【JR東】新型E131系開発?車両基地再編?夢と課題の“ミライ構創”

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本日付けの動労千葉の組合発表では、「『ミライの車両サービス&エンジニアリング構創』に関して」、以前から噂がされている近郊路線向けと思われる新型車両E131系について初めて触れられているほか、秋田・郡山の車両センターの再編など、興味深い記述が多くあります

難しい記述が多くありますので、内容を整理しつつ、ファン目線からJR東日本の今後の展開を想像・考察していきます。

以前から噂が絶えない近郊線区向け新型車両

JR東日本では、仙台地区の交流電化路線向けにE721系を、新潟地区にE129系を製造してきました。

直近に開発されたE129系はE233の設計を踏襲しており、地方線区の車両としての完成度は高く、他の地域への投入を期待する声も多く聞かれる車両です。

しかしながら、JR東日本では、以前から次世代型の近郊線区向けの新型車両を検討~開発しているのではないか?という噂が多く出ていました。

キーポイントは“モニタリング保全体系”

本来なら、同一形式を製造し続けた方が安価で汎用性が高いものの、JR東日本が早くも次の世代の車両にシフトしたい理由は長期的な計画が背景に考えられます。

一般型電車(JR東日本では、通勤型・近郊型の区分が取り払われています)E235系より、モニタリング保全体系への移行を進めています。

これは、従来の鉄道車両の定期検査が時間基準(〇日ごと、など)となっているのに対し、状態基準という発想でメンテナンスを行うというものです。

常時監視に近い頻度で診断をすることで、劣化の予兆を早期に発見、最適な時期に補修を行うという従来とは大きくことなるメンテナンス方法です。

“CBM”と呼ばれるこの手法ですが、JR東日本では車両だけでなく、各部門で積極的に取り組んでいます。

近年JR東日本が各路線1~2編成に線路設備モニタリング装置を取り付けていますが、これも同様の発想で高頻度にレールの状態変化をチェックするものとなっています。

線路や電力設備を車両から監視しているように、車両自身の自己診断機能や地上設備に設けた監視装置などのデータを基に、車両自身の状態を監視するという従来の鉄道車両とは一線を画すものです。

JR東日本の209系以降を“新系列電車”と呼びますが、彼らにはMON8→TIMSといった車両制御伝送装置を搭載していました。

E235系と、その後開発された“サフィール踊り子号”用新型車両E261系では“INTEROS”と呼ばれる新しい制御システムが構築されています。

試験車両“MUE-Train”で試験が続けられていたこのシステムですが、伝送速度を大容量・高速のイーサネットに改めたことにより、状態監視機能を大幅に拡充。既におなじみとなったWiMAX通信を活用して地上部門に送信しています。

E235系のデビューで大量のエラーを吐き出して8か月もの長期運用離脱を生み出して話題を集めてしまったこのシステムですが、関係者の尽力や多くの試運転を積み重ね、今日ではすっかり安定した運転を実現しています。東急2020系列・都営5500形など、今では他社でも運用がされています。

この保全体系が完璧に稼働し始めると、従来の車両メンテナンスに要していた人件費・メンテナンスコストを低減できることが期待されています。

そのため、短期的には新形式開発という費用がかかるものの、将来への投資として新しいシステムの車両を開発し続けているものと考えられます

形式名は“E131系”で確定か

E127系・E129系という従来の付番から、妥当な順番としてE131系となるのではないかと当サイトでも予想していました。

今回、はじめて組合資料にその形式名が掲載されることで、近郊線区向けの新型車両を開発していること、形式名がE131系となることが極めて濃厚になりました

なお、組合資料をはじめとしたJR東日本社内では、“E”を省略して呼称することは一般的なものです。今回も131系と記されていますが、これについてもE131系が正式な形式名とみて差し支えないでしょう。

また、水郡線で活躍する気動車にキハE130形があり、片運転台車両の形式にキハE131~が存在します。これについては在来形式でも重複例はいくつかあるため、大きな問題とはならないでしょう。

具体的な形式名が初出となった一方で、車両の仕様・投入線区などは現時点で明らかにされていません

→5/9加筆:新たな組合資料により、2両4扉車での製造が判明しています。

先述のような考察をしていますが、何らかの理由によるTIMS・新保全体系(209系~E233系同様のメンテナンス方法)が採用される可能性もまだ排除はできません。

現時点で確実視できるのは、付番からE129系の後継車種となることくらいでしょう。

千葉県の閑散区間ワンマン化が目前になっており、そろそろ具体的な動きが出てきてもおかしくない時期に入ってきました。

組合資料でも、千葉・房総地区に入れるかどうかは「検証中」「検証の中ではあり得る話だ」とされているほか、ワンマン区間には新車投入という旨は以前にも報じられていますので、2020年度には何らかの動きが出てくるでしょう。

車両基地再編も新たな話題

従来の車両基地関連の話題としては、秋田総合車両センターで実施してきた機関車の定期検査終了がありましたが、今回は他にもいくつもの話題が登場しています。

(前提として、車両の所属基地・日常的な保守をしているのが「車両センター」、大規模な定期検査を実施しているのが「総合車両センター」です)

まず、具体化しているものとして、秋田機関区~南秋田運転所由来の所属基地=秋田車両センターと、土崎工場由来の車両工場=秋田総合車両センターの統合構想があるようです。

車両数が減り、新型車両でメンテナンス効率が向上していることから、統合を検討しているようです。

通常の車両センターとするのか、総合車両センターとするのかは未定となります。

「マルチ検修ライン」とは?

車両基地関連では、「マルチ検修ライン」という構想があるようです。

従来の定期検査では、編成をバラして入れ替え作業をするのがごく一般的でした。

これを編成の状態のまま一括で検査をする設備を作る構想があるようです。

モデルの候補としては旧・津田沼電車区の検修庫や東所沢が挙げられています。

最近の車両(新系列電車)の検査は、既にメンテナンス済の部品と入場車両の部品を差し替える形で検査期間短縮を行っています。

既にJR東日本では、大宮総合車両センターで施工する定期検査の一部を東大宮センターで実施するなど、柔軟な対応がされています。

このほか関東圏では、東武東上線の30000系・50000系列が重要部検査のみ所属基地で施工している例が知られていますね。

差し替える分の部品だけ置いておくなら各車両センターでも対応できそうな気もします。

もしかしたら、将来的には検査入場・出場の回送列車すら珍しくなってくるのかもしれませんね。

時間軸は「まだ構想段階」

今回記されている内容については「基本的にはまだ構想段階」とされています。

国鉄分割民営化から30年が経過し、40年目どころかその先を見据えて基盤を作る……という長いスパンで考えられています。

JR東日本はJRグループのなかでもかなり挑戦的・先進的な会社です。

お隣のJR東海の確実性重視・保守的な変化とよく比較されますが、どちらも社風ですのでどちらが正しいとは言えません。

様々なチャレンジをして苦虫を嚙み潰すことも多いJR東日本ですが、これらの“ミライ構創”が鉄道の常識を変える大きな成果を残すことに期待が出来ます。

これらの変化に付随して人気車両の引退なども続くかと思いますが、挑戦の過程で様々な話題を生み出してファンを盛り上げてくれるJR東日本の今後に期待したいですね。

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