【えちごトキめき鉄道】トキ鉄“急いで行かない列車”21年4月より・413系導入か

スポンサーリンク

旧・信越本線と北陸本線を継承する第三セクター・えちごトキめき鉄道では、いすみ鉄道の名を全国区にした鳥塚亮氏が社長となっています。

以前より189系長野車の購入を狙っているのではないか?とのファン推測が尽きませんでしたが、意外にも国鉄急行型電車にて利用促進を図る模様です。プロジェクトの詳細を考察します。

いすみ鉄道と“キハ”を手がけた鳥塚氏

鳥塚亮(とりづか・あきら)氏は、航空畑出身ながら昔からの鉄道ファンであり、いすみ鉄道公募社長在籍中にキハ52形・キハ28形をJR西日本から譲り受けて一躍鉄道ファンに人気の施策で行楽需要の増加に努めました。

北陸新幹線開業により信越本線・北陸本線の第三セクター移管のために設立されたえちごトキめき鉄道の2代目の新社長として、2019年に同社の新社長に就任しました。

“急行型電車”っぽい413系で地域振興か

今回のポスターは、ET122形車内掲示にて「急いで行かない列車」「2021年4月デビュー予定」「妙高高原〜直江津〜市振」の新列車が登場すること、イメージ画像としてかつて北陸本線で活躍していた475系急行形電車の国鉄色リバイバル塗装がイメージとして掲示されていることのみが解禁されています。

ここからは考察となりますが、交直流電車の出物として妥当な車両は10月1日より七尾線で521系がデビュー・413系と415系の置き換えが始まっており、これらの車両の一部と考えることが出来そうです。

なお、当サイトでは沿線利用者様より以前からこのプロジェクトの布石となる情報をいくつかいただいていました。特に運行のヒントとなりそうなものとしては、糸魚川駅などで新たに3両編成の停車目標などの設置が進められているというものがありました。

えちごトキめき鉄道ではこれまで3両編成での運行はありませんので、今回の“急いで行かない列車”関係とみて間違いないでしょう。昔は急行形が3両編成で走っていましたが、今回は明らかに新しいものとなっています(新幹線開業直前に新設したものよりきれい)。

3両編成で北陸本線などで所縁があり、しかも鳥塚氏のいすみ鉄道での実績を考えれば一番この七尾線車両購入が現実的でしょうか。

なお、今回のポスター掲示により、日本海ひすいライン(旧・北陸本線)に加えて妙高はねうまライン(旧・信越本線)区間も営業運転を行うことが明らかになりましたので、413系を導入する場合はATS-Ps形保安装置を新設する必要があります。

この改造工事のほか、譲渡前の検査やデビュー前の試運転(JR東日本出身の運転士・自社養成の運転士は乗務員訓練を手厚くする必要あり)期間を考えると、七尾線521系投入で余剰となった車両から離脱したグループから3両(2両しかない急行型の先頭車や電動車の部品取りでもう1〜2両?)程度の購入と考えて差し支えないでしょう。

プロジェクトの趣旨を考えれば、413系の11編成に2両だけ組み込まれている急行形先頭車・クハ455-701,702(B04編成・B11編成)を狙っているものと思われますが、両編成とも記事公開日時点では運用中。必ずしもこの車両が入るとは断言できません。

また、停車目標新設が確認されている糸魚川駅には大糸線(大糸北線)のキハ52形やトワイライトエクスプレスのモックアップなど鉄道ファンに嬉しいポイントが多くあるほか、北陸新幹線の停車駅としてツアー形式での運行拠点にもってこいの場所です。

現時点では運行区間が妙高高原〜直江津〜市振であることのみしか確定している情報がありませんので、今後の情報解禁に注目したいですね。

本命だった(?)189系は断念か

長野新幹線(現在の北陸新幹線の長野駅までの開業)が出来るまで、碓氷峠を越えて都心と長野を結ぶ特急“あさま”などで活躍していた189系。2019年3月ダイヤ改正まで、最後のN102編成6両が朝夕のライナー列車やあずさ号臨時便などで余生を送っていました。

引退した車両が解体されるのは自然な流れですが、このN102編成については6両編成のまま現在まで除籍の動きがあった以外はそのままの状態をとどめています。

以前より鳥塚氏の社長就任・信越本線に長年縁がある(長野新幹線開業後も普通妙高号として活躍)N102編成がちょうどいいタイミングでの引退となり、189系を4両または6両で購入を検討しているのではないかという期待の声がありました(過去記事)。

越後トキめき鉄道では、重要部検査・全般検査といった大規模検査はJR東日本長野総合車両センターへ委託しています。これはE127系新潟車由来の越後トキめき鉄道ET127系はもちろんですが、これに加えてJR西日本キハ122系設計流用のET122系やその後登場した“雪月花”も同様です。

現在車両を保有するうえ、今後の検査も受託することとなる長野支社と調整が必要ですので、中長期の保守などについて、同支社から難色を示された可能性はかなり高いのではないでしょうか。

いすみ鉄道であれば自力で検査をするから購入さえ出来ればあとは現場の努力でなんとかなるところですが、JR東日本の中期経営計画では長野総合車両センターも業務再編が始まるばかり。

譲渡計画の有無は今後も明るみになることはなさそうですが、現に妥協として急行型崩れの413系を導入することを考えれば、本命は189系だったもののなんらかのネガティブな要素(検査コスト・部品確保の難しさ・車両状態の悪さ)により、交渉が断念した……といった流れが自然なところでしょうか。

この流れであれば、現在まで413系の保守ノウハウを多く積んでいるうえ、今後もあいの風とやま鉄道の1編成は検査を行う必要があるJR西日本北陸地域鉄道部が松任工場での検査を容認したとしても不思議ではありません。部品は今後の置き換えで大量に出てきますし、形式数が増えるわけでもありません。

いすみ鉄道の車両購入(キハ52・キハ58)もJR西日本からでしたので、こちらの方が交渉のパイプ(人脈)が太かった……とも言えそうです。

最も無難な選定は115系だったような気もしますが、こちらはJR東日本新潟支社・しなの鉄道で複数編成が走っており、魅力で欠けてしまいます。

時代が異なればJR東日本・JR西日本・しなの鉄道と急行形電車の購入は容易だったかと思いますが、今や風前の灯火。動態保存の難易度はかなり高いと思いますので、譲渡が実現したからには末長い活躍に期待したいですね。

一般車両は大丈夫……?

えちごトキめき鉄道の妙高はねうまライン(旧・信越本線 妙高高原〜直江津)で活躍するET127系(元E127系新潟車)については、同世代の長野車・新潟車の機器更新が終わって久しいですが、ここしばらくは機器更新工事を見送ってそのまま検査を通しています。

それ自体を公表しているわけでもないため、越後トキめき鉄道側の都合なのか、機器更新を担当するJR東日本長野総合車両センター側の都合なのかは定かではありません。長野新幹線車両センター水没・昨今の社会情勢など背景は複数考えられるものの、車齢を考えると決していいコンディションではなさそうです。

一般利用者目線で考えれば、まずは一般車両の保守が先なのではとも思います。実は新潟県と新型車両投入交渉中……であれば嬉しいところですが、経営状態や北越急行ほくほく線の存在を考えるとまずなさそうです。

JR東日本・JR西日本と異なる社風の会社から生まれ、同じ北陸新幹線開業で生まれた富山・石川の三セク会社と違い苦戦を強いられているトキ鉄の今後。“出る杭は打たれる”はこの世の常ですが、統計上日本一の赤字鉄道にとって好機となることを願って止みません。

関連記事はこちら

コメント

  1.   より:

    会社名「越後トキめき鉄道」とありますが、漢字で「越後」ではなく、ひらがなで「えちご」です。

  2. 石和誠一 より:

    学生授業時間を削って駅清掃させたり、安給料自費試験で運転手を揃えながら、自身は講演会や著書発表に所在不明で会社に詰めてない疑問視されている社長
    無条件に賞賛しないで、関連情報収集して冷静に判断したい
    鉄道ファンがスタンドプレーに喜んでいるだけでは駄目

  3. 99 より:

    「えちご」トキめき鉄道ですよ。表記揺れ激しいです。

  4. acc425 より:

    いつも見させて頂いてます。
    疑問に思ったのがET127型の機器更新やってないのは誤りなのではないでしょうか。
    実際に更新車に乗ったことがありますし、DJ 2020年11月号にもその旨の記載があり、2021年までに完了するとあります。
    ご確認の程を宜しくお願いします。