【波動用車が不足】E657系が伊東へ初入線!「伊東按針祭花火大会号」運転

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2023年5月に入り、東海道線各駅にて「E657-10」と記された車掌用とみられるホーム掲示がなされており、常磐線特急「ひたち」「ときわ」で使用されているE657系が何らかの形で東海道線で運用される展開がファンの間で注目されていました。

その後、臨時特急「伊東按針祭花火大会3,4号」にE657系10両を充当する計画であることが明らかになりました。入線確認等はせず2023年8月10日、E657系K13編成が伊豆半島にやってきました。

2023年改正で運用数が減少

E657系は651系「スーパーひたち」・E653系「フレッシュひたち」の後継車として10両編成17本が製造されたのち、2019年3月の常磐線全通にむけ2編成が増強、現在は19編成が勝田車両センターに配置されています。

2023年3月改正では、波動用として転用されたE257系5500番台が高崎線特急の定期運用を担うなど、コロナ禍による車両計画の歪みを感じさせられる内容でした。

常磐線特急では、2023年3月改正まではE657系の定期運用は16・臨時が2・予備が1の19運用体制でした。

朝ラッシュピーク帯の減便によるダイヤ余裕を活かして常磐線特急定期列車の上野駅発着の削減が実施されました。

これにより上野駅発着列車のためだけに設定されていた尾久車両センター停泊行路が削除、車両運用効率化が図られており、19編成の配置に対して定期運用15・臨時2・予備2の体制となっていました。

2022年3月改正でも平日の通勤着席需要に応えていた土浦行き「ひたち」が削減されており、運用数だけで記せば仙台「ひたち」復活以前に逆戻りしています。

平日は波動用編成に頼りがちなE257系2000番台

2020年3月に251系を、2021年3月に185系と215系を置き換える格好で営業運転が本格化したE257系2000番台。当初の計画では13編成配置・定期11運用で全ての定期・臨時「踊り子」運用を賄うことが可能な計画とされていました。

「踊り子号」の臨時列車についても「踊り子55号」「踊り子56号」のみ予備編成を使用・それ以外の臨時便は平日の「湘南」に付随して茅ケ崎・国府津・小田原・熱海に停泊する車両を使用することで賄うことが可能な運用構成となっていました。

しかしながら、コロナ禍で「踊り子」は定期列車・週末を中心に運転される列車の体制が大きく見直された社会情勢に加え、9+5両編成の運用の保守負担が大きいことなどを踏まえ、2022年3月改正以降は定期運用数が12に増加し、平日・土休日とも臨時列車の運転本数が多い場合に定期運用の間合いだけでは運行が不可能な構成となっています。

E257系波動用編成が踊り子号に使用されることとなった経緯は過去記事で詳しくお伝えしています。

E257系5000番台もフル稼働

E257系2000番台の補完をするべく2023年2月より稀に「踊り子」臨時便で使用されることとなったE257系5000番台。

3編成が在籍していますが、2023年の“夏の臨時列車”では、「踊り子」「あずさ」「新宿わかしお,さざなみ」で臨時列車としての運用が最大限に設定されており、特に8月10日はOM-91編成が「踊り子9,60号」に、OM-92編成が「伊東按針祭花火大会1,2号」に、OM-93編成は前後日程の房総特急充当のため幕張車両センターに留置(運用構成上前日・翌日に常駐先と入れ替える体系)とフル稼働となっていました。

さらに、2023年3月改正以降は5編成用意されていた5500番台5両編成5本のうちOM-53〜55の3本は「草津・四万」「あかぎ」の専属となり、同列車用の検査間合いや土休日臨時便でOM-51編成またはOM-52編成が使用されています。同年7月以降は平日に臨時「富士回遊」、土休日に特急「鎌倉」とこちらもフル稼働状態です。

首都圏の波動輸送で使用される車両としてはE653系K70編成が辛うじて浮いている状況ですが、直近で新潟入りや乗務員訓練、翌朝から常磐線の臨時列車で使用予定が続く……といった状態で、最終的に白羽の矢が立ったのが定期運用に余裕があるE657系……といった経緯とみられます。

JR東日本の近年の動向としては、「新しい着席サービス」を適用しているE259系,E353系,E657系などに定期運用と重複する臨時運用は避けているとも受け止められる状況でしたが、最近は“ない袖は振れぬ”と言わんばかりの柔軟な対応がされています。

一方で最近では、2023年8月に新潟エリアで活躍していたE653系U-102編成が勝田車両センターへ戻り波動用として活躍することが示されており、波動輸送については少しばかり余裕が生まれるはずです。ただし、185系を2編成延命して誤魔化している状態であり、首都圏の波動用編成という括りだけではまだまだ厳しい状態です。

JR東日本の在来線特急を巡っては、コロナ禍で計画が見直されたことが容易に想像できる状態ですが、通勤利用とは異なり行楽やインバウンドの需要は回復傾向です。

常磐線関連の臨時列車はE653系が中心となりそうですが、運用数に余裕のあるE657系には秋以降も他路線での運用が叶うかもしれません。

特にかつての新幹線救済臨の事例を踏まえても、E657系の東北本線郡山〜白石駅間の入線確認(白石駅以北は常磐線全通前の訓練で入線済)・福島統括センター(旧:福島総合運輸区)乗務員への訓練は早期に実現しても不思議ではありません。

昨今のE259系デザイン変更も他列車との混み運用を想定しているという見方が有力なほか、E257系500番台にもコンセント設置が進められるなど新たな動きも続くJR東日本の在来線特急。次回改正でもファンの予想をも超えるような複雑な動きがありそうです。

運行の様子を見る

今回の運行では、勝田車両センターから当日に東京駅まで回送され、東京駅から伊東駅まで「伊東按針祭花火大会3号」として伊東駅まで運行されています。

伊東駅発着の臨時列車では伊東駅構内電留線を使用する事例が多いですが、設備上最大限の臨時列車を運行するためか一旦根府川駅まで回送。根府川駅中線と真鶴駅下り側線で時間調整ののち花火大会終了後の最ピーク帯となる「伊東按針祭花火大会2号」(E257系5000番台9両)や小田原行き臨時列車と隣駅である宇佐美で交換したしつつ伊東駅へ回送される体系となりました。

伊東駅到着後は「伊東按針祭花火大会4号」として東京まで運行。到着後は品川に回送されており、翌日の常磐線下り臨時特急でそのまま利用する効率的な体系となっていたようです。

伊豆急行線へは入線不可能だが……

E657系の仕様としては、JR東日本の在来線特急で一般的な車体長20m・連結面の間隔で20.5mが採用されています。

一方で、伊東線伊東駅より先の伊豆急行線では、185系10両編成・251系10両編成とも編成長で200mの組成とされており、E657系と同様に20.5m/両のE257系は9両編成のまま運用されています。

特急「踊り子」黎明期に20.5m/両の183系10両編成が運用されていた歴史がありますが、当時は一部駅のホームを延伸しており現在は撤去されている状態です。

これらの過去事例から、伊豆急行線内の現行設備での有効長は200mとされており、E657系10両編成は入線不可能=南限は20m級11両まで対応している伊東線の伊東駅であることが読み取れる状態でした。

今回、臨時特急「伊東按針祭花火大会3,4号」として運用されることとなったE657系ですが、かつての「常磐伊豆」のような運行は難しそうです。

とはいえ一度実績が生まれたわけですので、“我孫子踊り子”や青梅線方面からの特急「あたみ」のような熱海・伊東への観光特急として再び静岡県入りする日を待ち望みたいところです。

また伊豆急行線への交直流電車の乗り入れ自体は不可能ではなく、485系ジョイフルトレインなど多数入線実績がありました。理論上可能(乗務員訓練が必要)なE653系の今後に期待でしょうか。

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