東武スカイツリーライン・伊勢崎線を駆け抜ける東武200系列が1991年2月1日にデビューしてから30年が経過しました。
急行列車として運行していたりょうもう号の高速化とサービス向上の使命を担って登場した200型ですが、登場が早い100系より先に置き換えの動きが始まっています。
東武200型と250型
東武鉄道では、伊勢崎線の優等列車として運行していた1800系の急行りょうもう号を代替するため200系(200型)を9編成導入しました。
この当時の東武鉄道では走行機器を旧来車両から流用・車体のみ新造とされた事例が非常に多く、この200系についても100系“スペーシア”導入で余剰となった1700系・1720系“DRC”(デラックスロマンスカー)の走行機器を流用する体系が採られています。
この代替は1990年から1998年にかけて少しずつ実施されており、200型が1700系・1720系の総数となる9編成54両の機器流用となりましたが、10編成目については種車がなくなったため、同時期に新造車両として増備が進められていた30000系と同等の走行機器を新造した250型として1998年に増備されています。
このため、走行機器50年越えの編成と、完全新造編成はまだ23年と大きく差が開いています。
200型の運行開始は1991年2月1日ですが、車両投入・代替がゆっくりと進んだため、全編成の投入が完了して特急化がされたのは1999年です。
置き換えられた1800系は通勤車として4両3編成、優等列車用に300型6両2編成・350型4両3編成、そしてその他の臨時列車用にラストナンバーの1819Fはそのままの姿で活躍を続け、置き換えが進められた現在は350型が運用離脱後に留置されている以外は解体されています。
置き換えは“リバティ”で実施か
さて、2020年6月のダイヤ改正にて、500系“リバティ”の増備車が運行を開始し、200系りょうもう号の運用を1運用分代替しています。
2020年12月には、長期間休車となっていた201Fが渡瀬北留置線(旧:北館林荷扱所)に回送されています。同所は資材管理センター北館林解体所という事業所名があり、東武鉄道で使命を終えた車両のほか、関東一円の私鉄・地下鉄車両の“墓場”となる場所です。
201Fについては現時点で解体こそされていないものの、ダイヤ改正での運用持ち替えを考えれば置き換えがされたと記して差し支えがなさそうです。
今後の東武鉄道の車両増備については明らかにされていませんが、これまで500系の製造を行っていた川崎重工業兵庫工場では同形式に似た構体の目撃情報が複数あり、500系は来年度以降も増備して本格的に置き換えを進めるのではないかという見方もあります。
車体自体も製造から30年程度経過していますが、それ以上に走行機器は1960年から60年以上使用され続けている骨董品です。
どんなに構造が最近の車両より単純で長持ちすると言えど、保守の手間を考えればいつ置き換えが始まっても不思議ではありません。
以前の中期経営計画でリバティの増備が触れられていましたが、2020年度導入分以外にも次年度以降の動きがあるかもしれません。
1819Fの二の舞……?251Fの処遇
さて、上記のように床下機器などの老朽化で置き換えが進められる可能性がある200系列。
置き換えが本格化したと仮定した場合、やはり課題となるのは車齢の浅い250型251Fの処遇があります。
これまで述べてきたように、走行機器を流用した9編成は床下機器の補修が困難であり、何らかの形で予備品を確保するか、代替をするかが考えられます。
同様に大半の車両が走行機器流用・ラストナンバーだけ同世代車両に似た新造機器を採用という事例が西武10000系“NRA”でありました。こちらは池袋線運用分を置き換え、新宿線では継続利用とされました。
東武鉄道についても同様の動きとなれば、車両導入数を抑えつつ予備部品を確保でき、車齢の浅い251Fの継続使用も可能となります。
一方で、500系の増投入で形式数削減を行う場合は、この251Fを持て余す格好となります。
先代の急行りょうもう号についても最も車齢が若かった1800系1819Fも団体臨時列車・臨時快速などでしばらく余生を送る動きがあり、251Fの用途としては先代同様とされるが最も考えやすいところです。
ただし、東武鉄道では東武博物館所有となっている8000系8111F・634型スカイツリートレインがこれらの任務を担っているものの、どちらも活躍の場は限られている現状です。
車両の世代としては30000系に近い車両ですが、用途がなくなって解体となる可能性もゼロとは言い切れません。
昨今の鉄道車両では、電子機器の寿命から機器を載せ換えて引き続き利用する事業者が非常に多い印象ですが、東武鉄道で走行機器を変更した例は非常に少なく、10030型で2編成となっています。予備品確保の色合いが強かったようで、他編成には波及していません。
最近リニューアルが進められている20000系列についても、中間電動車を解体して予備部品を確保しているのか、車体・内装のリニューアルは行いつつ走行機器はそのままとされています。
これらの動向を踏まえると、製造以来走行機器のリニューアルをしていない30000系の予備部品を捻出するために251Fも一緒に置き換えてしまう……動き自体は不思議ではありません。
車齢の浅い特急車ということで何らかの活用に期待したいですが、まずは現状活躍している200系列の活躍をしっかり記録しておきたいですね。
コメント