましたが、今回の試運転ではお隣の田端操車場から出発しています。配線の都合で進行方向も逆向きとなっています。

そして、これまでは単独での走行試験が平日を中心に実施されていましたが、今回は本来の使途となる車両牽引が初めて実施された点も魅力的です。

気になる牽引車両も、代替相手となる電気機関車EF81形98号機となった点も意外な点です。

電気機関車が電車に引っ張られる……という事例は過去のJR九州管内の貨物列車故障時にありましたが、こちらは突発的な救援列車で短区間の移動です。電車列車として電気機関車が無動力で走行したという事例はかなり異例の形態と言えそうです。

実運用ではないため、日帰りで所属区を行き来する必要があることから、尾久車両センターに隣接する田端運転所所属のEF81形に白羽の矢が立ったものと推測できます。

試運転中に万が一車両故障が発生した場合、重量のあるE493系を救援できるのは電気機関車くらい……という事情もあるのかもしれません。

発着駅も“機回し”ならぬ電車側を入換作業で逆側に付け替える……いわば“電車回し”をする必要があるためか、水戸駅まで入線しています。

交流・直流それぞれで重量のある車両を牽引する試験が実施出来る常磐線で、今後も同様の試験が続けられそうです。

“死重”は電車3〜4両分程度

今回“死重”としてEF81形が選定されています。EF81形単機の重量は100t程度となっており、一般的な電車は1両辺り30t〜35t程度ですので、単純に車両重量で比べると電車3〜4両分程度に相当します。

無動力状態での摩擦量などの特性が大きく異なるため一概に比較はできませんが、将来的に350t程度ある電車10両編成などを山岳線区で牽引するのが主任務と考えると、まだまだ試運転は序盤……といったところでしょうか。

本運用前には新製車両輸送・廃車配給輸送で必ず通る山岳線区での走行シーンや、電気指令ブレーキを採用している“今ドキ”の電車の牽引なども見ることが出来るかと思いますので、今後も様々な路線・編成で各地を走行する姿でしばらくファンを楽しませてくれそうです。

置き換え対象となる電気機関車牽引の配給輸送の終焉も見えてきましたので、転換期ならではの姿をしっかりと記録しておきたいですね。

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記事内掲載写真は、りも様(@Ri_Mo_rkkA)・結いっ子さま(@tetsu_mito66325)より掲載許諾をいただいています。

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