【ダイヤ改正2024】控えめ?中央線特急あずさ12両運転・富士回遊増加

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2023年12月15日、翌2024年3月16日に実施されるダイヤ改正の概要がJR各社から公表されました。

中央線特急「あずさ」では需要回復により臨時便が数多く設定されていましたが、2024年3月改正では定期列車2往復の12両化やインバウンド需要で混み合う「富士回遊」1往復増設など増強が実施されています。

2022年改正で減車・減便が実施された中央線特急

中央東線特急は、新宿〜松本間を結ぶ特急「あずさ」が18往復36列車・新宿〜甲府間を結ぶ特急「かいじ」が12往復24列車の合計30往復60本体制が長年に渡り続いていましたが、2022年3月のダイヤ改正にて「あずさ」2往復4列車の甲府〜松本間の運転が取りやめられ、甲府駅始終着の「かいじ」に変更、特急「あずさ」が16往復32列車・特急「かいじ」が14往復28列車の体制となっています。

コロナ禍の需要減を受けた変更となっていますが、車両運用面でも「富士回遊」併結を除く12両編成の「あずさ」が10往復から4往復と大幅に減少しました。この点についてはリリース記載では触れられておらず、1ヶ月前の指定席発売開始にあたって確認出来るシートマップで確認が可能な変更となっていました。

E353系付属編成はE257系・E351系時代の付属編成配置数9本に「富士回遊」運転開始初年の2往復増加を考慮した11編成配置・10運用体制とされていましたが、2022年改正ではE353系付属編成の定期運用は6運用と大幅に削減されていました。

定期運用の構成はそれ以降現在まで踏襲されているものの、2022年8月以降徐々に定期列車への増結対応が実施されているほか、行楽需要が戻りつつある昨今ではコロナ禍前にはなかった閑散期週末にも臨時列車が多数運転されています。

2024年3月改正は「あずさ」増結と「富士回遊」増発

2019年3月のE353系統一とともに運転を開始した富士急行線直通特急「富士回遊」はインバウンド需要の回復により常に混み合う状態が続いています。

最近では平日・土休日とも1往復の臨時列車が運転される体制が続いていましたが、2024年3月改正では定期列車が1往復増設されました。

・新設される定期「富士回遊」

列車名始発駅発時刻終着駅着時刻
富士回遊15号新宿7:30河口湖12:22
富士回遊32号河口湖14:10新宿16:07

このダイヤ改正以降は定期「富士回遊」4往復体制となり、2019年3月改正で新設された定期列車2往復から倍増しています。

下り列車は1時間刻みで4連続、上り列車は前半2列車と後半2列車に2時間弱の空白がある構成です。

富士急行線の「フジサン特急」は現状では臨時「富士回遊」設定にあわせて運休・一般車での運転とするなど柔軟に対処されており、今回のダイヤ改正でも「富士回遊15,32号」ともに現行の線内定期列車と干渉する時間帯に設定されていることから何らかの変化がありそうです。

・2024年3月改正以降の定期「富士回遊」

新宿発河口湖着
富士回遊3号7:309:28千葉始発
あずさ3号併結
富士回遊7号8:3010:27かいじ7号併結
富士回遊11号9:3011:30かいじ11号併結
富士回遊15号10:3012:22かいじ15号併結
河口湖発新宿着
富士回遊32号14:1016:07かいじ32号併結
富士回遊36号14:5516:57かいじ36号併結
富士回遊44号16:4218:45あずさ44号併結
富士回遊48号17:3319:31かいじ48号併結

「あずさ」「かいじ」の変化は軽微で、「あずさ46号」「あずさ53号」の往復運用と、先述の増発「富士回遊」前後運用となっている「あずさ4号」「あずさ41号」の往復 合計2往復が12両化されるのみとなっています。

「あずさ46号」は長らく運転されてきた南小谷駅始発列車でしたが、2022年3月改正で9両化の対象とされました。折り返しの新宿駅19:00発「あずさ53号」も通勤・ビジネス利用が見込まれる時間帯の列車でしたが、同様に9両化されていました。

南小谷駅始終着列車は、中央線特急の閑散期と言われる12〜2月の期間でも前後の列車と異なり高い乗り通し行楽需要を有します。

2022年8月以降は日曜日を中心にこの1往復が臨時運用で増結されていました。平休・シーズンを問わず利用が見込まれる列車でしたので、「あずさ46号」「あずさ53号」を12両編成での運転に戻した点は極めて妥当な変更と言えそうです。

「あずさ4号」は松本駅〜甲府駅間の上り特急1列車目・甲府駅7:40発で新宿駅9:13着,東京駅9:26着とこちらも利用が見込まれる要素が多い列車です。2022年3月改正以前は松本駅を朝に発車する「あずさ4号」「あずさ6号」「あずさ10号」3連続で12両編成とされていましたが、同改正で全て9両化・「かいじ」と運転順序を変更して需要分散をしていました。

それ以降も特に利用が多い「あずさ4号」は混雑しており、平日・繁忙期休日とも甲府駅以東で満席となる日が散見されていました。

「あずさ41号」は2016年3月改正にて新宿駅17時00分始発から東京駅16時45分始発へ運転区間が延長された旧「あずさ25号」をルーツとしています。かつてのE257系時代は松本駅到着後にそのまま快速長野行きとして乗り通しが可能と好条件揃いの列車で、都内完結利用・都市間利用・長野県内完結利用など全区間で利用が多い列車となっていました。

E353系代替後は松本駅以北の快速列車が211系に代替こそされたものの、車両運用構成の都合から長らくE257系時代・E353系時代とも9両編成での運転が続けられており、夕方下り列車のなかでも乗車率が高い列車となっていました。

以前から中央線特急ユーザーに期待されていたものでしたので、「富士回遊」の副産物ながら「あずさ4号」「あずさ41号」の12両化は利用実態に基づいたかなり効果的な変更となりそうです。

付属編成の運用は河口湖駅での折り返し列車の組み合わせ・三鷹駅での出庫順序変更を加味しても純粋に2運用の増加が見込まれます。

「あずさ41号」松本駅到着(改正前19:41着)後に「あずさ60号」(20:10発)へそのまま充当する構成とされた場合は7運用で構成も可能に見えますが、輸送障害時に上り最終列車「あずさ60号」が下りの遅れの吸収が出来ないまま都心へ向かうこととなるリスクを背負うこととなりますので、過去の傾向から臨時列車が最大数稼働する最繁忙期の変運用の余地として残しておきそうです。

このほか、2023年夏には「あずさ1号」「あずさ38号」の1往復が付属編成を使用して松本駅〜白馬駅間を延長・同時期以降には通常9両の「あずさ38号」「あずさ45号」も日曜日を中心に12両への増結が実施されていました。

後者は今回の定期列車増結対象から外されており、今後も日曜日を中心に増結となるのか否かが気になるところです。

また夏季の延長運転では往復とも松本駅で乗り換えが発生するというややこしい設定内容でしたが、概ね利用も多かったようです。これらを乗り換えなしで設定出来るような改良もありそうで、今後の季節の臨時列車発表の注目ポイントとなりそうです。

軽微な修正に留まる……

近年のダイヤ改正発表で中央線特急関連で両数変更がPRポイントとされた事例は珍しく、単純にそれ以上のテコ入れがされないことの言及を避けて申し訳程度に記載したとも言えるかもしれません。

現状の中央線特急が抱える大きな問題としては、対富士山方面を中心に車両構成と需要のアンマッチが挙げられます。

中央線特急の需要は都内完結・大月経由富士山方面・甲府周辺・松本とそれ以遠の4つに大別出来ます。

同一線区内の在来線特急で遠近分離設定をしている事例では常磐線特急「ひたち」「ときわ」が挙げられますが、中央線特急は中距離便の「かいじ」を「富士回遊」区間利用者が大勢を占めてしまい、大月駅以南で立ち席利用が恒常的に発生・「かいじ」自体は大月駅以西でガラガラ……と需給バランスが崩壊している状態が続いています。

これらの課題はコアはファン層でも認識出来るながら、コスト面を無視した車両代替以外の抜本的な打開策がないのが現状です。

富士急行線は単線という設備制約から列車本数の制約があり、列車本数の増強には限界があります。

富士急行線には6両編成に対応する有効長があるため単独臨時列車を別途仕立てる前提で「富士回遊」の運転を開始したものの、波動輸送用のE257系は高崎線特急へ投入された2023年改正以降は不足気味となってしまいました。

現在は「富士回遊」臨時便へのE257系充当は平日のみに限られており、平日の方が座席供給数が多くなっている不可思議な状態が続いています。

今回の定期列車増発も需要を考えれば納得の変更ではあるものの、3両編成で座席供給数が少ない「富士回遊」を併結する「あずさ」「かいじ」側に旅客が溢れている現状が大きく好転するとは考えにくく、今回改正内容に加えて臨時「富士回遊」定期・臨時各1往復の運転が継続されたとしてもなお混み合う状況が続きそうです。

大月駅以東の利用者数について「富士回遊」併結便・大月駅停車便の通路立ち客が多く車掌が適切に巡回できていないことを起因とした乗車率調査が適切に実施されていないのか、マルス乗車率だけを根拠に設定しているのか……いずれにせよ適切な輸送体系とは言い難いです。

中央線快速電車大月駅始終着列車増強を含めても、ダイヤ・車両運用の制約を考えれば経緯は理解出来るものの現状で特に混雑が激しい朝の下り・夕方の上りの混雑解消にどこまで効果があるのかは懐疑的で、ダイヤ改正後の混雑状況の変化が気になります。

車両運用効率を重視して需要に反した時間帯に臨時列車を挿入・満席だからやむなく利用者が不本意な時間帯にシフトしていく……といった構成は対富士山方面に限った話ではなく、中央線特急全体の傾向としても見られます。

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最繁忙期の臨時列車設定を見ていくと顕著ですが、大型連休の下りピークは通常期と同様の新宿発7時〜9時発となる一方で、特に年末の帰省需要のピークは朝イチではなく日中時間帯です。

この傾向はどの線区でも見られ、中央線特急では2021年冬の設定までは適切に実施されていたほか、2023年冬の臨時列車でも車両数に余裕がある常磐線特急「ときわ」は上野駅11時台〜16時台発と概ね需要に沿った増発がなされているなどピーク帯がほかの繁忙期と異なる点をJR東日本は適切に捉えてきました。

しかしながら2023年末の下り増発を眺めていると、いわゆる新宿駅6時半発のあずさ71号を先頭に10時台までお馴染みの臨時列車が走り、11時・12時に定期列車の後追い便を波動用のE257系で出して弾切れとなり(車両を使い果たしている)朝の臨時便の車両を再利用出来る15時台にようやく臨時便……というアンバランスな構成です。

現行の車両運用では、繁忙期に「あずさ37号」「あずさ60号」を同一編成として16編成で回すことが可能な構成で、このほか朝の下り2本・夜の上り1本であれば定期列車間合いで運用可能となっています。

三鷹で1編成が絶妙に活用しにくい時間帯の長時間留置となっていて足枷となっている印象ですが、他路線特急や過去事例では「かいじ10号」から臨時特急の運用と、臨時便から回送して「かいじ51号」に充当する運用……などと工夫をして車両を捻出することも考えられます。しかし今回設定ではこういった対処はなされていないようです。

需要と異なる時間帯に臨時列車を設定をしているため数日前の時点で臨時が過剰に手厚い朝の6時台〜7時台発は定期列車でも空き席あり・8時〜9時台は定期列車満席で臨時列車空席あり、そして一番需要がある10時台〜14時台は定期・臨時とも既に満席といった状態となっていました。

事前予約による座席発売状況から旅客の需要をコントロールする……といった全車指定席制の長所こそ活かされているものの、昨今の臨時列車・定期列車設定はその合理性を通り越して需要に反した列車設定で無理やり利用者をコントロールして不便を強いているだけであり、単純に列車設定がイマイチと言わざるをえません。

かつてはJR東日本を成長させてきた挑戦的な社風は、コロナ禍で余裕がなくなったことで利用者が不便になってでも統計上の収支改善さえ出来れば担当者の評価が上がってしまう状況となってしまっているのではとさえ感じます。

ダイヤ改正とともに車両運用を見直すことで臨時列車の改良が加わっていることに期待したいところですが、中央線特急は都心部の中央線快速電車・諏訪エリアの単線区間の交差支障・篠ノ井線内でダイヤ制約がより大きい「しなの」との重複不可能などの制約を抱えており、臨時列車は定期列車と比較して所要時間が長めとなる列車が多く見られます。

利用者にとっては定期列車の改善の方が嬉しいですが、残念ながら2024年改正以降も臨時列車によるカバーが中心となりそうです。

従来は週末に運転していた朝の下りなどは冬季以外毎日設定するなどの抜本的な対策がない限り、今後も利用者にとって“必要な列車の席が空いていない”状況は継続しそうです。

2025年3月改正に持ち越しか

2024年3月改正では現状の改善が限定的な点は残念ですが、2025年3月ダイヤ改正でサービス開始となるものとみられる中央線快速電車のグリーン車により朝夕の近距離区間利用の転移が生じることが予想されます。

これまでの公表時期を考えれば、E353系新造と中央線快速電車のグリーン車連結は前者がやや先行しつつも同時期に並行していたプロジェクトであり、前者・後者とも遅れていたところにコロナ禍の利用急減がありました。

ただ、2019年3月時点で「中央ライナー」「青梅ライナー」を「はちおうじ」「おうめ」で代替した際も利用が見込まれる19時台の列車設定がなくなっていたり、「かいじ」の三鷹駅停車がなくなったりと初期の運用体系時点で既に普通列車グリーン車投入後の適正な輸送力を想定していたことがうかがえます。

東京駅・新宿駅と立川駅・八王子駅間相互の特急利用者が減少すれば現状の課題である大月駅乗り継ぎ・「富士回遊」列車の混雑も多少緩和されるほか、「はちおうじ」「おうめ」の一部が代替できれば車両運用にも余裕が生まれます。

余裕が生まれた分を千葉エリアのような減量一辺倒な変更ではなく、立ち客が日常的に発生している列車の増結や運転区間延長等に活用して欲しいところです。

特急信州 設定時刻変更

このほか、篠ノ井線で通勤時間帯にE353系付属3両編成の活用として運行を開始した臨時特急「信州」では、朝の下り列車の運転時刻が変更されています。

実態としては189系「おはようライナー」時代のダイヤに戻っており、「おはようライナー」廃止後に運転されていた211系使用の臨時快速列車を置き換えるものとなっています。

塩尻発松本発長野着塩尻→長野 所要
2018/3改正
おはようライナー
6:577:108:101時間13分
2023/3改正
臨快8523M
6:577:108:101時間13分
2023/3改正
特急信州1号
7:377:548:591時間22分
2024/3改正
特急信州1号
6:587:208:091時間11分(△11分)

賛否は分かれるところですが、列車の設定意図を考えれば需要に沿っていない有料特急列車と着席サービス代替の無料快速列車が共存してしまっている現状が長野支社として理想的な状況でないことは明らかでした。

189系「おはようライナー」時代は長野〜松本間1往復の回送が発生・検査時は運休といった課題を、E353系「信州」はこれまで朝の通勤には遅い時間帯の運行で使い勝手が悪いといった課題をそれぞれ抱えていました。

今回のダイヤ改正でようやく「おはようライナー」時代に近い設定時刻と効率的な車両運用双方が実現することとなりますが、料金体系や座席数などの環境の変化もありどこまで定着するのかは気になるところです。

ビジネス需要は落ち込んだまま・行楽需要は回復……といった一般にも言われる利用実態に則した車両運用と言えそうです。

従来はこの辺りが不器用な設定でしたので、平日・土休日で異なる性質の列車に使用する運用は、E353系の設計時点では考慮されていなかったにせよそのポテンシャルを最大限に発揮していると言えます。

この点は今後も活かしてほしいですが、肝心の“本業”である中央線特急のダイヤ・運用構成がコロナ禍減便のままとなっており、臨時列車の設定次第で評価が大きく分かれそうです。

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