【60Hz対応済?】JR東 E501系の2編成が九州・小倉へ甲種輸送

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JR東日本ではこれまで、E531系とともに少数派のE501系が運用されてきました。

2024年3月改正で5両編成の運用が終了し、前後して4編成のうち1編成が廃車解体・1編成が観光列車に転用されました。

2025年9月9日より、残されていたK752編成・K753編成がそれぞれ4両化の上でJR九州 小倉駅まで甲種輸送されています。

土浦通勤輸送用として新造されるも……

今は見られなくなった土浦行き。列車番号表示がマグサインの時代。

E501系は常磐線の上野〜土浦駅間を中心に使用する通勤形電車として1995年と1997年に開発・新造されたものの、その限定的な用途から10両編成・5両編成各4本の計60両の小所帯にとどまったJR東日本の車両です。

403系・415系などの3扉セミクロスシート車を一部代替したものの、後継車両となるE531系の投入により上野口への入線機会が失われました。

その後はトイレ設置など中距離輸送に適した改造が行われたのち、10両編成が常磐線・5両編成が水戸線を中心に運用されていました。

2018年夏には5両編成の運用は常磐線に変更されました。

これは同年に複数回の車両故障が発生しており、交流・直流の切り替えに課題を抱えていたようです。

2020年代に入ると水戸線・常磐線内のワンマン運転が徐々に拡大したことで運用が徐々に減少し、特に5両編成の運用が年々減少。

2023年改正で水戸駅〜いわき駅1往復となったのち、2024年3月改正で定期運用が無くなりました。

現在は10両編成が水戸駅〜いわき駅(早朝上り1本のみ草野駅)にて朝夕の通勤輸送を中心に使用されています。

輸送の様子を見る

浜名湖を渡るE501系。両編成とも東急製のため、初の通過エリア。

今回、甲種輸送対象となった車両は、JR東日本 勝田車両センターに所属していたE501系K752編成・K753編成のうち、中間付随車である4号車を外した2編成8両です。

画像;大宮操車場ライブカメラ(当サイト運営)アーカイブより

1日目の郡山からの牽引は、JR貨物 仙台総合鉄道部に所属するEH500形78号機、川崎貨物駅で一泊・方向転換ののち、2日目は吹田機関区のEF210形149号機の牽引で東海道・山陽本線を一路西に向かっています。

終着地かつ営業エリアになるであろう関門トンネルは、門司機関区所属のEH500形のエスコートとなります。

両編成は2023年3月に定期運用を失った後も留置されていました。

JR同士の譲渡かと思いますが、JRマークも剥離。

2025年7月にK753編成を使用した試運転を複数回実施。同月25日にはK752編成が、30日にはK753編成が郡山総合車両センターに相次いで入場。

E501系のトレードマークであったエメラルドグリーンの帯が剥がされたのち、4号車のサハE501形を外す作業が目撃されており動向が注目されていました。

1ヶ月半程度の入場期間に一部が郡山総合車両センターの検査施工車両の特徴であるライトグレーに塗装されており、九州でデビュー後の初回検査までは目立ちそうです。

有名ポイントの1つ興津川。今日は富士山には恵まれず……

2008年に実施された415系のJR九州譲渡では、疎開先の高萩駅から常磐線を南下していました。

JR東日本からの譲渡車両が所属基地から直接搬出される事例(209系伊豆急譲渡など)もありますが、今回はJR東日本側でも一部の整備を実施したゆえでしょうか。

こちらも人気の焼津〜用宗。多くのファンで賑わいました。

また、水戸線経由で入場したため新鶴見信号場時点での編成向きが逆転したままでしたが、今回は川崎貨物駅にて折り返してから東海道貨物線へ入ることで415系と編成向きが揃えられています

小田急電鉄8000形が西武鉄道に譲渡された事例(過去記事)・JR東海211系が流鉄に譲渡された事例(過去記事)など、編成向きを逆転させるために川崎貨物駅経由となる事例は比較的多く見られます。

このほか、415系は小倉行きでしたが、今回は西小倉行きとされています。

「無ラッピング」となったE501系の外観は、伊豆急譲渡された209系の試運転(過去記事)時の外観にそっくりです。筆者は当時何度かその試運転を撮影していたので、懐かしい気持ちになりました。

今後の動向とファンの疑問点を考える

電気連結器は撤去されたまま

奇しくも先輩格の415系に続きJR東日本から九州への譲渡となったE501系。

東京臨海高速鉄道りんかい線 70-000形の筑肥線投入では、2両編成で電動車化改造も含む大掛かりな改造が想像されます。

E501系の投入までのハードルはどのようなものが想像出来るでしょうか。

50Hzのみの設計では?

E501系は先代の415系とは異なり、東日本側の50Hz電源のみに対応して設計・新造された車両です。

将来的な60Hz対応を見越した設計にはなっていません。

一方で、JR東日本の車両では50Hz電源のみに対応して設計された200系新幹線が1編成のみ60Hz対応改造を受けて長野新幹線で運用されていた通り、改造の上で使用することは技術的に可能です。

過去記事で貴重な当時のお写真を紹介していますので、よろしければぜひご覧ください。

また、50Hz設計のE4系新幹線においてP81,82編成が長野駅まで入線可能な設備で新造されていましたが、営業運転は叶いませんでした。

このほか、JR東日本の総合検測車“east i”の先代車両である925形(緑帯のドクターイエロー)についても、長野新幹線開業に対応するため改造を受けています。

一般に「昔の60Hz用の家電製品を50Hzエリアで使用すると壊れやすかった」などと言い伝えられている通り、60Hz用の変圧器を50Hzで使用すると「過励磁」と呼ばれる損傷が生じるため機器類一式の交換が必要なのに対し、50Hz用の変圧器を60Hzで使用すること自体は問題ありません

台車横の丸い機械が主変圧器の一部

今回の輸送では、台車に加えて屋根上パンタグラフ周辺の機器類・そして主変圧器に整備の跡が見られますので、郡山総合車両センターにおいて既に60Hzへの対応工事がされているのかもしれません。

ただし、外観上は従来品と同様でした。E501系のこの機械には2種類の形状がありますが、主に川崎重工で製造された車両で見られた仕様です。

415系を置き換えるには数不足

13本新製・1本はJR東日本から譲受されたJR九州の415系1500番台(写真AC)

代替対象と推定される415系1500番台は4両編成14本在籍しています。

今回譲渡対象となったE501系4両編成2本に加えて、常磐線で運用中の10両編成4本を短縮したとしても完全な代替は不可能です。

交流3扉車が大勢のJR九州において、設計思想から全く異なる交直流4扉車が混雑すること自体の必要性も乏しく、現実的には直流電化区間を含む、鹿児島本線の小倉駅・山陽本線の門司駅〜下関駅間で設定されている関門トンネルのピストン運用の代替に留まりそうです。

とはいえ、この下関発着列車についても、日中毎時2本・朝夕には毎時4本程度の頻度で運転されています。

関門トンネル区間の専用車に留まるにせよ、現行の415系の同運用を代替するためには4〜5編成程度の配置・3〜4運用程度の構成が望まれるところです。

現行ではごく一部に留まる小倉駅まで運行せず門司駅で折り返す運用を組むとしても、2編成配置1運用とすることは不可能で、追加投入がされない限りは415系と当面は共存する動きとなりそうです。

交直流の切り替え不具合がある電車で関門運用?

JR東日本から譲受したトップナンバーと下関駅(写真AC)

先述の通り、2018年に水戸線内で交直流セクション通過が原因とみられる車両故障が複数回発生し、同年9月より水戸線運用から外されていました。

この経緯をするファンからは、交直セクション跨ぎの関門トンネル用としての購入自体へ不安の声も聞かれます。

E501系の交直流自動切り替えは保安装置「ATS-P」の地上子により実施されており、この自動切り替えの不具合によるものと推定されます。

一方で、完全に直流電化区間が走行不可能とされたわけではなく、水戸線運用撤退後も郡山総合車両センターへの入出場回送は自走で実施されているほか、K754編成を改造した「SAKIGAKE」が2025年に水戸線で運行されています。

定期列車では煩雑であっても、臨時列車で使用する程度であれば手動での切り替えで入線可能……といったところでしょうか。

投入先と考えられる山陽本線 下関駅〜門司駅間はATS-SK形・鹿児島本線 門司駅〜小倉駅間はATS-DK形が使用されており、JR東日本時代の自動切り替え機能はそのままでは利用できないものです。

このため交直流切り替えにおいても代替機能を別途付加するか、現行の415系と同様に運転士が主動操作をする方式となることが想像されます。

E501系を運用するためには保安装置の交換が必要となることは明白ですので、JR東日本時代のセクション通過の課題は特段問題ないと判断されていても不思議ではありません

追加投入も可能?

代替新造されたE531系先頭車

JR東日本側の動向においても、2023年・2024年改正で順次E531系5両編成によるワンマン運転拡大が続きました。

これにより、E531系5両編成については配置数に沿った一方で、26編成が在籍するE531系10両編成についても、4〜5編成程度の余裕がある状態です。

E531系では現在、定期検査に加えて機器更新工事が進められているため、工場の入場期間が通常より長めとなっていました。

この工事も10両編成では多数派である初期投入グループにおいてはまもなく完了となります。また、事故により1編成が離脱していた状況も代替車両が新製された(過去記事)ことでより余剰傾向となっている状態です。

グリーン車の営業有無の問題こそあるものの、早ければ2026年3月に実施されるであろうダイヤ改正にて、E501系10両編成の定期運用が終了となることすらあり得る環境です。

この場合E501系のJR九州譲渡は、りんかい線70-000形の譲渡とともに今後も継続して実施されても不思議ではありません

一方で、10両編成が編成短縮の上で投入される場合は、トイレの数(編成内2箇所となってしまう)など、種車起因の差異が生じることとなりそうです。

先に九州入りした70-000形ともども、どのような外観で小倉から姿を見せるのか、何編成体制となるのか、今から楽しみでなりません。

朝日を背に“ハヤネブ”を行く

9/10 23:50 E501系の製造メーカーについて誤りがありましたので内容を一部訂正しました。

コメントいただいた方、ありがとうございます。

(URL付きコメントは承認されないもので……)

10両編成は4編成中3編成が川重製・今回譲渡車も川重製……導入数のヒントになりそうです!

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コメント

  1. かん より:

    やはり日本の周波数は統一させなかったのは先人の過ちだ

  2. 総武線民 より:

    りんかい線の先頭車は今後来るであろう10両編成の先頭車にするんじゃ無いですかね?
    おそらくサハは抜くから10両→6両で譲渡されるのでは?10両編成は両先頭車共にトイレ付きなので向きを統一し、4両編成2本にすると予想。