第一編成が納入されてから1ヶ月半、まだ目立つ動きのない有楽町線・副都心線向けの新型17000系。
日中の試運転・デビューが待ち遠しいところですが、早くも次の編成が登場しています。
未だに報道公開などがないシークレット車両、気になる2点を考察します。
やはり気になる“帯色”変更
少しずつ17000系の写真が見られるようになりましたが、1番気になる点としてはラインカラーの変更が挙げられます。
従来車では比較的濃い茶色だったメインカラーは赤みがかった明るい色合いとなったほか、ゴールドを由来としていた帯はより黄色に近いビビットカラーとなりました。
車両としてのデザイン性を重視した変更という面も大きそうですが、これ以外にも色覚への配慮という面も考えられます。
東京メトロでは、2015年ごろから駅ナンバリング・路線図などのカラーが順次変更されていました。
カラーユニバーサルデザインの観点で変更されており、先天性色覚障害で事例の多いD型色覚へ配慮したものとなっています。
先代の10000系はこれらの変更前に製造された形式ですので、これに関連した動きという可能性は考えられます。
ただし、上記の路線図のカラーリングと今回の17000系の車体にプリントされたカラーは大きく異なるようにも感じます。
もしかしたら、新しい路線カラーをベースにトンネル内という地下鉄特有の事情を加味して明るめの色合いを採用したのかもしれませんね。
なお、似たような別の色に変える事例自体は多くあり、JR東日本の通勤車がステンレスボディ車両に置き換えたタイミングで色合いを変えてきたほか、最近では小田急電鉄の通勤車の青帯カラーが変更されています(青帯スタイルが標準塗装となってから2回目)。
そのため、単純にイメージ変更の可能性もありますので、今後の情報解禁待ちですね。
半蔵門線向けの18000系も今後製造されますので、こちらもカラー変更がありそうです。
日比谷線13000系で採用された車椅子・ベビーカーのピクトグラムを取り込んだデザインについては今後も標準的なものとなりそうですね。
カッコいい反面、目立たないというデメリットも少なからずありますので、このバランスは今後も時代の変化で変わりそうです。
デビューまでの道は意外と遠い……
はやく新型車両に乗ってみたい!という声も大きいところですが、東京メトロ既存車の発展形に過ぎない17000系であっても様々な試運転項目が待っています。
下記の呼称は鉄道会社により若干異なりますが、一般的な名前で記載しています。
誘導障害試験
保安装置・踏切などが正常に動作を確認するかを確認する試験です。
車庫内が広い鉄道会社では庫内で済ませるほか、深夜に上下線を封鎖して在来車との併走をする……など珍しい光景が見られる鉄道会社もあります。
最近の電子化された車両群では、VVVFインバータ制御装置などから発せられるノイズが保安装置・信号・踏切などの地上側設備に干渉して正常な動作の妨げとなる事例が時折発生します。
お手持ちのパソコン機器類でもノイズを拾ってしまうトラブル等を経験された方も多いと思いますが、鉄道会社も同様に車両と設備の相性チェックを実施します。
最近の有名どころだと、都営浅草線5500形のデビューが遅れたのもこの誘導障害が原因と言われているほか、京急電鉄のSiC素子使用のVVVFインバータを搭載した車両が未だに浅草線乗り入れが出来ません。
公式・性能確認試運転
メーカーで入念なチェックが行われた後に各鉄道会社に到着した新型電車ですが、その後も様々な試験が待っています。
工場内の試験線では低速〜中速域までしか試験できないことから、実際に納入先の路線でメーカー立ち会いの下の試運転を実施することが一般的です。
甲種輸送で到着した翌日ではなく、この試運転を以って車籍を入れる……という鉄道会社も多いですね。
その後も、従来車両とは異なる形式・異なる機器を搭載した増備車などでは、急制動試験などの様々な環境で動作チェックをする性能確認試運転と呼ばれる試運転が行われます。
乗務員訓練(自社・他社)
東京メトロのなかでも営業運転範囲が広い有楽町線・副都心線系統では、東京メトロの乗務員だけではなく、東武鉄道・西武鉄道・東急電鉄での試運転・乗務員訓練を行う必要があります。
同系統では副都心線と東横線の直通運転開始前の試運転を長期間実施したことが有名ですが、今回は1形式の訓練のみですので2012年に比べれば大人しい動きとなりそうです。
先輩格の10000系では、各種試運転・乗務員訓練を終えて営業運転を開始するまでに3編成体制・デビュー直後に4編成体制となっていました。
特に営業運転範囲が広いこの系統では、今回も車両増備ペースに対して乗務員訓練・会社ごとに異なる保安装置・踏切等の障害試験などに膨大な時間を要することが予想されます。
そのため、17000系についても複数編成体制で各社への貸し出しなどを実施していくものと考えられます。
コメント
日毎に新型コロナウイルスの問題が深刻化している上、それが鉄道の旅客輸送に大きく影響
しています。亡くなられた方にはお悔やみを、罹患されている方にはお見舞いを、それぞれ
謹んで申し上げねばなりません。その折にコメント失礼いたします。
さて表題の 17000系、早くも2編成目が落成しましたね。そんな中、明るい話題が飛び込む
ことは、鉄道ファンを少しでも勇気づけます。ラインカラーの色調が若干、明るさを増した
とのことですが、公にされていない今、真相は流石に実車を目に触れるまで闇の中ですね。
営業運転開始までクリアすべき多くのハードルがあることは周知の通りで、仰る通りです。
誘導障害試験について、わかりやすい説明を提示してくださり、有難うございます。一例と
して、京急のSic車を挙げていますが、最大の原因としては電装品の技術革新が、地上側
設備のそれが進んでいるものの上手く歩調を合わせられない、つまり前者が遥かに先行して
しまっていることを、しみじみと感じた次第です。
3月に17102Fが出てこれから・・・という時の新型コロナウイルスですね。2020年は19年度末を含め4編成が投入予定ですが、来年度以降は導入が少しずつ遅れることが予想されます。JALの経営悪化に伴う東急5000系増備中止が過去にあったことなどを踏まえると、7000系の2022年度末引退すら難しそうで、そのための延命措置か7000系10連の検査入場がここ最近で2回もありました。丸ノ内線2000系も、02系未更新車34本の置き換えは優先されるものの更新車置き換えの際は投入遅延が発生しそうです。さらに言えば、今後南北線関連もあり18000系に関しては2000系、17000系の投入が終わるまで投入開始すらできない可能性もありそうです。
そして今後7000系、8000系、02系、03系の譲渡などの動きも楽しみなところです。7000系の大窓車は見た目に反し北綾瀬の05系と完全に同世代なので廃車後もまだまだ走れることが見込まれます。