【中央線快速グリーン車】E233系H57編成が試運転で国府津へ

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7月12日未明に姿を現した中央線快速電車向けグリーン車、サロE233-1,サロE232-1。

豊田車両センター所属のH57編成基本側6両に組み込まれ8両編成となり、27日に豊田〜新宿〜国府津駅間で試運転が実施されています。

甲種輸送で豊田に運ばれたグリーン車

7月12日未明に総合車両製作所(J-TREC)横浜事業所を出場したサロE233-1,サロE232-1の2両は、逗子駅から先も甲種輸送(貨物列車としての輸送)にて豊田車両センターへ搬入されています。

JR東日本向けの新造車では、総合車両製作所新津事業所で製造された車両は全区間自走・横浜事業所で製造された車両は逗子駅から自走となる事例が一般的ですが、新形式・新区分車両については甲種輸送で実施されます。近年の事例だと、E353系先行量産車やFV-E991系などが挙げられます。

今回の2両も従来車と車体構造・台車間距離などの設計が一新された車両となっており、過去事例に倣った対応となりました(車両の詳細は前回記事参照)。

なお、現在進められている横須賀線・総武線快速電車向けのE235系1000番台ではグリーン車を横浜事業所で製造し、甲種輸送で新津へ運び、新津事業所で製造されている普通車と連結して完成とされています。

また、当初は全車普通車で新造され、後年にグリーン車を増備したE231系・E531系のような編成途中に併結をする事例では、全区間甲種輸送で受領・編成組み換えをする体制でした。

過去事例に倣えばしばらく先となるであろう量産車も甲種輸送で対応される可能性が高そうですが、かつてのE231系山手線6扉車代替のように伴走車編成を用意する体制なども否定は出来ず、今後の体制については何とも言い難い状態です。

H57編成に連結されたグリーン車

車体表記上は6-5-4-5-4号車となっている今だけの姿

13日朝に豊田車両センターへ搬入された2両ですが、同日午後には早くもH57編成の3〜4号車間に連結されている姿が目撃されていました。

この動きから、最初の試験はH57編成を使用して実施されるものとみられる状態でした。

なお従来の4〜6号車であり、12両化後は6〜8号車となるはずのモハE233-857-モハE232-257-クハE232-515の3両ですが、現時点では車内外の号車表記は4〜6号車のままです。

最終的にH57編成に組み込まれるのかは定かではないものの、現在見られる形態でしばらくH57編成基本側6両は試験伴走の任務が続きそうです。

「公式試運転」か

27日の試運転では、豊田車両センターを出発後は新宿駅まで中央線快速電車の線路(三鷹駅以東急行線)を走り、その後進路を新宿発着の特急「湘南号」と同様の山手貨物線・品鶴線・東海道貨物線経由で国府津駅に向かう格好で実施されています。復路も同様の経路で1往復となりました。

一般に、新造車両は輸送前に車両メーカーで低速走行の試験を済ませた後、納入先の鉄道事業者へ輸送して納入先の路線で製造事業者・鉄道事業者双方の職員添乗の下で試運転を実施して納入されます。これを「公式試運転」と呼称する事業者が多く、コアなファン層にも知られています。

この公式試運転では高速域の性能やブレーキ性能が設計通り満たされているかを測定するため、JR東日本では線路規格がしっかりしていて、かつ前後列車のダイヤに余裕がある路線を使用する事例が一般的です。

E233系0番台普通車の事例では、新津車両製作所(現:総合車両製作所 新津事業所)で落成した編成は新津エリアにて、それ以外の東急車輌製造(現:総合車両製作所 横浜事業所)・川崎重工業兵庫工場で落成した編成は甲府盆地の平坦区間(塩山駅〜酒折駅など)で高速域の試験を実施するのが通例となっていました。

2020年6月に増備されたT71編成でも同様の体制が組まれましたが、試験で本来の性能が確認できなかったためか、後日東海道貨物線でも試運転が実施されています。

通常の量産車両ではこの公式試運転を以て鉄道事業者に「入籍」、事業者の車両の一員として営業運転入りとなりますが、新たな設計が採用されている場合はその後様々な性能確認試験を実施します。

今回製造されたE233系グリーン車は、113系・211系用の二階建てグリーン車をルーツとする車体設計・台車間距離などが大きく変更されており、今後様々な試験が実施されるものとみられます。

東海道貨物線で試運転をした車両は非常に多く、近年だけでもE235系0番台・1000番台、E257系2000番台やE261系、さらには相鉄12000系まで東京・横浜・大宮支社向けの幅広い車両で様々な試験で使用されています。

今後もしばらくは東海道貨物線で試験を実施するのか、それとも従来の中央線向けの新車と同様に山梨エリアの山岳区間での試験が中心となるのか。そして、いつ12両編成の姿が見られるのか、引き続き興味が尽きない車両です。

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