【武蔵野線転用?】短命に終わったメルヘン顔の異端児・ケヨ81編成

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武蔵野線で置き換えが進められている205系ですが、その歴史は非常に複雑なものとなっています。

新製配置から5編成が武蔵野線で「メルヘン顔」として活躍していましたが、6編成目のメルヘン顔が武蔵野線を走っていたことはご存知でしょうか。

特異な経緯で生まれ、武蔵野線向けの205系としてトップクラスの短命に終わったケヨ81編成について振り返ります。

ケヨ8編成の短縮で登場

京葉線全線開業に合わせて製造された205系京葉線向けのメルヘン顔編成は、10両12編成が製造されて、千葉県や臨海部の通勤輸送のほか、東京ディズニーリゾートへの行楽輸送で大活躍をしてきました。

伝説に終わったE331系を諦め、E233系による205系置き換えが始まり、多くの編成は日光・宇都宮線のローカル輸送に転用が進められていくこととなったほか、ケヨ11・12編成については用途がなく編成単位で除籍となってしまいました。

その流れを乱したのが、ケヨ8編成でした。

2010年8月、編成内の中間付随車だったサハ205-190,191を編成から外し、武蔵野線用の205系と同一の組成への組み替えを実施・武蔵野線内の試運転が始まりました。

編成札は「81」が掲げられており、武蔵野線向けの新たな編成が登場するのではないかという期待が寄せられていました。

一方で、依然として登場以来の京葉線カラーの赤帯を貼り替える作業が行われず、動向が注目されていました。

武蔵野線の新たな仲間となるかと期待されていたものの、同年12月に外されて津田沼に留置していたサハ205-190,191を再度組み込み、元どおりの組成に戻されてしまいました。

もしも正式に武蔵野線転用となっていたら、白色FRP・スカートを付けた武蔵野線カラーのメルヘン顔編成が見られることとなりましたが、残念ながら「むさしのドリーム」となってしまいました。

この短命な編成が登場した理由は?

この不思議な動きが登場した理由は、2010年度末=2011年3月のダイヤ改正で明らかになります。

当時は武蔵野線の貨物線を活用した大宮駅〜武蔵野線〜中央線〜八王子駅の「むさしの号」「ホリデー快速むさしの号」「ホリデー快速鎌倉号」を豊田車両センターの115系M40編成を専用編成として運用していました。

115系6両編成でも朝ラッシュの1本以外はそこまでの混雑ではなかったものの、朝の1号についてはセミクロスシート・3ドア6両という編成に多くの乗客が押し寄せていました。

この編成の検査時の代替には豊田車両センター・長野総合車両センター所属の115系が使用されていたものの、こちらの折り合いが付かない時には大宮総合車両センター所属の183・189系波動用編成が充てられることもありました。

2ドア・6両の特急型である183・189系代走時の混雑は大変なもので、各駅でポスターを掲示して迂回経路利用を推奨するなどの対応もされていました。

そのような状況の改善のほか、東京メガループと称した外環路線へのテコ入れの一貫として、このむさしの号の増発とともに、逆方面からのしもうさ号の運行を始めることとしたのがこの2011年3月改正の大きなポイントです。

むさしの号と異なり、千葉県側から大宮方面の貨物線に進入する列車はほとんど設定されてこなかったため、乗務員訓練を行うこととなりました。

この為に組成されたのがこのケヨ81編成であり、増発分は京葉線で同じく置き換えられた209系500番台の武蔵野線転用で賄われたため、ケヨ81編成はその登場までの繋ぎ役となりました。

205系ばかりの武蔵野線にワンハンドルマスコン車というのも新たなものですので、209系500番台登場までは幕張車両センターの209系0番台6両編成を活用して、ケヨ81編成とともに武蔵野線大宮方面への乗務員訓練が行われました。

もし、ダイヤ改正での所用数がより多く設定されていたら、205系京葉メルヘンの転用も実現していたかもしれません。

ファンからの人気が熱いメルヘン顔。最近ではジャカルタでの営業運転開始が報じられており、その人気は海外でも健在のようです。

珍編成での乗務員訓練の実績は他にも

このケヨ81編成による乗務員訓練は大きな注目を集めましたが、その後も大規模な乗務員訓練の実施での珍編成として有名なのは、185系OM07編成でしょうか。

7両編成2本を組み替えることでA編成10両と同一の組成を実施、上野〜東京駅間の新線・「上野東京ライン」開業前試運転に登板しました。

こちらもEXPRESS185塗装では初となる10両固定編成が組成され、営業運転登板に大きな期待が寄せられていましたが、残念ながら試運転を終えた後に余剰車となってしまいました。

ケヨ81編成同様、実現していたらファンからの人気を大きく集めた編成になったことは間違いありませんが、こういった柔軟な組み替えが行われているのは国鉄型の柔軟さを改めて感じさせるエピソードですね。

JR東日本では、近年でもケヨ34編成や209系1000番台のような異端児が時折登場し、様々な話題を提供してくれています。

武蔵野線の置き換え完遂の為には209系500番台とE231系の転用だけだと少し数が足りないこと、八高線の209系3000番台・3100番台が未だに疎開されたままであることなど、今後も面白い編成の登場に期待が集まりますね。

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