【JR東・新型発表】E131系正式公表!他線区への投入もある?ミライ構想

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画像:JR東日本

2020年5月12日、千葉地区への新形式車両投入の詳細が明らかになり、大きな注目を集めています。

当サイトでは計画初期段階からE131系の話題を取り上げてきましたが、いよいよワンマン化の本丸が登場した……といった印象です。

なぜ千葉の利用者数が見込めない線区にあえて新造・新形式を投入するのか、千葉の輸送体系はどう変わるのか。そして他線区への波及などを考察します。

E131系の概要と見どころ

画像:JR東日本

今回発表されたE131系ですが、既に様々な情報が出揃っていたため、見どころとしては外観デザインと詳細な車両スペックに留まりそうです。

発表された内容のうち、ファン目線で気になる点を掘り下げて考えていきます。

もはやお馴染み?ドット柄のデザイン

デザイン面では、昨今のJR東日本車両のトレンドとなりつつあるドット柄が採用されています。

E235系で初出となったものの、その後はGV-E400系・EV-E301系など他タイプの車両にも広がっていましたので、今後もしばらくはこのデザインが続きそうです。

前面部の処理について、113系横須賀色のデザインや209系のブラックフェイスを継承したのではないか?と推測する声もあります。最近のJR東日本車両はいずれも過去の同線区の形式をモチーフにした意匠が採用されていますので、この可能性は高そうですね。

短編成タイプで初の衝撃吸収構造

JR東日本の新造車両ですが、過去の成田線過積載ダンプとの踏切衝突事故で運転士が殉職して以来、同業他社の車両より熱心に取り組んでいる印象です。

今回のE131系ですが、基本的にはE235系の構体設計を流用しているものの、運転台周りはE129系の設計を継承しています。

E721系・E129系といった従来の短編成タイプの新造車両では前面強化としていた一方で、このE131系ではE231系近郊タイプ〜E233系〜E235系の衝撃吸収構造を初採用となっています。

E129系同様に貫通扉を有した運転台レイアウトとしている一方で、E231系から続く衝撃吸収設計を採用したため、低運転台の高さの乗務員室窓という従来車ではないアンバランスな配置となったものと推測できます。

JR東日本の車両設計は線区によって前面強化と衝撃吸収で対応が異なってきましたが、E233系・E235系は通勤タイプでも衝撃吸収構造になっているように、今後はこちらが主流となるのでしょうか

やっぱりワンマン化への批判が怖い?

興味深い点としては公式発表が落成直前となったことでしょうか。

プレスリリースの文章を読む限りはワンマン化も可能……程度の記述となっていますが、そもそもの開発・製造経緯の核心は閑散区間の輸送コスト削減にあるでしょうから、少しモヤモヤする印象を受けます。

筆者個人としてはJR東日本が中長期計画で推し進めたいワンマン化を強く意識したミライの車両が遂に登場……という点がE131系の最大のアイデンティティだと思いますが、やはり前面的には推し出せないのでしょうか。

JR東日本は鉄道事業で“稼いでいる”印象こそあるものの、将来的な人口減少などを踏まえた生き残りを懸けるべく、省力化のための投資に積極的です。

労働組合・現業職員の皆さんからは安全面での懸念の声が上がるのも妥当かと思いますが、こういった新技術に取り組んでいくのはJR東日本の社風とも言えますので、今後を見守っていきたいところです。

投入は2021年3月改正か

2021年春の営業運転開始と報じられていますが、従来から2020年度末の房総各線ワンマン化が報じられていたため、毎年恒例の3月中旬のダイヤ改正(2021年3月13日?)に向けた動きと考えて差し支えないでしょう。

特に今回のE131系は単純な車両代替ではなく、従来の輸送体系を刷新するものとなります。

代替対象の209系が増解結を含めた複雑な運用となっているなど、ダイヤ改正を前にした先行投入は難しそうです(並行製造となる総武快速線向けE235系については、2020年3月改正で増解結のペアがある程度固定されており、ダイヤ改正前の投入を意識していそうです)。

房総末端線区のワンマン化の展望

JR東日本では、かねてより中長期計画で短編成・中編成・長編成それぞれのワンマン化に向けた検討を進めてきました。

このうち、長編成については山手線の実証実験などで検討が続いています。

ホームドア・TASC(自動列車停止装置)を整備することで、ドライバレス+保安要員の乗車に留めることが最終目標でしょうか。新幹線なども同様でしょう。

中編成ワンマンについては、東北本線黒磯〜白河・新白河間で実施済の方式で、全扉乗降可能としており、事実上は無人駅でも信用乗車に近い方法です。

総合試験車=mue-trainで試験、E531系K552編成で試験搭載、その後3000番台7編成に整備しています。

更に0番台の付属編成のうち直近で製造された編成で新造時に設置されており、今後は水戸線などのE531系運用線区への波及が考えられます。

そして今回の房総地区では、従来の輸送体系である中編成ではなく、短編成化をしてワンマン化をしています。

一方で、従来の短編成ワンマンでありがちだった最前部車両での運賃収受は行わず、全扉での乗降としている点が特徴的です。

輸送体系としての変化が目立つところです。

房総半島では113系4両編成・6両編成とその組み合わせによる8両・10両編成、そして総武快速線・京葉線からの乗り入れによる10両・11両編成が混在していました。

この体制は千葉ローカルへの209系転用・京葉線へのE233系投入・そして本年度から総武快速線へのE235系投入と大きな動きも旧来車両の代替に終始していました。

今回のE131系は、千葉県内の輸送体系を大きく変える動きとなりそうです。

従来の輸送体系を大幅に刷新する形でのワンマン化は東北本線黒磯〜新白河・白河間に続く動きとなる一方で、目指す方式が少し異なります。

JR東日本としては積極的にワンマン化を進めたい一方で、路線・線区により異なる輸送実態を踏まえた上での対応としており、今回は閑散区間の短編成ワンマン化となりました。

短編成ワンマンながら全扉乗降・運賃収受なしとした点は、今後のJR東日本の運賃収受のあり方のヒントとも言えそうです。

残された千葉の近郊区間がE131系を活用した中編成ワンマンとなるのか、E231系またはE233系の転入による中編成ワンマンを実施するのか、はたまた総武快速・京葉線からの直通で統一するのか。

現時点では社内でも結論が出ていないような気もしますが、今回のE131系が試金石となることになりそうです。

他形式併結がありそう……?

今回のE131系のイメージ画像で注目したい点の1つに、2段に分けられた電気連結器があります。

2段式電気連結器は東武30000系・近鉄のシリーズ21などで使用されていますが、彼らは在来車との連結時に上側の電気連結器のみが繋がり、同形式同士であれば下側の電気連結器もつなげることで単独走行同様に本来の性能で走行と切り替えられるようになっています。

JR東日本の形式では初採用(先に出てくる横須賀線向けE235系1000番台が装備しているようですが、イメージ画像で公式から発表されているのは今回が初めてです)となり、この2段式電気連結器の採用から在来車もしくは今後の投入車両との混結を想定しているのではないか?という推測の声もあります。

ただし、この2段目がワンマン運転関連のデータ送信などで活躍する可能性も十分考えられるため、2段式の電気連結器=他形式併結が確定、ではありません。

JR西日本では227系・521系などで多く採用されているものの、いずれも他形式を併結した運用はされていません。

混結として考えられる用途としては、所属区である幕張車両センター〜木更津・上総一ノ宮・佐原の長距離回送を定期列車併結・客扱いとすることでしょうか。

在来の209系2000,2100番台の継続使用を前提として209系に合わせている・すでに発表されているE235系との混結を想定している・将来的に209系代替で投入される新造車or転入車との混結を想定……とどの可能性もゼロとは言い切れません。

しかし、初出から現在までの労使間交渉を読む限りはこういった運転体系は想定されていなさそうですので、今後の千葉地区の輸送体系再編・209系置き換えのなかで登場する可能性がある(=少なくとも2021年3月改正では設定なし)と捉えることができそうです。

そもそも、E231系などの転入により209系代替車両が入ることを見越しているのか、はたまたワンマン関連の伝送で必要だったのかさえ定かではなく、答え合わせは実車登場を待つこととなりそうです。

直流短〜中編成ワンマンの標準車両!?

今回のE131系の投入の報道に際して、一部では地方向けの標準車両として開発した旨が報じられています。

これが事実だとした場合、JR東日本管内各所にE131系が配置される可能性が出てくることとなります。

E231系などの転配が組合資料で出てきていた線区についても、今後の車両投入に変化がありそうです。

JR東日本では、車内で急病人が発生した場合などに備えてか、運転士か車掌のいずれかが車内へ直接行けるような編成構成にする傾向があります。現在まで、ワンマン列車については、編成が貫通するような構成で運行されています。

この原則については過去の組合資料で否定的な回答があるものの、当面は非貫通編成=ツーマンと考えることも出来そうです。

今回のE131系のように、併結運転をする場合は、車両間幌を繋げて編成貫通をする方が適切となりそうです。

E131系の投入が考えられる路線

従来であれば他線区からの転入で実施されていた線区についても、このE131系投入が考えられます。

一方で、JR東日本の直流線区では車両置き換えの都合で従来短編成だったものを代替車両の都合で両数が増える置き換え例もありました(107系・123系代替など)。

E131系の千葉地区での活躍が上手くいった場合、短編成ワンマンへの代替がさらに推し進められる可能性は捨てきれません。

中央東線〜長野地区

中央東線では、211系3両編成・6両編成が活躍しているほか、大糸線・篠ノ井線を中心にE127系によるワンマン列車も混在しています。

数年前には組合資料からE231系の転用が選択肢の1つとして挙げられていましたが、3両編成についてはE231系の先頭車が付随車である構成であることから両数の増加をどう対処するのかが注目ポイントとなっていました。

E127系・211系3連を2両編成のE131系でワンマン化、211系6連はE231系6連による代替……などは十分に考えられそうです。

元々組合資料で選択肢として挙げられていたE231系転用の効率が素人目にもイマイチだったため、千葉地区の成功次第では選択肢に入ってきそうです。

E233系0番台と重複する大月駅以東ではドア数混在問題の解消がある一方で、しなの鉄道のST1系がE129系譲りの3扉車両ですので完全な解決にはなりません。

高崎地区

同じく211系を投入している高崎地区(上越線・吾妻線・両毛線・信越本線)では、元来107系2連・115系3連と4連、それらの組み合わせによる6両編成など柔軟な運用がされていました。

211系への代替にあたり、3連と4連で投入するという多くのファン予想と異なり、4両編成のほか3+3両の6両固定編成での投入となりました。

これはこれで維持コスト削減が狙いかと思いますが、よりコストが抑えられる2両編成ワンマン車の投入の可能性は比較的高いとも考えられます。

新潟地区のような2両編成と4両編成の投入、千葉地区同様に末端部の分離など何らかの工夫が必要ですが、輸送体系を刷新することで最適化する効果は高そうな線区です。

特に車両基地入出庫の都合で高崎駅〜前橋駅の比較的利用が多い区間でドア数混在がありますので、4扉車両で揃える効果も見込めます。

鶴見線・南武支線

鶴見線は3両・南武支線は2両の205系を運用していますが、彼らについてもワンマン化の対象となる可能性が考えられます。

現役車両を考えても4扉でワンマン運転対応とE131系の投入が最適なところですが、今後は燃料電池車であるFV-E991系の試験走行線区にも選ばれており、架線レスでの運用の可能性もあり、現時点では推測が難しいところです。

相模線

205系4両で運用されている相模線についても、4両編成のままのワンマン化が考えられます。

しかしながら、4両固定編成でのワンマン化は、在来車の転用でも可能であり、E131系の投入自体の可能性が高いとは言えないのではないでしょうか。

宇都宮地区(東北本線・日光線)

日光線ではかつて107系2両固定編成が活躍していたため、当時のような編成構成に戻して2〜6両でのワンマン運転も選択肢の1つと言えそうです。

205系600番台の投入により東北本線との共通運用化で効率化をしているため、どちらが適切かを考えるのは難しいところです。

朝夕時間帯には205系8両編成運用がありますが、これらの列車のみ車掌乗務とすることで解消可能なほか、都心部からの直通に変更・E531系3000番台の送り込み〜返却回送の客扱い化・本数増加で両数削減など対処方法はいくつも考えられます。

この区間は宇都宮線の付属編成とローカル運用車両を柔軟に組み合わせているため予想は難しいですね。

仙台地区(仙石線)

仙台地区はほとんどが交流電化となっている一方で、歴史的経緯で仙石線のみ直流となっています。

仙石線は既に新型保安装置“ATACS”が導入されているほか、元々4両固定編成の205系で統一されている路線です。

E231系・E233系などの在来車転用でもワンマン化対応が可能とも考えられますので、今後のJR東日本の采配次第でしょうか。

新潟地区

新潟地区には115系3両7編成が残存していますが、流石にほとんどをE129系で置き換えていることを考えると、E131系の投入は現実的ではありません。

なぜ115系7編成を維持しているのか?という疑問にも繋がりますが、機器更新をしているものの車齢的には置き換えてもおかしくないE127系2編成を含めて近いうちにE129系再製造によりまとめて淘汰してしまうのではないでしょうか。

E129系は現在のところ2両編成のみワンマン対応としていますが、中編成ワンマンを実施するとしてもE129系で対応出来るでしょう。

JR東日本の過去の製造車両としても異端児が生まれたことで、様々な推測が飛び交っています。

短編成線区の今後の車両投入はワンマン化とセットになっていく可能性が高そうですが、E131系を本格的に量産していくのか、それとも状況に応じてE231or233系の転用も絡めていくのか。

今後の展開がますます気になるところですね。

当サイトのE131系予想過去記事/ほか関連記事

形式名・運用体系などは予想的中、ドア数や設計思想などは少し予想外といった形となりました。JR東日本管内でも新たな試みとなる車両ですので、今後の動向推測も難しいところ。

E233系では0番台を中心に同一線区で長期間使用を前提としている傾向がある一方で、既にE235系ではE231系の玉突き転用が実施されました。

どちらも一長一短で計画変更などもあり、予想が難しいところです。

E131系の形式名が判明した中長期構想

千葉地区のワンマン化推測

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