【事業用新形式】JR東日本GV-E197系が新潟トランシスを出場・砕石輸送牽引か

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JR東日本では、電気機関車・ディーゼル機関車牽引の列車を削減することで、省力化を進めていました。

このうち、工事用臨時列車(レールや線路のバラスト)については専用の事業用車両の投入を行っています。
レール輸送用のキヤE195系に続き、新潟トランシスから新型事業用気動車「GV-E197系」2両が落成、2021年1月17日に陸路にて新潟東港鉄道藤寄駅まで搬入されています。

本車両の複雑な登場経緯とともに、長らくファンを賑わせた新造車両の外観から分かる特徴を掘り下げます。

JR東日本の機関車事情と新型車両導入

写真:在来のバラスト輸送イメージ(撮影列車は廃車配給)

JR東日本の電気機関車・ディーゼル機関車の用途は幅広く、ブルートレイン時代からの客車列車牽引のほか、蒸気機関車の回送や補機、遠方拠点間の車両輸送、そして今回話題となる工事用臨時列車の牽引がありました。
工事用臨時列車は、保線作業のためにレールやバラスト(線路の砕石)を目的に運行される列車で、保守用の機械とも貨物列車とも似て非なる列車です。
国鉄時代からこれらの列車は旅客列車担当部門の仕事だったため、国鉄分割民営化でも旅客会社に機関車のほか、レール輸送用貨車(いわゆるチキ)・砕石輸送用貨車(ホキ)が継承されています。

ブルートレイン衰退と前後する形で、JR各社では機関車牽引列車の削減が進められてきました。

機関車の運行は電車・ディーゼルカーと免許こそ同じながら取り扱いが大きく異なること、先端に動力車がある関係で折り返し作業時には機関車を付け替える「機回し」が必要であることなどが背景に挙げられます。

また、機関車や貨車自体も国鉄譲りのものを使用していたため、老朽化の課題もありました。

これらの課題に真っ先に取り組んだのはJR東海で、2008年にレール輸送用気動車キヤ97形を導入。長さ25mの定尺レール用・200mのロングレール用が開発されています。

バラスト輸送はトラックに転換することで、2009年3月のブルートレイン富士・はやぶさ号、翌月の団体臨時列車を以って貨物列車を除いた自社管内の機関車淘汰を実施しています。

なお、特殊な牽引用途もこの気動車で実施しており、リニア鉄道博物館への搬入などで実績があります。

さて、JR東日本でも同様に工事用臨時列車の置き換えが検討され、小牛田運輸区内にプロジェクトチームが立ち上がりました。

こちらではレール輸送の代替のため、先述のキヤ97形に耐寒耐雪対応などを実施したキヤE195系が製造されました。外観などもキヤ97形そっくりであるほか、JR東海の子会社となった日本車両製造が製造しているなど、個性的な車両となりました。

2017年末には量産先行車が投入されて翌年からJR東日本各地で試験が進められていたものの、道中で故障して置き換え対象だったはずの機関車に牽引されるなど、不安定な動きを繰り返していました。

2020年4月から量産車が相次いで製造・落成しており、組合資料で投入予定数となっている110両のうち、ロングレール輸送用を除いた大半とみられる数が既に落成済です。

一方のバラスト輸送については目立つ情報がなく、ファンの間でも様々な憶測が飛び交っていました。キヤE195系の続番であるGV-E197系を想像していたファンが多かった印象です。

増備が続くレール輸送用キヤE195系

秋田車の試運転が新型車両投入の布石?

2020年後半より、秋田エリア向けのGV-E400系が八高線で試運転を続けています。これ自体は新しい踏切システムの試験とされていますが、在来のキハ110形を使わずに他線区向けかつ当時はデビューをしていないGV-E400系秋田車を使用する動きは意外なものでした。

そして、高崎エリアの今後について、八高線にGV=電気式気動車を投入する可能性があることのほか、小野上を拠点に運行されている高崎支社管内のバラスト輸送について、GVによる牽引を検討している旨が組合資料のみに記されていました。

これらの動きから、JR東日本ではすべてのバラスト輸送をトラック転換とはせず、新しい車両による牽引が検討されている可能性が色濃くなっていました。ただし、その後も目立つ情報は出てこず、複数のファンによって新潟トランシス内で黄色い新造車両があることが触れられていた程度で、ファンによって様々な憶測が飛び交っていました。

新型事業用気動車を見る

今回落成したのは、GV-E197系のGV-E197-1・GV-E197-2の2両です。編成番号が貼られており、2両ともにTS01となっています。編成番号・車号が先頭に大きく記されており、撮影するには嬉しいところです。

まず、形式区分が意外に感じる方も多いかもしれません。最近のJR東日本の新系列世代では、百の位が1が液体式気動車・2と3がハイブリッド気動車・4が電気式気動車でした。

これまでが単純に登場順に振っていただけで今回もキヤE195系の連番としたのか、はたまた別の意味があるのから不明ですが、これまでの百の位の付番を覆すこととなりました。

一方で、十の位が9は国鉄時代から試験車・試作車に割り振られており、JR東日本では先述のキヤ195系のほか、検測車East-i Dのキヤ193系にも使用されていることから、事業用区分としても妥当です。

車両外観としては、それぞれが両運転台車両となっており、先述のように従来の機関車牽引列車のような気動車による牽引・またはプッシュプルを想定しているものと思われます。特に両運転台ながら同一の編成番号となっていることから、GV-E197系は2両1ペアとしての使用が考えられます

また、箱型の外観から分かるように、この車両自身はバラストを積載することは出来ない構造です。

JR貨物のM250形スーパーレールカーゴや先に登場しているレール輸送用気動車のように動力車に積載が可能な構造だと面白そうでしたが、無難な仕上がりとなりました。

前面形状についてはシンプルなデザインながら、JR東日本の最近のトレンドを取り入れてなかなかカッコいい外観に感じます。

テールランプと見られる下側のライトは東急電鉄の事業用車・TOQ iのような印象です。前面だけを見ると201系を現代版として製造したかのような、どこか懐かしい印象で人気が出そうです。

前面~側面の帯色はキヤE195系同様の帯色にJR東日本のコーポレートカラーの緑となっています。機器室が大きいため、武骨な印象を受ける_側面構造は保線用車両のような不思議な印象です。

JR東日本の特殊用途車両としては久々の新規設計車両となっており、同社の拘りも随所に感じます。

目立つ箇所としてはJR東日本の特殊用途車両でおなじみの双頭連結器を装備しています。

この双頭連結器は、自動連結器(一般的な機関車・客車・貨車などが該当)と密着連結器(JRや私鉄の多くの電車で採用)双方が使える連結器です。この双頭連結器は一見万能そうに感じますが、双頭連結器同士での連結はほぼ不可能です(密着側であれば一応可能だが、解放が煩雑であるため避けられる)。

2両編成の重連などが日常化しそうなキヤE195系で不採用となったことも納得でしたが、この車両は両側が密着連結器となっています。

両車の両側が双頭連結器となっており、甲種輸送で機関車との連結面となる反射板掛けがある側は自動連結器モード、編成間に入る側が密着連結器モードとなっています。(公開当初片側が自動連結器と記しましたが、明るくなって再確認したところ誤認でした。お詫び申し上げます。)

実運用では貨車などを挟み込む使い方が基本となるのでしょうか。この点については疑問が残ります。

このほか、キヤE195系の数少ない独自機構となっていた、屋根上の作業灯はGV-E197系にも継承されています。ツノのような出立ちでよく目立ちます。

そして、気になる配置区所ですが、車体表記に「高タカ」。高崎車両センターとなります。

保安装置はATS-PとPs双方に対応しています。ATCなどには対応していませんね。

前面がなんとなくのっぺりした印象ですが、こちらは気動車設計の足回り高さと狭小トンネル対応の屋根高さの制約なのではないかと推察しています。車体長も長めに感じます。足回りなどの部品単位では共通なのかもしれませんが、類型の車両が見当たらず、結構手間がかかっているように思えます。

車高・車体長のいずれも正確な寸法は特殊貨物検査(JR貨物による甲種輸送前の検査)が済めば判明しそうです。

陸路での醍醐味である吊り上げも行われ、この直前に走行機器類がお目見え。GV-E400系と共通部品が多いのでしょうか。

側面窓には新潟トランシスのロゴマークも貼り付けられていました。側面カラーはいわゆる“キムワイプ”の2次新潟色・E127系に似ていますので、NIGATAロゴもよく似合います。新潟エリアでの活躍も見てみたいところですね。

【新型事業用気動車】GV-E-197系2両が新潟トランシスから陸送

配給輸送牽引車は別個で開発?

写真:配給輸送の例(251系廃車配給)

JR東日本管内ではこの工事用臨時列車のほか、新型車両や遠方の車両工場への入出場のため、“配給列車”が機関車牽引で運行されています。

同社の事例では甲種輸送と異なり自社の機関車・乗務員の運行であるほか、回送列車とも扱いが異なり、こちらも誤用されやすい列車です(さらに現在は会社によって定義が異なります)。

これらの用途に現在、直流の山岳線区向けのEF64形は1030,1031,1032号機、交直流機のEF81形は134,136,139,140,141の合計8機が用意されており、先述の双頭連結器を両側に装備しています。

このほか、最近製造される車両のほとんどが採用している電気指令式ブレーキ読み替え装置を搭載しており、電車側のブレーキを作動させています。この関係で、電源の問題がなければ電車側のパンタグラフを上げて走行する場合もあります。

JR東日本管内では、定期検査は最寄りの総合車両センターで実施しているものの、機器更新や転用などの改造の場合は遠方の車両センターへ輸送する事例が多く存在します。

仙石線の205系のように、双頭連結器非搭載機の事例もあり、運行範囲・設定回数は多い印象です。

これらの機関車牽引列車のメリットはいくつかありますが、特に上越線や中央線といった山岳線区の峠越えを機関車の力で克服できる点があります。

一見すると電車の自走の方が効率が良いようにも思えますが、十年に一回の用事のために車両側の走行性能を高め、普段使わない電源(交直流対応のコストが高い)・保安装置(最近は増加傾向)に対応させ、さらに各路線の乗務員に事前の訓練を行うなどのデメリットがあります。

今回登場した車両が配給輸送も担当するか否か……という点については現時点では不明瞭です。

この車両が電車の動力と協調できない場合、10両程度の通勤型・特急型電車を従えて上越線・中央線などの山岳線区を越えなければなりません。

筆者は専門ではありませんが、ブレーキシステムも砕石輸送用の貨車から電気式気動車、そして首都圏の主要な電車全てに対応させるとなると、なかなか設計が複雑になりそうです。

以上の背景を考えると、今回落成した事業用気動車は配給列車には不向きと言わざるを得ません。筆者個人としてはE491系East-i E、牽引用途としては国鉄クモヤ143系以来の電車牽引車=「クモヤ」が今後登場するのではないかと推測しています。

同様の見立てをしている方も多く、既に「スーパークモヤ」と呼んでいる方も見かけます。

尤も、このGV-E197系が東京側に連結して牽引すること自体は、車両側の出力さえあれば問題とはなりません。現状としては「何とも言えない」状態で、新しい情報が欲しいところです。

いずれにせよ、2008年度にJR東海が自社の機関車を一掃しましたが、JR東日本についても全廃とは言わずともかなり近い動きになるのではないでしょうか。

今後の新型車両の動向が楽しみな反面、ファンがかなり多い電気機関車・ディーゼル機関車の終わりが見えてきたのかと思うと切ないところです。

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