【北神急行】北神線が6/1に神戸市営へ“市営化”・阪急直通構想は立ち消え?

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2020年6月1日、北神急行電鉄北神線が神戸市営地下鉄北神線に“公営化”されます。これにより、運賃の値下げだけでなく、神戸市内の運行体型が大きく変わりそうです。

また、阪急神戸本線と神戸市営地下鉄との相互直通運転の計画でも動きがありました。当記事では地元目線で神戸市営地下鉄に関連する話題を解説します。

北神線の公営化により神戸の交通はどう変わる?

3月4日、神戸市と北神急行電鉄、神戸高速鉄道は北神急行市営化に関する鉄道事業の譲渡が国土交通大臣に認定されたことを発表しました。これにより、北神急行北神線は6月1日から神戸市営地下鉄北神線として営業を開始します。

北神急行北神線は神戸市中央区の新神戸と北区の谷上を結ぶ全長7.5kmの路線です。

神戸・三宮エリアの象徴でもある六甲山の西側を南北方向に縦貫するという特異な建設経緯から、路線の大半はトンネルで占められており、トンネル内はアニメのような仕掛けがあることでも知られています。

北神急行北神線は神戸市営地下鉄西神・山手線と相互直通運転を実施し、谷上駅で神戸電鉄有馬線と接続します。神戸の中心地である三宮~谷上間の所要時間は約10分なので、本来なら多くの乗客で賑わってもいい路線です。

しかし、北神急行北神線には高額な運賃という致命的な欠点がありました。

特に会社跨ぎとなる三宮~谷上間の運賃は550円(2020年3月現在)になります。

新神戸~谷上間の昼間の車内は空いている一方、三宮~神戸北町(北区)を結ぶ神戸市バス64系統はいつでも混雑しています。所要時間は地下鉄三宮駅前~箕谷駅前(神戸電鉄)間が約20分、神戸北町までが約40分です。運賃は地下鉄三宮駅前~箕谷駅前間が450円、神戸北町までが500円です。

市営化に伴い、三宮~谷上間の運賃はおよそ半額となる280円になります。

利用者の最大のネックが高額な運賃設定にあったことは想像に難くありませんので、今後の大躍進に期待したいところです。

余談ですが、初乗り額360円として日本一(観光路線を除く)という不名誉な状態も解消となります。

観光路線などの特殊な路線を除外すると、この座は横浜シーサイドライン・東海交通事業城北線の230円が継承することとなりそうです。

また、谷上駅から神戸北町地区を結ぶ路線バスの新設も検討していることが発表されました。

人気を博している64系統は減便、神戸北町~谷上駅に新たなバス系統を新設する可能性があります。神戸市としては現在の都市直行型バス輸送から地下鉄とバスを組み合わせた輸送体型にしたいのでしょう。6月1日は地下鉄のみならず、神戸市バスのダイヤ改正にも注目したいところです。

阪急と神戸市営地下鉄との相互直通運転構想は仕切り直し

もうひとつの話題が阪急神戸本線と神戸市営地下鉄西神・山手線との相互直通運転の計画です。相互直通運転は阪急が積極的に進め、神戸市が応じる形で2018年度に検討を開始しました。計画では三宮地区、新神戸駅周辺、新長田地区のいずれかの場所に接続地点を設けることを想定し、運賃や需要予測などを調査してきました。

神戸新聞によると3月5日、神戸市と阪急電鉄は三宮地区での接続について「投資に見合う効果が望めない」という結論を出していたことがわかりました。これにより、阪急と神戸市営地下鉄との協議は仕切り直しすることになります。

神戸市内はJRや阪急、山陽などの東西交通が発展しており、相互直通運転を実施したところで事業費の回収が望めないと判断した模様です。今後、相互直通運転の構想自体は撤回しないものの、交流人口の増加や社会環境の変化を見ながら再検討の時期を探るとしています。

神戸市は西神・山手線の名谷駅や西神中央駅などの周辺で2024年までに1850戸の民間マンションを整備する計画です。整備後、人口増加などの変化があれば再び相互直通運転の協議がスタートする可能性もあります。

相互直通運転の計画は立ち消えになるのでは

一神戸市民から考えると、今回の打ち切りで阪急と神戸市営地下鉄との相互直通運転の構想は立ち消えになると予想します。もともと阪急側はやる気満々でしたが、神戸側はいたって消極的でした。やはり接続地点の経済的、技術的課題が山積しているようです。

三つの接続地点のうち、最も利便性が高いのは三宮地区だと思います。新神戸周辺だと迂回するような形となり、神戸三宮~大阪梅田間の所要時間が延びてしまいます。一方、長田地区だと神戸高速線との兼ね合いを考えなくてはなりません。三宮地区での接続を断念することにより、他の二案を採用することは議論の流れから「ない」と思います。

そもそも、神戸市は中心地である三宮が単なる通過駅になることへの不安があるように感じます。現在、三宮周辺は大規模な再開発が進んでおり、市としては三宮の発展に水を差すようなことはしたくないのでしょう。

一方、市営地下鉄沿線にある大規模団地の人口減少が続いています。隣の明石市による子育て政策の充実もあり、神戸市自体の人口が減り続けているのが現状。報道では名谷駅や西神中央駅周辺で人口増加を期待する声があるようですが、神戸市民からすると「厳しいのでは」というのが正直な感想です。

大きな変化がない限り、今後、神戸市営地下鉄は谷上~西神中央間の運行に終始し、阪急は従来どおり神戸三宮~大阪梅田間の開発に注力することでしょう。

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