【愛称表示あり】特急「富士回遊」臨時便の車両がE257系5500番台に

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JR東日本と富士急行では、2019年3月から新宿から富士山駅・河口湖駅に直通する特急「富士回遊」の運転を開始しており、定期列車はE353系3両編成・臨時列車はE257系500番台5両編成とされていました。

JR側での車両機器更新工事の進展により、臨時列車の使用車両が改造されたE257系5500番台となり、12月30日に富士急行へ初入線となりました。

「ホリデー快速富士山」でデビューから約4年

E257系500番台は、房総方面の特急列車の輸送合理化のため、5両モノクラス構成の特急型電車として製造されました。

19編成が千葉エリアで活躍していたものの、東京湾アクアライン開業による高速バスの台頭で内房線特急「さざなみ」を中心に苦戦を強いられることとなり、年々運用数が削減されました。「ホームライナー千葉」運行終了時点でE257系500番台は半数近い9編成が余剰となりました。

2018年3月からは従来189系3編成が残存して運行されていた「ホリデー快速富士山」などを継承して新たな活躍の場となりました。当時は両数が減ったことで、元々利用が多い列車の混雑が激しくなって批判の声も聞かれました。

翌2019年3月からは「ホリデー快速富士山」に代わり、「かいじ」と増解結するE353系の特急「富士回遊」がデビューしましたが、土休日中心の増発便には引き続きE257系500番台が使用されています。

この際、NB-10〜12の3編成には“BOSO EXPRESS”のロゴマークを隠す格好で“SERIES E257”のロゴマークが貼り付けられ、専用車としての色合いが強くなりました。

赤色ロゴマークのNB-10編成が特急「富士回遊」・緑色ロゴマークのNB-12編成が「ホリデー快速鎌倉」・灰色ロゴマークのNB-11編成がその他運用と役割もある程度決められていました。

2020年にはNB-06,07,13,14編成の計4本が東海道線特急「踊り子」などに転用されたのち、NB-09編成が秋田総合車両センターへ入場し、緑色の新塗装のOM-52編成として改造されている姿が確認されました。

番台区分使途両数
0番台中央線特急2両5編成:廃車
9両16編成:転用
500番台房総特急5両19編成
→5両10編成
2000番台東海道特急9両13編成
2500番台東海道特急5両4編成
5000番台波動用9両3編成
5500番台波動用5両5編成

機器更新工事とともに塗装を改めたもので、NB-08編成が次いでOM-51編成に、さらに従来の波動用3編成も相次いで入場(過去記事)しています。最近NB-12編成が入場したことで、ロゴマークだけ変更された3編成の形態は見納めとなりました。

12月30日から1月3日まで「富士回遊」臨時便が設定されており使用車両が注目されていましたが、この運転分からE257系5500番台の運用に改められました。

「富士回遊91号」車両変更初日の様子

12月30日に運転された列車は、新宿駅11時13分発の特急「富士回遊91号」です。従来と同様に上りの「富士回遊92号」での往復運用とされており、同様の体系で1月3日まで運行される計画です(1月1日のみ早朝の93号が設定されており、代わりに91号が設定なし)。

5500番台としての初入線は、大宮総合車両センター所属のOM-93編成となりました。このOM-53編成は、機器更新工事前は幕張車両センター所属のNB-10編成で、臨時「富士回遊」運用をほぼ専属で担っていた編成でした。

機器更新が済むと5編成体制となる“波動用”5両編成がどのように運用されるのかはまだ断言できませんが、以前のように編成ごとに役割が固定されるのであれば、今後も同様の活躍が見られそうです。

外観と走行機器こそ変わったものの、旅客にとっての変化はほとんど見られません。以前から定期「富士回遊と編成向きが逆となっており、富士山側が1号車・新宿側が5号車という房総特急譲りの号車案内も継続しています。

同日に5000番台も「あずさ81号」として中央線特急運用が開始されていますが、こちらは改造で座席番号を東海道線の向きに一新したものの、車両のプログラムで号車番号表示だけは中央線向きに揃えています(関連記事)。

一般的に、新しい車両が他社線へ乗り入れる場合、試運転を経てから営業運転入りする事例がほとんどです。しかし、今回の5500番台の入線は試運転を経ずに営業列車で初入線となっています。

河口湖駅到着後、富士急行乗務員さんが集まって従来車との変更箇所を確認していました。現車訓練は着いてから……といったスケジュールでしょうか。

これまで「特急」単体表示(復路の特急 新宿 の側面表示のみ)だったためか、設定操作が変わった行先表示器が何度か操作されていました。

なお、2022年1月には同形式の伊豆急行への団体臨時列車入線も予定されていますが、こちらも定期列車の実績があることから営業列車が初入線となりそうです。

あいにく「富士回遊91号」運転時刻前後は雲が多くありましたが、河口湖駅到着後しばらくすると少し笠雲が取れてきました。

従来の所縁のない菜の花カラーに比べると、どこにでも馴染む緑色塗装の採用も頷けます。

E353系と異なり至極シンプルな文字のみとはいえ、前面愛称表示・側面表示も収録されているのも嬉しいポイントです。英訳はE353系と同様に“FUJI EXCURSION”とされており、同車が搭載する修学旅行表示“School EXCURSION”と同じ英単語で訳されているのも面白いところです。

富士急行では見かけない緑色の電車だからか、それとも単に旅行の記念かは分かりませんが、終点の河口湖駅では趣味者以外にカップル・夫婦・家族連れの方々も写真をたくさん撮られており、従来とは異なる色の車両ならではの宣伝効果もありそうです。

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