【漆黒の機関車登場】JR九州がDD200形を投入!DD200 701号機が熊本へ

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川崎重工業兵庫工場でその姿が目撃されてファンから注目されていたJR九州向けのDD200形電気式ディーゼル機関車。

量産第1号となる701号機が完成し、兵庫から熊本へ甲種輸送が実施されています。

“ブルトレ”全廃後も活躍!DE10形熊本車

国鉄分割民営化・JR九州発足時点では機関車を数多く継承しています。

ディーゼル機関車ではDE10形19機のほか、DD16形2機・DD51形1機、電気機関車ではED76形36機・EF81形6機が継承されたほか、動態保存機として関門トンネル越えを主に活躍したEF30形も継承され、バラエティ豊かな布陣となっていました。

しかしながら、当初運行されていた客車の普通列車の気動車化・ブルートレインの衰退などが続いて年々その数を減らしていき、最後の九州ブルートレインとなった富士号・はやぶさ号が運行終了されて以降は従来電気機関車が運用されていた列車を含めてDE10形が担っています。

JR九州のDE10形は黒色塗装となって久しいですが、登場は2010年の引退後のブルートレイン客車を活用した「BSデジタル号」がルーツで、この際に黒色ベースで手摺りがオレンジ色とされていました。

JR九州の機関車はこのまま衰退の一途を辿るかと思われていましたが、2013年に転機が訪れます。

これは、JR九州が豪華なクルーズトレインの先駆けとして「ななつ星 in 九州」を投入する際、客車列車方式が採用されたことです。国内全体を見渡しても民営化後に投入された客車は寝台特急「カシオペア」以来2例目となり、列車のコンセプトにあわせて77系客車のほか、専用牽引機としてJR貨物のDF200形をカスタマイズした7000号機が投入されました。

この専用機は1機のみとされていたため、プッシュプル運転が必要な区間・回送列車牽引にはDE10形が抜擢されています。

これに前後して原色塗装のまま活躍していたDE10形も順次黒色塗装とし、手摺りも金色に変更されて統一感のある編成となりました。

DF200形の故障時には全区間をDE10形重連で牽引した実績もあります。

現状未発表のDE10形世代交代

国鉄分割民営化から30年以上・全機が製造されてから40年以上が経過した今、DE10形老朽化は想像に難くない状態で、多く継承したJR貨物では貨物ターミナルでの構内入れ替え用としてHD300形ハイブリッド機関車・支線級路線の貨物列車牽引用としてDD200形電気式ディーゼル機関車を投入しています。

一方で、旅客会社にも数多くのディーゼル機関車が継承されたものの、これまで新造のディーゼル機関車の導入は進まず、JR九州のDF200形の事例を除いて存在していませんでした。電気機関車を含めても、JR東日本がEF510形を導入したのみです。

ブルートレインの衰退とともに始終着駅で“機回し”が必要な客車牽引列車が削減されていくなかで、機関車の代替を電車・気動車で実施する動きが加速化しています。

JR東海はブルートレイン廃止と前後してレール輸送用気動車キヤ97形を投入・除雪は車籍がないモーターカーに切り替えて淘汰しました。一度EF510形を投入したJR東日本についても、キヤ97形をカスタマイズしたキヤE195系の運用が開始されているほか、砕石輸送・散布用にGV-E197系、電車の回送牽引用にE493系の量産先行車の試験が開始されています。JR西日本も除雪用のキヤ143形を投入した際に車両牽引が出来る設計とされています。

しかしながら、2021年に入り、川崎重工業兵庫工場でJR九州向けとみられるDD200形電気式ディーゼル機関車が目撃され、動向が注目されていました。

2013年に「ななつ星 in 九州」を客車方式で導入したため、JR九州では今後の機関車全廃は現実的ではありません。DF200形と一部部品が共用できる点もメリットとなりそうです。

時代の流れに“逆行”した旅客会社による新造ディーゼル機関車の投入は、日本全体を見渡しても特異な事例となりそうです。

701号機が甲種輸送(貨物列車での輸送)のため、2021年6月17日に出場して本線上に姿を見せましたが、記事公開時点では未だ公式発表がされていません。他社事例では計画確定時点〜量産第一号の落成直前のどこかで発表される事例がほとんどで、珍しい印象を受けます。

完成した701号機を見る

今回落成した車両は、DD200形700番台の701号機です。JR貨物機のリレーで熊本操車場まで輸送されます。

車体色も貨物用のDD200形とは異なり、黒色基調で金色の手摺りとされています。ステップなどに赤色が使用されている点など、塗装に関してはDE10形と同様の塗り分けとなっています。

比較的シンプルなデザインのDD200形ですが、この黒色もかなり似合っているように思えます。

先代のDE10形同様に車体に「熊」と記載されており、熊本車両センター所属となるものと見られます。

車体色で目立ちませんが、区名札ではなく車体へのプリントとされている点も面白いポイントです。

意外な点としては、本年度新たに登場した水島臨海鉄道向けの600番台・京葉臨海鉄道向けの800番台とは異なり、2エンド(運転台から車端部までが短い方)の運転台窓の大きさが0番台同様に小さいものとされています。

DD200形の保安装置が0番台はATS-PF,DF,SF・600番台と800番台はATS-SFのみ・そして今回登場した700番台はATS-DK,SKとされており、これらの機器構成の都合で運転台の構造が決まっているのかもしれません。

一般的に、黎明期に開発されたS形の改良型に比べて高機能であるP形やD形は機器スペースを広く必要としており、ATS-DKを搭載している車両では運転台に黒色の大きなコンソールが運転台に設置されているなど、レイアウトに制約が生じます。

このほか、貨物会社向けではスカート周りに多数の栓が見受けられますが、700番台ではこれらがなくなってスッキリした印象です。

貨物向けでは重連総括制御がありませんでしたが、外観からはこれらの機能の追加状況は定かではありません。DF200形の代走で重連牽引した事例があり、今後の仕様発表が気になるところです。

発注数は全部で何機?

ファンにとっては、やはり在来のDE10形の代替がどのような格好で進行するのかという点が気がかりです。

現在、熊本車両センターにはDE10形1000番台4機(1195,1206,1207,1209)・1500番台3機(1638,1753,1756)の合計7機が配置されており、JR九州管内で幅広く運用されています。

「ななつ星 in 九州」や「SL人吉」などで一般利用者の目に留まるほか、そして事業用列車としてレール輸送の工事列車や検測用のマヤ34形事業用客車の牽引なども担っています。

単純に考えれば7機のDD200形の投入が自然ですが、事業用列車については再編の余地がありそうですので、投入数は絞られるかもしれません。少なくとも、検測用車両はJR西日本の代替状況で近い将来に変化が考えられます。

最近になってJR貨物からDD200形を借り入れた入出場列車牽引も目撃されており、7機の投入ではなく必要最小限+必要に応じてJR貨物から借り入れという体制に切り替わるかもしれません。

JR九州とJR貨物相互での機関車の貸し借りは長い歴史があり、関門トンネル越えを中心にJR貨物機がJR九州の列車へ・JR九州機が貨物列車へ使用された機会が他社と比べて多かった印象です。

「D&S列車」という使命を与えられたJR九州の看板を担う「ななつ星 in 九州」や「SL人吉」関連はJR九州の自社発注機が担い、JR貨物からの借り入れはそれ以外の列車を中心とするのが自然でしょうか。

一方で、DF200形では末尾がゼロ7000号機とされていたところ、DD200形では701号機となりました。付番から、少なくとも2機以上となるものと考えて差し支えないでしょう。

また、DE10形とDD200形を双方維持するとは考えにくいため、双方の活躍が見られるのは過渡期のみとなりそうです。

既にJR貨物所有のDD200形が小倉工場への入出場列車牽引に使用されるなど新たな動きも始まっていますので、DE10形の活躍は早めに記録した方が良さそうです。

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記事内掲載写真は、街星 はやぶさ様(@JRA41_Hayabusa)より掲載許諾をいただいています。

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