【JR東】機関車牽引列車全廃?レール輸送気動車キヤE195系試運転

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JR東日本では、JR東海で投入されたレール輸送用気動車キヤ97系をベースとしたキヤE195系を製造しています。

2017年に量産先行車として投入されたものの、2018年夏の試運転で故障が発生、それ以来久々の試運転が関東地区にて行われています。

導入経緯とともに、試験運用に苦戦する理由を考えます。

そもそも工事用臨時列車・レール輸送とは?

鉄道の骨格の1つである鉄道レールは、車両走行によって歪み・凹みが発生します。

これらはレール削正車、土台のバラスト(砂利部分)はマルチプルタイタンパーと呼ばれる保線車両によって列車が走らない深夜に矯正をして行きます。

しかしながら、徐々にレール表面は削れていくほか、バラストも尖った部分が削れて丸くなっていくので、永久に使えるものではありません。

検測車両や保線作業、経年などから古くなったレールやバラスト、枕木などは順次交換がされて行きます。

これらの輸送は様々な方法がありますが、バラストや枕木はトラックなどの外部でも輸送が出来る一方で、レールについては通常のレールで25m単位・最近使用例が多いロングレールでは200m=通勤電車10両編成相当の長さがあるため、陸路での輸送は難しいものとなります。

そのため、レール輸送専用の貨車を使用することで、25m定尺レールは最寄りの保線基地まで、ロングレールでは交換場所の本線上まで輸送をしています。

JR東日本では、関東近郊のレールの発着拠点として越中島レールセンターが、東北地区のレールの発着拠点として仙台レールセンターの2箇所が設置されています。

このレールセンターでは、九州・山陽地区の製鉄所から鉄道貨物・船舶で輸送されたレールを工事用貨車に載せ替えて各地に運んでいます。

この保線作業のために運転される、工事用臨時列車が通称「工臨」と呼ばれています。

目的地が最寄りの保線基地と分散する場合が多いこと、貨物列車との親和性も高いことから機関車牽引+貨車という方式が全国的に主流でした。

従来の常識を覆した気動車方式

これまでのレール輸送=機関車+貨車という常識を覆したのが、JR東海・日本車両製造が開発したキヤ97系レール輸送用気動車です。

気動車方式とすることで機関車牽引のデメリットである入れ替え作業簡略化を実現したほか、ブルートレイン廃止と合わせてJR東海では自社保有の機関車自体を一掃することに成功しています。

JR東日本でもこれに追従する動きが見られており、機関車の定期検査を実施している秋田総合車両センター内の掲示のほか、量産先行車が配置されている小牛田運輸区などで機関車牽引列車廃止とレール輸送用気動車の準備プロジェクトチーム設立が目撃されていました。

そのような情勢のなか登場したのがキヤE195系レール輸送用気動車です。

このキヤE195系気動車では、JR東海向けのキヤ97系の設計をベースに耐寒耐雪性能付加と保安装置対応、LEDヘッドライトの採用などの最新技術の反映、ロングレール輸送編成の組み替え容易化などが行われています。

なお、レールのほかにもバラストが採石場から各地に工臨列車にて輸送されていましたが、こちらはバラストがトラックで代替可能なことから、各社で規模が縮小されています。

設計自体はキヤ97系同様だったものの……

JR東日本向けのカスタムが施されてこそいるものの、基本的な構造はJR東海向けのキヤ97系と同一のものであり、外観は帯色が異なる程度で瓜二つです。

ファン人気の熱い機関車牽引列車代替というだけで不人気になりがちなところ、外観までキヤ97系と同一のものとなったため、あまり歓迎されない登場となりました。

JR東海でも登場当初は、その特異な外観から「生首くん」などの蔑称がされ、EF58形やEF64形などを置き換えた悪役のようなイメージで運用スタートをしましたが、現在はロンキヤ編成を中心にファンも増えてきました

JR東日本では、2017年冬から走行試験を実施としていたものの、短距離のものが中心でなかなか進んでいませんでした。

2018年夏にはロングレール輸送編成を3両に短縮した編成で関東入り、その特異な外観で各地を走行していたところで故障が発生、置き換え対象の機関車に引っ張られて小牛田運輸区に帰還しています。

それ以来大きな動きもないまま1年、ファンから存在も忘れられ始めていたところでしたが、2019年8月に入って今度は定尺レール輸送用の2両編成の試運転が始まりました

こちらは今のところ順調に行われているようですが、現在行われている試運転は信号見通し試運転=従来と異なる運転台配置ゆえに信号機がちゃんと見えるかの確認ですので、運転士・保線員双方の慣熟を目的としたものではありません。

これ以上大きな問題が起きなければ量産車の製造が始まるものと見られ、量産が進めば各保線基地での訓練も行われるでしょう。

とはいえ、ロングレール貨車だけで関東3編成・東北1編成。定尺レール用となればその倍以上となりますので、本格的な投入はまだまだ先となりそうです。

導入線区と機関車牽引列車全廃までの道のり

2017年のプレスリリースでは東北地区の導入のみがアナウンスされていましたので、まずは仙台レールセンターベースで運用されている東北地区で導入開始となるものと見られます。

ただでさえ活躍の場が少ないED75形にとっては大打撃となりそうですが、ED75形が活躍する仙石線用205系の郡山総合車両センターへの入出場配給輸送など、全廃は難しいところでしょうか。

JR東日本では機関車牽引列車一掃が遅かれ早かれ行われる見通しです。

多数派のレール輸送工臨列車はキヤE195系に置き換えられるとしても、事業用車・牽引車の代替がどうなるのかなど、まだまだ謎が多い(JR内でもまだ確定していない点も多い)ところですので、今後の動向が気になりますね。

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動画資料集

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【EF64-37】原色白Hゴム復元後初めての中央線工臨に充当!
【田端EF65PF詰め合わせ】深夜の東海道筋の工臨

元ツイート紹介

今回の画像は、フォロワーの川の写真垢様(@HjaJTviMkipydso)からお借りしました。

末筆で恐縮ですが御礼申し上げます。

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