【阿武隈急行】新型AB900系4両が東北本線へ!JR東 仙台駅直通

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阿武隈急行では開業から活躍していた在来車・8100系の代替として、JR東日本E721系をベースとしたAB900系の投入が進められています。

現在は2編成が投入されていますが、2020年5月18日に2編成4両が梁川から丸森へ東北本線経由で回送されており、同日夕方から仙台駅への乗り入れが実施されます。

阿武隈急行の歴史と魅力とともに、今後の動きについて考えます。

国鉄の置き土産・阿武隈急行の歴史と魅力

阿武隈急行は、国鉄丸森線として1968年に槻木駅〜丸森駅間で開業した区間と、未成線だった丸森駅以南の計画を引き継ぎ、1986年に非電化による部分開業・1988年に未成線だった区間の工事により全線開業した第三セクター経営の鉄道路線です。

福島県対宮城県の鉄道路線は東北本線・東北新幹線のほか、岩沼駅から分岐して海岸線を走る常磐線がありましたが、このうち東北本線の峠越え区間を迂回して都心対仙台以北速達性向上を目指す計画でした。首都圏近郊だと東海道本線と御殿場線・中部の東海道本線と垂井支線・四国の予讃線と内子線などに近い関係と言えるでしょうか。

着工当時の優等長距離列車は常磐線を経由することが一般的であり、大きな効果が期待されていました。丸森駅以北が開業・未成区間の工事も粗方済んでいたものの、車両技術の向上により東北本線の複線化へ計画変更となり工事は中断、丸森線は赤字盲腸線となってしまいました。

国鉄末期に廃止の方向となっていたものの、両路線に挟まれた宮城県角田市や丸森町・福島県の伊達市などの経由地の利便性向上・阿武隈川周辺の観光リゾート開発などに一定の効果が期待できることから、未成線もスリム化しつつ全通しとなっています。

両端は東北本線と繋がって阿武隈急行線側が新しい本線として機能する当初の計画を継承しており、名残を感じる立体交差を含めた接続となっています。

自社で保有している区間についても、北側が槻木駅(つきのき)・南側が福島駅北側4.6kmに設けられている矢野目信号場(やのめ・JRとしては北側の東福島駅の構内扱)までと、あくまで東北本線の別経路だった区間となっています。

南側となる福島側は信号所からそのまま走行し、福島駅のJR1番線ホーム北側の頭端式ホーム(福島交通飯坂線と1線ずつ共用の島式ホーム)を発着する形で運行されています。

なお、かつては福島駅JR線ホームを経由して郡山駅発着の直通列車(相互直通運転・AB8900系・JR東の455系と701系)も設定されていましたが、こちらは2004年に廃止されています。

一方の仙台側となる槻木駅では、国鉄流の2面3線の中線に相当する部分がそのまま阿武隈急行の専用ホームとなっています。

本線に接続するダイヤが基本となっているものの、朝夕時間帯に東北本線に直通する列車も設定されています。

どちら側も“夢の跡”を感じさせられる魅力いっぱいの阿武隈急行。

車両についても全線開業・電化にあわせて、国鉄末期に開発された713系をベースに開発された8100系が製造されており、最大で8両編成まで組成実績があります。

外観こそ旧来の国鉄の交流近郊形電車ですが、走行機器で見るとお隣を走っていたステンレスボディの719系が同世代の設計となっています。

なお、ダイヤ・設備・歴史などは国鉄〜JR東日本の血筋が強そうな一方で、開業時から現在まで福島交通が株主となっている点もユニークです。福島交通の縁もあって福島駅での対面乗り換え体制となっていることでしょう。

台風19号被害で長期運休が継続中

2019年10月の台風19号の被害により、半年以上経過した現在も県境付近の富野駅から丸森駅の区間運休が続いています。

阿武隈急行は本社・車両基地ともに福島県側の梁川駅に併設されており、日常的な検査から全般検査までを担う拠点となっています。

数日に一回の仕業検査やトイレの汚物抜き取りもここをベースに実施していましたので、宮城県側の運行に支障が発生します。

このため、現在の運転体系では概ね5日に1回、JR東日本仙台車両センターへ回送して仕業検査や汚物抜き取りなどを行なっているほか、時折編成を入れ替えるための臨時回送が東北本線周りで設定されています。2019年末にはこの回送の都合からか、1週間程度トイレ使用停止措置も行われていました。

東北本線経由での車両入れ替えは、AB8100系が日常的に仙台支社管内で営業運転を行なってきた実績があること、乗務員が路線と車両双方の経験を組み合わせて運転が可能なことなどが生かされていると言えるでしょう。

今回の仙台口へAB900系の送り込み回送についても、事前の試運転などはなく、この臨時回送についはぶっつけ本番状態です。

この車両もE721系の設計を流用した新造車です。もし独自仕様が強い新造車を製造していたら各種試運転が避けられなかったことを踏まえると、E721系との共通化の強みが意外な形で活きる形となりました。

なお、彼らと入れ替わる格好で、8100系2編成が逆の経路にて回送されています。

車両増備で今後は日常的に?

このAB900系の導入は第三セクターゆえに沿線自治体の力添えもありますので、いつまでも福島県側だけで使用することが好ましくないとどこかが判断した……のは考え過ぎでしょうか。

台風被害の復旧が先になるか、本年度分の増備車が先になるかは定かではありませんが、置き換えの進展が着実に進むこと自体は間違いないところ。国鉄の交流電車の風情を強く残したAB8900系の乗車・撮影は早めに越したことはなさそうです。

通常は車両運用が公式ホームページに原則記載されますが、昨今の社会情勢を踏まえてか5月分は更新されていません。→21:00加筆=弊サイトの記事公開と前後して公開され今月いっぱいはAB900系4両使用のみであることが明らかになっています。

次回の車両の入れ替えがいつ行われるのかは不明です。

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コメント

  1. いっそ より:

    福島矢野目信号所間はJR東日本との重複区間なので、一応阿武隈急行保有でもあります。