すっかり常磐線の顔として定着したE531系。2019年度まで車両増備が続けられた長さが特徴的ですが、初期製造車両については本年度より機器更新の動きが始まっています。
基本編成はK415編成が定期検査も担当している郡山総合車両センターで初施工となっていましたが、2020年7月2日から3日にかけて、付属編成のK451編成が秋田総合車両センターへ配給輸送されています。
E531系の投入と細々と続いた増備
E531系は、常磐線普通列車として使用されていた415系などを淘汰するため、2005年より投入が進められた形式です。
2005年にはモノクラスの10両編成・5両編成で製造が進められましたが、翌2006年から常磐線についても他路線同様にグリーン車組み込みの動きが開始。
K407編成からK411編成までは組み替えに備えて暫定的な編成構成で登場したほか、K411編成までの付随車2両をK412編成からK422編成に組み替えを実施しています。
2005年・2006年の投入で上野口の415系置き換えが完了して一段落。基本22編成・付属16編成体制となりましたが、その後も細々と増備がされています(過去記事参照)。
10両編成 0番台 | 5両編成 0番台 | 5両編成 3000番台 | 製造経緯(一部推測) | |
2005年 | K401-K406 6編成 | K451-K456 6編成 | 上野口415系等の置き換え | |
2006年 | K407-K422 16編成 | K457-K466 10編成 | 上野口415系等の置き換え | |
2010年 | K467,K468 2編成 | E501系の機器更新工事予備車 | ||
2014年 | K423 1編成 | K469 1編成 | 上野東京ライン開通の運用増(基本) 415系残存車の淘汰(付属) | |
2015年 | K470-K475 6編成 | K551-K553 3編成 | 415系残存車の淘汰 (東北本線運用準備) | |
2016年 | K554 1編成 | 415系残存車の淘汰 (東北本線運用準備) | ||
2017年 | K424-K426 3編成 | K476,K477 2編成 | K555-K557 3編成 | 上野東京ライン増発の運用増 415系残存車の淘汰 (東北本線運用準備) |
2019年 | K478,K479 2編成 | 常磐線全通による運用増 (在来車の機器更新予備車?) | ||
2020年 | K480-K483 4編成 | 常磐線全通による運用増 (在来車の機器更新予備車?) |
交直流電車なのに……機関車牽引で秋田へ
E531系はE501系同様に、交流・直流の双方の電源に対応した「交直流電車」です。
一見すると、JR東日本管内のすべての区間を走行することが可能なようにも思えるほか、通常の郡山総合車両センターへの入出場なども全て自走で行っていましたので、機関車牽引で配給輸送される姿に違和感を感じる方も多いのではないでしょうか。
E531系がJR東日本の配給輸送として走行した事例は新津で製造された編成の輸送時にもありました。新造当初はEF64形の牽引が中心だったものの、2017年度増備車など一部でEF81形の登板実績がありました。
2020年6月には勝田車両センター内で連結訓練をしている姿も目撃されたばかりでしたので、今回の配給輸送に備えるものと考えられます。
過去の秋田総合車両センターの公開イベントにて、2019年度よりE531系の転用・機器更新工事を実施する旨の掲示があることが複数のファンにより目撃されていました。
今回からしばらく継続して実施されることとなりそうで、今後も時折EF81形との組み合わせを見ることが出来そうです。
基本編成は郡山で機器更新車が登場!
一方の基本編成側については、装置保全などの定期検査を担当している郡山総合車両センターで初の施工事例が登場しています。
付属編成はトップナンバーのK451編成からスタートした一方で、基本編成は新造時のモノクラスで製造されたグループを飛ばし、K415編成が最初の施工対象となりました。
検査時期などを加味した順番と思われますが、先述の秋田の掲示で「転用」という記述もあり、基本編成・付属編成ともに、編成短縮・他路線運用・6M4T化など何らかの大きな動きが発生する可能性自体は捨てきれません。
付属編成については、組合資料にて水戸線の中編成ワンマン化が再度記されており、既にK480編成以降の0番台増備車で安全確認カメラが新造時から取り付けられています。在来車にも同様の改造を施工した場合、車種による運用の制約を減らすことが可能です。
また、K415編成の機器更新では、新たに使用される機器については保全の度に塗りなおされる郡山総合車両センター特有のライトグレーではなく、新造時の車両同様のダークグレーの塗装となっている点が外観上の特徴となります。従来品を使用する台車などのライトグレー・改装品のダークグレー・更新対象外の汚れた色となかなか面白い状態で試運転が繰り返されています。
一方で、床下機器の形状が変更されているのはTIMS装置のみとなっており、それ以外の機器は3000番台以降に増備された車両と同型のものが搭載されています。
E531系は直流電車のE231系とE233系の間に開発・設計された車両で、電装品も2019年増備車までSIVなど一部を除いて同様のものを使用して製造されていました。
今回の機器更新工事では新造品を使用しているものと推測できますが、今後は外箱流用した基板更新品の搭載となる可能性もあり、このTINS箱の変更が外観上唯一の違いとなりそうです。
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画像元ツイート紹介
今回の掲載写真のうち、E531系K451編成の秋田総合車両センターへの入場配給の画像については、フォロワーの秋アキ801さまより掲載許諾をいただいてお借りしております(郡山総合車両センターで改造されるK415編成は筆者撮影)。
コメント
いつも楽しく拝見しております。
文中の「ひと段落」は、誤りです。正しくは「いちだんらく(一段落)」です。
おせっかいですが読みにくいので直してください。
ひでっち様
日頃から閲覧・コメントありがとうございます。
「一段落」の正しい記述についてはご指摘の通りです。
縦書きの新聞等と異なり、閲覧環境(スマートフォンなどの文字が小さい環境・字体など)によっては、漢字の「一」と伸ばし棒の「ー」が誤読しやすくなるかと思い、弊サイトでは漢数字自体の使用を避けて記述しております。
そのようななかで「いち段落」と記述することが読みやすいか否か……という観点で、より文脈が伝わりやすいと考えて「ひと段落」と記した次第です。
マスメディア等で盛んに誤用とされている表現であることは把握しておりました。
あくまで個人運営の趣味サイトという当サイトの立ち位置としては、正しい書き言葉であること以上に、幅広い世代に対して内容が伝わりやすい噛み砕いた表現を重視しております。
「ら抜き言葉」などを避けるのは大前提としているものの、今後も必要に応じて模範的な表現とは異なる記述を行う場合があることをご容赦くださいませ。
賛否は分かれるところかと思いますが、今回は貴重なご指摘を頂戴しましたほか、直前の記述が平仮名で誤読は比較的発生しにくいと感じたため、修正させていただきました。
今後とも当サイトのご愛顧のほどよろしくお願い申し上げます。
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