【35年間も放置】大宮駅の幻の「12番線」線路が撤去・配線改良か

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埼玉県最大のターミナルである大宮駅は、その長い歴史の名残で現在も膨大な線路が存在しており、鉄道の街を名乗るのに相応しい鉄道駅です。

JR東日本大宮駅には旅客案内がされていない線路がたくさん存在しており、5番線・10番線・12番線という名称は使用されていませんが、5番線は上り列車・10番線は下り列車が回送・貨物・試運転などで昼夜列車が駆け抜けています。

唯一使われていなかった12番線について、最近新たな動きが続いています。

元々は川越線ホーム

大宮駅の11番線は湘南新宿ラインの北行(宇都宮線・高崎線直通列車)が日常的に使用していますが、この11番線・12番線(第5ホーム)は元々川越線が使用していたホームでした。

新幹線の都心乗り入れの見返りとして埼京線が開業するまで、川越線は大宮駅から川越駅を経由して高麗川駅まで運転される非電化路線でした。

都心から比較的近くを走る路線としては珍しい非電化路線となっていましたが、埼京線の車庫が南古谷駅周辺に用意されることとなり、これに関連して埼京線の列車が川越まで直通・川越駅以西は短編成の列車が八高線南部との直通運転を基本とする現在の体系に生まれ変わりました。

埼京線のホームは2面4線で地下に建設されることとなり、このホームには新幹線の13番線〜18番線の続番となる19番線から22番線が付与されました。

このため、従来川越線の発着に使用されていた現在の11番線・12番線は役目を終え、しばらく眠りにつくこととなります。

(なお、使途が無くなることを見越してか、1980年代前半に配線改良が実施されており、それまでは11番線も回送線(ホームなし)・12番線と13番線が川越線ホームとなっていました。)

その後はかつての品川駅7〜10番線同様にイベントなどで使用されるホームとして使用されていましたが、1988年から宇都宮線・高崎線の列車が大宮駅以南で貨物線を走行する形で池袋発着の運転を開始。

この際、貨物線の南側から大宮駅8番線に進入できないことから、11番線に再び活路が見出されました。15両編成に対応する構造となり、これが現在の湘南新宿ラインが11番線を使用する体制まで続いています。

一方で、12番線についてはこれといった活用方法もなく、ホームは当時の川越線気動車の最大長だった7両編成分のまま今日まで放置される日々が続いていました。

12番線の線路撤去の理由は?

まるで使用されている線路のように遮るものがなかった12番線にも、2020年にようやくフェンスが設置されました。安全対策としては遅すぎる印象さえある一方で、13番線と呼ばれている線路にはJR東日本の大宮総合車両センター・JR貨物の大宮車両所に入出場する車両の発着があり、日々様々な車両を眺められる場所でしたので、ファンにとっては残念な出来事となってしまいました。

そして、2021年に入り、12番線の線路・枕木が剥がされて更地状態となっています。

単純に使わない線路を剥がしただけという可能性もありますが、新たな線路を敷き直して何らかの再整備する準備として行った可能性自体は否定できません

最近話題のワーキングスペース車両の長時間留置などが面白そうですが、これは発着列車の少ない3番線や7番線の活用で十分ですし、そもそも新設するくらいであれば鉄道車両ではなく建造物を建てた方が遥かに安上がりです。

筆者個人の推測としては、併設されている大宮総合車両センターの改修に関連があるのではないかと考えています。

現在のJR東日本では、209系以降の「新系列電車」が主力となっていますが、JR東日本では今後、これらの車両に最適化した車両メンテナンス体制の構築が模索されている最中です。

「ミライの車両サービス&エンジニアリング構創」のなかで、管内の定期検査を担っていた各地の総合車両センターが用途分けが検討されていることを複数の労働組合が報じています。

車両センター再編構想(在来線のみ抜粋)

東京:長編成ステンレス車両

大宮:特急車両・長編成ステンレス車両・イベント車両等

長野・秋田:短編成ステンレス車両

郡山:部品メンテナンス主体

これに沿えば、大宮総合車両センターと東大宮センターについても何らかの設備更新が実施されることとなります。

他のセンターがステンレス車両に特化した刷新となりそうですが、大宮については様々な機能を引き続き維持することとなります。

労働組合資料では「東大宮に建設予定の最新鋭の総合車両センター」というワードも記載があり、既に東大宮は新系列整備(指定保全)をやっていることから、大宮ではなく東大宮がメインの拠点となるかもしれませんので、完成予想図が思い浮かびません。

塗装設備などを維持する必要がある特急車・特殊な整備が必要なイベント車両・事業用車両などは引き続き東大宮ではなく大宮でやるのかが定かではありませんが、少なくともステンレス車両で検討されている編成を組んだまま整備ができるマルチ検修ラインを大宮に設けるのであれば、現在編成を崩して留置している大宮駅付近の構内配線は大きく変更されることとなりそうです。

大宮駅の歴史の生き証人だった12番線。今後新幹線・埼京線ホーム番号をわざわざ振り直すとも考えにくいですので、何らかの“鉄路”としての復活に期待したいところです。

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コメント

  1. ローキー より:

    理想的に言うと大宮駅「12番線」は11番線を補完する目的で湘南新宿ライン列車を中心とする下り列車用に整備されるべきでしょう。
    最大の課題は輸送障害時発生時にあります。高崎線もしくは宇都宮線の大宮以北で輸送障害が発生して11番線で湘南新宿ライン列車が長時間抑止されることは此れまでにも多くあります。
    ご存じのように高崎線と宇都宮線の湘南新宿ラインはほぼ交互に運転されているので、そのような状態になると後続列車は輸送障害路線と関係ないにも係わらず11番線に入線出来ないので機外停車や手前の浦和駅で抑止となり最悪の場合は浦和駅で一旦乗客を降ろして回送扱いにして大宮操車場の待機線に収容する処置が取られます。そして11番線開通後に据え付番線けして再度客扱いする場合もありますし、回送扱いのままで10番線(ホームなし)経由で大宮以北に行く場合もあります。
    いずれにせよ、大宮駅が両線で輸送障害が発生すると大混雑になるのは毎度のことですので「12番線」を長年全く使わない状態にしておくことに疑問を感じます。