【修善寺踊り子】E257系への置き換え後の運行は?運転継続なるか

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東海道線~伊豆方面特急「踊り子号」は、185系からE257系への置き換えに向けた改造工事が進んでいます。

その一方で、熱海駅からJR東海・伊豆箱根鉄道駿豆線へ乗り入れる「修善寺踊り子」については存続する方向としつつ、依然として車両には動きがありません。

ここまでの情報を整理しつつ、今後の展開を考えます。

最終的な置き換えは2021年3月改正までに完了

現在までに、組合発表・報道されている内容を整理すると、以下の通りとなります。

・サフィール踊り子号でスーパービュー踊り子号置き換えは20年春

・スーパービュー踊り子号=251系は引退

・E257系による185系置き換えは21年春に完了

・修善寺踊り子の処遇は未定or未発表

記事公開後の動きとして、500番台転用が商業誌で報じられたほか、伊豆箱根鉄道の変電所設備更新が確認されています。

なかなか鈍い動きとなっていますが、少しずつ運行存続に向けて進んでいそうです。

E257系の改造は急ピッチで進行中

2018年(平成30年)6月末・2019年(平成31年)3月ダイヤ改正と2段階で中央線特急「あずさ」「かいじ」の定期運用から離脱したE257系ですが、現在急ピッチで改造が進められています(関連記事参照)。

1編成60日という工期通りに進む計算だと、2020年(令和2年)ダイヤ改正では10編成程度が運行開始出来る計算となります。

このうち何編成が営業運転を開始するかは定かではないものの、急いで施工している動きから、20年春に結構な編成数が運用入りするものとみられます。

今回の記事のここから先はここまでの動きを検証した上で私が推測したもので、公式発表されていない動きを推測したものです。関係機関へのお問い合わせはご遠慮ください。

500番台の転用はかなり濃厚

修善寺発着の継続の有無は依然として不明なものの、500番台転用についてはかなり高い可能性を持っています。

これは、現在の余剰編成数だけではなく、現在改造が進められている2000番台の仕様にポイントがあります。

旧来の3号車=転用後の9号車となる貫通型先頭車に、新たに幌が設置されている点です。

E257系0番台では付属2両編成側に幌を装備していました。

2両付属編成については長野総合車両センターで第二休車(=廃車見込み)となっていることから、わざわざ新設して連結する相手としては500番台しか存在しません。

現在改造中の9両編成を10+5に組み替えるには、幌の疑問が拭えないほか、車両構成や多目的室の位置などに大幅なテコ入れが必要になるので、可能性はかなり薄くなってきたでしょう。

2000番台の非貫通側先頭車が1号車として運用する場合に付属編成の連結位置として妥当なことと、500番台の既存の幌の設置向きと揃うことから、2000番台は500番台(→2500番台?)との連結を前提として改造されていることはほぼ確実と言えるでしょう。

しかしながら、これだけでは修善寺発着の踊り子号の運転継続の根拠にはなりません。

185系の主な運用は踊り子号よりも湘南ライナーと言っても過言ではないほどに東海道線系統のライナー需要が高いため、あくまでその増結用という可能性も十分に考えられるからです。

修善寺発着の踊り子号運転継続に必要な課題

単純な車両置き換えにも見える今回の転用ですが、課題も多く残っています。

伊豆箱根鉄道の入線確認

伊豆箱根鉄道では、E257系のような20.5mという長い車体の入線実績がありません。

踊り子号の前身は急行列車であったため、入線実績のあるJR車両は全て185系同様の20m車体です。

さらに、VVVFインバーター制御車両も前例がなく、回生失効対策・変電所対応などの必要もあります。

地方私鉄の伊豆箱根鉄道にとって、これらの設備改修費用はかなりの痛手でしょう。

一方で、踊り子号廃止も(直接的な収入減こそないものの)、修善寺への行楽需要自体のマイナスが懸念されますので、どちらにせよ難しい判断を迫られているのではないでしょうか。

2019年の春に臨時快速列車が運行されて、新幹線接続を勧める形態だったのも、今後の利用動向の模索が目的だったのではないかという推測も多く見られました。

JR東海の説得と三島駅

そもそも、JR東海にとって、この修善寺発着の踊り子号の存在はデメリットしかありません。

まず、この列車さえ無くなれば、熱海駅〜三島駅という短区間列車に乗務員を割く必要がなくなるほか、乗客が東京駅〜三島駅を新幹線で移動してくれれば運賃収入が全区間自社のものとなるので、大きな増収となります。

また、三島駅1番線ホーム途中にある伊豆箱根鉄道への分岐では、ホームを一部切り欠いていますので、ここを20.5mのE257系が通れるかという問題も存在します。

そして、JR東日本では全席指定席化による新体系での料金設定を積極的に進めており、この流れは東海道線方面に広がることも確実です。

この料金制度について、JR東海としての賛否こそ名言していないものの、東海道新幹線・各在来線特急での運行実態、そして自由席とともに広がった「エル特急」の呼称を最後まで使用したことを考えれば、積極的ではなさそうです。

尤も、小田急電鉄乗り入れのあさぎり号→ふじさん号などで全席指定席の実績はあるので、JR東海の意向次第でしょう。

JR東海の車掌が携行している車内発売機はJR東日本と異なるものを使用しているので、こちらのシステム改修も必要です(これについては、伊豆急行と同型のようですので、対応自体はおそらく可能でしょう)。

JR東日本も乗り気ではない?

以上の経緯を踏まえると、JR東日本が一番乗り気に思えますが、そうとも言い切れません。

利用者全員が移行してしまえば運賃収入を失ってしまうものの、途中駅利用者も多い路線ですので、途中駅利用者が熱海駅まで踊り子号を使ってくれれば損失は大きくはありません

また、最も可能性の高い9+5の14両編成では、最近流行りの車掌1名化もなかなか難しくなってくるでしょう。

停車駅を最大限に絞って東京・横浜・熱海とした場合でも、東京〜横浜駅の短区間で14両の巡回は考えにくいところです。

常磐線系統の一部駅でなし崩し的にやっている中間車掌室でのドア扱い(組合報)も、横浜駅のような大規模駅では難しいでしょう。

従来から修善寺編成の方が空き席は多くありましたので、修善寺編成を無くして9両編成で車掌1名にしてしまえば人件費もかなり抑えることが出来ますので、これもJR東の最近の動向を考えるとありえそうな動きです。

困るのは沿線自治体だけ

以上の経緯を踏まえると、修善寺発着の踊り子号存続を希望しているのは、西伊豆の沿線自治体と西伊豆に頻繁に行く利用客くらいなのが現実でしょう。

JR東日本はE257系で良いなら(どうせライナーの特急化で付属編成欲しいし)車両準備するよ?くらいの意思はありそうですが、JR東海は消極的、伊豆箱根鉄道は存続したいけど設備改修も……と困っている……あたりが実状となっており、継続運転の可能性も五分五分くらいでしょうか

趣味的にはやはり残して欲しいところですので、何らかの方法で課題が解決することに期待しましょう。

E257系が20年春から投入される列車はどれ?

修善寺編成の継続の可否がまだ決まっていないこと、全列車の置き換えは2021年(令和3年)春に実施という報道から、2020年(令和2年)3月改正ではスーパービュー踊り子号の既存列車のうちサフィール踊り子化されない列車や、修善寺編成との増解結がない列車への部分投入がありえそうです

また、湘南ライナーについては「おだわら」がサフィール踊り子、富士回遊、はちおうじ、おうめとともに商標登録されていることから特急化が想定されますが、これについてはE353系の先例に倣うと、特急化までは使用しない=車両の差別化をすることで割高感を軽減……という動きが推測されます。

中央線系統の例のように、大規模改正は車両統一後に新体系料金適用とともに……という動きが自然ですので、20年春は車両の置換に留めるのではないでしょうか。

以上を踏まえると、E257系が使用できそうなダイヤは下記の通りです(列車番号と折り返しの組み合わせは一番運行頻度が多いものを選んでいます)。

スーパービュー踊り子号代替列車

3063M-翌3002M-3007M-3060M(スーパービュー3,2,7,10号)

定期:2往復2編成

8009M-9014M(スーパービュー9,12 or 14号)【繁忙期】

臨時:最大1往復1編成

踊り子号増解結なしの列車

3027M-3028M(踊り子107,108号)

定期:1往復1編成

9131M-9132M(踊り子111 or 131,112 or 132号=我孫子踊り子)【毎週末】

9079M-9076M(マリンエクスプレス79,76号)【毎週末】

8021M-8024M(踊り子101,104号)【繁忙期】 ※SV9,14号とダイヤ上掛け持ち可能

8023M-9056M(踊り子103,156号)

9053M〜(踊り子153号〜)

臨時:最大4.5往復程度・5編成程度

以上を踏まえると、定期3運用と臨時4〜5運用程度となり、9〜10編成くらい改造が終わる今のペースでぴったりな計算です。

20年春は修善寺関連列車と湘南ライナー以外を全て置き換え、21年春には修善寺発着の処遇決定とライナー特急化……あたりが現実的な動きでしょうか。

ライナーへの充当をしない場合は、特急化までの1年間は運用の遊びがかなり大きいですので、他線区の臨時列車への充当も始まるかもしれませんね。

関連記事はこちら

動画資料集

YouTubeチャンネル【鉄道ファンの待合室資料館】にてこの列車についての動画を公開しています。チャンネル登録・コメント・評価もお願いします。

コメント

  1. きさらぎ より:

    E257-0の2000番台は、2021年春までに改造対象の全13編成が改造完了となる計画です。500番台の改造は……ナイショですw

  2. いち中央線沿線民 より:

    3月の週末に伊豆箱根鉄道に踊り子号の撮影に出かけた際帰りに修善寺駅から利用しましたが、確かにガラガラでした。車内販売も修善寺編成側には来ませんでした。
    途中熱海で下りの修善寺編成を見かけましたが、そちらはそこそこ乗車がありました。
    修善寺編成は外国人観光客向けの乗車券がある関係で無くせないという説もありましたがそんな事もなさそうですしこのまま廃止になるような気がします。
    185系が淘汰されれば設定日を減らしつつ細々と存続しているムーンライトながらも無くなるでしょう。

  3. しつ より:

    E257系は500番台が各方面での臨時列車で使用されている他に、改造待ちの0番台が集約臨で日光線にも乗り入れたりしているので、実質的には185系の置き換えが現在進行系で進んでいる状況です。
    修善寺乗り入れとは直接の関連は無いですが、御殿場線からの日光方面集約臨が毎年185系で運行されてきましたが、E257系での運用開始以降は御殿場線からの発着が消滅したという事もあり、修善寺乗り入れも廃止される可能性大か?と推測してます。

    • しつ より:

      雑誌で500番台を改造の上存続と出ましたね。
      下のコメントの通り計画が出ている事は把握してましたが、時期的に早かった事もあったので断定出来なかったのですが..

  4. より:

    E257に置き換え後も分割併合を行って修善寺乗り入れ継続、と去年の段階で明確に報道されていますので、天災などで計画が変わらない限りはこのまま継続でしょう。

  5. CS12C より:

    伊豆箱根鉄道に入線していた157系の全長が20500mm(連結器間、車体長20000mm)だったりします。

    E257の先頭車が21000mmなのは問題かもしれません。ただし、他社では以下のような
    例もあります。

    名鉄キハ8200形は全長が20000mmを超えていましたが、車端の絞り込みと実質の車体幅を狭めて名鉄の限界をクリア。メトロ16000系の先頭車も20000mm越ですが先頭部の絞り込みで地下線内をクリアしています。

    E257の台枠側梁と側面の接合は方形断面台枠に曲面を継ぐタイプなので、
    実質の台枠幅が185系と対比して狭いのかな?
    それやこれやで、実質の車体幅、台車中心間距離、ホイルベース、オーバーハング、
    車端の絞り込みや折妻度、台枠側梁の絞り込みや折り込みにより、185系と同じ
    建築限界に治めることも可能なので、E257がどのように処理されているかですね。