【気動車なのに“モハ”?】JR東海ハイブリッドHC85系試験走行車登場

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JR東海が開発を進めていたハイブリッド新型特急“HC85系”。

高山本線特急“ワイドビューひだ”・紀勢本線特急“ワイドビュー南紀”で活躍するキハ85系を置き換えるために開発されたこの車両が、遂に本線上に姿を現しました。

置き換え対象はJR東海在来線特急の基礎・キハ85系

JR東海では、国鉄分割民営化直後から在来線特急を一新しており、国鉄型特急を真っ先に駆逐しました。

御殿場線と小田急線を直通する特急“あさぎり”に新幹線のデザインを踏襲した371系を投入しましたが、それ以降はステンレスボディにコーポレートカラーのオレンジ帯を巻いた特急型が各地に投入されています。

これらのJR東海の標準的な特急型車両の第一陣として開発されたのが今回の置き換え対象となる『キハ85系気動車』です。

カーブが多い山間部を走る高山本線特急“ワイドビューひだ”と、海岸線沿いで同じくカーブが多い紀勢本線特急“ワイドビュー南紀”に投入された形式で、現在までJR東海の観光アクセス特急に君臨し続けています。

山間部を高速走行するため、当時では海外輸入エンジンの採用が少ないなか、高出力のカミンズ社製のエンジンを採用することで高速化に寄与した先進的な車両です。

その一方で、様々な車両構成で柔軟な編成を組成する気動車特急ならではの利点や、観光路線ながら奇抜な設備を設けずに輸送という本来の目的に徹している点などは在来車を踏襲しています。

その後、中央西線特急“しなの”向けに開発された振り子電車383系、東海道線の急行“東海”・通称“大垣夜行”・飯田線急行“伊那路”置き換え用に開発された短編成構成の373系と続いたJR東海の在来線特急が続々と製造されました。

JR東海誕生黎明期に生まれたキハ85系もJR発足30周年を超え、いよいよ置き換えの順番が回ってきました。

カミンズ製エンジンの採用で注目されたキハ85系の置き換え車両は、こちらも最近のトレンドとなっているハイブリッド気動車方式とされています。

気動車なのにモハ?

今回、試験走行車として登場した4両ですが、クモロ85-1・モハ84-1・モハ85-101・クモハ85-1の4両編成で登場しています。

このHC85系ですが、ハイブリッド車両と一般的に呼ばれています。

いわゆる電気式気動車に蓄電池を設けることで、回生ブレーキにより発生した電気を溜めることでエンジン・蓄電池のハイブリッドによりモーターを駆動させる車両群です。

車でも『シリーズ方式』のハイブリッド車と同様で、エンジンはあくまで発電機として機能しているものとなります。

このため、発電機こそ積んでいるものの、駆動系統の基本設計は電車に近いものとなっており、部品共通化・導入コスト低減などに期待されています。

JR東海では国鉄分割民営化以降の新形式についても、車体表記には国鉄フォントを使い続けています。

今回のHC85系ハイブリッド気動車についてもこの字体は維持されており、最先端技術や洗練されたデザインとのギャップが可愛らしい車両となりました。

事前の発表にて、HC85系という形式名からJR東日本などの先行事例に則ってアルファベットを冠した形式が付与されるかと思われていましたが、N700系同様にアルファベットは使用されていません

国鉄方式の符号を付けたいものの、既存の枠組みでハイブリッド車を定義するものはない……そんなJR東海の苦悩が垣間見れますね。

先行各社ではBEC・HV・EV・GV・YCなどと形式名を濁してきたこの課題に一石を投じたこともあり、ファンの間では驚きの声が広がっています。

先行各社でも登録状況はまちまち?

非電化路線で活躍している様々な駆動方式で活躍する最新技術の車両たちですが、国鉄分割民営化以降に発展した技術ばかりとなっているため、対応はまちまちです。

JR東日本では、小海線向けに投入されたキハE200形ハイブリッド気動車については運用線区・キハ110形と共通運用に近い扱いを加味すると内燃車として運用されているとみて間違いはなさそうですが、電車運用を基本としつつ、非電化路線では発電用エンジンによる電気で走行する『EDC方式』E001系の投入にあたって動力車操縦者運転免許を管理する国土交通省と調整があった模様です。

少なくともE001系投入以前については、ハイブリッド車は気動車・一方の蓄電池駆動車については電車として扱われているようですが、E001系以外でも解禁されている可能性がありそうですね。

JR貨物では、DF200形電気式機関車・HD300形ハイブリッド機関車・DD200形電気式機関車の3形式が投入されています。

DF200形導入時点ではこういった車種は珍しかったこと、DD51形との運用兼ね合いを考えると内燃免許と考えて差し支えがないでしょう。

構内入れ替えを主とするHD300形についても、乗務員が内燃の限定免許(本線走行をしない場合は養成期間の短い限定免許で対応可能)と考えると内燃車として登場していることでしょう。

今後、本線走行を想定するDD200形ですが、JR貨物は営業路線の9割が電化路線と言われている現状を考えると、電気車扱いをした方が将来的に便利でしょう。

JR九州で登場した新型ハイブリッド車両YC1系や、蓄電池駆動BEC819系についても、今後は免許の違いによる運用体系の変化がありそうですね。

一方で、JR北海道では電車である731系と気動車であるキハ201系による協調運転が行われていますが、こちらは液体式変速機を搭載した純粋なディーゼルカーのため、両方の免許を所持した乗務員が担当しているようです。

こちらについても、現在急速に増備が進んでいるH100形電気式気動車の処遇が気になりますね。

以上のように、電車と気動車の中間となっている車両への対応はまちまちですので、今後もJR各社では電化路線の運行頻度が高いことを考えると、電車と同じ免許で運転できる車両の方がメリットが高いと判断する会社は多いのではないでしょうか。

列車番号は気動車の“D”

以上のように、ディーゼルカーではなく電車として登場したHC85系。

しかしながら、列車番号は気動車時代から引き継いだディーゼルの“D”が付与されている模様です。

JR各社で投入されている新型車両についても、JR東日本で電気式・ハイブリッドの車両であっても列車番号“D”とされている一方、パンタグラフ給電・燃料を使わない蓄電池のみで走るEV〜シリーズについては列車番号“M”が付与されています。

運転免許に関しての扱いと列車としての取り扱いは別個で考えていいものと考えて差し支えがなさそうです。

そもそも私鉄では運転方式・免許で記号による区別していない例もあります(東武鉄道が蒸気機関車・ディーゼル機関車・電車のすべてが〇〇レとなっている例など)。

国鉄由来のJR各社で取り扱いが異なるものとしては、JR北海道や九州とJR東日本などで回送・配給・試運転の種別の取り扱いが異なる(JR東日本で配〇〇レとなる列車がJR北海道・九州では試〇〇レとされる)などが存在します。

貨物電車として大きな注目を集めたスーパーレールカーゴは、未だに50列車・51列車と機関車牽引列車扱いです。

会社跨ぎでない上に大きな取り決めもない現状では、やはり会社による判断に委ねられている模様です。

今後の置き換えスケジュール・運用体系は?

今回登場したHC85系。今後は1年間の性能・長期耐久試験が続けられる予定です。

新幹線では9000番台を毎回製造するJR東海ですが、このHC85系については量産車のトップナンバー=試験走行車であるものの、いわゆる量産先行車としての意味合いが強くなっています。

走行試験こそするものの、JR東海の体力や技術自体が既に他社で確立されつつあることを考えれば、量産開始後は一気に置き換えが進むことでしょう。

風光明媚な両路線を疾走するキハ85系気動車の記録は早めに行っておきたいですね。

また、今回出場した4両には『D1編成』と編成名が付与されていることから、このHC85系は電車同様に固定編成で運用される可能性が高そうです。

キハ85系の珍編成・形態差・前面展望を意識した運転台を見慣れた沿線ファンからは残念がる声も大きいですが、JR東海らしい合理化・洗練された車両とも言えそうですね。

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画像元ツイート紹介

今回のサムネイル画像は、フォロワーの岐阜のトランプ(改)さま(@201T200)から許可を頂いて掲載しています。

元ツイートを紹介いたします。

コメント

  1. アカツメ より:

    いつも楽しく読ませてもらってます
    キハ85には振り子機構はないですよ

    • ときぱて より:

      アカツメさま

      閲覧・コメントありがとうございます。
      ご指摘の件、多くのお問い合わせをいただいており取り急ぎ訂正させていただきました。
      自身もひだ号の大阪を含めた全区間と南紀の一部区間に乗車した経験があるにも関わらず、初歩的な誤記で恥ずかしい限りです……。

      今後とも当サイトのご愛顧のほどお願い申し上げます。

  2. ・・・ より:

    電車扱いなのか気動車扱いなのか混乱してしまいますね。乗客としてはどちらでも良い要素ですが、社内や業界上の関係を考慮すると電車にするか気動車にするか統一した方が良いかもしれません。あるいは電車と気動車の中間という新たな枠組みを創るか。

    個人的には、電車扱いするのであれば電化区間ではパンタグラフから電気を取っても良いだろうし、一般的な電車のように、2両一単位で電動車と付随車(に発電設備を載せる)に分ける方法を採っても良さそうに思いました。