【伊豆急100系】奇跡の復活を遂げた伊豆急クモハ103引退・今後は?

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伊豆急行の開業とともに製造され、引退後に奇跡の復活を遂げた東伊豆観光の生き証人、クモハ103号が本日ラストランを迎えます。

生い立ちや奇跡の復活を遂げた理由、そして引退の動機と気になる今後についてお伝えします。

伊豆急100系の生い立ち

伊豆急行線が開業となる1961年(昭和36年)にあわせて開発された自社発注車が伊豆急100系です。

クロスシートを基本としつつ、通勤・通学需要を考慮してドア付近をロングシートとしています。

伊東線でも活躍していた113系に合わせてグリーン車が製造されており、一旦廃止後に復活した際に「ロイヤルボックス」となりました。

これが後年のリゾート21でロイヤルボックス連結実現に繋がっています。

更には、普通列車としては異例の食堂車「スコールカー」を連結したことも有名ですが、こちらは稼働率の悪さから普通車に格下げされています。

さまざまな改造車や、低運転台・高運転台などの個性的な車両が多数登場しながら53両もの車両が伊豆急行線内だけでなく、乗り入れ先の伊東線でも活躍をしていました。

伊豆急行は東京急行の子会社でしたので、開業前に一部の車両が東横線元住吉検車区に配置されて乗務員訓練に充てられた経験を持ちます。

車体更新を行った1000系も2編成登場したほか、従来にない車両として自社製造されたリゾート21のうち、R-1,2編成についてはこの車両の床下機器を流用するかたちで製造されています。

リゾート21に加え、海沿いを走る車両という特性上の塩害もあり、JRから購入した113系・115系を改造した200系の登場により2002年(平成14年)に定期運用を退くこととなりました。

引退間際には、100系で最初で最後の伊豆急線内10両編成が組成されたイベント列車なども運行されています。

定期運用引退後は車庫の入れ替え車両として活躍

定期運用引退後、100系電車は順次解体となったものの、先述のように床下機器の一部がリゾート21の1,2次車に流用されています。

そして、長い編成での活躍が多かったため4両しか製造されなかった両運転台車のうち、クモハ103についてはその強みを生かして、伊豆高原の構内入替用の車両として従事していました。

同様にトップナンバーのクモハ101も東急車両製造に搬入されましたが、こち、は残念ながら既に解体されています。

長らく本線走行を行っていなかったクモハ103にも解体が検討されていたものの、伊豆急行開業50周年・踊り子号運行開始30周年の記念事業として、本線運転が検討されることとなりました。

そして、イベント走行を目的として2011年に電装や保安装置などの改修を実施して復活を遂げました。

動態保存車は全国各地であるものの、一度引退した電車の復活はなかなか珍しいですね。

1両での単行運転という収容力の小ささから、イベント列車のほか、ファンによる団体臨時列車などの運転を中心に活躍してきました。

超えられなかったATS更新と、気になる今後

現在、伊豆急行では保安装置の更新が進められており、新型ATSへの対応が困難なクモハ103については、新型保安装置の運用拡大とともに運用範囲が狭められていきました。

当初はJR管轄駅である伊東駅を除いた南伊東駅以南で走行していたものの、保安装置運用拡大に合わせて伊豆高原駅以南、そして現在の片瀬白田駅以南と縮小しています(※伊東線77周年記念で伊東駅で展示された実績は存在します)。

今回の本線走行引退についても、残された区間での保安装置更新が実施されるためと推測できます。

安全対策ゆえの運用撤退となるため仕方ないところですが、伊豆急らしい景色や有名撮影地が多い区間が最後の活躍の場となったのは、伊豆急行にとってもファンにとってもいい思い出となりそうですね。

リゾート21・R-3編成で実施されていたリゾートドルフィン号でもクモハ103号をはじめとする100系モチーフの塗装となっていましたが、こちらもキンメトレインにリニューアルされていますので、開業時塗装で走行する電車は一旦消滅となります。

今後については明言はされていないものの、残すだけの価値のある車両ですので、観光需要創出などのなんらかの活用に期待が集まります。

当面は従来の構内入れ替えなど、伊豆高原駅構内で見かけることが出来そうです。

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