【置き換えはいつ?】房総特急255系・E257系500番台の今後を考える

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首都圏近郊の特急列車では各路線で全車指定席化・新しい料金体系への移行が進められてきましたが、千葉・房総方面については機器更新を受けた255系を含めてこれらの動きが一切ありません。

一方で、既にE257系500番台には転用車のみに機器更新を施工するなど、不思議な動きとなっています。

房総特急の今後とともに、波動用として中途半端な活躍が続く一部編成の今後について考えます。

これまでの事実を基に向こう5年以上の予見的なことを扱う推測を交えた考察記事です。筆者個人の見解も含まれていますので、ご意見ご感想などはコメント欄・各SNSなどでお待ちしています。

“分かりやすい体系”取り残される房総特急

JR東日本では、“分かりやすい料金体系”として、首都圏の特急列車について、全車指定席化・特急料金改訂を進めています。

2015年3月改正では常磐線特急ひたち・ときわと元々全車指定席であった成田エクスプレス、2016年3月改正では平日の高崎線特急あかぎ、2019年3月改正では中央線特急あずさ・かいじと順次拡大しており、2021年にはE257系転用が完了する東海道線特急踊り子とライナー列車の特急化が確実な情勢となっています。

一方で、全車指定席ながら私鉄直通という特殊性がある東武線直通特急日光・きぬがわを除いた場合、外房線特急わかしお・内房線特急さざなみ・総武本線特急しおさいは首都圏で唯一これに関連する動きがなく、特に2014年度から2016年度にかけて255系5編成の機器更新工事が施工されたものの、こちらも内装については特に手を加えていません

また、2015年3月改正ではE257系500番台が9編成も余剰となっており、単純に考えれば255系の機器更新をせずに代替し、E257系500番台だけで運用を賄うことも出来そうな数でした。

そのような情勢下で255系に機器更新を施工した一方で、2020年9月現在もE257系500番台の機器更新は転用車を除いて行われておらず、将来的には他路線同様に形式統一・新しい料金体系導入を目指して255系・E257系500番台をまとめて置き換えるのではないか?という推測が有力視されるようになってきました。

数年前からの中長期計画だった?E257系500番台の転用編成選定

現在、E257系500番台のうち、NB-06,07編成がNC-31,32編成として東海道線転用改造・機器更新工事を施工されています。このほか、NB-13編成が秋田総合車両センターに入場していてこちらも確実な情勢となっているほか、NB-14編成については大宮総合車両センターに1ヶ月近く入場しており、こちらも転用改造・機器更新工事を受けている可能性が出てきました。

機器更新を受けて2500番台化・東海道線転用改造を受けていると仮定すると、NB-13編成→NC-33編成・NB-14編成→NC-34編成となり、これで4編成が配置される房総方面から東海道線への転用は完結となります。

この中途半端な編成選定について疑問が沸く方も多いのではないでしょうか。

この4編成のうち、NB-06編成・NB-07編成はここ4〜5年のほとんどの期間を長期休車として過ごしていました。E257系は“新系列電車”に分類されますので、走行距離抑制は次の保全(旧来の定期検査)までの時期を先延ばしにすることに直結します。

一方で、NB-13,14の2編成は比較的最近までホームライナー千葉(2019年3月改正で廃止済)・定期特急列車の運用でも見かけることが多い存在でした。

時系列を遡ると、E257系0番台を代替することとなる、E353系の量産車を発注した2017〜2018年ごろのベストプラクティス(車両取替計画)時点にて、500番台の一部編成の転用についても想定済だったことと考えられます。

これらのことから、車体保全時期に差し掛かっていたNB-06編成・NB-07編成は長期間の休車の上で転用対象、車体保全時期にちょうど2020年度後半となるNB-13編成・NB-14編成を転用対象、その合間のNB-08編成〜NB-12編成は波動用などで程々に使用(中でも余裕のあるNB-10〜12編成は豊田常駐)といったここ数年の500番台の運用実績が頷けるところです。

特にNB-10編成までとNB-11編成以降には1年弱の経年差がありますので、保全距離変更(60万km→80万km刻み)などが行われたこの時期に、かなり緻密な走行距離計算を行った上での選定でしょうか。

2018年の秋田総合車両センター公開にて確認された組合資料を振り返ると、2021年度初めまで機器更新・転用改造が想定されていましたが、工期が伸びたはずの現在でも既に東海道線への転用は既に終わりが見えています

波動用の9両3編成・5両5編成の今後は?

豊田常駐3編成を含めた波動用としての運用が中心のNB-08〜NB-12の5編成についても、間もなく車体保全時期を迎えることとなりそうです。

E257系0番台基本3編成同様に中長期間にわたって波動用輸送で使用することを考えると、適当な代替車両が居ない以上は、これらの0番台27両・500番台25両に対して、現状のままor基本編成のグリーン車区画の普通席化などの何らかの改造の上で機器更新を行う可能性が高いものと推測できます。

0番台については2000番台として共通化しても共通運用化などのメリットはありますが、既に明確に用途分けがされていることを考えると、何らかの異なる仕様でリニューアルを施工する可能性が高そうです。

しばらく使うことを考えると、E257系2000番台・2500番台の予備車(または臨時便への充当)などとしての活用も想定しているのでしょうか。車体塗装などにも変化が生まれそうです。

NC編成が30番台と不思議な付番をしていることから、波動用は宮オオNB編成として20番台が付与されるのではないか?という推測をする声も見かけました。

特に0番台3編成を松本車両センターへ配置し続けることも合理的とは言えませんので、0番台・500番台ともに東海道線転用車に続いて大きな動きが始まるのかもしれません。

残された10編成は255系とともに房総方面で引き続き活用か

労働組合資料により、255系が“少なくとも”2023年度まで使用されることが示されていますので、今後の首都圏在来線特急に大きな動きが発生するのは早くても2024年度ごろとなることが推測できます。

185系波動用編成を含めてE257系で代替が完了した場合、房総方面以外の特急車で近い将来置き換え対象となる車両としては、253系1000番台6両2編成・651系1000番台7両7編成(うち1編成は車齢の高い651系の予備車増強となった経緯から、6編成で代替可能)が挙げられます。

いずれも採算性で他路線より劣る点があり、これらの代替も他形式の転用と考えることが適切なところです。

これらの代替ですが、以前から「成田エクスプレス」に新造車両を投入・E259系22編成の転用を推測するファンが多いです(当サイトでも検証記事を作成)。

通勤車の列車制御システムをMON・TIMS・INTEROSと路線の輸送密度ごとに使い分けている(閑散線区向けのGV-E400系・E131系などの例)ことを考えると、やはり採算性が芳しくない首都圏特急列車にはTIMS第二世代の車両の転用と考えるのが妥当なところでしょうか。E233系を都心部近郊の中編成へ転用させる思想と同様の動きが特急車へ波及しても不思議ではありません。

22編成の転出となれば、東武直通に2編成・高崎線特急に6編成を差し引いて、房総特急は形式統一による運用効率化などをした上で255系9両5編成・E257系500番台5両10編成程度→E259系6両14編成での代替が考えやすいところです。

ただし、E259系が現在相当な距離稼ぎ(走行距離で入場時期を決める新保全体系では、走行距離抑制=延命)がされていますので、この転用が事実であった場合も遅れる可能性・計画が白紙となる可能性も考えられます。

現在同様に京葉線経由で外房線特急「わかしお」・内房線特急「さざなみ」を運行する場合、2編成併結運用は設定できません。一方で、成田エクスプレスが12両編成で走行する総武本線は、E257系500番台で行われていた体系で佐倉駅での増解結・12両運転も設定可能となります。

予備車削減を差し引いてもやや手薄な印象こそありますが、既にE257系0番台付属編成10両を用途廃車としている以上、E257系500番台の特急運用全編成が機器更新をせずに廃車とされても不思議ではありません

また、E257系で実施されたように、改造前の車両構成を生かして輸送体系を変更する体制とする(E259系に改造を施してまで5両・7両としない)転用は今後のJR東日本の車両采配を考察する上でのヒントにもなりそうです。

転用当初は経緯が疑問だったものの、終盤でその経緯が分かってきた最近の例としては、武蔵野線E231系0番台の編成番号付番がありました。こちらも複雑な動きとなりましたが、完結が間近の昨今ではファンからも納得しやすいものでした。

E257系500番台の転用対象・波動用の選定についても、今後の車両の命運を分ける何らかの計画と繋がっている可能性がありそうです。

当サイトとしての推測がどこまで当たっているかは定かではありませんが、今後の動きに期待したいところです。房総方面の普通列車の世代交代とともに、255系・E257系500番台の記録もしっかりと行いたいですね。

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コメント

  1. くらは より:

    労組絡みから
    次の改正でE131系とE235系が導入される際に君津分断して今の日中と同様に朝と夕方も総武快速と館山方面の普通列車が接続する輸送体系に変わるため朝のさざなみ4号とさざなみ6号と夕方のさざなみ5号がそれぞれ総武快速に変更になります(総武快速は現行の千葉始発千葉行きを君津に延長)
    これで2運用減るのでその分がNB-08とNB-09で既に波動用になっているNB-10~NB-12の3本と合わせて5本が波動専用の5500番台になります

    尚残りのE257系500番台10本は機器更新して残留します
    現行の9運用から上記の2運用削減で7運用になり
    7運用+通常予備2本+機器更新予備1本で10本体制