【京急】踏切事故の余波で車両不足!?京急特有の8両編成の車両事情

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神奈川新町駅の踏切事故にて1137編成が大きな損傷を受けてからの運転再開、そして台風15号によるダイヤ乱れなどの不運が続いた京急電鉄。

ダイヤ乱れはひと段落した京急ですが、1601C〜1700Aの3ドア8両編成の運用について、2ドアの2100形での代走が頻発しました。

事故車分の車両不足が背景にありそうですが、今回は複雑すぎる京急特有の車両事情を考えていきます。

床下機器更新を行うと運用制約!?

京急電鉄では、最近の鉄道会社の新技術を積極的に投入しています。

乗り入れ先の東京都交通局では新型・5500形でSiC素子のVVVFインバータ制御装置が搭載され、長い調整期間を持って各乗り入れ線区で活躍しています。

一方で、京急の近年の新造車・機器更新車については今のところ乗り入れ先での試運転は行なっていないため、自社線内の限定運用が組まれています。

増備が進むといずれ必要になりそうですが、今のところは少数だからと乗り入れ先での誘導障害試験見送られているものと推測できます。

特に5500形が各社局で苦戦していたので、とりあえず様子見をしている可能性が高そうです。

ただ、従来直通対応していた車両がどんどん機器更新を行なっていますので、時間の問題でしょうか。

車両制約打破のための1800番台は失敗作?

京急電鉄では、4両編成としての使用を基本としつつも、車両不足時などに車内通り抜けが出来るように貫通顔に仕様変更をした1800番台が3編成活躍しています。

デビュー当初にその効果を発揮して都営線・京成線。そしてアクセス特急運用で成田空港まで乗り入れた実績があるものの、その後はアクセス特急だけでなく地下鉄乗り入れをしていません。

それどころか、それ以降は線内運用でさえ幌を繋いでの運用もありません。

8両編成の直通対応車としての機能を有していながら頑なに運用入りをしない背景として、京急新1000形ステンレス車特有の走行機器が挙げられます。

これは通常のバルーンフェイスのステンレス車製造開始の時点で、8両固定編成は6M2Tとされた一方で、4両固定編成は4M全電動車とされており、中間にサハ2両を挟む形での6両化を意識した設計となっています。

この設計構想自体は後に6両固定編成を新造することとなった際に発揮されていますが、8両編成・12両編成を彼ら単体で組むと12両が全電動車になるというデメリットが存在していました。

頑なに乗り入れを避けている理由は公言されていないものの、おそらくこの電気を喰う床下機器構成が問題となった可能性が一番高いでしょう。

今回も3扉8両編成が足りないという、本来の設計通りなら効果を発揮する機会ながら他の4両編成同様の扱いをされており、その貫通幌は活用されていません。

京成線乗り入れ制約は解消するも、まだまだ制約が多い

従来、京成電鉄高砂駅〜成田空港方面・アクセス特急の運用には600形とアクセス特急運行開始以降に製造された新1000形という車両制約が存在していました。

停車駅予報装置搭載車限定という理由でしたが、デジタルSR無線への更新の副産物としてこの問題が解決したため、2018年7月から1500形が京成本線で見られるほか、アルミ車体の新1000形がアクセス特急に充当されることも日常的になりました(1500形は別理由でアクセス特急には入れないままですが、大した問題ではなさそうです)。

その反面で、従来なら乗り入れられた車両が床下機器更新・新造車の設計変更で運用制約が生まれており、せっかく2000形引退で車両運用の制約が減った現場にとっては元どおりといったところでしょうか。

今回の車両不足については、8両編成不足という点から1800形の設計思想が存分に活躍出来るはずでした。

このような状況下で一番手っ取り早い1800番台が幌を繋ぐことにならなかったことを考えると、明確な文献のない都営線乗り入れ不可の裏付けにもなりますので、今後も使う可能性の低い幻の姿となってしまいそうです。

今後はモーニング・ウィング号増発や、土休日のウィングシートで2100形限定運用が大幅に増える京急電鉄。

どんどん運用は複雑化していきますので、ファンにとっても現場の皆さまにとっても悩みの種が増えそうです。

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コメント

  1. FJR より:

    乗り入れに使うかはさておき、1800に限らず銀千の4+4の8M0Tなんて日常的にやってるんだから機器構成は問題になるわけないでしょ
    運転台狭いとかで1800が都営線出禁な以上、4+4のみなし8連を作っても地上線限定運用になる訳で
    それなら1800にこだわらなくてもいいし

  2. kyonmili より:

    ときばてさん、いつも楽しい情報提供を有難うございます。今回貴殿のブログにコメントを
    初めて投稿させていただくkyonmiliと申します。宜しくお願い致します。
    京急は先日の脱線事故で8両編成1本を損傷させ、当該編成の長期運用離脱を余儀なくされ
    ました。加えてこの編成が直通対応の1本なので、10月26日予定のダイヤ改正を控えた中、
    多かれ少なかれこの事故が、直通の点で車両のやりくりに大きな支障を来したと言えます。
    とりあえず4両編成の1800番台を2本投入して、相互に連結した上で8両の直通運用に充当
    させたことは、これら編成の有効活用ができた証明だと思います。しかし各車全て電動車と
    なると、使用電力が問題視されます。全電動車方式もモーター出力が大型化された現在と、
    100 キロワット未満のモーターが主流だった昔とでは大きく事情が異なります。京急も初代
    1000形を全電動車方式で建造して長編成化に対応した実績があったにも拘らず、その実績を
    1800番台投入の際、時代の流れを上手く読まないで継承してしまったことが読み取れます。
    この番台を2本相互連結の上で8両の運用を前提とするならば、固定8両と同等のMT比に
    なるよう設計していたら、現在とは全く状況が違っていたのでは、という結論に達します。
    鉄道会社にとって、新技術導入は評価できるのは言うまでもないことだと思いますが、必ず
    しもそうとは言い切れず、とりわけ京急の場合、最近の車両政策等を少し見誤ったのかな、
    という印象が強いです。直通事業者の事情や動向等に 100%目を向けず、我先にと新技術へ
    走ってしまったことが判ります。まだ抵抗制御車(一部チョッパ車含む)が数の上でリード
    していた平成初期に、京急・都営・京成(北総他は京成に含める)の3者はインバータ車の
    投入が本格化します。そんな中で京急がその先陣を切ってインバータ車の投入に踏み切った
    ものの当初は線内限定運用、残る2者があまり間を置くことなくそれらを投入したことで、
    早期に直通解禁となった経緯があります。しかしSic 素子の装置を持つN1000形は、最初の
    投入からまもなく3年が経過にも拘らず、直通が実現できていません。誘導障害等諸問題が
    潜んでいることが最大の理由ですが、その対策を解決すべき術が甘かった点や、残る2者が
    技術的な面で足並みを揃えられなかった点にある、現時点ではそう捉えなければいけないと
    思います。
    ダイヤ改正まで時間は限られています。それまでに上手く車両不足を解消したい限りです。
    長文になってしまったことを失礼して、私のコメントとさせていただきます。

  3. 電動絞り より:

    全電動車の出力は、ユニット出力を絞っております。電動車増加の編成重量増大分が消費電力上昇に繋がるのですが、1両電動車が増えた所で編成重量は4%程度の増加では?と思われます。
    という事は、乗り入れ先が嫌がっているのは、中間の乗務員室扱いの都合と思われます。