【JR東 秋臨概況】E653系は運用増加せず?185系は大忙し

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JR東日本は2023年8月25日木曜日、同年10月1日から11月30日までの「秋の臨時列車」の概要を公表しています。

E653系1編成が新潟から勝田へ転用される旨が事前公表されていたものの、茨城DC期間中ながら2編成同時稼働の日はみられません。

コロナ禍以降複雑化する在来線特急車・波動輸送用車両の近況などを踏まえつつ、2023年度下半期の車両動向を見ていきます。

珍事?季節の臨時列車が木曜日に公表

JR各社では、3月1日から6月末までを「春」、7月1日から9月末までを「夏」、10月1日から11月末までを「秋」、12月1日から2月末までを「冬」として、それぞれの期間内に運行される臨時列車を年4回に分けて公表しています。

「夏の臨時列車」は5月第三金曜日に、「冬の臨時列車」は10月第三金曜日に公表されることが通例で、「春の臨時列車」についても原則1月第三金曜日に、「秋の臨時列車」も原則8月第三金曜日に公表されます。

第何何曜日:日本国内では、「国民の祝日」の日程やごみ収集日、イベント等で使用される考え方です。その月で何回目のその曜日か……という考え方で、何月の第何週=カレンダーの何行目とは異なります。

1日〜7日「第一何曜日」
8日〜14日「第二何曜日」
15日〜21日「第三何曜日」
22日〜28日「第四何曜日」
29日〜「第五何曜日」

……となります。

例外として、1月15日が第三金曜日となる年は翌週となる22日に、8月15〜17日が第三金曜日となる年は翌週となる22〜24日に、そして8月18日が第三金曜日となる年は翌週の木曜日となる24日に公表する方針のようです

公表日自体を事前に公にしていないため経緯は推測の域を出ませんが、1月の事例は元日が金曜日となること・8月の事例はお盆の輸送状況取りまとめを直後の金曜日に公表すること、かつ毎月25日である時刻表の発売日や指定席の事前予約の都合から毎月24日までに公表したいことなどが背景に想像できます。

直近だと2017年が同様の日付配列(8月1日が火曜日)となっており、やはり木曜日に公表されていました。

参考:近年のJR各社季節臨公表時期

春臨夏臨秋臨冬臨
2023年1月20日第三金曜日5月19日第三金曜日8月24日第四木曜日未公表
2022年1月21日第三金曜日5月20日第三金曜日8月19日第三金曜日10月21日第三金曜日
2021年1月22日第四金曜日5月21日第三金曜日8月20日第三金曜日10月15日第三金曜日
2020年1月17日第三金曜日5月22日第四金曜日※8月21日第三金曜日10月16日第三金曜日
2019年1月18日第三金曜日5月18日第三金曜日8月23日第四金曜日10月18日第三金曜日
2018年1月19日第三金曜日5月18日第三金曜日8月24日第四金曜日10月19日第三金曜日
2017年1月20日第三金曜日5月19日第三金曜日8月24日第四木曜日10月20日第三金曜日
2020年夏の臨時列車は第四金曜日となる22に発売見合わせを公表、6月第三金曜日である19日に運転計画を公表しています

2023年秋の臨時列車を見る

今回公表された「秋の臨時列車」(外部リンク)ですが、「夏の臨時列車」に続き全体的に多めの運行本数となっている点が注目されます。

JR東日本ではコロナ禍前は新幹線・在来線特急の臨時列車設定本数と対前年比・定期列車を合わせた設定本数の対前年比を記載していましたが、現在では区分が新幹線・在来線特急・のってたのしい列車を含む快速の運転本数の記載に変更されています。

また、主に2022年3月のダイヤ改正で多くの定期列車が臨時列車化されており、コロナ禍前後の比較は困難です。ただし、前年の臨時列車リリース(外部リンク)と比較すると設定本数が明らかに増えています。

2023年2022年
新幹線1,694233
在来線特急1,233232
快速821426
合計3,748891
2023年リリース(外部リンク)・2022年リリース(外部リンク)より

こちらについても前年も追加運転が多数設定されたため単純比較こそできないものの、事前にこれだけ多くの臨時列車が設定されていることは行楽需要の回復が進んでいることの現れと言って差し支えなさそうです。

現に前週に公表された「お盆期間のご利用状況」(外部リンク)からも前年比で約1.4〜1.5倍、コロナ禍や災害のなかった2018年比でも台風の影響もありながら9割近くとかなり堅調です。

方面により異なる料金体系が続く

JR東日本では以前より「新たな着席サービス」として、全車指定席・通年同一料金の料金体系の導入を進めてきました。高崎線特急「スワローあかぎ」に続き常磐線特急、中央線特急、東海道線特急と導入が進められています。

2023年に一新された「あかぎ」と「草津・四万」ですが、土休日「あかぎ」が“スワロー”方式の着席サービスに統一された一方で、旧「草津」は全車指定席化がされたものの従来方式の特急料金の適用が継続しており、同一車種・同一線区の列車ながら異なる料金体系が採用されました。

東海道線特急では着席需要に応える「湘南」も、行楽需要がほとんどの「踊り子」も「新たな着席サービス」の対象となっており、対応が分かれる格好となりました。

これらの動向は臨時列車設定についても傾向が分かれており、「新たな着席サービス」が導入された常磐線特急・中央線特急では、行楽需要による増発でも基本的に「新たな着席サービス」を採用・「ひたち〇〇号(列車愛称)」といった設定とされています。

一方で東海道線方面では、2023年夏の臨時列車で特急「熱海海上花火大会号」や特急「185」など追加設定も実施されましたが、こちらは旧来の全車指定席料金が適応されて「踊り子」扱いとはされていません。

「草津・四万」や房総特急、東武線直通特急が従来同様に八王子駅発着などの異なる始発駅からでも柔軟な運行が可能なのはといった料金体系がゆえとも捉えられますし、反対に定期列車の区間から外れて奥多摩駅を発着する「おうめ93,92号」が「新たな着席サービス」を採用しているのも分かりやすいと思います。

コロナ禍で行楽特急についての料金体系の考え方も変わってきたかと思いますが、着地点を見失っている印象も否めず今後の展開が気になるところです。

E653系が2編成体制となるも……

大宮操車場ライブカメラ アーカイブより 現車訓練のためとみられる回送(8月25日)

E653系K70編成は2018年11月に秋田総合車両センターを出場、同年12月から試運転を実施し翌2019年3月より常磐線系統を中心とした臨時列車にて運用されています。

今回の「秋の臨時列車」の最注目株は、2023年10月から臨時列車として運用予定と事前に公表されている“新色のE653系電車”(外部リンク)でした。

勝田車両センター時代はK302編成として「フレッシュひたち」を中心に、新潟車両センター転出後はU-102編成として特急「いなほ」を中心に使用されていた編成が勝田車両センターへ再転属することとなっています。

既に構内試運転をする姿も目撃されており、9月9日には撮影会も控えていることから近日中に秋田総合車両センターを出場するものとみられます。

また、これに関連してか最近ではK70編成を使用した訓練目的の回送・試運転が各方面で運転されており、10月からの運用増加を見越した動きと捉えられます。

一方で、今回公表された「秋の臨時列車」と現状発売されている団体臨時列車を使用したツアーでは、E657系が夏に続き東海道線での走行機会がある一方でE653系は従来同様に1編成で賄える設定本数とされています。

日付列車名運転区間備考
10/1(土)(団臨)
体験王国いばらき号
上野→水戸催行確定
使用車種不明
10/7(土)〜9(月祝)海浜公園コキア高尾号高尾〜勝田宣材は国鉄色
10/14(土),15(日)海浜公園コキア大宮号大宮〜勝田宣材は国鉄色
10/21(土),22(日)海浜公園コキア君津号君津〜勝田宣材は国鉄色
10/28(土)(団臨)
いばらきまんぷくトレイン
上野〜高萩催行未確定
宣材は国鉄色

10月から12月は茨城DC(ディスティネーションキャンペーン)期間中で稼働が期待されるところでしたので、やや物足りなさを感じたファンの方も多そうです。

単純に未公表・一般発売のない団体臨時列車が運行されて同時稼働する可能性もありますが、それと同時に既存のK70編成の検査時期が気になるところです。

JR東日本の新保全体系では、走行距離60万km毎を単位とする検査体系となっており(※注)、前回の装置保全から5年近く運用されていることとなります。

使用用途によって走行距離は変動するため一概には記せませんが、コロナ禍で稼働機会が少なかった時期を差し引いてもそれ以前に毎週末のように走行していた時期や、東北新幹線の救済臨として連日稼働していた時期があること、交直流電車の強みを活かして新潟や秋田など遠方まで運転されていたことなどを考えると、検査時期が徐々に近づいていることが想像できます

少なくとも、登場から2年程度のE257系波動用編成や2020年に検査を済ませている185系B6編成の検査時期と比較すると検査が最も近い状態であることは間違いありません。

元々新潟車両センターのE653系には運用上の余裕がありましたので、この転属時期が“今”であるのも将来的な中長期の検査離脱期間の空白を埋めることが狙いの一つにあっても不思議ではありません。

ただし、ここまで公表されている列車のイメージ画像には全て国鉄色のK70編成のものが使用されています。過去にもイメージ画像に反して「いなほ」塗色の編成が使用された事例こそありイメージ画像=使用車両とはなりませんが、「2023年10月から臨時列車として運用予定」というリリースと矛盾しており予想しにくいところです。

※注 検査周期延伸についての補足

2019年7月以降にはE231系・E653系以降の車両については80万km毎に期間を延伸することとなっています。

適用時期以降「最初の装置保全または車体保全まで従来の周期で実施」されます。

このK70編成についてはその適応8ヶ月前に装置保全を施工していたため、次回の指定保全後も従来時期が適用され、次々回からの入場以降に適応されるものとみられます。

ほぼ“塩漬け”185系C1編成ほかの動向も注目

2023年夏の追加設定で登場した特急「185」

2023年は「夏の臨時列車」に続き、「秋の臨時列車」でも185系を使用した列車が多く運行されます。

日付列車名運転区間
10/7(土),8(日)鹿沼秋まつり新宿〜鹿沼
10/14(土),15(日)蔵の街川越号
(川越まつり号)
海浜幕張〜川越
10/28(土)
11/3(金祝)〜5(日)
谷川岳もぐら
谷川岳ループ
大宮〜越後湯沢
11/12(土),13(日)185横浜〜伊東
11/26(日)きらきら足利イルミ吉川美南〜足利

いずれも使用編成は明記されていないものの、依然として1編成体制で運用が賄える構成です。

波動輸送で活躍の場を増やしつつある185系B6編成と対照的に、依然として大宮総合車両センター東大宮センターにて出番を待つ185系C1編成の存在も気になるところです。

2022年に“修善寺踊り子”用C1,C2編成を組み換えて6両編成となり、のちに塗色変更・部品交換を行い「新幹線リレー号」仕様とされています。

組成から1年以上が経過しているものの、活躍の場は塗色変更から現在まで数回と極めて少なくされています。

B6編成を検査期限まで使い倒したのちに代替として使用する想定と推測出来る状態ですが、B6編成も2020年6月に検査を通過したのちにコロナ禍で稼働機会が少ない時期もありましたので、しばらくは現行体制が続きそうです。

このほか、5月からE259系全編成に塗色変更作業が進められており、「成田エクスプレス」専属感を薄めるものとなっています。

定期検査(指定装置保全)大宮総合車両センターに臨時入場急ピッチで施工されており、2023年5月に最初の1編成が登場してから記事公開日現在で8編成が施行済・1編成が入場中となっています。

これらも全編成のデザイン変更は来春のダイヤ改正までに終えたい意向がみえます。定期列車の混み運用が狙いなのか、波動輸送への進出が狙いなのかの答え合わせが楽しみな車両です。

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