【湘南ライナー代替】東海道線の通勤特急“湘南号”デビュー!利用者定着なるか

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東海道線の着席通勤を長年支えてきた「湘南ライナー」をはじめとするライナー列車の運行が2021年3月12日に終わり、週明けとなる15日から新しい通勤特急「湘南」がデビューしました。

E257系2000番台・2500番台に形式統一され、新しい着席サービスが開始されています。

利用者目線と趣味目線の双方から、この列車の特徴を掘り下げます。

各地で進んだライナー列車の“特急化”

JR東日本では、以前より首都圏各方面で運行されていた通勤ライナーの特急化・特急列車の自由席削減を進めてきました。

特に近年では、高崎線特急「スワローあかぎ」から始まった新しい料金体系による着席サービスとされており、利用者目線では駅に行かずとも着席保証がスマホ等から簡単に出来ること・自由席のみが混雑する偏りの解消といったメリットがあります。

JR東日本目線でも、これまでライナー列車は乗車口・特急自由席は車内で行っていた改札の人員を削減することなどのメリットがあります。

一連のライナー列車の運行終了は近年のネット環境の充実化を考えれば、時代の流れだったとも言えそうです。

この制度変更のうち前回の中央線と今回の東海道線では、車両の新型化とセットで実施されています。

今回の東海道線は、185系・215系によるライナー列車を2021年3月12日に運行終了、週明けの15日よりE257系による特急「湘南」がデビュー。車両も制度も新たに、本日東海道線の新しい通勤輸送が始まりました。

今回の東海道線方面の特急化により、JR東日本の首都圏近郊から通勤ライナーが全て置き換えられることとなりました。

特急列車の自由席についても、残すところは房総方面のみとなっています。車両の代替・更新時期が近い房総方面は当面そのままの制度で維持するのか、高崎線のように発売状況ランプ無しで“スワロー化”されるのか、次年度以降の注目点となりそうです。

特急湘南号1番列車〜初日の上り列車をみる

今回の“特急化”では基本的に湘南ライナー・ホームライナー小田原・おはようライナー新宿に近い運転体系となっていますが、従来の湘南ライナー2号より前の時間帯に平塚駅始発東京行きが1本追加されています。

この湘南2号の平塚駅の発車時刻は6時25分となっており、小田原駅を6時20分に発車する湘南4号の方が時系列だけで見ると早いですが、平塚駅でも“1番列車”と放送で謳っていたように、平塚駅始発という特異な設定も相まってこちらに注目が集まっていました。

1番列車は6時23分ごろに平塚駅に入線しました。上り本線となる1番線への据え付けとなっており、すぐ近くの茅ヶ崎・平塚ではなく国府津方面からの出庫とされています。

特別に出発式や装飾などがあるわけでもなく、朝の早い時間帯もあってかファンの姿はまばらでした。平塚駅では駅員さんがロープを準備していたのに使うことなく終わるなど、185系の“お祭り騒ぎ”を考えると本当に静かなスタートだと思います。

ファンから注目されていたヘッドマーク・側面表示についてはシンプルなものとなっています。

踊り子号では1号車のみイラスト入りの表示となっていましたので少し残念にも思えますが、文字が太い(踊り子号は細文字斜体)ので写真を撮るには踊り子号より目立っていいかもしれません。

この湘南2号の入線直前には貨物線をサンライズ出雲・瀬戸号が走っており、国府津からの回送列車が途中大磯駅付近で285系・E257系が並走するダイヤ構成となっているようです。

湘南2号は大船まで停車が続くものの、終着の東京駅で再度285系と並ぶこととなります。

次の湘南4号は14両編成での運行です。

ライナー時代から貨物線・旅客線の経路の違いから平塚駅付近で湘南ライナー2号をおはようライナー新宿22号が追い抜くとされていたダイヤも、引き続き湘南4号・湘南22号と名称と車両を変え継続しています。同じ列車名の特急同士が複々線で追い抜きをする光景はなかなか面白いものと言えます。

従来は乗車専用・降車専用とされていたため出来ませんでしたが、特急湘南22号に乗って藤沢から湘南4号に乗り換える……といったミステリーのような乗車も一応可能となりました。

これまで踊り子号で数往復のみの活躍となっていたE257系が頻繁に行き交う光景はかなり新鮮です。

特急「湘南」のほか茅ヶ崎から小田原への送り込み回送も走るため、6時台の東海道線ではE257系がひっきり無しに東へ西へ駆け抜けて行きます。

青空の下を駆け抜けるペニンシュラブルーの電車が、東海道線新時代の幕開けを教えてくれました。

ライナー時代から人気の朝の上り列車と富士山の組み合わせでの撮影も引き続き可能です。色合い的にはE257系の方が似合っているかもしれません。

これまで踊り子号のみの活躍となっており、順光時間帯にこの組み合わせを見ることは出来ませんでした。新たにデビューした2500番台が先頭に立つ圧巻の14両編成も魅力的です。

実質“値上がり”で利用客数の推移に注目

デビュー時からしばらくは徹夜組がいるほど混雑していた湘南ライナー号も、近年は少しずつ削減傾向にありました。今回のダイヤ改正では、運行本数は上り1本増加・下りは維持(発車時刻は変化)となっています。

過去記事でも記していますが、今回の列車種別の変更により従来均一料金だったものが距離によって異なる料金体系に変更となっています。

特に東海道線の場合は51km以上の区間が多く、東京〜大船・品川〜藤沢,辻堂といった短距離乗車でない限りは事実上の値上がりとなります。チケットレス割引は期間限定のものですので、これが終了すれば結構な値段の変動となります。

これまでの他線区が50km圏内だったため、どうしても51km以上の利用が多い東海道線ではその値上がり幅が大きいという印象は拭えません。

一方で、えきねっとチケットレスサービスを利用した場合は普通列車グリーン車よりは少し安い……といった価格設定です。

初日となった3月15日については、リモートワークが普及した昨年後半に近い乗車率……といった印象です。ファン層の利用があったことを考えると、利用者数は微減……といったところでしょうか。

ただし、入念な告知を実施していたほか案内のスタッフも多く出ており、制度変更での大きな混乱はなくしっかりと着席通勤を望む層が引き続き使用している印象を受けました。

利用者数の変化については、緊急事態宣言の解除で通勤を再開する需要の増加・4月からの新生活と定期券更新時期・チケットレスの割引期間終了後……と今後も需要は刻々と変化する要素があるため、現時点で成功・失敗を語るのは早計です。

並行する小田急・東海道新幹線への利用者流出も考えられますが、そもそも湘南ライナー時代から小田原駅からの利用は多くなく、途中各駅からの乗車が多い列車でした。事実上“競合”と言えるのは複々線化で増強された藤沢からの小田急「モーニングウェイ」くらいでしょう。

従来車両……特にボックスシートの215系に比べれば快適性は大きく向上しており、値段相応の快適性が担保されており、筆者個人は乗車価値があるようにも思えます。

筆者は以前、東海道線のライナー通勤の経験がありましたが、215系充当便はそもそも避けていましたし、時間制約でそれに当たる場合はグリーン車を使用していました。これは鉄道が好きな層だけでなく、沿線利用者にも215系はハズレ扱いする声が聞かれました。

雑な改造などと揶揄されているE257系ですが、たとえ観光路線向けとしては華がない車両であっても、他路線の新型車両に比べると設備が劣っても、ビジネスユースの視点では快適性は大幅に向上と言えると思います。

この辺りは値段を含めて賛否両論ではありますが、利用者が定着することを祈るばかりです。

好きな号車が選べる!座席選択のポイント

今回の制度改定により、朝夕の通勤で座席を選べるようになります。

他路線の通勤時間帯の特急でもそうですが、人通りの少ない端っこの車両がいい・リクライニング全開したいから最後列がいい・下車駅の改札口最寄りがいいなど、ユーザーによって好みが分かれるところです。

特急湘南号で初めてE257系に乗車される沿線ユーザーの方も多いかと思いますが、過去記事でも記した“ハズレ席”が存在します。

まず、E257系のコンセントは窓側のみの設置となっており、A席・D席でないと使用することが出来ません。

また、このE257系は車内でパソコンを使用することを想定した世代の車両ではないため、車端部のテーブルは小型のものとなっています。列車内でテーブルを使用したい場合は、下りは1番・上りは数字が一番大きい座席を避けることをおすすめします。

踊り子号は人気の海側の座席(A席)ですが、朝の上り列車については朝日が眩しく最寄り駅まで一休み……としては不人気な印象です。従来の湘南ライナーでは座席指定ではなかったために自然に埋まっていた“山側”座席はC席・D席側となっています。

以上を総合すると、特急湘南号は「上りはD席・下りはA,D席」・「各号車最前部は避ける」と無難と言えそうです。

このほか、大きな荷物を持って乗車する場合は、1号車・10号車の小田原側・9号車・14号車の東京側に荷物スペースがあるため、この周辺の座席が最適です。

そして新しい着席サービス用の座席発売状況表示ランプを増設した関係で、この機器箱がある直下の座席は荷物棚が使用できません。1号車(10号車)の3,4番AB席・9号車(14号車)の10,11CD席・それ以外の号車の3,4番C,D席が該当します。

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