阪神電気鉄道と阪神ステーションネットは10月24日にイベントを行い、阪神武庫川線5500系「甲子園号」が武庫川駅近くにある連絡線を走りました。残念ながら私はイベントに参加できませんでしたが、沿線から連絡線を走る様子を見守りました。今回はその模様をお伝えします。
新しく生まれ変わった武庫川線
武庫川線は武庫川駅と武庫川団地前駅を結ぶ全長1.7キロの支線です。ダイヤは武庫川駅~武庫川団地前駅間を往復するだけで、阪神本線との相互直通運転は実施していません。
さて武庫川線では2020年6月2日まで「赤胴色」と呼ばれるクリーム色と赤色のツートンカラーの電車(7861形、7890形)が使われていました。もともと「赤胴色」は急行系車両の標準塗装でしたが、新車の登場や在来車のリニューアルにより、阪神本線や阪神なんば線では見られなくなっていました。6月2日を持って「赤胴色」は阪神電気鉄道から引退しました。
「赤胴色」車両の後任となったのが、阪神本線の普通として活躍中の5500系です。2両×4編成が同線に投入されましたが、本線とは異なるリニューアルが行われました。それぞれ「タイガース号」「甲子園号」「トラッキー号」「TORACO号」とそれぞれ違うデザインとなり、鉄道ファンのみならず沿線住民を驚かせました。
車内も大きくリニューアルされ、それぞれのテーマに沿った内装となっています。たとえば「タイガース号」の内装は阪神タイガースのユニフォームをイメージしたデザインです。
なお武庫川線の運用は阪神電気鉄道の公式ホームページに掲載されています。このように2020年、武庫川線は大きく変わり、鉄道ファンや沿線住民から注目を集めています。
「甲子園号でゆく武庫川線&赤胴車めぐり」ツアーの概要
ここでは今回行われるイベント「甲子園号でゆく武庫川線&赤胴車めぐり」ツアーの概要を見ていきます。これは阪神ステーションネットが行う人数限定のイベント。募集人員は40名でした。
行程は以下のとおりです。
武庫川駅10時頃
武庫川線~本線の連絡線乗車体験
赤胴車(7890系)の見学、写真撮影会
各種車内イベント(クイズ大会、赤胴車部品オークションなど)
尼崎城、尼崎市立歴史博物館の見学
武庫川駅17時解散
このように盛りだくさんの内容ですが、目玉は武庫川線~本線の連絡線乗車体験ではないでしょうか。普段、連絡線を通る際は回送電車のため、一般客を乗せることはありません。
廃線跡を走る5500系「甲子園号」
武庫川駅周辺にある引き込み線には興味深い歴史が隠されています。こちらは本線上り(大阪梅田方面)ホームから北方向の写真です。線路が北へ伸びていますが、これは武庫川線の廃線区間(武庫川~武庫大橋~甲子園口)の一部です。戦前、旅客電車だけでなく国鉄の貨物列車も武庫川線に乗り入れ、武庫大橋~洲先間は1435mm、1067mmの三線軌条でした。戦後、武庫川駅以北の旅客営業は休止状態になり、1985年に武庫大橋~武庫川間が正式に廃止されました。
11時頃、武庫川団地前方面から「甲子園号」が引き込み線に入線しました。引き込み線とはいえ、廃線の一部に新型車両が入線するシーンはなかなか興味深いものです。奥に進み、引き込み線でスイッチバックします。
方向転換し、連絡線(左側の線路)に入線し、そのまま本線へと入っていきます。
本線上で方向転換し、大阪梅田駅に向かって走り出しました。
11時40分頃、大阪梅田駅に入線しました。武庫川線車両が大阪梅田駅に乗り入れることは大変珍しいです。11時54分、尼崎車庫へ向かって大阪梅田駅を後にしました。
今後も武庫川線を使ったイベントが行われる?
武庫川線を使ったイベントは今回が初ではなく、9月26日に引き続き2回目です。前回は「タイガース号」が使われていました。あくまでも筆者の予想ですが、11月下旬、12月下旬も行われ、他の武庫川線用5500系が使用されるのでは……と思っています。
阪神電気鉄道には阪急電鉄「京とれいん雅洛」や京阪電気鉄道「プレミアムカー」といった観光列車や特別列車はありません。そのため鉄道向けのイベントとして来年以降も武庫川線5500系を使ったイベントを開催するような気がします。
また今年は社会情勢等により「赤胴車」のさよなら運転は行われませんでした。そのかわり7890号車は都市再生機構(UR都市機構)に譲渡され武庫川団地内に静態保存されることが決まっています。また武庫川団地前駅には新たに「赤胴車」のラッピング自動販売機が設置されました。このように新しく生まれ変わった武庫川線はますます沿線に愛される路線となることでしょう。
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