2018年より郡山総合車両センター発着にて209系改造の訓練機械の甲種輸送が行われています。
今までは既存の車両の機器更新と配置場所の変更が行われていましたが、今回はついに新色の登場とあり大きく話題になりました。
一連の転用劇をおさらいします。
209系カワ62編成訓練車新造と機器更新
今回の一連の転用は、2018年(平成31年)8月に、八高線用209系3000番台・カワ62編成が郡山へ入場配給が行わたことに始まります。
郡山総合車両センターに入場した車両たちは、機器更新工事を施工しつつ、機器更新未施工の訓練機械を玉突きで置き換えています。
最後となる新秋津の訓練車では、方向幕に長野への転用を匂わせる記述がされており、今後の動向が注目されていました。
そして、今回、長野地区のE127系・211系の長野色をベースとした訓練機械が登場し、長野総合車両センターまで甲種輸送されています。
今後は長野支社管内の乗務員訓練・育成で活躍することとなるでしょう。
直接的な置き換え対象は、115系長野車で最後の存在となった115系N15編成(3両)かと思われます。
ただし、長野支社管内ではしなの鉄道の115系が引き続き運用されています。
すぐの置き換えとなるのか、今後のJR東日本・しなの鉄道双方で計画されている営業車の刷新に合わせて使用開始するのかは、現時点では不明です。
209系訓練車 機器更新と転用による動き
編成 | 種車 | 改造後 配置 | 出場甲種 | 入場甲種 | 機器更新後 配置 | 出場甲種 |
カワ62 | モハ209,208 -3002 | = | = | (配給)2018年 8月28日 | 東大宮 | 2018年 12月25-26日 |
ウラ37 | モハ209,208 -76 | 東大宮 | 2008年 3月27日 | 2018年 12月27日 | 新秋津 | 2019年 4月3日 |
ウラ19 | モハ209,208 -40 | 新秋津 | 2008年 10月6日 | 2019年 4月4日 | 長野 | 2019年 7月5-6日 |
ウラ19 | モハ209,208 -39 | 久里浜 | 2008年 7月3-4日 | 2018年 11月5日 | 久里浜 | 2019年 3月29日 |
転用についての気になるポイント
郡山総合車両センターでの改造
2008年(平成20年)に改造された3編成は、全て長野総合車両センターで改造を施工しています。
今回の一連の転用では、全て郡山総合車両センターでの施工となりました。
これは、長野総合車両センターでは、現在E257系の機器更新・転用改造を秋田とともに担当しており、余裕がないことが挙げられます。
そのため、209系2000・2100番台への機器更新・転用改造で扱った経験もある郡山総合車両センターが選定されたと考えられます。
久里浜訓練車だけは直接機器更新
久里浜の訓練機械だけは玉突き転用に含まれませんでした。
これについては、各センターに配置された後、それぞれで必要な独自設備を追加設置されていたことが可能性に挙げられます。
また、横浜支社管内の大船工場で製造された車両であること、横浜支社の訓練機械の使用スケジュールに余裕があったことなども考慮に加えられたものと推測できます。
営業用の車両ではない上に、車籍のない車両たちですので、これ以上の推測は出来ません。
長野支社向けだけ半自動ドアボタン設置
今回の長野支社向けの訓練機械には、半自動ドアボタンが新設されています。
ボタン自体は昔からのものですので、カワ62編成のものを再利用している可能性が考えられます。
一方で、カワ62編成ベース=現在の東大宮訓練機械では逆に埋め込まれる改造がされています。
これも推測の域を出ませんが、当初は長野支社向けに訓練機械を直接投入、既存の車両も機器更新……で想定していたところ、更新工事スケジュールと訓練スケジュールの折り合いがつかなかったための計画変更……といった動きも推測できます。
帯の貼り替えとボタン設置/撤去という工事が余計に発生していることから、何らかの都合があって玉突きとなったことと思われます。
新たな活躍の場は長野総合車両センター・増車の意義は?
2008年に相次いで施工された209系訓練機械・試験車MUE-trainといった特殊車両。
しかしながら、新潟地区や長野地区については引き続き115系訓練車が続投となりました。
これは、当時の長野地区の普通列車は、大多数の115系と少数のE127系といった布陣だったことに由来します。
209系のようなワンハンドル・今時の設備の訓練機械よりは、扱いなれるべき115系の訓練車を引き続き活用する方が都合がよかったものと推測できます。
各組合の発表により、今後E231系で211系の置き換えが進められる計画も存在していることが明らかになっています。
こういった背景から、長野地区でも訓練機械の投入が検討された結果、既存の訓練機械の機器更新中の代替車両を兼ねて増車を含めた複雑な転用計画となったものと考えられるでしょう。
115系で登場した長野色は、どの形式にも似合う素敵な色合いです。
訓練機械の登場で、今後のE231系転用・長野色登場にも期待が膨らみます。
また、今回の一連の転用劇はこれで以上となりそうですので、残された新潟地区にも訓練機械が配置されるのか、それともE129系営業用車兼用とするのか、こちらも注目ですね。
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画像提供
今回の画像はあるふぉ様 (@Azusa_Violet) よりご提供いただきました。
末筆ながらお礼申し上げます。
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