JR東日本と相模鉄道の直通運転開始から3ヶ月あまりが経過し、少しずつ見慣れた列車になってきました。
期待に反してなかなか増えない利用者への新たな提案として、需要が高い品川駅・東京駅方面への利用促進PRが始まっています。
直通運転はしないものの……
2019年11月30日のダイヤ改正以来、新宿駅から羽沢横浜国大駅を経由して海老名駅までJR線・相鉄線直通の新しい列車が登場しているのは皆様ご存知の通りです。
相鉄の長年の夢であった都心直通ですが、工事の遅れが続いたり、相鉄側の希望と直通先の希望が合わなかったりと、決して平坦な道ではありませんでした。
過去記事でも触れていた通り、JR東日本としては本数面で弱い湘南新宿ラインの補強・武蔵小杉駅の深刻な混雑緩和などが主目的での運行を求めていたほか、増備するJR車両7編成のうち6編成が停泊する場所を相鉄側の車庫とするなど、かなり相鉄側が運行に際してお膳立てをしたことがうかがえる格好となりました。
結果としてJR側の希望通りと思われる新宿駅発着で運行されており、相鉄側としての理想だったであろう横須賀線系統=品川・東京方面への直通列車は設定されていません。
相鉄側の今後としては、2022年度に東急線への直通運転を開始します。
主力となるのは東急目黒線経由での東京メトロ南北線・東京都交通局三田線方面となりますが、東横線渋谷駅への乗り入れも考慮しているようですので、実現すればこちらの方が早くて安い経路となることは明らかです。
この東急新横浜線の輸送体系を考えると、相鉄側としてはやはりJR線直通の本命は東京・品川方面だったものと考えられます。
メインターゲットである相鉄沿線住民からも賛否は分かれており、新宿方面のみの直通や途中駅通過の特急設定の多いダイヤなどが残念だという声も多くありました。
各社・利用者の様々な思惑の中での運行開始となりましたが、現時点でも利用者が伸び悩んでいます。
横浜市会「予算第一特別委員会」では、3月4日に「相鉄線からの利用者は想定の半分程度」(1月時点)との報告があったことも報じられています。
そのようななかで、最近の相模鉄道では、品川駅・東京駅へ向かう利用者へ、武蔵小杉駅や西大井駅で同一ホームで乗り換えができる点を積極的にPRし始めました。
JR東日本への打診もあったかと思いますが、従来の新宿駅への直通のPRではなく、品川・新橋・東京への乗り換えでの時刻を宣伝しています。
直通運転系統外へのアクセスを全面的に出す……というものは他社路線でも滅多に見かけない特異なものです。
Googleが配信する広告などにも出稿しているようですので、当サイト内でも見かけた方もいらっしゃるかもしれませんね。
私自身も元相鉄ユーザーですが、相鉄の横浜駅からのちょっと遠い乗り換え・朝の横浜駅の混雑を考えると、確かにメリットは大きく感じます。
もっと早くPRしておけば……?
ファンの皆さんの多くの疑問として、そもそもなぜこのタイミングでPRをはじめたのでしょうか。
推測の域は出ませんが、やはり当初需要想定に比べて利用者数が伸び悩んでる点が背景に考えられます。
JR東日本・相鉄双方にとって経験のない直通運転体系でしたので、想定以上の利用者が大量に押し掛ける……という事態を避けた時期設定は評価ポイントでしたが、かえって少な過ぎてしまったのでしょう。
特に2019年10月1日の消費税増税に伴い、最長期限となる6ヶ月定期を選択した利用者も一定数いたことも考えられます。
11月30日時点で東京方面へのPRは打っておいてもよかったかと思いますが、特に大きな動きはされていませんでした。
車両・設備上の都合で輸送力を増強することが難しいこの系統では、当初の予想以上に利用者がシフトしてしまった場合はかえって両社にとってデメリットとなってしまう……という難しさもありそうです。
そのため、直通運転開始時点では品川・東京方面への利用者への声掛けは避けていた可能性が考えられます。
今回のPRは3月〜4月の新生活を迎える層・定期券の切り替え時期をターゲットにしているようです。
JR・相鉄の直通線にとって、やはり需要の多い東京・品川方面への利用者需要を取り込むのが利用者増加の手取り早い対処法となりそうです。
理想としては、横須賀線列車の湘南新宿ライン化・相鉄直通列車の東京駅直通化で本数を維持して需要に応える……かと思いますが、各路線で異なる形式を使用しているため、車両需給バランスが大きく変わってしまいます。
当面はJR東日本としてもやはり同一ホーム乗り換えを推奨したいところだと思いますが、このPRが功を奏した結果として品川駅発着……くらいであれば可能性はありそうですね。
使いこなせば便利な運転系統ではあるものの、まだまだそのネットワークを生かしきれているとは言えない状態で、両社も模索段階でしょうか。
依然として東急線直通との経路競合という課題もありますので、本数で劣ることになるこの系統の今後が気になるところです。
コメント
横浜経由、武蔵小杉経由両方使える定期出して。どうせ片方しか乗らないから別に損しないでしょ?
近い将来JR直通は縮小廃止かな?東急に乗り入れれば目黒、渋谷には行けるし東急側も新横浜にしか興味ないから
横浜市は相鉄の上野東京ラインへの乗り入れを希望し、その場合は常磐線快速と直通することを視野に入れています。
相模鉄道が、バカ高い費用使って土浦や水戸まで乗り入れられる交直流車両を作ればワンチャンありそうですが(直流車だけならJRが10両で受け入れる気がしません。)、多分やらないから夢物語で終わると思います。
定期券利用の方だと、現在従来の横浜経由の定期を購入していて、いちいち精算機を通すのが面倒で利用していないことも考えられます。
今後定期券の更新時に切り替える方が増えるのでは?と思います。
横浜駅を経由する形で、新宿方面・上野東京方面の両方に接続できたら便利なのになと思いますが、それはさすがに難しいでしょうね。
上野東京ラインの骨がきしむ程の混雑緩和のために、是非とも相鉄には頑張って頂きたいです。
すでにコメントにもありますが、定期券利用者には横浜駅経由でも乗車できる、京王線の「どっちーも」のようなサービスがないと難しいと思います。
相鉄沿線住まいで「平日は都心まで仕事へ、休日は横浜へお出かけ」という方も沢山いらっしゃるでしょう。だとすれば定期券区間を変更したくない方も沢山いるかと。
また新宿~大崎間に関しては混雑緩和に役立つ乗り得列車にはなっていますが、ダイヤによって混雑具合に差があります(埼京線の直前の列車は混んでいますが、直後に設定されている列車は本当にガラガラ)。
新宿発着でなく、大宮とは言わないのでせめて池袋まででも行ければ、さらなる混雑緩和になりそうだけどなぁ、と感じています。
品川・東京乗換えで利用客を増やすアピールをする前に
相鉄線内の現状のダイヤがJR直通の列車を優先してしまっている状況なので
来年のダイヤ改正まで変更できないのは厳しいです。
JR直通の特急は朝上りのみにしてそれ以外の時間帯は全部各停に変更してまったほうが
各駅から乗り換え無しで利用できるのでそのほうが良いです。
夕ラッシュ時の横浜発の快速から西谷でJRからの特急に乗り換えるパターンのダイヤは
横浜からの利用客からはかなり不評なので優等のパターンを逆にしたほうが良いです。
あとは日中本数が激減した急行を毎時6本までに戻し、その分西谷を停車駅に追加すれば
良いと思います。