西武池袋線の特急「ちちぶ」「むさし」から引退した10000系“NRA”(ニューレッドアロー)。
一部の車両が譲渡準備とみられる動向があり注目を集めていましたが、10106Fの3両・10102Fの1両が新秋津から魚津駅まで甲種輸送の長旅を始めました。富山地方鉄道への譲渡と断定して差し支えない動静です。
西武特急の世代交代とその後
西武鉄道では、2019年春から2020年春にかけて、池袋線の特急「ちちぶ」「むさし」を新型001系“Laview”への置き換えを進めました。
12編成の10000系のうち、001系と同数の7編成が運用を離脱(一部は新宿線とトレードで廃車)していましたが、搬出を行う横瀬車両基地まで回送されたうちの一部車両が搬出されずに留置されており、去就が注目を浴びていました。
このうち10102Fの先頭車1両・10106Fの中間車を含めた3両が編成を組み、2020年8月29日には横瀬から武蔵丘、同日終電後には武蔵丘から小手指へ、それぞれ新101系263F(牽引車として全電動車で編成されている)による牽引・推進で移動していました。
その後10月10日には小手指車両基地から連絡線を経由してJR東日本武蔵野線・新秋津駅付近に移動しています。この道中では、特殊貨物検査票(甲種輸送=貨物列車として輸送する前にJR貨物職員による検査をした証)が確認され、目的地があいの風とやま鉄道(旧:北陸本線)の魚津駅であることが判明しました。
2019年度に富山地方鉄道が購入した東急8590系でも魚津駅〜富山地方鉄道の新魚津駅の経路が活用されており、過去実績から譲渡先は富山地方鉄道と断言して差し支えないものとなりました。ただし、甲種輸送が始まった10月11日時点では、西武鉄道・富山地方鉄道から正式発表はありません。
富山地方鉄道と旧:北陸本線は魚津駅のほか、かつては富山駅でも線路が繋がっており、こちらは国鉄〜JR各形式の乗り入れ実績もありましたが、こちらは富山駅高架化工事により接続していません。
同社では西武5000系(初代)レッドアローの車体を購入した実績があります。
こちらは西武鉄道が機器流用をする都合で3両2編成分の上回りのみの購入・陸路での輸送・JRの485系廃車発生品を走行機器に使用する体制となっていましたが、今回は中間電動車を含めた購入です。
ファンとしては「2世代連続の西武特急譲渡」「前回は車体のみだったが、四半世紀の時を経て走行機器が追いかける」というかなり嬉しい展開となりそうです。
置き換え対象は元京阪?初代レッドアロー?
富山地方鉄道側の動向としては、2019年度に東急8590系を17480形として4編成導入して世代交代がひと段落していました。
その後、「移動等円滑化取組計画書」(令和元年度より開始された、バリアフリー化の取組を国に提出・公表する施策)にて2019年度の2編成に加えて2020年度にも1編成の中古車両導入計画が記されており、東急8590系の次となる購入車両が注目されていました。
富山地方鉄道では、京阪3000系改造の10030形モハ10037-モハ10038号の編成が休車となっており、この去就も注目されています。
京阪3000系の導入では、営団地下鉄(現:東京メトロ)の日比谷線3000系の主電動機・台車を活用していましたが、2編成を除いてJR西日本にて引退した485系・419系の廃車発生品に交換されて高出力化・乗り心地の改善が行われていました。
この改造から漏れた2編成がモハ10031号-モハ10032号編成とこの編成となっているため、2020年度に計画されている車両更新(置き換え)対象は10030形の同編成となる見方も有力です。
このほか、初代レッドアロー5000系を16010形として2編成運用していますが、このうち1編成が2011年より観光列車「アルプスエキスプレス」として大規模な改造を受けています。残されたモハ16011号-モハ16012号の方を危ぶむ声も上がっています。
置き換えの動きも気になるところですが、四半世紀ぶりの再会となる新旧西武特急の顔合わせが楽しみでなりません。
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今回のお写真は、武蔵丘からの“山下り”に続き、フォロワーの𝓴𝓪𝔀𝓪𝓰𝓸𝓮𝟚𝟘𝟝様(@kawagoe205)から許可を頂いて掲載しています。
参考文献:富山地方鉄道 移動等円滑化取組計画書 (PDF)
コメント
もしかしたら、繰り上げで7月に発生の脱線事故を起こした車両(おそらく14790系)の置き換えが可能性大だと思います。これが復旧したかどうかで置き換え相手が分かりそうな気がします。
下回りが50年物だから他社製の下回りを既に調達済みと考えられます!