【京浜東北線に新型】E235系?E237系?ワンマン化と車両代替報道を考える

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2020年6月27日の夜のニュースとして、京浜東北線に新型車両を導入することで、京浜東北線にてワンマン運転を実施する旨が各メディアにより報じられて話題を集めています。

昨今のJR東日本の動向とともに、ファン目線で気になる点を掘り下げていきます。

ドライバレス・ワンマン化に熱心なJR東

JR東日本の中期経営計画(最新版は変革2027)でも列車運行以外にも施設・信号通信などの幅広い領域でAI・IoTなどの技術革新を受けた「ミライ構創」実現に向けたチャレンジについて触れられています。

なかでもここ数年具現化している動きとして、2018年〜2019年に山手線などのドライバレス(運転士資格のない保安要員のみでの列車運行)試験を行うなど、将来のドライバレス・ワンマン化を目指すものがあります。

従来から全国的に実施されている地方線区の短編成ワンマン列車に加え、最近の地下鉄などで実施されている都市型ワンマン方式などを積極的に採用する動きです。

JR東日本内部では、短編成ワンマン(1〜2両)・中編成ワンマン(3〜6両)・長編成ワンマン(7両〜)と3つに大別し、さらにそれぞれの路線事情を総合的に判断することで実施路線・対応方法などを策定する動きとなっていたことが各労働組合によって報じられていました。

JR東日本初の「長編成ワンマン方式」

2020年3月改正では、東北本線黒磯駅〜新白河・白河駅間について、E531系3000番台5両編成に「安全確認カメラ」を搭載した中編成ワンマン運転が始まっています。

この「安全確認カメラ」による「車両完結型」システムは209系多目的試験車=mue trainで試験を実施したのち、E531系K552編成で試験設置、その後現在の量産品が登場しています。

これらは中編成ワンマンで採用することを目的に開発されていたもので、長編成ワンマンでは異なるものを使用する計画となっていたようです。

過去の組合資料では長編成ワンマン実施にあたり、ホームドア設置・ATO(自動列車運転装置)またはTASC(定位置停止装置)の整備・異常時に指令〜客室間の通話機能の整備とともに、駅ホームにカメラを設置・電波で運転台モニターに送信する「ミリ波伝送式」の採用を前提としていたことが記述されています。

中編成ワンマンで使用する「車両完結型」の試験結果を踏まえてか、整備コストの低減効果が期待できる車両完結型のシステム採用の方向に変更されたものと考えられますが、長編成ワンマンでの車両完結型採用は報道が初出となるため、今後の続報が待たれるところです。

まだまだ反対意見・慎重論も根強い……

新技術・新形式と興味深い話題である一方で、安全面・異常時対応などに疑問を感じる方も多いのではないでしょうか。

JR東日本内部でも現場からの反対意見・慎重論が強いことが各組合の記述にあるほか、既にJR東日本が実施してきた早朝夜間の駅無人化やみどりの窓口削減・特急列車の車掌1名化などは利用者にとっても利便性低下もありました。

利用者から疑問・批判の声が出てくるのは妥当なところですので、初の長編成ワンマンでの安全性確保・異常時の旅客対応などで理解を得られるかが賛否を分けることとなりそうです。

一方で、少子高齢社会を見据えて最新技術の活用で運行コストを抑えることは、中長期的に見れば地方線区の利便性維持などで必要となってくることでしょう。むしろ、JR東日本が莫大な費用をかけて開発した技術により、更に経営が厳しい鉄道会社を救うことになるかもしれません。

まだまだ利用者・現場職員の理解を得ることは難しいところですが、昔から挑戦的な社風のJR東日本。新たなチャレンジを見守りたいところです。

E235系2000番台?3000番台?それともE237系?

ファンとしては、新型車両という曖昧な報道から、E235系の更なる増備が実施されるのか、それとも新たな形式が登場するのかという点がやはり気になるところでしょうか。

長編成ワンマン向け初の新造車でこそあるものの、報道されている内容自体は既に採用されている技術を複合させるのみとなります。

技術的には、既にE531系で採用されている安全確認カメラと、山手線で試験が実施されたATO(自動列車運転装置)の組み合わせとなりそうです。

在来のE235系での増備での対応自体は十分可能とも考えられますが、短編成〜中編成ワンマンの標準車両として新規開発されたE131系のように、標準設計として新たな形式が開発される動きがあっても不思議ではありません。

特に最近のJR東日本が上記のように最新技術による省力化に熱心であること。そして先述のように車両側で完結するシステムとして進める動きへの変更を理由に、今後の長編成ワンマンの標準車両として新形式を起こす可能性自体は十分に考えられます

引き続き在来車を使用する路線と二極化

最近では、中央線快速電車についてはE233系0番台の継続使用を前提としたグリーン車連結準備工事が開始されたばかりです。つい先日中央線に増備車が登場した矢先のE233系置き換えの報道に驚いた方も多いのではないでしょうか。

この中央線についてはグリーン車の組み込み時期が2023年度となることから、機器更新もこれらの動きとともに実施されることが考えられます。

このほか、常磐線・水戸線・東北本線黒磯〜白河駅で使用されている交直流電車=E531系についても、2019年度に更なる増備が実施されて0番台初の中編成ワンマン装備車両が登場しました。その後の組合資料にて、東北本線に続き水戸線についても0番台・3000番台による中編成ワンマンが実施される予定である旨が記されています。

このほか、基本編成となる10両編成については、K415編成に搭載機器ほぼそのままの機器更新工事と見られるメニューが施工されています。(いずれも後日別記事でまとめる予定です)

当サイトでは2017年〜2019年ごろに中期経営計画を踏まえて「車両取替中長期計画・ベストプラクティス」(社内向けの資料)の大規模な改訂が実施されているものと推測していますが、ここ数年の動きは後から計画変更があって歪な置き換えになっていると考えれば納得のいくところです。

E233系1000番台の転用先にも注目

新造時の配給輸送。0・1000番台は3社で作られました。

2007年度から2009年度に導入されたE233系1000番台も2024年度には経年16年程度。機器更新時期であることを考えると、新機能を多数詰め込む改造を施すよりは新製車で代替するタイミングとしては適切です。

6月25日の国鉄千葉動力車労働組合記事にて、千葉近郊の209系の代替がE233系であること・中編成ワンマン実施を検討していること・2024年度から導入することが記されています。

情報が出てきたタイミング・導入予定時期が酷似しており、一見すると京浜東北線向けのE233系1000番台が房総方面に転用するのではないか?とも思えますが、必ずしも直接的な関係があるとは言えません。まだ明るみになっていないだけで複数の玉突き転用計画が並行している可能性が考えられます。

過去には、2016年〜2017年初めまで、常磐線快速電車向けの松戸車両センター所属のE231系0 番台・宇都宮線などで幅広く活躍する小山車両センター所属の同近郊タイプについて、編成短縮・他線区転用を前提とする機器更新がありました。

類似する動きは中央線・総武線各駅停車向けのE231系0番台でも実施されており、転用を前提に一部編成の転用対象号車のみに機器更新を先行して実施するというものでした。

そして、複数組合資料でもE231系の転用を前提とする記述がありましたが、結果的に何らかの計画変更があったようで、松戸・小山のE231系については転用対象外となるはずだった中間付随車(いわゆるサハ)についても後から機器更新が追加施工されています。

以上のように、車両の転用計画はその時期で考えられる最適なものとなるため、状況が変われば変更される可能性があります

後編記事として、現在まで出てきた情報から考えられる今後の動きについて考察をしています。ぜひ併せてお読みください。

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