2020年3月のダイヤ改正にデビューしたものの、わずか2週間余りで営業運転から離脱した関空アクセス特急「はるか」新型車両、271系。
2021年3月13日のダイヤ改正より、ようやく営業運転へ復帰することとなりました。
営業運用離脱から1年。271系はどのように過ごしているのでしょうか。
悲運の特急型車両 271系
271系は近年のインバウンド客増加に対応するべく、281系で運行されていた関空特急「はるか」の増結のために製造された新型特急形車両です。
車体は683系や287系を基本としながらも、空港特急にふさわしい設備を備えています。
客室内には空港利用者のための大型荷物スペースを設置。2画面の液晶モニタは4ヶ国語対応(日本語、英語、韓国語、中国語)です。また側面にはカラーLED表示器が設置され、外国人観光客にもわかりやすい案内となっています。
また全座席にコンセントが設置され、Wi-Fiも整備されているので、乗車時にパソコンを使った作業も可能です。また281系と同様に訪日外国人向けのフリーWi-Fiサービスも行われます。
走行機器はVVVFインバータ制御を採用し、パンタグラフは最近の鉄道車両のほとんどが採用しているシングルアームパンタグラフとなっています。最高運転速度は他の特急車両と同じ130km/hです。
塗装は“先輩”となる281系にあわせた塗装になり、デビュー時には「ハローキティ」仕様となりました。なお271系は7〜9号車の普通車のみとなっており、281系と連結した9両編成で運行することが前提となっています。
2020年3月にデビューしましたが、需要の急減によりわずか2週間ほどで運用を離脱。それ以降、ひたすら車庫で眠る“ニート”生活を余儀なくされました。
3月13日のダイヤ改正で職務復帰
3月13日ダイヤ改正により、ようやく271系が運用に復帰することが決まりました。
ダイヤ改正後に271系が登板する列車は、朝通勤時間帯に走る「はるか1号,2号,4号,15号」の2往復4本です。これらの「はるか」は9両編成で運転され、デビュー当初と同様に281系との組み合わせとなります。
ただし、「はるか」自体の本数が大幅に削減されるため、本格稼働にはまだまだ程遠い状態です。
営業運転への復帰に向け、2月頃から“リハビリ”(試運転)を阪和線や関西空港線を中心に行っています。2月下旬には営業列車では運行されていない3両+3両の編成で野洲まで乗り入れ、野洲派出所でしばらく留置されていました。
なお、2021年3月改正から271系が担当する「はるか1号,2号,4号,15号」はいずれも京都発着となり、旅客を乗せて野洲までは行くダイヤは設定されていません。野洲への乗り入れは将来を見越しての訓練という意味合いでしょうか。2月19日、野洲から日根野電車区まで回送されました。
271系は3両編成×6本が製造され、2021年2月27日現在、鳳派出所と日根野電車区に留置されています。
2月27日、271系の様子を確かめるべく、鳳派出所まで行きました。鳳派出所に行くと281系2編成と271系3両+3両1編成が留置されていました。最近まで271系2本が並んで留置されていたようです。
271系と281系の2ショットを横から撮影すると、両車の違いがよくわかります。281系の運転台付近の塗装が薄れている点が気になります。
目視で確認する限り、271系はデビュー時と同じく、極めて美しい状態。翌日から営業運転に就けるような感じでした。なお留置されていたのはHA656編成です。鳳派出所はJR鳳駅からも近いので、271系の撮影にもってこいのスポットです。
今後の271系と関空アクセス特急「はるか」
3月13日の運用復帰に向け271系は試運転を繰り返すことになりそうです。現在のところ「はるか」以外の運用や「成田エクスプレス」で行ったテレワークサービスなど、新たな活路を見出す動きはありません。そのため朝通勤時間帯の運用が終われば引き込み線や車庫で休むことになるでしょう。
「はるか」は昨今の社会情勢により、3月13日のダイヤ改正から正式に大幅に削減されます。「はるか」自体が朝・夕・夜のみの設定となり、インバウンド前の活況が嘘のようです。
7月に東京オリンピックの予定こそありますが、これらの需要を関西空港が取り込むかどうか、そもそも開催されるのか……。しばらくは航空需要も望めないので、当面この状態で推移しそうです。
ただしオンシーズンには「はるか」の増発の可能性も発表されているため、271系が見られるチャンスは増えるかもしれません。
コメント