【激ムズ】何らかの歪みは不可避?北陸新幹線敦賀延伸ダイヤを予想

スポンサーリンク

前記事では北陸新幹線が抱える東京・名古屋・大阪方面への接続によるダイヤの“縛り”の多さについてお伝えしました。

本記事では事前に公表されていた本数を基にダイヤを作成してみて、どういった構成がありうるのかを検証しています。

また、これに付随して「サンダーバード」「しらさぎ」と接続「つるぎ」の座席数の差異や臨時列車運行についても考えます。

あくまで状況から個人が推測したに過ぎませんので、ここはこうなるのではないか?この問題はどうするのだろう?など、コメント欄や各SNSでご意見・ご感想をお待ちしています。

なお、実際の時刻は例年であれば12月末にダイヤ改正概要・1月後半に春の臨時列車が公表され、これらのリリースでダイヤの全貌が明らかになるものと見られます(2015年3月の金沢延伸の事例も同様でした)。

“縛り”からダイヤを想像してみる

前記事の通り、東京駅の発着“枠”・東京駅発着列車の緩急接続・「しらさぎ」運転時刻の変更は困難・「サンダーバード」も概ね“枠”が固定される……といった数多もの制約を紐解けば、ある程度の精度で運転パターンが読み解けるのではないかと考え、2023年度の各社の運転時刻をベースにダイヤを想像してみました。

下り

クリックすると拡大できます

PDFでも閲覧できます

上り

クリックすると拡大できます

PDFでも閲覧できます

「かがやき」

定期10往復のうち上り始発「かがやき500号」下り最終「かがやき519号」を金沢駅始終着、それ以外を単純に延長してみました。

最速達列車は従来同様に1往復のみ上野駅通過となっている「かがやき509号」「かがやき514号」が担う想定です。

JR東日本管内ではある程度需要がありつつダイヤ構成に余裕のある朝9時台や20時〜21時台に東京駅を発着する列車1往復のみ上野駅通過の最速達列車にしており、回送列車や臨時列車の構成などを含めるとこの「かがやき509号」「かがやき514号」が最速達とされている点が変更される可能性は低そうです。

また、金沢駅以西に4往復運転される選択停車便については、工業都市である小松駅・越前たけふ駅は早朝・夜間に各1往復ずつ停車して滞在時間の確保を、観光都市である加賀温泉駅・芦原温泉駅は日中に近い時間帯の各1往復ずつと予想してみました。

原則として定期列車をそのまま延長としていますが、東京駅8:36発・金沢駅11:04着とされている「かがやき505号」については、後述の「しらさぎ」接続のある各停タイプの「つるぎ」と運転時刻が近接します。在来線特急の接続は「つるぎ」が担うという趣旨・輸送障害時の回復能力を考えると、少なくとも定期各停タイプ「つるぎ」の定期「かがやき」待避は極力避けたいのではないかと推測しています。

当サイト予想としては毎日運転されている臨時列車「かがやき521号」が東京駅8:12発・金沢駅10:49着となっており、こちらと入れ替えとしています。これにより速達性は劣るものの、敦賀駅直通便がの朝下り列車と概ね1時間の等間隔となります。

現行の車両運用を参考としても特段支障はなさそうです。

一方で、疑問が残る点としては東京駅から福井駅への最終列車です。

後述の名古屋・大阪からの接続がバッサリ前倒しされていることから、そのまま1時間前の「かがやき517号」でも不思議ではありませんが、廃止される「しらさぎ65号」を利用する従来の米原経由と比較して1時間程度最終列車が早まることとなります。

概要公表時に臨時列車「かがやき539号」と準定期列車「かがやき519号」の運転時刻を入れ替えるのではないか?という声が複数聞かれました。福井への最終列車が臨時列車……というダイヤ設定は利用者に混乱を招きかねないので、こちらが現実的な処理かなと感じました。

車両運用としては現行の準定期「かがやき519号」(東京駅19:24発)が定期「はくたか570号」(東京駅19:12着)の折り返し列車、臨時「かがやき539号」(東京駅19:56発)が臨時「かがやき536号」(東京駅19:44着)の折り返し列車となっていますが、非設定時は上野へ一旦引き上げ・東京新幹線車両センター入出庫を絡めた車両運用なども構成可能ですので問題はなさそうです。

「はくたか」

公表されている停車駅パターンから「はくたか」は下り6列車・上り5列車が該当します。下りは「はくたか559号」からの5列車と推定してみました。

東京駅基準では2時間運転間隔が空く一方で、需要の見込める午前中の下り列車に振れることや、軽井沢駅・上田駅に上下とも1本ずつ停車することによる乗り通し需要創出といったメリットに軍配が上がるかなと感じました。

下り臨時「かがやき」の接続を「はくたか」に担わせると予想しています。

後述の「サンダーバード」「しらさぎ」接続が「つるぎ」とされているのと同様に、下り「かがやき」の遅れを「つるぎ」に持ち込ませないような構成とすることで遅延波及を限定的に出来そうです。

また上り「はくたか」では速達「つるぎ」の接続を金沢駅で受けるものと予想してみました。

「つるぎ」は各停タイプが「しらさぎ」接続・それ以外が速達タイプとなっていますが、これを基にすると速達「つるぎ」と上り「はくたか」の運転時刻が干渉してしまいますので、先走りになるといった予想です。

更に時刻を前倒して上り臨時「かがやき」と接続する構成もあり得そうですが、各駅停車タイプ「つるぎ」が接続列車になり得る・続行運転となってしまう点から有効列車が増える方が有意義に感じました。

「つるぎ」

クリックで拡大できます
クリックで拡大できます

前記事の通り、基本的に「サンダーバード」「しらさぎ」両列車の接続を受ける列車が各駅停車型・「サンダーバード」のみに接続する列車を速達型として構成しています。

概要発表時に金沢駅始終着の速達「つるぎ」が遠近分離に反して多い点が気になりましたが、上りは日中の速達便が先述の通り「はくたか」接続列車となり金沢駅止まり・利用が多く適当な接続もない朝晩時間帯の列車が富山駅まで運転と推測しています。

金沢発の速達「つるぎ」下り1本目は6時始発制約、2本目は長野駅始発「はくたか591号」接続、3本目は「はくたか555号」・臨時「かがやき521号」(現行の505号)からの接続を受けつつ後続の「かがやき507号」から逃げ切る列車として配置しています。

夕方に大阪行き「サンダーバード」が30分間隔となる時間帯は「かがやき」の新高岡通過を補いつつ富山駅始発が速達タイプ・金沢駅時点で続行となる各駅停車タイプを配置しています。

これらの構成ですと、上下線とも無駄な列車が走らない・かつ概要通りの運転本数が配置出来ました。

金沢駅止まりが多い点への不満も聞かれる公表内容でしたが、この予想では接続列車がある列車が金沢止まり・ない列車はしっかり富山駅まで運転することで設定本数と数が合致しました。

乗り継ぎさえ目を瞑れば富山発着でも有効列車は結構な本数あるのではないかと予想しています。

このダイヤでは「つるぎ」は「かがやき」「はくたか」との混み運用は設定されないものと仮定していますが、運転頻度が従来から高い「サンダーバード82号」接続列車として記載した「つるぎ743号」の非設定時に同時刻の回送列車を設定することで車両運用数8本(うち敦賀支所停泊2・富山駅停泊1・金沢駅停泊1)で運用が可能な計算となりました。

朝晩は敦賀支所からダイヤ乱れ時の特発を設定可能な構成としています。これに加えて繁忙期を除き敦賀支所でのスタンバイ予備(すぐに運用可能な状態の予備運用)が設けられることが予想されますので、「つるぎ」は9運用+臨時列車運転分で回すことが可能と推定しています。

「しらさぎ」

前記事の通り、「しらさぎ」は従来から東海道新幹線「ひかり」の米原駅停車便との接続を前提としたダイヤ構成となっており、「しらさぎ」はダイヤに1〜2分程度の修正があるか否か……と推測できます。

「サンダーバード」「つるぎ」側が調整可能な限り接続を良くするかとは思われますが、特に北陸新幹線の6時〜24時までの制約とアンマッチな早朝・深夜帯については接続がバッサリ切り捨てられてかなり長い待ち時間が発生するものと推測できます。

当サイト予想では「しらさぎ2号」「しらさぎ51号」がこれに該当します。

「しらさぎ2号」は前後の「サンダーバード2号」の時刻を遅らせると大阪駅への最速到達時刻に影響する・「サンダーバード4号」の時刻を早めると接続の「つるぎ」を金沢駅始発とする・速達パターン2連続となるかのいずれかで、これも現実的ではありません。

さらに接続先の東海道新幹線の便を1本早めた「こだま号」とするには敦賀駅を頃に出発せねばならず、これも難しそうです。八方塞がりであり、もはや接続列車は定期では無しとされているのではないかと推測しています。

30分近い待ち時間が生じますが、金沢駅からの所要時間だけなら速達タイプゆえ極端な差はありません。途中駅からは相当不便な構成ですのでハピラインふくいの快速列車の出番となりそうです。

一方で、「しらさぎ51号」は的確な接続列車として「つるぎ」がないものの「かがやき508号」に乗り継ぎが可能です。米原駅始発で遅延するリスクが低い列車ですので、こちらが実質的な接続列車となっていても問題がないと予想しています。

現行の「しらさぎ」と「ひかり」の最速達列車は岐阜羽島駅を通過する「ひかり666号」とそれに接続する「しらさぎ16号」となっており、この岐阜羽島駅への停車・「のぞみ」通過待ちがないことが背景です。そのため、この列車への接続が新幹線延伸開業後も最速達所要時間となりそうです。

少し攻めた予想ですが、「サンダーバード44号」接続の富山駅始発速達便を使うことで、敦賀での待ち時間が増えようとも「しらさぎ16号」「ひかり666号」と乗り継ぐパターンが最速達となるのではないかと予想してみました。

全体的に既存の運転時刻の制約から、対中京圏輸送は北陸から中京圏への利用では現状同程度・逆方面の利用では敦賀駅での待ち時間が標準よりかなり長めとなり、既に指摘されている以上に悪化するものと推定されます。

所要時間・乗換回数・料金の増加などのデメリットから、拮抗する名古屋・岐阜と富山の移動経路としては高山本線特急「ひだ」のシェアも増えそうです。HC85系投入で減車された富山駅発着の「ひだ」の増強の必要性が生じる……となれば、一見すると全く関係がないJR東海でさえ新幹線延伸の影響を受けるかもしれません。

「サンダーバード」

「しらさぎ」に寄せた運転時刻とする修正が加わるものと思われます。

こちらは複数のパターンが予想されますが、当サイトでは現状の利用需要や臨時便の設定頻度から下記の通り予想してみました。

運転時刻が変わると予想した「サンダーバード」

・大阪駅→敦賀駅方面(下り)

19号(現行 大阪駅11:42発→11:12発) 臨時87号と入替

25号(現行 大阪駅13:42発→13:12発) 臨時89号と入替

27号(現行 大阪駅14:42発→14:12発) 臨時91号と入替

31号(現行 大阪駅15:42発→16:12発) 臨時93号と入替

49号(現行 大阪駅21:54発→21:07発)13分繰り下げ

・敦賀駅→大阪駅方面(上り)

6号(現行 大阪駅9:22着→9:37着) 15分繰り下げ

22号(現行 大阪駅15:05着→14:37着) 臨時86号と入替

24号(現行 大阪駅16:04着→15:37着) 臨時88号と入替

48号(現行 大阪駅22:31着→22:38着) 7分繰り下げ

基本的には臨時便と定期便を入れ替えることで処理しています。

「サンダーバード49号」は現行の大阪駅からの金沢最終接続となる「しらさぎ65号」利用から滞在時間が短くなるため、「しらさぎ63号」に合わせたダイヤとしつつ現行の富山最終接続も維持するために繰り下げと予想しました。

「サンダーバード6号」は「しらさぎ52号」に接続列車を統一しつつ、前後列車との運転間隔を揃えてるため繰り下げ、「サンダーバード48号」は「しらさぎ64号」(現行66号)に寄せつつなるべく利用が見込める早めの設定とするため半端ながら7分の繰り下げとそれぞれ予想しています。

「能登かがり火」

現行ダイヤで対東京接続・対名古屋,大阪接続双方とも程度意識されており、運行間隔なども特段大きな変更なく設定されるのではないかと予想しています。

車両運用としては3両編成2本で回すことが可能な構成で、2023年3月改正以後も金沢に残り続けている683系2000番台リニューアル車が活躍することとなりそうです。

臨時「かがやき」・増結時の対応を考える

全体を通じて気になる点として、繁忙期の輸送体系です。

全く設計思想が異なる新幹線・在来線特急の乗り継ぎとなるため、2列車からの接続を受ける列車を含め同程度の座席数を供給する必要があります。現在の座席数は下記の通りです。

E7系・W7系 座席数比較

号車自由席普通車指定グリーン等1号車2号車3号車4号車5号車6号車7号車8号車9号車10号車11号車12号車
座席数489883988388529883986318
かがやき082981指定指定指定指定指定指定指定指定指定指定グリーン車グランクラス
はくたか32750281自由自由自由自由指定指定指定指定指定指定グリーン車グランクラス
あさま41041981自由自由自由自由自由指定指定指定指定指定グリーン車グランクラス
現行つるぎ32722363自由自由自由自由指定指定指定(指定)××グリーン車×
自由席1-649833181自由自由自由自由自由自由指定指定指定指定グリーン車グランクラス
自由席1-541041981自由自由自由自由自由指定指定指定指定指定グリーン車グランクラス
荷物スペースやバリアフリー設備の拡充により座席数が減少した、近年製造された編成で算出しています

「サンダーバード」「しらさぎ」座席数比較

「サンダーバード」は683系4000番台9両編成+683系0番台または681系3両編成、「しらさぎ」は683系0番台+683系0番台と仮定しています。

臨時便の接続を纏めて受ける場合も想像されるため、最大値となりそうな3列車分の座席数まで算出しています。

自由席普通車指定グリーン車
サンダー12両20048632
サンダー9両20031432
しらさぎ9両18831236
しらさぎ6両13218636
サンダー12+しらさぎ938879868
サンダー12+しらさぎ633267268
サンダー9+しらさぎ938862668
サンダー9+しらさぎ633250068
サンダー24+しらさぎ95881284100
サンダー21+しらさぎ95881112100

通常期は「サンダーバード」9両と「しらさぎ」6両の座席数が概ね合致していることから、「しらさぎ」接続も受ける「つるぎ」は「はくたか」同様の自由席1〜4号車構成と想像されます。

「サンダーバード」のみの接続を受ける「つるぎ」は、「サンダーバード」が9両であれば「つるぎ」自由席1〜6号車、12両に増結されている場合は「つるぎ」自由席1〜4号車とすることで指定席の供給数が概ね合致します。こちらを増結する分には接続する新幹線は指定席区画拡大のみで対処可能であり、所要時間でも優位となることから「サンダーバード」増結はこちらがメインとなりそうです。

臨時「サンダーバード」の増発や定期列車の増結は引き続き実施されるものとみられますが、これらの対応は予想が難しいところです。

特に「かがやき」臨時便を敦賀駅まで延長することで対処するのか、「つるぎ」臨時便で対処するのかでダイヤ構成が変わってきそうです。

「かがやき」臨時便が接続列車の場合は、大阪からの「サンダーバード」自由席旅客に接続列車の切符を買ってもらう必要があり敦賀駅での乗継時間では不可能・湖西線迂回での遅延リスクは臨時便も同様・現行設定時刻ベースで運転時刻が大きく異なるなどの条件から、少なくとも大阪→敦賀→金沢方面は「つるぎ」で補うのがメインと予想しています。

従来通り臨時便は全て各駅停車タイプとするのか否かも不明で、どちらでも設定可能そうな列車もあるなど一長一短に感じました。

一方で、金沢→敦賀→大阪方面については、臨時便の設定時刻が定期「かがやき」「はくたか」の接続を綺麗に受ける可能性が高いこと・新幹線から在来線への乗継の方が遅延リスクが少ないことから、山陽新幹線のような東京からの直通需要と重なる場合のみ「かがやき」・富山や金沢以西のみ需要がある日に同時刻の速達「つるぎ」といった使い分けをする構成が一番綺麗な印象を受けました。

「しらさぎ」は利用が現状よりは少なくなるため、従来最繁忙期のみ設定されていた臨時便は出さずに増結で済ませることとなりそうです。

どこかに歪みは生まれそう

総括としては、現状の“縛り”が多すぎてどこかしらに“歪み”が生じることは避けられない印象でした。

他にもダイヤ予想をしているファンの方も多くいらっしゃるかと思いますが、制約の多さから納得のいくものを想像するのは難しいのではないでしょうか。

JR東日本としては金沢駅以西への需要が多少増えようと従来通り日中の臨時「かがやき」の定期列車化をする意思はなし・でも東京発着も1時間間隔程度で設定したい、JR両社ともに列車密度の濃い大宮駅以南・京都駅以西へ遅延を波及させることを避けたい……といった意向がありつつ、路線が抱える“縛り”によってどこかしらかの歪みが生まれていることが想像できます。

九州新幹線・西九州新幹線の部分開業とも、東海道・山陽新幹線の直通運転とも異なる興味深い輸送体系となりそうです。

何よりこんな制約だらけでどう組もうと詳細発表後に何らかの批判は避けられない本職の“スジ屋”の方々の苦労を考えると同情の念を抱きます。

ダイヤ構成の全貌を掴むためには定期列車時刻が公表される12月後半ではなく、春の臨時列車が公表される1月後半を待つこととなりますが、新たな情報解禁が楽しみです。

関連記事

コメント