【国鉄急行色】413系がえちごトキめき鉄道へ!松任から直江津へ甲種輸送

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えちごトキめき鉄道では、七尾線で活躍していた413系3両・クハ455形1両を購入し、新たに“急いで行かない列車”の運行を予定していることを明らかにしています。

4月9日、JR西日本の金沢総合車両所松任本所から国鉄急行色に装いを改めて出場。松任駅からえちごトキめき鉄道の直江津運転センターがある直江津駅まで甲種輸送(貨物列車としての輸送)が実施されました。

“トキ鉄”鳥塚社長就任と413系導入

えちごトキめき鉄道では、2代目の社長として鳥塚亮氏が2019年9月に就任しています。

鳥塚亮氏はいすみ鉄道での社長経験があり、当時はJR西日本からキハ52形・キハ28形を譲受して営業運行、JR東日本からキハ30形を譲受して静態保存を実現させました。これによりファンから脚光を浴びた同社では、新型いすみ350型を“キハ52顔”で製造したのち、装いを“キハ”により近づけたキハ20 1303も導入しています。

鳥塚氏がえちごトキめき鉄道の社長となり、ファンからは189系N102編成を狙っているのではないか?など様々な推測が飛び交いましたが、最終的には七尾線で引退した413系を購入して運行することとなりました。

定期検査をJR東日本に委託している都合を考えると、将来的に検査を委託する場合にあいの風とやま鉄道が引き続き運行することでノウハウが残っているJR西日本金沢総合車両所松任本所に委託できるという点は大きなメリットと言えそうです。

譲渡先のえちごトキめき鉄道では、B06編成の電動車2両とクハ455 701を組み合わせた3両編成が日本海ひすいライン(海線・旧北陸本線)で2往復運行される「急行」・妙高はねうまライン(山線・旧信越本線)「快速」の土休日臨時列車として検査期限となる2023年度まで運行される計画です。残されたB06編成のクハ412 6については、直江津運転センター内の扇形車庫を活用した鉄道テーマパーク「直江津D51レールパーク」にて展示される計画とされています。

塗装変更が施された413系・クハ455形を見る

今回譲渡の対象に選ばれたのは、413系B06編成(クモハ413 6・モハ412 6・クハ412 6)の3両と、B04編成に組み込まれていたクハ455 701の4両です。

編成順序は直江津方からクモハ413 6・モハ412 6・クハ455 701・クハ412 6と組みなおされています。

413系自体は急行形電車の車体載せ替えで誕生した形式のため、“急行色”で走行した実績はありません。ただし、基本的な設計が類似しており、違和感はそこまでありません。

クハ455形700番台は、これらの413系製造時にコスト削減のため改造対象だった11編成のうち2編成分の先頭車をサハ455形の先頭車化で賄うこととされた車両で、701,702の2両が北陸本線~七尾線のB04,B11編成に連結されていました。

この先頭車は急行形として製造された基本設計を維持しており、北陸新幹線開業に関連した第三セクター化に前後して実施された475系の淘汰以降、最後の現役急行形電車としてファンから人気の車両となっていました。

急行形として活躍していた頃との最大の違いは、先頭車化改造で“デカ目”などと呼ばれていた前照灯ではなくシールドビームが採用されている点が挙げられます。

この形態はJR九州の475系がミレニアム企画としてGk-5編成でかつて実施したことで採用例があり、九州のファンにとっても懐かしい仕様とも言えそうです。

純正形態については大宮の鉄道博物館に静態保存されているクモハ455 1で見ることが可能ですので保存車としては見劣りこそしますが、やはり本線走行をして乗車・撮影できる急行形が令和の時代に登場することが最大の魅力と言えそうです。

このほか、若干塗り分け高さが異なるようですが、413系にあわせて違和感がないようなアレンジと推察できます。

細部では、ATSなどの保安装置表記が白枠のみとなっている点が注目されます。

えちごトキめき鉄道ではJR東日本から信越本線を、JR西日本から北陸本線を継承した都合で両路線の保安装置が異なるものとなっており、北陸本線由来の413系にはJR東日本が地方線区に導入したATS-Ps形は設置されていません。今後えちごトキめき鉄道にて追設されるものと推測できます。

甲種輸送では、EF510 500番台の中でも2機の“銀釜”こと元カシオペア塗装の510号機が登板しています。これまでも数々の鉄道車両の輸送に携わってきたEF510形ですが、国鉄型電車の輸送となるとかなり貴重な光景と言えそうです。社長自身が鉄道ファンを公言している会社の輸送ということで、この辺りの調整はさすがといったところでしょうか。

輸送の様子

今回の輸送では、松任本所内の構内入換をDE10 1035号機が、松任駅からの牽引を富山機関区所属のEF510 510号機が担当しています。

北陸本線の先輩・後輩の離合も実現。521系自身も新幹線開業で三セクの仲間入りとなりそうです。

今回の甲種輸送では、方向幕を甲種輸送の目的地「直江津」、「越後」などサボ装飾が全車両に施されています。

あいの風とやま鉄道とえちごトキめき鉄道の境界となる市振駅へ進む9561レ

後ろ姿は往年の様を彷彿とさせます。

有間川駅〜谷浜駅間を駆け抜ける9561レ

谷浜駅を通過する甲種輸送。目的地はすぐそこです。

直江津駅では2015年改正で直江津から撤退した413系と、同改正でデビューしたしらゆき号。

お隣あいの風とやま鉄道でも置き換えが進む

2021年3月のダイヤ改正にて七尾線の413系は全編成が引退となっていますが、あいの風とやま鉄道に譲渡された5編成は現在まで全編成が現役です。

このうち2編成は「観光列車 一万三千尺物語」「とやま絵巻」として再活用されている一方で、北陸本線時代の青帯・青一色を維持している3編成は自社発注の521系1000番台により置き換えが始まります。

2021年5月には団体臨時列車「ありがとう413系」イベントツアー列車にて6両編成を組成して富山~泊間の走行も予定されていますが、今後はその雄姿を拝める機会は徐々に減少することとなりそうです。

あいの風とやま鉄道では朝夕の通勤通学輸送で、えちごトキめき鉄道では土休日の観光列車での活躍ゆえに顔を合わせる機会はなさそうですが、何らかのイベントでの“再会”が果たされるのかどうかも注目したいですね。

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コメント

  1. 赤羽線ユーザー より:

    クハ455-700はサハ455の先頭車化改造車で、元々先頭車だったわけではありません。

    413系は471、473系の車体更新車ですが、この系列のサハ451形はクハ412形に改造されましたが、サハ455形(475、457系のグループ)は当時車齢がそれほど高くなかった(確か改造時点で車齢20年に達してなかったかと)等の理由で車体載せ換えでなく先頭車化改造になったと当時の趣味誌に記述があったようです。