【JR東日本】引退後、意外な余生を送る通勤電車4選

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多くの通勤電車を保有するも、世代交代が激しいJR東日本。

地方転用や海外譲渡など走る姿としての活用、逆に解体は話題になるものの、引退後ひっそりと別の活用がされている車両の存在はあまり注目がされていません。

鉄道車両保存とも少し異なる、彼らの現状をまとめました。

そもそもどういった活用をしている?

自力で動けるように各支社で所有している訓練車(機械)が時々話題となります。

209系訓練機械が4編成存在し、現在機器更新と転用が進められていますが、彼らは本線走行こそできないものの自力で動けるようにしている点が特徴的です。

一方で、今回取り上げる車両たちは各施設にて特殊用途で使用されているために、見かける機会も少なく、話題に上ることが少ない点が特筆されます。

大宮公開で展示あるか?クハ205-1,モハ205-1,モハ204-1

写真:K@浦 和 人さま

クハ205-1は、山手線向けに製造された205系の量産先行車4編成の中でもトップナンバーの車両です。

E231系500番台によって置き換えられた際には4編成揃って京葉線に転属し、110km/h運転非対応の運用にて活躍を続けていました。

その後、京葉線で活躍していた201系・205系・209系500番台はE233系5000番台による置き換えが行われました。

209系500番台は現在も活躍する1編成を除いて武蔵野線へ。

201系は分割併合運用対応の4編成のみが残存していましたが、E233系5000番台にも4編成分割編成が継承されたため廃車・解体。

残る205系のうちの量産先行車についてもJR東日本では使用しないこととなり、ヤテ2~4→ケヨ25~27の3編成は3両編成に改造されて富士急行に譲渡・6000系として第二の人生を歩んでいます。

譲渡から漏れてしまったヤテ1→ケヨ24編成については、クハ205-1、モハ205-1、モハ204-1の3両が除籍後も大宮に取り込まれていました

トップナンバーということで、JR東日本としては他社譲渡よりは自社で活用したい車両だったことが推測されます。

博物館入りまで寝かしておくのかと思いきや、大宮グローアップスクエア・検修技能訓練所の車両として、車両センター検修職員のスキルアップのために活躍しています。

基本的には京葉線時代そのままで、赤帯や青い座席カバーなどの特徴がそのままですが、量産先行車の特徴である小窓ドアの一部が大窓に交換されていることが確認されています。

205系の転用過程の都合から、現役の205系は山手線出身の小窓車が多く残存しています。

彼らへの部品供出のために持ち出されたのか、単純に交換の練習過程で一部が変わっているのかは分かりませんが、いつか訪れるであろう保存車としての展示の際までには戻してほしいですね。

なお、久々に姿を現したタイミングから、大宮総合車両センターでの展示またはそれに伴う入れ替えが目的かと思います。

もう1両の205系は遠く長野に!クハ204-118

写真:国鉄型がぁ好きな人@低浮上さま

先述の京葉線の置き換えでは、大多数を占めていたいわゆる「メルヘン顔」の110km/h対応・京葉線生え抜きの205系たちにもメスが入りました。

彼らの多くは編成短縮などの改造を受けて日光線・宇都宮線小金井~黒磯駅間の107系などを置き換えました。

しかしながら、ケヨ1~12編成のうち、転用に必要だった編成は10編成のみ。

先に運用離脱をしたケヨ11,12編成については丸々廃車となってしまいました。

長野総合車両センターへ配給輸送され、全車解体がされると思われていたこの2編成ですが、そのうちのケヨ11編成のクハ204-118については長野総合車両センター内の「長野スキルアップセンター」の施設として、こちらも職員養成などに活用されています。

車両保存という意図ではないため、以前から前面JRマークが以上に大きなものとなっていたり、床下機器が郡山で検査をしたかのような明るいグレーに塗装されていたりと、原形を少しずつ崩していました。

それでも、残存する唯一の京葉線色のメルヘン顔205系となっていましたが、2019年(平成31年)に入って211系長野色と同一の色合いに変更されている模様で、次回の長野総合車両センター公開でその不思議な姿が見られるか注目が集まります。

先述のクハ205-1とは異なり、今後主流となる新系列電車が引退し始めればそちらの方が使用用途としては適任かと思いますが、長野が主に活用しているのが211系だったことが選定の理由でしょうか。

だとすれば211系の編成単位で廃車となった車両が最適だった気もしますし、いずれ使用車両の入れ替えが行われる可能性も今後は出てくるかと思いますが、ずいぶん手入れもされているようなので、当面は安泰でしょうか。

余談ですが、その後の運用変化にて埼京線から205系が2編成宇都宮線に転用されており、もう少し時期が違えばケヨ11,12編成も解体されることはなく、経年や運転台機器が揃う12編成の転用となっていたはずです。

いつの時代も不運な車両が出てくるものですが、このクハ204-118に関しては奇跡の生還と言えるでしょう。

普段から見られる京浜東北線209系・クハ209-7

写真:京浜電車区さま

京浜東北線の209系は、そのほとんどが房総地区か南武線に転用されたものの、川崎重工業製の先頭車・初期車の一部が編成単位で廃車となっています。

しかしながら、新系列電車としては初の廃車事例であったことや、車歴が若かったことなども幸いして、第二の人生を歩む車両を多く輩出したのも209系0番台の特徴でしょう。

多目的試験車両Mue-Trainと、訓練車3編成を輩出したことは試運転や配給輸送・甲種輸送などもあったので有名です。

ウラ62編成6両の転用に伴う入場配給にくっついて長野から大宮まで移動し、影に隠れて行方をくらませていたのが、元ウラ7編成の先頭車2両です。

そのうちのクハ209-7については脱線復旧訓練専用の訓練機械としての活躍となっています。

前面に車体傾斜角度が分かるようになっているように、先述のクハ204-118とこのクハ209-7は、実際に脱線した状態を再現して、復旧時の手順を学ぶ復旧訓練の教材として、多くの鉄道マンを育て、JR東日本の将来を支える人材を多く輩出しています。

嬉しいことに京浜東北線カラーをそのまま維持しているほか、列車からその姿を見ることが出来るものの、普段から外に置かれているために退色が進んでいる点が気がかりでしょうか。

用途は職員養成だけではない!研究者(?)として活躍するクハ208-7

写真:京浜電車区さま

ここまでの3種・5両は職員養成という使命がありましたが、このクハ208-7は少し使命が異なります。

先述のクハ209-7の相棒(反対側の先頭車)として製造されたクハ208-7は、同じく大宮の研究開発センター内のsmart station実験棟にて、駅・ホームやホームドアの今後の設計・研究の研究素材として活用されています。

駅の乗客の流れなどを考察するために車両があった方がよかったのでしょう。

車両技術の研究用途のMUE-Trainとは対照的に、駅関係技術の開発の脇役的な存在ながら、屋根の下にあるためしばらくは安泰と言えそうです。

また、帯色以外はほぼそのままですので、209系0番台としての原型を維持している車両は彼でしょうか。

同様事例は他社でも少数存在・意外なところでも活用?

JR東日本はその会社規模ゆえに多くの車両を特殊用途で所有していますが、JR他社や私鉄各社では営業用車両を使用するケースがほとんどですし、技術開発用の車両はJR系特有でしょう。

存在感があるものとしては、JR貨物が検査切れした車両を各機関区などに残しておいて乗務員訓練用としていますが、車籍が残っている点が異なります。

最近話題となっている車両としては、事故に遭った京急1500系1701-編成が廃車となったものの、最も損傷が少なかった1706号車についてはそのままの姿で残存しており、脱線復旧訓練で活用された実績があるので最も近い存在と言えるでしょう。

最近では塗装の塗りなおしも行われているのが目撃されているため、不運の事故にあった彼も京急の未来を支える活躍をもうしばらく続けそうです。

そして、活用の範囲は鉄道会社だけには留まりません。

鉄道車両技術発展のため、鉄道総合技術研究所にサハ204が譲渡されるなど、鉄道の未来のために活躍している車両もいます。

少し変わった事例としては、都営三田線で活躍していた6000形が、まるでBトレインショーティーのような短縮改造を受けて、立川防災館にて消防関係の訓練用途で活用されています。

消防関係での車両保存については結構多いようですが、どこも非公開で情報が少ないことが残念ですね。

鉄道車両保存車の解体ニュースが続く昨今、こうした鉄道車両ならではの用途を持たせて残存している車両があることは、趣味的にはありがたいことです。

願わくば、普段は非公開の彼らにも日の目を浴びる機会を設けてほしいところですね。

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