【E235系1000番台】横須賀線・総武線快速新車落成!新潟地区で試運転

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山手線に続くE235系の投入先が横須賀線・総武線快速と発表され、以前より沿線ファン・利用者の注目を集めていました。

2020年4月にグリーン車2両が姿を現して以降、その仕様が注目されていたE235系1000番台ですが、6月3日、普通車を製造していた総合車両製作所(J-TREC)新津事業所を出場。新潟エリアにて公式試運転が実施されています。

事前に車両の概要が発表されていたものの、プレスリリースからの変更点や在来車両との意外な変化も多く、興味深い仕様となっています。

横須賀線・総武線快速電車の世代交代

2015年ごろからE231系の地方転用を示唆する組合資料・車両の動きなどが多数あり、E235系の山手線に続く投入先は東海道線・高崎線・宇都宮線向けと推測する見方が有力でした。

一方で横須賀線・総武線快速電車では、1994年から1999年にかけて製造したE217系を運用しており、機器更新工事なども施工したものの老朽化も進んでいました。

横須賀線・総武線快速の代替が優先されることとなり、2018年9月に車両置き換えが正式に発表されています。

山手線に続くE235系の2路線目の投入先となり、E217系と同数の11両基本編成51編成・4両付属編成を46編成の製造計画となっています。

4月にはグリーン車2両が総合車両製作所(J-TREC)横浜事業所から同社の新津事業所に甲種輸送されており、新津で製造された普通車と連結して11両編成を組成して試運転となりました。

2020年度から順次落成と報じられていたプレスリリース・甲種輸送時に妻面に記されていた「2020-6」の表記通りの落成となっています。

プレスリリースで発表済の内容

1年半前のプレスリリースの時点で主要なスペックなどは発表済となっていましたので、改めて特徴的な設備をおさらいします。

【普通車】全車両がロングシート

【グリーン車】公衆無線LANとコンセントを設置

【全体】半自動ドア設置・山手線向けと異なり幕板と腰部に横帯配置デザイン

JR東日本の一般形電車として初の非常用蓄電池搭載

プレスリリースから変更?編成番号迷走中?

2018年9月に発表されているイメージ画像と比較すると、前面のドット柄デザインが大きく変更されているほか、帯色についてもイメージ画像に比べるとやはり明るい印象です。

また、工場内でF01編成として編成番号が貼り付けられている姿の目撃情報が複数ありましたが、試運転の時点では貼り付けられていません

総武線快速電車同様に千葉ローカル直通運用がある京葉線にF51編成(分割編成)があり、計画通り51編成製造した場合にラストナンバーがこの編成と重複することとなります。

これが原因かは定かではありませんが、少なくともJR東日本の新造車両では、落成時点でこれらの表記類を入れている例がほとんどです。何らかの変更があったことと考えられるものの、真相は今後の車両の動きまでのお楽しみでしょうか。

また、イメージ画像からの変更点として挙げられることとして、2段式電気連結器の採用があります。他社では採用事例が多いものの、JR東日本の車両としてはかなりの違和感があります。

鉄道技術展で展示されていた電気連結器が上段は従来車互換・下段はE235系以降で採用されているEthernet(イーサネット)となっており、このままの構成であれば何らかの他形式併結を想定している可能性もありそうです。

データ伝送量の増加で必要となったのか、将来的な他形式併結の都合かは定かではありませんが、このE235系1000番台の特徴的な装備となっています。

出場試運転で新たに判明した情報も多いですが、2018年のプレスリリースから変更されている点はこのほかにもありそうです。

京葉線向けのE233系5000番台の編成数がひっそりと減らされたように、最終的な製造数も千葉地区の運用再編・依然として解消しない横須賀線逗子駅特有の構内配線制約などで変更が加えられる可能性も捨てきれません。

トイレ増加?屋根上に機器設置?普通車の編成構成

号車形式番号主要設備備考
1号車クハE2341001電気連結器・トイレ
2号車モハE2341301蓄電池屋根上に元空気溜め
3号車モハE2351301パンタグラフ(2基)
4号車サロE2341001
5号車サロE2351001
6号車モハE2341201蓄電池・トイレ屋根上に元空気溜め・トイレ設置に
7号車モハE2351201パンタグラフ
8号車サハE23510010番台で設置されたSIV,CP非搭載
9号車モハE2341001
10号車モハE2351001パンタグラフ
11号車クハE2351001電気連結器電連使徒不明・トイレ非設置に

今回の試運転では、前回輸送されたグリーン車以外の9両の詳細が明らかになりました。

また、付属編成は1100番台との目撃情報がありますので、15両のほとんどの仕様が判明している格好です。

内装面では、プレスリリースで発表済となっていた車内案内ディスプレイの大型化のほか、新たに吊り革・シートモケットなどが初のデザインとなっています。

また、グリーン車落成時点から違和感があった方も多そうですが、やはりプレスリリース画像とは大きく異なる帯色となっています。カラー帯の彩度変更は他路線でも実施されており、近年のトレンド的な要素でしょうか。

置き換え対象のE217系も機器更新工事とともに明るい色合いに変更されていましたが、E235系で更にビビットなものとなっているようです。

このほか、私鉄の一部新形式で採用されている非常用の蓄電池がE235系1000番台で初採用となり、これを搭載した車両は元空気溜めとみられる機器が屋根上に設置されています。

あくまで床下機器のスペース確保の都合かと推測できますが、この機器構成は在来形式への追加搭載をあまり意識していない設計に感じます。

将来的な他線区向けを想定した設計にみられるが……

ファン目線で不思議に感じる不思議な点としては、編成両側に設置された電気連結器や、E217系ともE233系3000番台とも異なるトイレ配置でしょうか。

113系・115系で7+4+4編成を基本としてクハ・サハ・サロの片方と概ね揃えられていたトイレ構成は、211系で必要数に絞った構成が路線ごとに採用、それを踏襲したためかそれ以降は各路線でまちまちとなって現在に至ります。

カッコは
横須賀線
1号車グリーン車6号車10号車
(11号車)
11号車
(増1号車)
15号車
(増4号車)
211系
東海道
×
211系
高崎宇都宮
登場時

(先頭)
××
211系
高崎宇都宮
G車連結後

(先頭)
××
E217系
(東海道線
時代を含む)
××
E231系
小山車
××
E231系
E233初期
国府津車
××
E233系
量産
×
E235系××

6号車の5号車寄りに新たにトイレが設置された一方で11号車のトイレが無くなっており、10+5へ組み替えをするとE231系小山車と同等の構成(1,6,11号車とグリーン車)です。

これまで近郊タイプの最新型だったE233系3000番台では、211系の配置を継承したE231系小山車・国府津車の仕様統一を狙ってかトイレを5箇所に増やしていました。

しかしながら、E235系1000番台では11号車(E231系近郊タイプ・E233系3000番台の10号車に相当)のトイレは非設置とされています。

横須賀線の在来車であるE217系とも異なる配置ですが、半自動ドアボタンとともに汎用性を重視した設計と考えられます。首都圏の近郊タイプの車両のスタンダードとして開発されているのでしょうか。

また、先述の2段式電気連結器が1号車・11号車双方に設置されていたり、113系1000番台時代の編成構成に戻ったことで10+5両編成の組成が容易となっていたりと、ファンとしては様々な推測が出来る構成となっています。

この編成構成から生じるファン推測としては、既に導入が報道レベルで報じられている東海道線・高崎線・宇都宮線についても1000番台とするのではないか?・逗子駅の配線改良などの長年の課題を解消して他線区同様の10+5両構成に改めるのではないか?という2点でしょうか。

東海道線・高崎線・宇都宮線向けの投入・組み替え考察

E233系では中央線向けT編成〜H編成〜青梅線向け青編成が続番で製造された経歴こそありますが、それ以降は路線ごとに1000番台ずつ使用する付番が採用されています。

今回登場した1000番台は先述のように他路線への展開を視野に入れた設計が随所に採用されており、このままの仕様で投入されても不思議ではありません

しかしながら、1000番台では下3桁を100番刻みで付与しており、横須賀線向けだけで末尾51(1100番台のみ46)まで使用してしまうことから、東海道線・高崎線・宇都宮線の大量のE231系を代替するには不足しそうです。もし同一番台区分で投入するとしたら、E233系のように中間車の番台区分を200番刻みとしていれば解決したようにも思えます。

以上のことを考えると、E233系同様に路線ごとに1000番台刻みを使用する=次の上野東京ライン・湘南新宿ライン系統については2000番台or3000番台といった他の区分とされる可能性が高そうです。ただし、現状では1500番台も使用可能ですので、異なる番台になりそうであること以上は予想が難しいですね。

また、横須賀線逗子駅の都合と言われている横須賀線の編成構成問題の解消ですが、これ自体は現時点で正式発表や、これに関連すると思える動きは現在のところありません

先代のE217系でも連結運用がない11号車・増1号車に電気連結器があったりなかったりと一貫性がありませんでしたので、電気連結器が設置されただけでは組成変更想定とは言えません。

E217系でも一時的に東海道線に転出した経歴があるように、あくまで将来的な転用を兼ねた設置という可能性もある一方で、遠い未来のことであれば転用時に設置すればいいようにも思えます。

もし輸送体系を変更するのであれば投入車両数を柔軟に調整出来るベストタイミングです。E217系では現状維持とされたこの長年の課題にメスが入る可能性自体は捨てきれません

はたまた、4+11構成から11+4構成とするだけという変更を想定しているのかもしれません。湘南新宿ラインとのグリーン車の連結位置違いはこれだけで解消出来る一方で、運用上のボトルネックとなっている逗子駅問題を含めていろいろ不都合にも感じます。

ファン目線での疑問は尽きないところですが、このまま公式試運転にて問題が無ければ車籍入り・近日中にEF64形による配給輸送にて所属区へ輸送(回送)されることとなりそうです。

来月にはE131系の落成も噂されている新津事業所。2020年度は千葉エリアを中心に大きな動きが続きそうです。

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画像元ツイート紹介

今回の画像は、裕希さま(@yuuki14114)から許可をいただいて掲載しています。

参考文献

JR東日本ニュースリリース(PDF・2018年9月)

コメント

  1. ふたあさ より:

    東海道線用211系(東チタ)所属車は、15号車にもトイレが設置されています。

    • ふたあさ様

      閲覧・コメントありがとうございます。
      ご指摘の件、仰る通りで誤植です。訂正させていただきました。
      チタ車の違いを表すために欄を作ったり、当初の動き通り転用されていたらこのクハ211はトイレを維持するのか……などと下書きしたりもしていたのですが、迂闊でした……。

      今後ともご愛顧のほどよろしくお願い申し上げます。

      鉄道ファンの待合室