【JR貨物】意欲作・引退済のEF200形が京都鉄博展示へ・不運の歴史

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JR貨物黎明期の意欲作であるEF200形。

2019年春にひっそりと運用を退いたのち、吹田機関区の片隅でひっそりと過ごす日々が続いていました。

今回、11月16日(土)〜24日(日)に京都鉄道博物館での展示となり、最後に大きな脚光を浴びることとなります。

1600トン列車牽引のためのマンモスパワー

JR貨物では、国鉄分割民営化直後にバブル景気による物流需要の増大に応えることとなります。

発足後すぐにEF66形100番台・ED79形50番台・EF81形400,450,500番台といった国鉄型電気機関車の改良型を投入したほか、民営化の際に余剰車として国鉄事業清算団に引き取られていた機関車を復活させています。

その水面下にて進められた次世代型の機関車のうち、JR貨物の大動脈である東海道本線・山陽本線を中心とする直流電化路線での活用を視野に入れて、日立製作所の手で1990年に製造された機関車が「EF200形」です。

同様に三菱・川重によって製造された交直流版の「EF500形」とともに「INVERTER HI-TECH LOCO」(インバーター ハイテクロコ)の愛称で各種試験列車に登板。

後者は量産化には至らなかったものの、EF200形は1992年以降20機の量産が行われ、試作機と合わせた21機体制で運用がされることとなりました。

自慢の高出力が仇に

EF200形自慢の6000kwの高出力モーターですが、これに対応するための課題であった旅客会社が所有する変電所容量の問題の折り合いがつかなかったため、出力を制限して運用する必要が生じてしまいました。

その結果、製造費用・維持費用が割高な設計の機関車となり、その後の量産機はEF66形相当の牽引能力に抑えられたEF210形に移行しており、こちらは現在まで製造が続くロングセラー機となりました。

一方のEF200形ですが、その製造数の少なさもあって維持コスト・部品確保が課題となってしまいました。

先輩格のEF66形100番台のほとんどが元気に走り回るなか、EF200形は共食い整備を始めつつ徐々に運用数が減少

年々活躍の場が少なくなっていましたが、遂に2019年3月に運用を終了してしまいました。

EF200形の残存機の一部が今も吹田機関区の片隅でひっそりと余生を送っていました。

今回の京都鉄道博物館の展示が最後の明るい話題となる可能性も高い機関車です。

実は近年に6000kWが生かされる計画だった!?

幻に終わろうとしていた6000kWの高出力運転ですが、設計思想の一つにあった、山陽本線瀬野駅〜八本松間=セノハチを補助機関車なしで単独牽引するべく、2007年3月の山陽本線1300t列車運転開始にあわせて2002年度から変電所の増強工事が行われていました。

登場から15年以上経って遂にその性能を生かす機会が訪れるかと思われていましたが、電圧降下等のトラブルなどがあったようで、実現には至りませんでした。

特大貨物「シキ800」も同時展示

今回の展示では、変圧器などを輸送する特大貨物貨車=シキ800があわせて展示されることとなっており、日本通運の私有貨車の初展示として注目を集めています。

普段は宇都宮貨物ターミナルに常駐しているこの貨車ですが、2019年11月に安治川口駅から石蟹駅までの中国電力向けの変圧器輸送に登板が予定されています。

2019年秋が最後の運行とされていることから、今回の輸送が最後の活躍と考えて差し支えなさそうです。

帰り道に京都鉄道博物館に寄り道をする格好となります。

変圧器自体は日本通運の持ち物ではないため、実際に積載している姿を博物館では見ることができない点や、最後の積載中の列車も深夜帯にしか走らない点が少し残念なところですが、この貨車の長距離移動自体は白昼の東海道を下る形で運行されますので、京都周辺にお住まいでないファンでも見学ができますね(時刻は商業誌で発表済)。

車輪が連なる姿はこの貨車ならではのものですので、ぜひ記録しておきたい車両です。

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